艶仇討ち　肉刀真剣二刀流

千鶴は湯文字の結び目を解いた。

すると、支えを失った湯文字が、はらり、と千鶴の股間から落ちていった。

なにもかも丸出しとなった。もう隠すものはない。

そう思った。

が、違っていた。千鶴は男と女のことなど、なにも知らないも同然だった。

「品のいい生えっぷりですな、さすが、千鶴様だ。こちらの想像を躰でも裏切らない」

陰りの生え方に、品のいい悪いなどがあるのだろうか。千鶴にはわからない。自然のままにしているだけだ。

まだ、伊左衛門は帯を解こうとしない。千鶴に近寄っても来ない。

じっと待っている。なにを待っているのか。もう、すべてを晒したというのに。

「女陰を、見せてください」

「ど、どうやって……」

「もちろん、その閉じた陰戸を開いて見せるのですよ、千鶴様」

「だ、だれが……」

「千鶴様、ご自身ですよ」

まだすべてを晒してはいなかったのだ。むしろ、これからなのだ。

「伊左衛門様の手で……お、お好きになさって、くださいませ」

「手は塞がっていますのでな」

右手にお銚子、左手にはお猪口。傾けたお銚子から、酒が出なくなっていた。

「もっと、飲みますかな。最高のつまみで飲む酒は、どんな上物のくだり酒も叶いませんなあ」

伊左衛門がぱんぱんと手を叩いた。

するとすぐに襖が開き、仲居が、失礼します、と入ってきた。ずっと控えていたのだ。

千鶴は咄嗟に右腕で乳房を抱き、左手で下腹の陰りを覆うと、その場にしゃがみこんでしまった。

「酒をもらえるかな」

「はい。すぐにお持ちいたします」

と空になったお銚子を手に、仲居が下がっていく。

千鶴は生きた心地がしなかった。仲居がじろじろと千鶴の裸体を見ることなどなかったが、舌を噛み切りたいくらいの屈辱を感じた。

「ひ、ひどいお方……」

千鶴はしゃがみこんだまま、なじるように伊左衛門を見た。

抱き寄せて欲しかった。口を吸って欲しかった。ひと思いに、事を遂げて欲しかった。

けれど、まだ、伊左衛門は髪にさえ手を触れていない。

それでいて、千鶴の躰は熱を帯びはじめていた。怒り、屈辱、羞恥、諦め。いろんな感情が綯い交ぜになり、千鶴の肌を火照らせはじめていた。

乳首はさらにとがり、乳房も張っている。

「さて、女陰を見せてください」

千鶴はしゃがんだまま、両膝を開きはじめた。股間は手のひらで覆ったままだ。

それでも、殿方の前で、自ら足を開くなど、火を吐くような恥辱だった。

逃げ出したいのをどうにかこらえ、大胆に膝を割ると、左の手のひらを脇へとずらしていった。

はじめて、伊左衛門がこちらに躰を寄せてきた。

「い、いけません……」

伊左衛門の顔が、剥き出しの股間に迫ってくる。

千鶴は大胆に膝を割ったまま、腰を引いていた。

「こんなに足を開いても、割れ目は閉じたままですな。さすが武家の妻女だ」

千鶴の陰りは薄い。それゆえ、縦の筋が恥毛から透けてのぞいている。

「ご自分の指で広げないと、中身を拝めませんな、千鶴様」