催眠清規

【南マイ・無邪気露出編】

著者: 愛欲ほねね

電子版配信日:2024/05/24

電子版定価:880円(税込)

南マイは無邪気な笑顔が可愛いサイドテールの似合うクラスメイト。
そんな彼女に時間停止の催眠をかけ、白昼の教室で制服を脱がし、
生ペニスを挿入し、膣に白濁を注ぎ込み、俺専用のオナホに!
さらなる快楽を求め、教育実習生・北条こころ、ゴスロリ少女・東方すのう、
クール系美女・西武レインと、四人一緒にハーレム催眠旅行へ!
限定書き下ろし四編収録。催眠から始まるリアルハーレムな夏休み編!

目次

前話 東西南北 催眠生活編

第一話 東方すのう 大人尊厳編

第二話 東方すのう 尻穴貫通式編

第三話 西武レイン 精液飲食編

第四話 西武レイン 愛液軟膏編

第五話 北条こころ 新婚朝模倣編

第六話 北条こころ 茶番本番編

第七話 南マイ 学園停止編

第八話 東方すのう 清規制服編

第九話 東方すのう 愛玩級友編

第十話 東西南北 導入旅行編

第十一話 西武レイン 逆睡姦編

第十二話 南マイ 水泳稽古編

第十三話 南北 全裸海辺編

第十四話 南マイ 拘束睡眠姦編

第十五話 西武レイン 深層凌辱編

第十六話 北条こころ 合意加虐編

書き下ろし一 南マイ 理想像淫行編

書き下ろし二 東方すのう 性感鈍麻編

書き下ろし三 北条こころ 慰安編

書き下ろし四 西武レイン 被虐性愛編

本編の一部を立読み

前話 東西南北 催眠生活編



 夢の中で死んだ祖父の姿を久しぶりに見た。
 俺に催眠の教本を残していた祖父が何をしていたのかは俺もよく知らない。
 幼いころに見た顔ぼんやりと覚えているだけで、会った記憶も朧気だ。
 ただお盆に集まったとき、誰もが祖父の姿に恐れを抱いていた感情は残っている。
『……ゃ……』
 そんな祖父の隣に、なぜか見覚えのある少女の姿を見つけた。
 誰だろう、知らない子のはずなのに。
 俺のことを見て笑って、手を伸ばしていた──

「ん……」
 うめき声をあげて、俺は顔にかかる朝日に気づく。
「もう……朝か」
 学園に向かうにはまだ早い目覚めだ。
 ベッドのふんわりとした感触は夏になると少し暑くも感じるが、寝苦しいほどじゃない。
 俺は寝返りを打ってもう少し眠ろうとして、
「おい」
 隣にベッドより柔らかい存在がいることに気づいた。
「ご主人様……まだ寝ていても大丈夫ですよ」
 こころがいた。
 北条こころは俺の通っている学園にいるカウンセラーで、俺の奴隷だ。
 整った顔立ちからは大人っぽさを感じられるもまだ幼さが残る。黒いさらさらのストレートロングがもじもじと動く彼女の裸の肌を滑っている。
 どうやらこころは俺のベッドに裸で入り込んで添い寝をしていたらしい。
「なにをしている」
「ご主人様がうなされていましたので、僭越ながら人肌で安心していただこうとしていました」
 こころは俺にすり寄って肩を抱く。
 こいつの胸は大きくて柔らかすぎる。わざと押し付けてきている。
 彼女には催眠暗示によって俺の奴隷になることを選ばせた。その際に、俺に触ったり、俺の喜ぶ姿を見ることに幸せを感じるようにした。
 目論み通りではあるのだが、こころは隙さえあれば俺に引っ付こうとする。
「……寝るからな」
「ふふ、おやすみなさい。でも申し訳ございません、ご主人様のおち×ぽは起こしてしまいました」
 こころはいやらしい左手で器用に俺のズボンを脱がす。
 掛け布団もどかされ、俺のペニスが勃起している様がよくわかる。
「大丈夫です。私はおち×ぽを寝かせるのも得意なのですよ、しゅこしゅこして、寝かせて差し上げますね……」
 こころの細い指が絡みつくようにペニスを握る。
 そのまま指を細かく上下させて、ペニスの竿をこすり始めた。
 俺はされるがままなのが癪だったため、別の話題に切り替える。
「……っ、催眠テストの進捗はどうだ」
「はいっ、ご主人様の作成したテスト用紙を記入することで暗示にかける催眠テストは順調に成果を上げています。このままでしたら近いうちに学園全体をご主人様の意のままに操ることが可能になるかと」
 こころはわざと俺の耳元で息をかけるように話し続ける。
「あっ、ビクビクって跳ねて、ご主人様のおち×ぽがとっても元気で暖かいです」
「催眠テストの弊害はどうだ?」
「今のところ見つかりません。ただご主人様がテストでなく直接暗示を施しましたマイさん、すのうちゃん、レインさんとはご主人様が個人的に口裏を合わせていただかないといけません」
「それはちゃんとやる」
 こころは俺の身体にその大きな胸を乗せてきた。
 俺はその胸の感触を肌で受けて、見えにくくなった股間に刺激だけが伝わる。
 ペニスの裏筋を指の腹で撫でられたり、チョンと指先を亀頭に当てられたり、俺を知り尽くしたこころの手が幾度も愛撫を重ねる。
「……っ」
「どうぞご主人様、私の手はご主人様のおち×ぽをしごくためのものであり、精液をいくらでもかけていい奴隷ティッシュです。んっ、いくらでも、かけてください……っ!」
 俺はこころに言われるまま、尿道からせり上がってくる精液を吐き出す。
 目覚めたばかりの視界がチカチカするほどの快楽に身を任せて射精を続ける。
「あぁっ……ご主人様の朝一番濃い匂いが私の手に……ひゃぅっ!」
「お前は朝から……」
 俺はちょっと乗せられた感じでムカついたので、こころの胸を掴んだ。
 こころは奴隷の暗示によって俺の手のひらから幸福感と快楽を受け取ってすぐ発情する。
「ご主人様……いかがいたしましょう。今度はおま×こを……まだ朝は早いですので……」
「そうだな、朝は――」
「悪魔ー!」
 とそこで、俺を悪魔と呼ぶ甲高い大声で酔いから覚める。
 見ると、俺の部屋にゴスロリファッションの寝間着を着た幼い少女が現れる。
「おはよう、すのう」
「まーた悪魔はこころ姉さんに変なことしてー!」
 彼女の名前は東方すのう。
 不機嫌そうな目つきが様になるほど整った顔はお人形のようでもある。
「俺じゃないぞ」
「はいっ、ご主人様ではありませんよすのうちゃん」
「またそんなウソを……嘘……じゃない」
 すのうは人の嘘を見抜ける観察眼をもっている。
 ゲームでの駆け引きは大会で優勝できるほどで、運もいい。
「でもでもっ、それはこころ姉さんが悪魔に脅かされたからで……」
 すのうは、こころが奴隷になったのは俺が何か魔法を使ったからだと思い込んでいる。
 だから俺は催眠によって彼女を性行為のゲームでたびたび凌辱して遊んでいた。
「ともかく! 朝から裸になってないで歯を磨いてご飯食べるの! わかった!」
「俺のマンションに居座って泊まりまでしといて偉そうだな」
「こころ姉さんのマンションでしょここ!」
 すのうのぷんぷんしたり歯を食いしばったりとコロコロ変わる表情は見ていて楽しい。
 彼女は俺を監視するという名目でよくマンションに寝泊まりしている。
 こいつとこころがやたら仲がいいのは親戚なのもあるがそれだけじゃない。
「まあ朝飯は食べる。そういえば今日はお前も学園に来るか?」
「……行く」
 すのうは元来の勘の良さが災いして人とうまく折り合いが付けず馴染めなかった。
 そのせいで学園は不登校気味で、カウンセラーのこころとよくいるのだ。
 今は俺の催眠のかいあって少しは学園に行く気概ができたということだ。
 こころもそんな様子にご満悦のようで、残念なことに服を着てしまう。



 すのうとは学年が違うので学園に着いたらお別れだ。からかって楽しむ通学はすぐに終わってしまう。
 私立冷菜学園一年四組の教室で俺はひとり本を読んでいた。
「ブックおは~!」
 ふいに背後から元気な声が届いてくる。
「おはー……マイか」
「うんうん、今日もブックは元気だし」
 彼女の名前は南マイ。俺のクラスメイトだ。
 綺麗にまとまったサイドテールを尻尾みたいに揺らしている、人懐っこい微笑みの似合う可愛い女の子だ。
 ブックという俺のあだ名をクラスに定着させたのはこいつだ。
「さっき通学してたでしょ。可愛い女の子隣にいたよねー妹?」
「俺に妹は……いないと思う」
「なんで疑問形だし。わかりま?」
 マイは笑ってつんつんと俺をつついてくる。
 元々男のクラスメイトに対しても、誰に対しても距離が近いのだ。
 しかし実際はドライな面もあってガードがとても固い。
 だから俺はそれに目をつけて、彼女自身が気づかないうちに何度も犯している。
「ふーん……まいっか」
 マイは知らずのうちに俺との性行為をされ続けた影響か、最近はさらに距離感が近くなった気がする。
 とはいえ悪目立ちをする行動はしないタイプなので、しばらくして友達グループの元へと向かって行った。
「ふぅ……」
「ん」
「あぁレインか」
 そうして友達のいない俺に誰も近寄らなくなったのを見て、レインが来た。
 西武レインもまた俺のクラスメイトだ。
 整った顔立ちは鋭さを感じるほどで、雰囲気はクールといえばいいだろうか。人を寄せ付けない美しさを覚える。
「あんた今日も大丈夫?」
「ああいつでも呼んでくれていいぞ」
「……できたら呼ぶ気はないから」
 レインが身体を翻すだけで風が起きたように感じてしまう。
 そのいい香りと共に人目を惹く、歩いているだけでモデルような少女だ。
 だから俺は発情暗示を肉体に施して、彼女の身体を弄んでいる。
「ははっ、相変わらずつれないな」
「……っ!」
 今も俺がレインに発情する暗示のサインを送って発情させた。
 レインは不本意ながらも俺とのセフレ関係を継続し続けている。
 こちらを一瞬睨みつけてきたのか、ちょっと寒気がした。
「……」
 レインは発情暗示を我慢して教室を出て行ってしまう。
 どうやら運動部の助っ人か何かを頼まれたらしい。クラスメイトが話している。
 彼女の身体能力は人並外れていて、俺なんかじゃ絶対敵わない。
 だからこそ、その完璧な身体を性欲で埋め尽くして遊ぶのが楽しくてたまらない。
「とはいえ……」
 俺はムラムラしていたらしく誰彼構わず女子の姿を目で追ってしまう。
 どうやらこころとのセックスをお預けされたのが効いているらしい。すのうめ。
「行くか」
 俺は立ち上がり、教室から出ていく。
 冷菜学園新棟、その一階にある技術室の隣、普段なら掃除でもない限り足を踏み入れないような廊下の先にカウンセリングルームがある。
「入るぞ」
 俺はノックもせず、学園で一番楽しめる領域に足を踏み入れた。
「お待ちしておりました。ご主人様」
 こころは誘うような微笑を浮かべてカウンセリングルームの中心で俺を迎えてくれる。
 さて、これから何をしようか。
『一緒に遊びましょう』
 俺はこころ専用の催眠キーワードを唱える。
 こころはとたんに眼がうつろになって虚空をさまよい、脱力して体をふらふらさせる。
 これから彼女を凌辱するためのルールを決めることが、楽しくて仕方ない。
第一話 東方すのう 大人尊厳編



「白き悪夢が闇に染まるとき、黒きトバリが荒野を蹂躙する!」
 すのうとオセロをして、負けた。盤面はすのうの持ち色の黒に染まっている。
 マンションにひょっこりとやってきて、暇つぶしにと相手をさせられた。
 たしかに俺も暇だったが、負けるのは本当に悔しい。
「ふふん」
「いや、おかしいだろこれ」
「ふっふん!」
 すのうが得意気に鼻を鳴らす。
 いつも以上の笑顔でない胸を張っている。ぶち込みたくなる顔だ。
 服装はいつも通りのゴスロリだが、その姿には退廃(ゴス)のたの字もなかった。
「なによ、テレビゲームが嫌だって言うから、オセロにしてあげたんでしょ」
 やるからには勝つ。そういう考えで挑んだ結果のオセロだ。
 これなら運要素もないだろうし、そこそこやれるかと思ったが。
「おかしいだろ。テレビゲームやったら絶対勝てないからな。なんでレースゲームで上位がスター取るんだよ! ありえないだろ!」
「あれは順位調整をすればいいのよ。無駄に力をひけらかすから悪魔はバナナなのよ」
 先程はテレビゲームで勝負をして、オセロもあわせて通算五回目の敗北になる。
 休日であまりやる気がなく、ルールを考えず普通にゲームをやってみたらこれだ。こいつとは二度とやりたくなくなる。
「俺も勝てそうなのを選んでくれ」
「なによそれ……わたしのサバトに慈悲はないわ」
「今昼だから」
「ならもう一回テレビゲームから選定させてもらうわ。あなたでもかすかな勝利の切っ先をわたしに向けられるような、そんなものをこの手に」
 すのうは機嫌よく鼻歌交じりに、この家に置いてあるゲームを物色し始める。
 全部、すのうが持ってきたゲームらしい。台所で料理を作っているこころがそう言っていたのだから、間違いはないだろう。一人でやらないのだろうか。
「はっ!」
 すのうが、突然はっとなって声を漏らす。何かを思い出したみたいだ。
 次に、そのハイハイした姿勢のまま俺に近づいてくる。
「スカートがすれるぞ、高いんだろそれ」
「ね、わたし、もう悪魔に五回は勝ったわよね」
「認めないからな」
「勝ったのよ! ほら、あそこにいるこころ姉さんが証人だわ!」
 こいつが何をしたいのか、わかってきた。
 もしかして、いきなり来てゲームをしようなんて言ったのも。
「宵闇さばとは始まっていたわ!」
「始まってないし、俺はまだ負けてないな」
「今際の戯言はよしたらどうなの! 人のお願いくらい聞く姿勢を持ったらどうなの!」
 人にお願いする姿勢じゃないだろ。
 すのうが結構必死になって俺に食って掛かる。なんだこいつは。
 突然やってきてそんな条件を提示するなんて、デュエルに勝ってからアンティルールとか言うようなもんだ。
 面倒そうにそっぽを向いたら、台所にいたこころと目が合った。いや笑うなよ。
「……聞くくらいならいいぞ」
「そう……そうよね、それくらいは当然よね」
 すのうがあからさまにほっとしてから、腕を組んでうんうんと頷く。
 まぁ、これもすのうなりに考えた策略とすれば、聞くくらいはいいだろう。
「そうね、わたしの願望は他でもない、悪魔たりえるあなたとの一日盟約、そうね、付き従える関係とでも言えばいいかしら」
「なんだよそれ、一日だけ付き合えってことか、何に?」
 すのうって、テンションが極端に高いか低いと台詞回しがおかしくなるな。
 景気よく大振りで台詞を放った後で、すのうはちょこんと座りなおす。
「いいわ、話しましょう。これは全て決まっていたことなのだから……」
 俺が適当に視線を巡らせていると、視界の端でこころが首をかしげているのが見えた。



 すのうは話を終えると溜息をついて、こころの持ってきた飲み物をちびちびとすすり始めた。
 俺は話された内容をある程度噛み砕いて、頭の中で反芻する。
「すのうに友達がいたのか」
「なによ! いちゃ悪いの! どうせ悪魔にはいないんでしょうに」
「俺は途中入学組だからな」
 マンモス学園なだけあって、ほとんどの奴が繰り上がり。が、俺は別の学園から受験したタイプだ。
 友達がいないのはそのせいだ。
「見苦しい言い訳だわ」
「……」
 すのうは、自分用のパソコンを持っていて、それでネットゲームをしているのだ。
 プレイ頻度も低く、時間をかける方ではないが、ラプラスという異名の通りの腕前で上り詰め、それなりに有名なプレイヤーにはなっているらしい。
 友達とは、ネットゲームで知り合った人間らしい。
 そいつが、来週の日曜にすのうのところへ遊びに来る。
「つか、日曜に来るそいつ本当に女なのか?」
「当たり前でしょ。ボイスチャットだってやったもの」
「変声機ってのがあってだな」
「そんなの見抜けないほど、わたしを愚か者と見くびらないでほしいわ」
 すのうは自信満々に言う。
 たしかに、すのうはネット上のプレイスタイルで敵の全容を暴けるんだから、その能力は信頼している。
「でもお前も見抜かれるだろ。だいたいなんで彼氏持ちなんて嘘ついたんだ」
「敗者は黙りなさい! おろかな悪魔に我々人間の考えなど理解できないわ」
 すのうは顔が見えないのをいいことに、その友達にあることないこと吹き込んだみたいなのだ。
 かいつまんでまとめると、すのうは彼氏のいる色っぽくて大人っぽいお姉さんを気取っていたらしい。
「一人で行くのが心細いから、一緒にいても違和感なさそうな彼氏をねぇ……」
「友達は学校にはいないって言っちゃったのよ……」
 都合の悪いところばかり本当のことを話すんだな。これで俺にごまかしに参加しろと。
 無理がある。
「無理がある無理がある」
「わ、わたしだってある程度は理解してるわよ。でも大人っぽさなら仕草でごまかせるし……それとなく静かに自然としてれば、大人っぽく見えなくもないし」
 俺からしてみれば、嘘をつくことは悪くない。ばれる嘘をつくのは悪だ。
 すのうは俺の答えが気になるのか、無意識のうちに俺に近づいて、表情を覗き込んでくる。
 小遣いおねだりする女の子みたいだな。
「……まあ、一日付き合うくらいなら、いいか」
「ほんと! 悪魔に二言はないわね!」
 少し考えていたら、ちょっとは面白そうなことを思いついた。手間がかかるが、こういうのはなんでもやってみるべきだろう。
 催眠からしてみれば、遠隔暗示的なのもトレーニングしておくべきだし。



 その日、すのうと予定していた待ち合わせの時間になった。
 約束の場所は駅前で、しかも最寄り駅じゃなくて都会のど真ん中だ。
「熱いよぉ……」
 すのうは俺の隣で日傘をさしながら、弱音を吐く。あいもかわらずゴシックロリータの服装は人目につく。
 そろそろ梅雨が明け、期末テストの時期になる。
 夏の都会は太陽によって更に熱を集め、そんな季節に黒の服装はなんとも相性が悪い。
「約束の時間は過ぎたな……あっちで待たないか?」
「駄目」
 俺は近くにあるガラス張りのファーストフード店を指差す。あそこならここに人が来てもすぐわかるだろうに。
「えっと……もしかして、ラプラスさんデスか?」
 そんなときだ、おそるおそる俺たちの前に女性が現れた。
 すごく大人っぽくて、背の高い女の人が俺たちに話しかけてきた。スタイルもよく、人目を引きそうな白人女性だ。
「あ……さ、さ……よ、こ?」
 すのうはとても小さな声で、そのサヨコさんを呼ぶ。身長差に物怖じしているみたいだ。
 というか、話に聞いていた通りハーフの女性なのだから、予想はしておくべきだったな。
 すのうがお人形のような美少女なら、彼女はモデルのような女性だ。
 日本の名前に似つかわしくない白い肌と金髪は、すのうと同じくらいに目立っていた。
「あ、やっぱりそうだったんだ。ゴメンネ、事前に言われた服装で最初に気づいたんだけど」
「う……ううん! いいのよ! ごきげんようサヨコ、声は聞いていたのよりもずっとき、綺麗で……」
「センキュ、ラプラスさん」
 すのうが小さい手を優雅にくるくるしてから、手を差し伸べる。
 サヨコは素直に笑って、その手を取った。笑い方はなんというか、小動物に向ける笑顔だな。
「プリティぃな……」
 別の意味でうっとりし始めたらもうおしまいだ。サヨコの中ですのうのイメージは固まってしまっただろう。
 もちろん、聡いすのうはそれに気づくわけで。
「……」
 取り繕ってはいるが、ちょっとすのうの表情が崩れている。
「サヨコさんですね」
「ハイ、アナタがラプラスの彼氏さん?」
「ええそうです。すみません、二人っきりのところをお邪魔して」
「構いませんよ、彼氏さんが寂しがり屋さんだって聞いてマシタ」
「……そうですか、とりあえず予約していたホテルに荷物を置きに行きましょう」
 すのうって自分のキャラをどうつけていたのだろう。寂しがり屋の彼氏とかどするんだ。
「…………」
 隣を見ると、すのうは黙り込んで小さくなっているだけ。なにもできない子供のようだ。
 どちらにせよ、その通りに振る舞うのが無理なのはわかっていた。
 すのうは元より人見知りの激しい子だ。
 俺に対しては、敵対という関係性がある程度できていたから話すことができた。それに慣れて、今の関係を築けている。
「すのう」
「えっ、なに?」
「予約してたんだろ。行くぞ。あ、鞄持ちますよ」
「これはトレーニングですから大丈夫デス」
「ストレングスですね」
 とりあえずは、すのうの代わりに、サヨコと会話を保とう。
 どうせ、しばらくの辛抱だ。俺も初対面の人間が得意というわけではないが、これくらいの時間は我慢してやる。
 すのうには、ホテルに入ってから存分に名誉挽回させてやればいい。



 予約していたホテルは、俺でも目を見張るほど豪勢なものだった。待合室には使いきれないと思える数の椅子があったり。
 今いる部屋の中も、ベッドは柔らかそうで、カーペットなんて俺の運動靴で踏んでたらそれだけで価値が下がりそう。
「すっごいですこれ、ゴールドですゴールド!」
「俺も驚きましたよ」
「そ、そう」
 このホテル、すのうが予約から支払いまで全てしたらしい。
 元々東方両親はどちらも海外では有名なビジネスマンらしく、子供を放っているかわりに結構な金を仕送りしているとか。
 それでも、こういうところで全額奢りとか、太っ腹というかたかられているというか。
 すのう自身もボードゲームの大会でそれなりに賞金をもらっていると聞いたこともあるし、金には家族揃って無頓着なんだろうな。
「わ~お」
 たぶん、このサヨコはそこまであざとくは考えていないだろう。と思いたい。
 待つのも億劫なので、そろそろ始めるか。
「サヨコさん、そういえばこの前すのうに占いやってもらったんですよね」
「あ、はい。バッチリきっちりですよ」
「……占い?」
「『ルールは簡単』だったでしょう」
「う……たしかにソンナニ難しくありませんでし……た」
 サヨコが眩暈でもしたのか、目を擦る。
 すのうは、キーワードのせいでいつも以上に黙り込んだ。
「たしか、彼氏さんがシュミで行っていると……」
「そうなんですよ、興味を持ってくれて本当に助かります。せっかくですから、占ってみませんか?」
 俺は用意していたトランプをポケットから取り出して、これ見よがしにシャッフルする。裏面の模様も自作の催眠トランプだ。
「やって……みましょうか」
 シャッフルしているトランプは同じ裏面を幾度となく反復させる。模様にかすかな違いがあったり、ズレがあるのに意識を持っていかれる。
 サヨコはそこまで抵抗することなく催眠暗示にかかっていく。
 ここまですぐに効果を発揮したのは、俺があらかじめ催眠暗示を遠隔で行っていたためだ。
 すのうにこの話をされた後で、すぐ行動に移った。メールで画像ファイルを送信して、指示通りに誘導。これを言葉通り行ってくれれば擬似的にだが暗示の前がけができる。
「やっぱり、薄いな」
 だが、遠隔操作はあくまでもサポートのためのものだ。
 これはファイルが残ってしまう可能性もあるので、催眠効果を直接持たせれば足がつくきっかけになる。だから、あくまで入りやすい前置きをするだけだ。
 個人的には、いつかこれを発信元不明で目標範囲へ一括送信し、より能動的に催眠へと誘う装置として考えている。
「なんにしても、これ以上は危険だろうな」
 だから、あからさまに催眠暗示だとばれるわけにはいかない。これで一応は完成だろう。
「サヨコさん、俺の声が聞こえますね……俺の質問には全て、はいかいいえで答えてください」
「…………ハイ」
 ここからは流れ作業だ。
 とはいえ、かなり慎重にやらなければいけないのは一緒で、面倒だからと省略しないようにしなければ。
「とりあえず、これくらいか。本当に面倒だ」
 一度やったからには、こいつも被害者だ。後戻りはできない。
 サヨコへの暗示はこれくらいにして、次はすのうに向ける。
「すのう、聞こえていますね」
「聞こえています……はい」
「あなたはいま、何を願っていますか?」
「わたし……は、サヨコに……大人に見られ……たい」
「大人とは、何かわかりますか?」
「……わか、ません」
「なら、教えてあげます。大人とは、色っぽく性的な、つまりとても淫らな人間のことをいうのです」
「エッチなのは……大人っぽい」
「そうです、エッチなのはとても恥ずかしいことですが、もしあなたが、サヨコさんに大人に見られたいのなら、エッチなことをしないといけません」
「…………は、い」
 すのうの瞳は虚ろなまま、頬が赤くなる。羞恥心は残しておくべきだろう。
 あとは適当に面白そうなことを入れ知恵して、催眠を解いてやる。
「では目覚めますよ……はい!」
 俺が手を叩いて、二人を催眠状態から解放する。
 サヨコのキーワードはすのうと一緒にしておいた。使うのは今回くらいだろうし、覚えやすい。
 今回は手間がかかりすぎたな、もう少し省略できないものか。



 催眠から解放された二人はぼおっとしたまま、寝起きみたいな状態になっている。
「ねぇ」
 先に動いたのは、すのうだった。
 未だはっきりしない状態のサヨコの隙をついて、俺を引っ張ってくる。
「ちょっとトイレ!」
「……ンー」
 見苦しい言い訳だ。俺をトイレに連れて行くわけないだろうに。
 洗面所のドアを閉めて、すのうは俺の耳元に囁きかけた。
「悪魔、あなたはわたしの味方よね」
「敵だな」
「そういう意味じゃなくて! ……今日は協力してくれるのよね」
「協力する」
「なら、お願い。わたしは大人っぽい人だって、サヨコに。イメージを崩してほしくないの」
 すのうはなにかを決意するように、しっかりと俺を見据えた。
 明確な解決方法を示したとたんにこれだから、行動力はいい方だ。
「大人っぽいって、お前わかってるのか?」
「…………わかってる。やるしかないのよ」
 元々ばれる嘘をついたのが発端だから、こればっかりはすのうの責任だな。
 今回も俺からしてみればゲームみたいなもんだ。
「大人度調整ゲームだな」
「こっちは真剣なのよ。いい! わかったからね!」
 すのうは言ったもん勝ちみたいな雰囲気で、洗面所を出ていく。
 これから改善すべきすのうの欠点は、人間社会における対応のパターン不足だな。
「お、お待たせサヨコ!」
「あ~ウン」
「ほら! こっち」
 すのうが、俺の手を引いて促す。まあ、性的なことをする以上俺は必須だろうし。
 そう思っていたら、すのうがいきなり目を瞑った。
「ん~」
 少し背伸びをしていて、唇から唸り声が聞こえる。
 たぶん、キスをせがんでいるのだろう。
 発想としては悪くないが、可愛げがありすぎるな。
「そうだな、そのまま目を瞑っていてくれ」
 俺はそう言って、すのうの頬を押さえた。上を向いているのは疲れるだろう。しゃがんで、目線を合わせてやる。
 その後で、すかさずズボンを脱いで、
「ん~……んんっ! んんん!」
 取り出したペニスを、すのうの口の中にぶち込んでやった。頬を押して口を開かせれば、簡単にできた。
 すのうは目を開いて、抵抗するように俺の太ももを叩く。
「わぁ、フェラなんてアダルトなことするんだね~」
 サヨコは、その光景を感心したかのように眺めていた。今の彼女にとって、セックスはいやらしいことではないのだ。
 抵抗していたすのうも、横にいるサヨコを見れば大人しくなる。
「ほら」
「んっ! んっとんんしん! けほっ!」
 俺は乱暴に腰を前後させて、先端を喉にたたきつけてやる。
 すのうは容赦ないイラマチオに対して涙目になる。
 サヨコは、関心を抱いたまま目を離さない。大人っぽさを示すのなら、無理に止めることは不可能だろう。
「おぼっ! おっぐっぐぐ!」
「ほら、ちゃんとしゃぶれ」
「んんんっ!」
「サヨコが見てるぞ」
 耳元でそう呟くと、すのうはやけくそ気味に舌を這い回らせる。吸い出すように先端をすすり始めた。
「ずずっ、げぼっ!」
 こっちは勝手に動く。待っているだけじゃ射精なんてできないだろう。
 すのうの必死な姿を見て、俺の嗜虐心は満たされ始めていた。あえて嫌がりそうな動きをして、むせたりするのが見ていて楽しかった。
 そのまま、予告もすることなく射精する。
「んっ!」
 俺は両手ですのうの頭をがっちりと押さえて、一滴残らず中で爆発させた。
「洗えよ……終わらないぞ。あと、精液はちゃんと口の中に残しておけ」
「……ず」
 すのうの嫌がる顔を見ていると興奮する。それでいて、口内ではしっかり舐め取っているのが素晴らしい。
 精液を飲み込んだ様子はない。俺の指示ではなく、たんに飲み込むのが嫌なのだろう。
 ペニスが唾液まみれになったころに腰を引いてやった。
 そして、すのうが下を向くよりも先に顎を押さえて、上にあげてやる。
「~っ!」
「飲むんだ、ちゃんとゆっくりな」
 すのうはしばらくじたばたとしていたが、やがては抵抗をやめて、ゆっくりと精液を嚥下していく。
 ゆっくりと、一滴ずつ飲み込んでいるのかと思うほど、緩慢な動作だ。喉を通すのが不快でしょうがないのだろう。
 だがそのおかげで、ずいぶんと煽情的な光景になった。
「ラプラスさんって、見た目よりも大人っぽいですね……やっぱり聞いた通りの、アダルト!」
 サヨコの褒め言葉が、部屋の中に響いた。思ったことが口に出るタイプなのかもしれない。
 すのうは、息切れで肩を揺らしながら、その言葉を聞き終えて、笑った。
「そ、そうでしょ! うんうん」
「ウンウン!」
 すのうは涎の残った口をにっこりとさせて、初めて面と向かってサヨコに話しかけた。
「サヨコ、どうせならこの邂逅を楽しみましょう。わたしの、夜のいとまはこの程度ではにゃくってよ」
 顎を酷使したせいか、すのうの口調が情けないことになっている。
 俺は元気になったすのうの体を撫で始める。服の中に手を入れて、乳首を摘まんでやった。
「ひゃっ! あはは……」
 すのうは表情を崩さぬよう、取り繕った笑顔でピースしている。
 俺はやっと、この集まりが楽しくなってきた気がしてしょうがない。
「さて、そろそろ外に遊びに行きましょうか」
「えふぇ!」
 俺は立ち上がって、すのうの手を引いてやる。ぐいぐいと逃げるように引っ張り返してくるが、無駄だ。
 どうせやるなら、サヨコには存分にすのうに対して大人のイメージをつけて帰ってもらおうじゃないか。
第二話 東方すのう 尻穴貫通式編



 すのうがネットで作った友達を呼び、遊ぼうと言うので催眠を使った。なんの問題もない。
 彼女たちは今、俺と性的な行為をすればするほど、大人っぽい人間だという暗示を受けている。
 すのうはこの常識を使って、なんとか友達のサヨコに大人っぽい人として見てもらおうとしている。
 二人とも、俺が先導することになんの異議も唱えない。全て暗示通りだ。
「彼氏さん、どこゴーなの?」
「カラオケ」
「カラオケ! いいねいいね!」
 もちろん嘘だ。カラオケなわけがない。
 カラオケボックスは基本的に監視カメラがついていて、そういう行為をすればすぐ店員に咎められる。
 本当のことを言えば、カラオケもできるというやつだ。
「へぇ、この辺りってこんなカラオケあるんだ~」
「……ここ」
 サヨコは特に疑問も持たずに店内へ入っていく。疑問を持たないよう暗示をかけてあるからだ。
 すのうは、ここがどういう場所か一目でわかったようだ。
 どこをどう見ても、ラブホテルだ。
「大人っぽい雰囲気のためなら、必要だろ」
「でもわたし」
「大丈夫だよ、予約も済ませてある。知ってるか? 内装の評判がいいと、コスプレ撮影の背景にいいからって理由で、そういう目的以外でも入ってくる客は多いんだ」
 すのうなんて、まさにコスプレにでも来たような服装だな。まあどっちに思われようと構わないが。
 俺は簡単な手続きを済ませて部屋を借りる。懐が寂しいので、料金はあつかましくもすのう持ちだ。
「まあ、しっかりと助けてやるよ」
「本当でしょうね……」
「オープンしましょうね」
 サヨコが部屋を見つけて中へと入っていく。
 俺たちも遅れて、探るように足を踏み入れる。
「わぁ」
 すのうが、その内装を見て目を輝かせる。
 それもそのはずだ、まるでゴシックロリータを意識したような、洋風のインテリアはすのうの好みに合わせたものだ。
 黒いレースのカーテンも雰囲気に合っている。
 変な都会やデートスポットに行くよりも、すのうが喜びそうな場所だった。
 だがラブホである。
「ここで大人っぽいところを見せるんだろ」
「ふふん、よかろう」
 すのうが調子に乗ってきた。サヨコを追い越して部屋の中心へ向かい、大きなベッドの上で仁王立ちをして手をかざす。
「今宵はわたしの血の祝盃に召喚されし僕《しもべ》たちに、この身も凍るほどの光景を」
「あ、いつものラプラスさんっぽいです!」
「サヨコ、そこのグラスを」
 あいつゲームの中であのキャラ使ってるのかよ。大人っぽさはどうしたんだ。
 ゲーム内でだけ羽目を外せる大人みたいなキャラで通しているのだろうか。わからん。
 サヨコも何故かすのうの指示通りに、冷蔵庫から冷たいグラスとワインを取り出して注ぐ。調子に乗ってきているのだろうか。
 そうだよな、ああいうタイプだからすのうを慕ってたんだろうな。
 すのうはサヨコにワインを注がせた後、
「口を開けよ」
 サヨコの口を開けさせて、そこにグラスを傾けてワインを流し込む。
 その後で、俺を見た。
「俺にもやるのかそれ? いらん」
「我が心中に疼く色欲の悪魔よ、この愛しき唇がいらないと見える」
 あれは、口移しをするから来いってことか。
 サヨコは目を輝かせて、俺とすのうを見比べている。
 なるほど、口移しそのものが、性的なイメージを持っているのか。
「では、血液の交友を」
 すのうはワインを口に含んで俺が来るのを待っていた。苦いのか、ちょっと頬が震えている。
 俺は一応すのうに従って、開けた口同士を繋げた
「んっ……ちゅ」
 すのうが口を開いて、中に含んでいたワインを流し込んでくる。苦味の強い味が舌を痺れさせ、鳥肌が立つ。
「ちゅく……くぷっ」
 すのうはイラマチオのお返しといわんばかりに、俺の顔を押さえてワインを全て俺に口移す。
 中途半端な反撃は、敵の神経を逆撫でるだけなのに。
「くちゅ……ぷぶっ!」
 俺はそのワインを飲み込まずに、すのうに送り返してやった。
 互いに開いた口を遮るものはなく、押し込む力が強い方へと流れていく。
「んぶうぅっ! ぶぶっ!」
 すのうはワインの逆流を押さえようと、舌を伸ばして遮ろうとする。
 もちろん、隙間からワインは流れ、それどころか飛び出した舌を俺の舌で捕まえて、噛み付いてやった。
「んんっ! んー!」
 すのうが顔を真っ赤にして唸り声を上げる。狼狽のあまりベッドの上でぴょんぴょん跳ねる始末だ。
「お、オトナの交友です……」
 ただサヨコは、この一連のやり取りに性的なものを感じているらしい。よかったじゃないか。
 くちゅくちゅと、口の中にある液体が音を立てて粘膜を擦る。
「んんんんっ!」
 すのうの口の周りは、既に涎とワインで溢れていた。目を瞑って、必死になって俺の攻撃に耐えている。
 流石にどうしようもなくなって、俺を押さえていたすのうの手が離れた。
 だがそれは、逆に俺が主導権を握るきっかけになる。
「んんっ! むぅうううううううううううううっ!」
 今度は逆に俺がすのうの頭を押さえて、大きく身を寄せて上から口付けをする形にする。
 そうすればもう、すのうが抵抗しようとも自然と液体は上から下へ、すのうの口内へと流れていく。
 目を瞑って耐えていたすのうが、今度は目を見開いて涙目になる。
 大きな瞳には、俺の顔が映っていた。
 しばらくの間、呼吸ができなくなるくらいに押さえ付けてやって、口の中の液体を全部すのうに流し込んでから身体を離してやった。
「ぷっ……あぁっ!」
 すのうはそれだけで力を失い。身体をベッドの上に横たえる。
「悪魔っ……悪魔ぁ!!」
「はは、すのう様は悪魔に堕落させられてしまったようだな」
 せっかくだから俺がすのうのノリに乗っかってやる。
 自分で言うのもなんだが、久しぶりだと言い回しが下手糞になる。
「……ふん、まだ堕ちていないわ。その慢心に首を取られるがいいわ」
 すのうは頬を赤らめて目を逸らす。乗ってくれたのが案外嬉しかったのだろうか。
「じゃ、じゃあわたしと伽を」
「伽?」
「そうよ、もう諦めるから、今日はやりましょう。もう今更な気もするし……」
 雰囲気さえよければ、セックスも仕方ないと。すのうは言う。
 だけど、それじゃあ俺がつまらない。
「サヨコさん」
「ハイ?」
「セックスの経験って、どれくらいありますか?」
「どれくらいと言われましても、まあまあデスネ」
 サヨコは恥ずかしげもなく、自分の経験を披露する。まあ、今までの反応を見るに経験はあるだろうと思った。
 すのうは、ここまで来ても俺の意図が読み取れないらしい。
 だから、こっそりと耳打ちする。
「あの人に見せるのが、普通のセックスじゃ、足りないと思うぞ」
「……あ」
 すのうはそこでやっと、合点がいったらしい。
 エロさが大人っぽさに比例するのなら、普通のセックスでは同程度、むしろすのうの受けるだけのセックスでは、それ以下の結果になる。
 サヨコの口調からすれば、まだ子供の見た目にしては大人っぽいという意味なのだ。
「で、でもそれ以外に」
 すのうはちょっと焦り始めた。ここまでやっても結果が伴わないことに不満があるのだろう。
 だが、すのうは性の技術で言えばマグロに等しい。やれることは限られている。
 俺はそれを見越して、助け舟を出してやるのだ。
「もし、お前にやる気があるんだったら……」
 俺は当初から予定していた提案を、ここですのうに打ち明ける。
 すのうは最初は眉をひそめていたが、だんだんとその全容を理解して、青ざめた。
「いやよ!」
「じゃあどうするんだよ」
「うっ……でも、でもそれは」
「どうか、しまシタ?」
 タイミングよくサヨコが話しかけてくる。
 その瞳は、母性から年下の子を案じるような目だ。尊敬できる大人に対してするようなものではない。
 俺はこの部屋にあったマイクのスイッチを入れて、意地悪くすのうに渡してやる。
「ほら、ちゃんと聞こえるように、な」
「うぅ……ささ、サヨコ! 見ていてください!」
 マイクの大音量が室内に響く。すのうは耳を真っ赤にして、やけくそ気味に叫んだ。
「わ、わたしはこれから、初めてのアナル貫通式を始めます!」
「あ、アナルデスカ!」
 サヨコが驚きに口を大きく開ける。
 催眠で確認も取った。彼女はアナルセックスをしたことはない。
 ならば、この行為はすのうをサヨコ以上の大人へとステップアップさせるセックスになる。
 実は、このために色々と準備をしてきたのだ。
 たとえば浣腸で肛門洗浄したり、行く前に無意識のまま尻穴をほぐしたりもした。
 あのときのイメージを思い起こさせれば、俺のペニスを入れることは可能だろう。
 虚ろな状態のすのうの尻から水が垂れ流しになるのも、それはそれで支配的な優越感があった。
「……あ、あぁ、こんなのっ……!」
 すのうは乗っていたベッドに顔をうずめて、じたばたと暴れ出す。
「すのう」
「……」
 だがしばらくすれば、すのうは動くのをやめて、うつ伏せのままケツだけを持ち上げる。
 俺はすのうのスカートをめくってやり、パンツを脱がす。綺麗で小さい尻が、俺に向かって突き上がっていた。
「ほ、ほんとうにアナル?」
「ほんとうよ……」
 すのうはマイクを口元に置くと、両指で尻肉を左右に広げる。
「すのう、俺に言うことはあるか?」
「あなたね、わかってるわよ……お願いします、わたしの卑しくて汚い尻穴を、悪魔様のち×ぽで塞いでください。そしてどうか、優しくしてください」
「ははっ、そうだな」
 俺は服を脱いで、すのうの上にのしかかる。すのうの後ろ首を右手で押さえ、左指を尻穴にあてがった。
 すのうの尻穴はひくひくと震え、膣よりも抵抗が強い。
 一度ローションを足して、人差し指でピストンしてやる。
「ひゃっ、ひゃ! あ……」
 すのうはくすぐったいというよりも、息苦しそうな声を漏らす。指でこれなのだ。何もしなかったら裂けるかもしれない。
「優しくって! いってるっ!」
「これでも優しい方だ」
 すのうが文句を言うので、もう始めることにする。
 俺はローションを塗ったペニスを左手で握り、小さな菊門に先端をあてがった。
 そこから、ぐいぐいと、穴を広げるようにペニスを入れていく。
「いっぎ! ぎぁっ!」
 すのうが、かすれた声で悲鳴を上げる。尻穴が、限界以上に押し広げられているのが見えた。
 いつもの快楽じゃない、痛みによる声は俺を更に興奮させ、行動的にさせる。
「あ゛ああぁああああ゛っ!」
「す、すごいデス」
 すのうの体が暴れ出そうとするが、俺は後ろ首を強く押さえてそれを許さない。
 流石のサヨコも引いているかと思ったが、その感情がそのまま大人への尊敬になるのか目を輝かせ始めた。
 めきめきと、筋を破って挿入していくような感覚を受けながら、俺のペニスはすのうの尻穴に収まった。
「いい友達を持ったじゃないか」
「い゛っ! あがっ! はっはっ」
 すのうはまるで妊婦のように息を吐き続ける。この痛みを耐えるので必死なのだろう。
 涙を流して呆けさせている姿が、見ていてたまらないほど扇情的だ。
 俺はそのまま腰を引いて、更に腸内を擦ってやる。
「ぁ……ああああっ! がぁ!」
「ほら、サヨコに教えてやれよ、大人のセックスだろ」
「ざ、よ、ゴ……!」
 俺は耳元で呟いてやる。
 すのうは残された理性を必死にかき集めて、隣で俺たちのアナルセックスを見ているサヨコに向き合う。
「ラプラス様」
「こ、これがい゛っ! オどなの……ぜっぐずだから!」
「はいっ! ラプラス様はやっぱり素晴らしいデス!」
「えへへ……げっ! あぁあがああっ!」
「ほんと、そのプライドは尊敬するよ」
 俺はそこから、いつものようにピストンを開始した。
 すのうには暗示でそれなりの快楽を与えているが、まだ痛みしかないだろう。
「はっはぁあっ! い゛っ!」
 腰を引いてやると、すのうは肺から空気を吐き出す。たぶん、排泄するような解放感があるのだろう。
 俺はそこから勢いよくペニスを最奥まで差し込んでやる。
 すのうは歯を食いしばって、シーツを握り締める。
「いぁあっ! あっあっ……」
 そんなときだ。すのうの反応がちょっとだけ変わった。
 どうやら、ペニスが腸を通して子宮の裏側付近を叩いたらしい。
 肛門は元々敏感な部分だ。性感帯としての資質はちゃんとある。
 ここからは少しだけ優しく、ゆっくりと動かしてやる。
「あぁ、ひゃぁぁ……」
「どうした、大丈夫か?」
「……容赦なかった癖に、よくいぅっ! あぁっ!」
 いつも通りの、快楽暗示と繋がってきたのだろう。ちょっとでも気持ちいいと思ったとたんに、反応が一転する。
 予定内ではあったが、
「あっ、ひゃあっ!」
 すのうが背中をえびぞりにして、尻を突き上げ始めたのには微笑んでしまう。
「ケツ穴で快楽を得るのか、俺が想像していた以上の変態だな」
「う、うっさいわね……あぁっ! どうせわたしは尻穴で感じるっ、変態よっ!」
 マイクでその声が大音量で響いてしまう。
 サヨコは、そのすのうの性癖発表に目を輝かせた。
「あっ、ああっ! そこ、そこがっ!」
 すのうはもう恥辱もくそもないのだろう。尻を振って俺のペニスをくわえ込む。ほぐしていたとはいえ、女豹みたいだな。
 子供っぽい体で、臆面もなしに身体を動かすその姿からは、不覚にも大人の魅力を感じる。
 俺も興奮して、すのうを押さえる右手に力を入れる。じたばたと動くすのうの身体を無理矢理に押さえているという高揚感が、ペニスに血を滾らせる。
「いたっ、いたいっ! はぁああっ!」
 すのうはそう言いながら頬を赤らめて、腰をひくつかせる。
 こちらも、そろそろ限界だった。
「ほら、彼女に見てもらうんだろ」
「いぃいっ! サヨコ見てっ! わたし、わたしこんなにいやらしくてっ、お尻がとっても好きな子なの! だからぁ……あ、きゃぁあああああああああああっ!」
 俺は自分勝手なタイミングですのうの腸内に精液を放つ。
 すのうは焼きごてでも当てられたように悲鳴を上げて、身体を震わせる。一度大きく背をそらしてから、ぐったりとベッドの上に倒れた。
「あつ……い」
「抜くぞ」
「あっ――」
 ペニスは萎えたが、カリの部分で引っかかってすのうに最後の刺激を与える。
 すのうはペニスが抜けたとたんに、噴出するような音を鳴らして尻穴から精液を垂れ流す。
 この体勢に慣れてしまったせいか、すのうは尻を上げたままだった。
 俺はそれが面白くて、つい尻を叩いてしまう。
「…………あっ」
 すのうは横たわったまま、すやすやと寝息を立て始めた。よほど疲れたのだろう。今回はただの痛みから快楽と、波が大きかったせいもある。
 首の後ろには、俺が押さえ付けた手の痕がしっかりと残っていた。
「あ、アダルトすぎマス……」
 サヨコは、見たことのないプレイに目を輝かせている。
 どうするか。情報の少ないこいつとセックスをする気はないが、ちょっとは何かさせるか。
「サヨコさん」
「は、ハイ!」
「アナルセックスでペニスが汚れてしまいましてね、洗うの手伝ってもらっていいですか?」
「カ、カマイマセン! 彼氏様!」
 サヨコは何故か俺にまで敬礼する。
 あれか、俺も性的であるから大人な立ち位置になったのかもしれない。
 そんな大人と対面して、怖気づいている感じだ。
「うぅ……」
「すのう、よかったじゃないか」
 次に目を覚ましたときは、生まれ変わったような安らぎが待っているな。
「で、では、洗いましょうネ。バスごー!」
「あ、ああ」
 そうか、洗うとなったら彼女も裸になるのか。
 サヨコを相手にする気はないが、あの身体はそれなりのものだろう。
「……あ、くま」
「そうだな、穴は一応ある」
 まだもうしばらく、すのうには俺の性欲解消に付き合ってもらおう。ぶち込むのはこいつでいい。
 今度はちゃんと膣内で。いや、要望があるのならまた尻でも構わないな。
 とりあえず今日は、俺の善意から、すのうの出会いをとことん有意義にしてやろうじゃないか。

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