疎遠になった幼馴染をセフレにしてみた

【初恋リベンジ編】

著者: 水鏡

本販売日:2024/06/21

電子版配信日:2024/07/05

本定価:924円(税込)

電子版定価:990円(税込)

ISBN:978-4-8296-4735-6

俺の幼馴染で、初恋の相手で、だけど彼氏ありで──
絶対に手に入れられない遠い存在だった佐倉花恋。
いま俺は弱みを握って、彼女をセフレにしている──
恋人との記憶を、セックスの快感で上書きする日々。
暴走する俺の前に、花恋の彼氏の妹・九条水紀が現れ……
eブックスNo.1ハーレム! 文庫版限定書き下ろし収録!

目次

第一話 幼馴染をセフレにしてみた

第二話 幼馴染に窓越しオナニーさせてみた

幕間 佐倉花恋①

第三話 幼馴染をラブホテルに連れ込んでみた

幕間 佐倉花恋②

第四話 幼馴染と一緒に九条妹に会ってみた

第五話 九条妹と早朝ランニングしてみた

幕間 九条水紀①

幕間 佐倉花恋③

第六話 九条妹をラブホテルに連れ込んでみた

幕間 九条水紀②

幕間 佐倉花恋④

第七話 幼馴染と生でセックスしてみた

エピローグ

文庫版限定書き下ろし 幼馴染と九条妹を呼んで3Pしてみた

本編の一部を立読み

第一話 幼馴染をセフレにしてみた

 見慣れた自分の部屋にぴちゃぴちゃと淫らな水音が響いている。
 俺はベッド脇に腰かけ、膝を大きくひらいた体勢で股間から伝わってくる快感を楽しんでいた。
 視線を少し下げると、俺のいきり立ったペニスに懸命に舌を這わせている幼馴染──佐倉花恋の顔が見て取れる。
 率直に言って、佐倉はひどい顔をしていた。
 眉間に刻まれた深いしわ。泣き疲れて腫れぼったくなった目。唇の端から垂れ落ちたよだれ。フェラのために床に両手をつき、舌を伸ばしながらハァハァと荒い息を吐く姿は犬のようだ。
 そんなことを考えながら、俺は無言で佐倉の頭に手を伸ばすと、肩口まで届くミディアムボブの髪に触れた。そして、そのまま指で髪をすいて幼馴染の髪の感触を楽しむ。
 手入れされた髪は絹のようになめらかで触り心地が良かった。それにくわえ、彼氏でもない自分が女の子の髪を好き勝手に触っているというシチュエーションが、俺の中の征服欲を心地よく刺激する。
 自然、股間のモノが硬さを増した。
「い、やぁ……っ」
 肉棒の怒張に気づいたのか、佐倉が泣きそうな顔で悲痛な声をあげる。ただでさえ止まりがちだった舌は、今や完全に動きを止めていた。
 俺は髪を撫でていた右手を止めると、相手の後頭部をぐっとつかんで幼馴染の顔を強引に股間に押しつける。佐倉はくぐもった悲鳴をあげて俺の股間から顔を離そうとするが、もちろん逃がしはしない。
 俺は左手も使って両手で相手の頭を固定すると、さらなる奉仕を要求した。
「早くなめろ」
 それを聞いた佐倉は許しを乞うように上目づかいで俺を見る。
「ねえ、春日くん。もういいでしょ? もう許してよ……」
 涙で濡れたつぶらな瞳が俺を見上げている。
 こうして至近距離で向き合うと、佐倉の長いまつ毛や整った顔立ちがよくわかる。どれだけ顔が嫌悪で歪み、涙で濡れていても──いや、そういう状態だからこそ、余計に容姿の美しさが際立っていた。
 子供の頃から目立つ容姿の持ち主ではあったが、最近はさらにあか抜けた感があり、こんな状況だというのに俺は佐倉の顔から目が離せなかった。
 こんな綺麗な幼馴染に涙ながらに「これ以上ひどいことはしないで」と訴えられて、心が痛まなかったと言えば嘘になる。
 なにしろ俺がやっているのは、相手の弱みを握ってフェラを強要するという議論の余地なきゲス行為。おまけに向こうは俺にとって幼馴染であり、初恋の相手であり、なおかつ彼氏持ちである。その事実にいやおうなしに罪悪感を刺激される。
 黙り込む俺に希望を見て取ったのか、佐倉がさらに言葉を重ねてきた。
「お願い、春日くん。こんなこと、もうやめよ? 今日のことは誰にも言わないから」
 鈴を転がすような澄んだ声。子供の頃はこの声で「真くん」と自分の名を呼ばれるのが好きだった。
 しかし、三年前に佐倉に彼氏ができたことで、俺への呼びかけは「真くん」から「春日くん」に変わってしまう。代わりに「真くん」と呼ばれるようになったのは佐倉の彼氏、九条真だった。
 そう。何の因果か、俺と佐倉の彼氏は同名だったのである。
 佐倉が自分以外の男子と付き合いはじめたこと、そして子供の頃から続いていた俺への呼び方をあっさり変えてしまったこと。
 当時の俺はこの出来事に打ちのめされた。幼馴染という関係性に特別なものを見出していたのは自分だけであり、佐倉にとって俺は「家が隣同士の同級生」くらいの認識しかなかったのだ。
 そのことをこれ以上ないくらいはっきりと突きつけられた出来事を思い出した途端、俺の中にわだかまっていた佐倉への罪悪感が嘘のようにかき消えていく。
 俺と佐倉は家が隣同士の同級生というだけの関係だ。そして、俺は隣家の彼氏持ちの同級生の弱みを握ってセフレにしようとしているクズである。
 あらためて自分の心にその事実を刻み込んだ俺は、佐倉を見て小ばかにするように笑った。
 そして、ベッドシーツの上に置いておいたスマホを手に取って、今から二時間ほど前に撮影した動画を再生する。
 スマホの画面に映し出されたのはサッカー部の部室だった。ときおり部員たちのかけ声が聞こえてくることから、部活の最中に撮られたものだとわかる。
 ややあって画面の向こうから聞きおぼえのある女子の声が聞こえてきた。
『ねえ、真くん、また部室でするの? 皆に見つかっちゃったら……』
 ささやくような声音は雑音にまぎれて聞き取りにくかったが、画面にははっきりジャージ姿の佐倉が映し出されている。
 しばらくすると、別の男子の声がスマホから聞こえてきた。
『大丈夫さ。これまでだって見つかったことないだろ? だから、ほら、花恋』
 声と共に画面にあらわれたのは、サッカー部の二年生エースにして佐倉の彼氏である九条真だった。
 少し遅れてためらいがちな佐倉の声が響く。
『でも、皆に悪いよ。せめて部活が終わってからにしよ?』
『なあに、マッサージみたいなものだよ。選手の疲れを癒すのもマネージャーの仕事さ。だから……な、花恋、いいだろ?』
 急かすように自分の名前を呼ぶ九条に対し、画面の向こうの佐倉はわずかにためらう様子を見せたが、すぐに意を決したようにジャージのファスナーを下ろすと、ジャージの下の体操服の裾をつかんでぐっと首元までたくし上げた。
 すると、それまで服地に押さえつけられていた豊満なバストが弾むようにまろび出て、ペールピンクの上品なブラジャーが外気にさらされる。
 グラビア雑誌の表紙を飾ってもおかしくない佐倉の巨乳は男子たちの注目の的だった。彼氏としてその胸を好きにできる九条をねたむ者は掃いて捨てるほどいる。
 かくいう俺もそのひとりだった──つい先ほどまでは。
 しかし、今は違う。ネットでこの動画を拡散させれば、佐倉の学園生活が波乱に満ちたものになることは間違いない。サッカーで卒業後のプロ入りを噂される九条にとっても無視できない醜聞になるだろう。
 佐倉にしてみれば、自分のためにも、彼氏のためにも決して外に出せない動画だ。必然的に、佐倉はこの動画を所有している俺に逆らうことができない。
 画面の向こうでは九条がサッカー部のユニフォームを脱ぎ捨て、さらに下着も脱ごうとしている。このまま動画を見続けていくと、九条が佐倉にパイズリをしてもらうシーンが見られる。なんなら、パイズリ後に九条が花恋の胸や顔に精液をかけているシーンも見ることができるのだが、俺はここで動画をストップさせた。
 佐倉にはすでに動画を見せている。あらためて最後まで見せなくても、俺の言わんとすることは伝わっているだろう。
 俺は黙り込む幼馴染に嘲笑を叩きつけた。
「『今日のことは誰にも言わないから』? なあ、どのつらさげて言ってるんだ、マネージャー?」
「それ、は……」
「『こんなこと、もうやめよ』? 皆が練習してる最中に部室でおっぱい丸出しにして、男のチ×ポこすってる奴に言われたくねえよ。しかも、お前たちの会話からしてこれが初めてってわけじゃないんだろ? このことを他の部員たちが知ったらどうなるかなあ?」
 ネチネチと言葉で責め立てる俺に対し、佐倉は唇を噛みしめてうつむくばかり。
 俺はニィと唇の端を吊りあげて今後起こり得る事態を予測してみせた。
「まず九条は副キャプテンを剥奪されるな。それにレギュラーからも外される。インターハイ予選が始まっているこの時期に、練習さぼって部室でマネージャーにパイズリさせてるようなクソ野郎を、監督や他の部員たちが受けいれるわけがない」
 佐倉がいやいやと首を振って聞きたくないと訴えるが、俺はかまわず言葉を重ねる。
「もちろん部内だけでなく、外にも拡散させるからそのつもりでな。そうだ、教育委員会にも個別で送っておこう。サッカー部は騒ぎの責任をとって活動自粛。夏のインターハイはもちろん、冬の選手権も危ないな。三年の先輩はお前らのせいで事実上の引退だ。一、二年にしても大事な一年間を棒に振ることになる。何も悪いことをしてないのにひどい話だよ」
 それを聞いた佐倉は力なく肩を落として言った。
「わかったから……それ以上、言わないで……」
「いいや、言うね。九条もお前も退部、いや、退学かな? まあお前たちに関しては自業自得だが、かわいそうなのはお前らの両親だ。息子や娘にどういう教育をしたんだって、世間や会社から白い目で見られて針のむしろだろうな。へたをすれば親の退職、引っ越しもセットで付いてくるかもしれない」
 しつこく責め立ててやると、佐倉が耐えかねたように押し殺した声で泣きはじめた。
 そんな幼馴染を見ていると、興奮でぞくぞくと肌があわ立つのを感じる。女の子を泣かせて喜ぶような性癖が自分にあるとは思わなかった。いや「女の子」ではなく「佐倉花恋」を泣かせたからこそ、俺はここまで高ぶっているのだろうか。
 むき出しのペニスの先端からカウパー汁が垂れ落ちていくのを感じた俺は、青い顔をしている佐倉に向けて右手を伸ばした。
 下着をさらしていた動画と違い、今の佐倉はまだ学校指定のブレザーを着たままだったが、俺はかまわずブレザーごと幼馴染の胸をつかんだ。柔らかく、それでいて張りのある感触が手のひらから伝わってきて、我知らず鼻息が荒くなる。
 胸をつかまれた佐倉はハッと顔をあげて俺を睨んできたが、俺が睨み返すとひるんだように視線をそらした。
 相手の抵抗がなくなったのをいいことに、俺は右手だけでなく左手も使って二つの乳房を揉みしだき、かつて味わったことのない感触を存分に堪能する。
 そして、その体勢のまま先刻のフェラよりも一段上の要求を佐倉に突きつけた。
「今回のことを黙っていてほしければ俺のセフレになれ。そうしたら動画を消してやる」
「せふ、れ……?」
「セックスフレンド。ようするに俺とセックスしろってことだ。九条との付き合いに口は出さないから、俺が呼んだらすぐに来て相手をしろ」
 それを聞いた佐倉はしばし呆然とした後、俺の目的を理解して嫌悪で顔を歪めた。
「そ、そんなことできるわけないでしょう!?」
「なるほど。断る、ということだな」
「当たり前です!」
 拒絶の意思を示す佐倉に対し、俺は薄笑いを浮かべながら胸を揉んでいた手を引っ込めた。
「……え?」
 予想外だったのか、思わずという感じで佐倉が驚きの声をあげる。
 俺はそれにかまわずに立ち上がると、脱いでいたトランクスと制服のズボンを穿き直した。勃起していたモノをしまいこむ際に少し手間取ったが、力ずくで中に押し込んで事なきを得る。
 俺が服を着たことで凌辱を回避できたと思ったのか、佐倉が小さく安堵の息を吐くのがわかった。
 そんな佐倉に俺は優しく語りかける。
「嫌なら嫌でいいさ。セフレにならないならさっさと帰ってくれ」
 そう言ってスマホを手に取った俺は、無言でサッカー部のグループチャットを起動させた。
 もちろん九条たちの淫行を暴露してパイズリ動画を共有するためだ。佐倉がセフレにならないのなら俺が黙っていてやる義理はない。
 声に出してそう言ったわけではなかったが、佐倉はスマホを操作しはじめた俺を見て、こちらの思惑を察したようだった。あわてて立ち上がると、スマホを持つ俺の手にしがみついてくる。
「やめて、お願い!」
「うるさい。邪魔だ」
 しがみついてくる佐倉を強引に引き剥がすと、そのまま操作を続行する。
 佐倉は救いを求めるように左右を見回すが、当然のようにこの部屋には俺たち以外の人間はいない。両親が帰ってくるのは夜九時過ぎなので、まだ当分はふたりきりの状況が続く。
 万事休した佐倉は、がくりと肩を落とすと消え入りそうな声で言った。
「……わ、わかりました」
「何がわかったんだ?」
「だから、私は……その、春日くんの、せふれ、に……なり、ます」
 のろのろとした口調で、何度も途中で言葉を止めながら、それでも佐倉はセフレになると言い切った。
 俺にとっては望んでいた一言だったが、時間をおけばまたグズグズ言い出すのは目に見えている。今日という日を決定的なものにしたかった俺は、もう一押しを試みることにした。
「足りないな」
「足りない……?」
「俺の前で両膝をついて、どうかセフレにしてくださいと頭を下げろ。そうすれば、セフレになるって言葉が口先だけのものじゃないと認めてやる」
 暗に土下座しろと要求すると、佐倉は信じられないと言わんばかりに目を大きく見開いた。
 泣き濡れた瞳がみるみるうちに吊りあがり、睨むように俺を見据える。どうやら怒りが一時的に恐怖を吹き飛ばしたらしく、次に発した佐倉の声に震えはなかった。
「そんなこと、できるわけないでしょう! ふざけたことを言わないでっ!」
「本当にセフレになるつもりがあるなら、頭を下げるなんて大したことじゃないだろう?」
「それとこれとは話が違います! そもそも──」
 何やらまくし立てようとする佐倉に対し、俺は冷たい表情で告げた。
「お前と議論する気はない。嫌なら出て行け。それだけだ」
 あらためて佐倉に決断を突きつける。だが、やはりというべきか、佐倉は動かない。今しがたの怒りは一時的な効果しかなかったようで、佐倉は涙目で俺を見やると、がくがく震える自分の身体を両手で抱きしめるばかりだった。
 そうしていればそのうち時間切れになって、俺が諦めるとでも思っているのかもしれない。
 もちろん、そんな逃避を許すつもりはない。俺がこれみよがしにスマホをイジり出すと、佐倉はようやく観念したようだった。
 のろのろと俺の前で両膝をつくと、ひっくひっくとしゃくり上げながら切れ切れに言葉を発する。
「ど、どうか、私を……春日くん、の……せ、せふれに、してください……この、とおり、です」
 言い終えると、佐倉は何かをこらえるように震えながら頭を下げ、床の絨毯に額を触れさせた。
 あの佐倉が俺に土下座してセフレにしてほしいと懇願している。
 もちろんそれは俺が強要したことであって、佐倉が本心から望んでやったことではない。
 それでも俺の中に湧きあがった興奮は生まれて初めてと断言できるくらい強烈なものだった。嗜虐心と征服欲が溶け合い、脳が震えるほどの快感を生み出している。
 正直、こうして佐倉の土下座姿を見下ろしているだけで射精してしまいそうである。全身を駆けめぐる快感はそれほどまでに暴力的だった。
 このまましばらく佐倉のみじめな姿を鑑賞していたかったが、何事にも潮時というものがある。俺は声が震えないよう注意しながら口を開いた。
「そこまで頼まれたなら仕方ない。お前をセフレにしてやるよ、佐倉──いや、花恋」
「……あ、ありがとう、ございます」
 蚊の鳴くような声で花恋が礼を述べてくる。
 俺はくつくつと喉を震わせて笑った。今の自分の顔を鏡で見たら、さぞ醜悪な笑顔が映し出されるに違いない。そんな確信をおぼえながら俺は時刻を確認する。
 部屋の時計の針は夜の八時を指していた。前述したように俺の両親の帰宅は九時過ぎなので、まだ一時間ほど余裕があるが、ふたりが九時前に帰ってくる可能性もないわけではない。
 今からセックスを始めるのは様々な意味で危険だった。
 それに、今も静かに嗚咽を漏らしている花恋を見ていると、これ以上追いつめるのはやめた方がいい気がする。悲嘆のあまり自殺でもされたら大変だ。
「さて」
 俺が口を開くと、花恋がびくりと肩を震わせ、恐怖にまみれた目で俺を見た。これからセックスの相手をさせられる、と思い込んでいるのだろう。
 俺は軽く肩をすくめて相手の予想を否定してやった。
「心配するな。今日はもう何もしない」
「……本当、ですか?」
「本当だ」
 短く応じると、花恋は露骨に安堵の表情を浮かべた。そんな顔をすれば、俺が機嫌を損ねて前言をひるがえす可能性もあるのだが、今の花恋にそこまで想像をはたらかせる余裕はないようだ。
 当然と言えば当然だが、精神的にそうとう参っているのだろう。
 実を言うと、精神的に消耗しているのは俺も同じだった。なんといっても、今日の出来事は俺にとっても予想外のことだったのである。
 と言っても、九条と花恋がパイズリしていたのが予想外だったのではない。前々から部活の最中にふたりの姿が不自然に消えるタイミングがあったので、他の部員に隠れてエロいことをしているに違いないと思っていた。
 だから、予想外だったのはそこではない。俺にとって予想外だったのは、動画を確認してふたりの弱みを握ったと確信した瞬間、腹の底から湧きあがってきた凶暴な衝動だった。
 当初、俺はふたりの淫行の証拠を握ったら「真面目にやっている他の部員に失礼だろう!」と説教してやるつもりだった。俺は九条と同じ年齢でありながら、部活でも学業でも恋愛でもまったくかなわない。そんな相手の弱みを握ってマウントをとってやれば、さぞすっきりするに違いない。
 それに、動画という弱みを握れば九条と花恋に対して今後も精神的優位に立てる。廊下や部活で仲良く話すふたりの姿を見かけるたびに、胸をかきむしりたくなるような思いをしなくて済むはずだ──俺はそう考えていた。それで満足するつもりだったのである。
 だが、スマホにおさめられた動画を見た瞬間から今に至るまで、俺はそれまでの計画など放り捨てて花恋をセフレにするために行動してきた。
 白状すると、ほとんど思いつきと勢いの産物であり、ここらで一息いれてじっくりと先の計画を練る必要がある。
 そんなわけで、今日はこれ以上何もしないのは確定だった。
 ただ、このまま花恋を帰宅させるのも芸がないと考えた俺は、目の前にいる幼馴染に明日の予定を告げた。
「そのかわり、明日の朝になったら俺の家に来い。タイミングはスマホで知らせる」
 その言葉を聞いた花恋は明らかに嫌そうな顔をしたが、断れる立場でないことは理解しているのだろう、嫌だとは言わなかった。へたに断ればこの場で犯されるかもしれない、という恐怖もあったと思われる。
 結局、花恋にできたのは、のろのろとした動作で「わかりました」とうなずくことだけであった。

続きを読む

本の購入

定価:924円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

電子版の購入

定価:990円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

電子版の購入

定価:990円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

本の購入

定価:924円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます