僕の幼馴染の佐保は「今年の夏は最高の夏休みにしたい」と言う。
普段は無口だけど、恋人になってからはエッチなことに興味津々。
おうちでもキャンプ場でもハメ撮りする間に深まる佐保への愛情。
プロポーズする決意を胸に夏祭りに誘い、花火に照らされた佐保を抱き寄せ、愛の言葉を囁き、誓いの指輪を贈る……
想いが高まった二人は勢い野外で記念のハメ撮りへ。特別番外編付き!
1 夏休みのある日のこと
2 エアコンの付いていない部屋で
3 汗だくセックス
4 水風呂での決意
5 デートに行こう
6 スク水ローションプレイ
7 スク水シャワープレイ
8 スク水で後背位
9 感想戦と今後の計画
10 キャンプに行こう!
11 キャンプの夜
12 テントの中でフェラチオ
13 テントの中でセックス
14 楽しかったキャンプ
15 夏祭りに行こう
16 花火、佐保、プロポーズ
17 プロポーズのあとで、ハメ撮りがしたい
18 外で浴衣をはだけて愛撫を
19 フェラチオからの片足上げ対面立位
20 夏祭りからの帰り道
番外編 庭にビニールプールを出して、青空の下でセックス
本編の一部を立読み
1 夏休みのある日のこと
「んー……」と雪村佐保《ゆきむらさほ》が部屋の床に敷いたラグの上で唸っている。
客観的に見ると丸い眼鏡を掛けた美少女が、彼女の部屋のラグに体育座りをして本を読みながら唸っている状況だ。
夏休みも半ばに差し掛かったとある平日、僕たちは佐保の部屋でのんびりと夏休みの宿題をこなしながら過ごしていた。
といっても佐保の宿題の方は早々にこなしてしまったのか、もうほとんど終わっているらしい。だから実質的には宿題をこなす僕と、ぼんやりと現代文の参考図書を佐保、という感じになっていたわけであるけれども。
「佐保、急に唸ってどうかしたの……?」
「んー……」
僕がそう尋ねると、佐保はまた間延びした声で返事をした。そして眺めていた参考図書に栞を挟んでから顔だけを上げてこちらをジッと見た。その表情から感情は読み取れない。もともと無表情な子なのだ。
彼女は今日、ノースリーブの白いワンピースを着用していた。やや前屈みの体勢になっていたから胸元がゆるく見えていて、その奥にある彼女の胸の膨らみが襟元から透けて見えていた。
白いブラジャーが佐保の胸を覆っている。
いや、ブラだけではなく、そのさらに奥にある彼女のお腹までもが見えていて、僕はそれとなく視線を外した。佐保の胸くらいは何度も見たことがある──というか、僕たちは何度となくハメ撮りを繰り返してきた仲ではある。けれども、それでもなんだか少し顔が赤くなるのを感じた。
やや天然ではあるけれど、どちらかというと佐保はキッチリとした性格だ。そんな彼女の服がゆるくて胸元がこんなにも見えていることは珍しい。
「……光儀《みつぎ》? ……──ッ」
赤くなった僕を不思議そうに眺めていた佐保は、自分の胸元がゆるいことに気が付いてパタッとワンピースの胸元を押さえた。
かあぁ……と赤くなっている。照れているらしい。彼女の丸い眼鏡の奥の大きな瞳が泳ぐのが見えた。
「……ごめんなさい、へんなものを見せてしまった」
「えっ、いや、こちらこそ眼福──じゃなくて」と僕は慌てて首を振って「佐保がそんなに気を抜いているのって、珍しいね」と話を改めた。
「……ん」と佐保は赤い顔のまま自分のワンピースの肩紐を直し、それから立ち上がって窓のところまで歩いていった。
窓には風鈴がつり下がっている。といっても窓は閉め切っていて空調はエアコン任せだから鳴ることはほとんどない。佐保はそれを指で押してチリンと音を立て、窓を開けて外を見た。
外は、真夏だ。
だから窓を開けた瞬間にセミ時雨が飛び込んできて、それから熱気がむわっと侵入してくる。その熱気で今度は本当に風鈴がチリンと鳴った。暑いな、と僕は思った。
それから佐保は窓を開けたまま真面目な顔でこちらを向いた。
「気が抜けている」
前置きもなく、唐突なセリフだった。いや、佐保が急に話し始めるのはいつものことであるけれど。
でも僕たちは三歳からの幼馴染であるし、正直言って慣れている。だから僕はテーブルの上の麦茶を少しだけ飲んで、それから佐保に向き直った。
「え、なにが……? 佐保の胸元がゆるかった話?」
「いえ……それもある、あるけれど……」
むむむ、という表情を作って佐保は俯き、それから眼鏡をキラーンと光らせながら顔を上げた。コミカルな表情である。
「夏休みだから、わたしたちは気を抜きすぎている。だらけすぎ」
「え、そうかな? 僕は充実している気がしているけど」
「充実はしている。週に三回図書館に行って、あなたと宿題をやって、ときどきはハメ撮りをして……」
「ハメ──ッ、まあ、そうだけど……」
「でも、夏らしいことをしていない」
「夏らしいこと……」
そう呟きながら佐保の方を見ると、彼女の後ろでチリンと風鈴が鳴った。
夏らしいことか、と思う。確かに今は夏休みで、学校が休みだから僕たちはのんびりと過ごしている。規則正しい生活のリズムを保つのが難しいところはあるけれど平穏な生活だ。
けれども『夏らしいこと』をしているか、と問われたら確かにしていない。
というか僕は自宅か隣の佐保の家かコンビニエンスストアくらいにしか行かないし、佐保だってそれに週三回の図書館が追加される程度だろう。基本的に僕たちは出不精なのだ。
「でもさ、佐保、夏らしいことって何だろう」
「んー……」
「海に行ったり、山に行ったり、花火をしたり……そういうの?」
「そう。あとは夏祭りを見物したり、花火を打ち上げたり、麦茶ックスをしたり……そういうの」
「佐保、麦茶ックスって、なに……?」
「──あっ」と佐保は呟いてそれから『しまった』という顔をした。
さりげなく彼女の目が泳いで窓の外を見た。夏空を見上げて、それから庭の方を眺めている。あからさまな態度である。
麦茶ックスって、何だろう。絶対にろくでもないことだな、という確信はあるけれども。
だから僕は目を泳がす佐保の方をじぃーっと見つめて彼女の返事を待つ。
「ううう……」と佐保は唸った。
それから彼女はゆっくりと窓を閉めて、照れくさそうにこちらを見た。
「夏の風物詩、麦茶ックス……夏の暑い中でエアコンも付けずに汗だくでセックスをするふたり……結露で汗をかいている麦茶のコップの中で氷が溶けてカリッと音がする……そういうの」
「な、なるほど……?」
「夏の定番、です」
「なるほど……」
それを夏の定番だと言い切った佐保は棒立ちを状態のまま、ふんすと息を吐いた。ちょっとヤケになっているような感じで、可愛かった。
思えば佐保は文学少女というかあらゆる物語を摂取している傾向がある。それでどこからか『麦茶ックス』の情報も仕入れてきて、密かに憧れていたのだろう。
まあ確かにそれは夏しかできないといえば夏しかできないだろう。とはいえ夏は暑すぎて、クーラーを切ってセックスをしたら死ぬような気もしないでもないけれども。
「今の時期にやったら、危なくない?」
「危ないという説もある。だから熱中症対策を万全にして、避難用にクーラーのきいた部屋に逃げ込める準備をして、経口補水液や塩飴なども用意して、体を冷やすための水風呂なんかもあれば効果的で……」
「あ、本気で麦茶ックスする気なんだ? 佐保的にはもう準備万端と見た」
ほんの少しからかうようにして佐保を見上げると、彼女は「うぐ……」と唸った。図星であるらしい。
「だって、最高の夏にしたい」
「それはそうだね、佐保。それはそうだよ」
「むー……あなたは、なんだか余裕そう。やる気あんのかこらー」
ぷんぷん、と擬音が聞こえるような顔で佐保はグーにした両手を自分の頭の横に持ち上げた。怒ってますよ、のポーズである。
佐保がこういうコミカルな動きをすること自体がリラックスしている証拠であるので、僕は笑ってうんうんと頷く。僕の前でもずいぶんと気を抜いてくれるようになったものだ。まあ、夏の開放感みたいなものがそうさせているのかもしれないけれど。
そんな風に思っていると、いきなり佐保が自分のワンピースの裾を掴んだ。
あっという間に彼女はそれをたくし上げてしまう。
白。
「──ッ」と思わず息を飲んだ。
佐保がワンピースのスカート部分をたくし上げたので、彼女のショーツが丸見えになったのだ。
彼女のショーツは白かった。素材は綿とポリエステルだろうか。フロント部分にはオレンジ色の糸で花と蔦の柄が刺繍されていて、清楚で可愛らしい印象だ。その刺繍がクロッチの近くまで続いている。
股間部分には、当たり前だけれどペニスは生えていない。だからのっぺりとした印象で、恥骨の分だけ盛り上がっている何もない恥丘が広がっているのが布越しに見える。
といっても布面積そのものはそこまで広くない。股上が浅くて、彼女のヘソ下やそけい部、それに腰部にある骨盤の出っ張りは丸見えになっている。足の付け根も布に覆われているわけではないから彼女の滑らかな肌が見えていた。
総じて、佐保のショーツだった。
「な、な、なんで佐保はスカートをたくし上げているんでしょうか……」
「……どうして、敬語?」
「いやそれは別になんとなくといいますか」
「んー……」
僕がうろたえているのを見て、佐保はクスッと笑った。どうやら自分のペースに話をもっていきたかったらしい。スカートをたくし上げたまま、どや顔をしているように見える。
といってもその顔はスッと朱を差したように赤くなっていて、下着を見せつけることに対する羞恥心がないわけではないようだ。
けれどもそんな表情をしている佐保はやはり美少女だった。
客観的に見れば清楚なワンピースを着用した子が自らスカートをたくし上げてショーツを見せてきているのだから、こちらとしても感じるものがないわけではない。
というか、えっちである。佐保のショーツ越しに見えている秘部を眺めて、それから彼女の赤くなった顔を見つめて、僕は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
「……したくなった?」
「な、なにを?」
「麦茶ックス」
「う……それは、そうだけど」
「んふー……」
素直に僕がそう言うと、彼女は満足そうに自分のスカートの裾から手を離した。
ふわっと彼女のスカートが一瞬だけ舞って、そのまま彼女のふとももの方へと戻っていく。そうして二秒後には元の白いワンピースを着ている佐保に戻った。今はもう彼女の膝小僧くらいしか見えない。
半ば呆然とその様子を眺めていた僕に、佐保はスッと手を差し伸べてきた。
「……いこ」
「い、行くって、どこに。こんな時間から外に出たら、真夏だよ」
「それはそう。外には行かない。行くのは、うちの一階。和室」
「和室……?」
「……ん、和室で汗だく麦茶ックスをします」
「な、なるほど……」
シンプルにそう言われてしまっては、返す言葉もない。
だって僕も佐保とそういうことがしたくないと言ったら嘘になるのだ。というか最初から、佐保の部屋に上がり込んだときからそういう気持ちがなかったわけではないのだから。
まあそのせいで僕は勉強に集中できなくて、それで佐保よりも宿題の進みがぜんぜん遅いということになっていたわけであるし。
それはともかくとして。
「えっと、じゃあ、行こうか……」
だから僕はそう言って、差し伸べられた佐保の手を掴んだ。
彼女の指先はエアコンのきいた部屋に居たせいで冷えていたけれど、これからすぐに熱くなるだろうということは予想がつく。
なぜならこれから僕たちはエアコンのきいていない和室でハメ撮りをするのだから。
2 クーラーの付いていない部屋で
佐保の家の一階にある和室は、暑かった。
ごく一般的な家庭に一部屋だけあるような、ごく一般的な和室だ。四畳半ほどの狭い部屋である。明らかに和風なデザインのタンスと、丸いちゃぶ台、それから小さな鏡台だけがこの部屋の家具らしい家具だった。
他には何もない──いや、正確には今はハメ撮り用のセットとして三台のビデオカメラが部屋の中心に向けて立っているけれど、それを除けば、ここはただの畳敷きの和室である。
一階の一番奥に位置するこの部屋は日頃はほとんど使っていないらしい。三歳の頃から隣に住んでいる僕でさえも初めて入ったくらいだ。
使用頻度が低いせいかエアコンもついていなくて、佐保の部屋から持ってきた扇風機が唯一の空調器具だ。それは頑張って風を送ってくれていたけれど、この部屋の暑さを解消するには至っていない。窓も全開にしているけれど、外からの風も生ぬるい。軒下に吊された風鈴が時折チリンと音を立てていた。
音はその風鈴の音と、扇風機が回る音、それから窓の向こうから聞こえてくるセミ時雨くらいのものだ。他の音は特になくて、かえって静かに感じるほどである。まあ佐保のご両親は外出中でこの家には僕と佐保くらいしか居ないから当然と言えば当然なのだけれども。
「サウナほどではないけど、暑いな……」
畳の上に僕はぼんやりと横になった。佐保から『ムードが大事だから、麦茶を入れてくる。お部屋で待っていて』と言われたので、今は待機時間なのだ。クーラーのきいた佐保の部屋で待ってもよかったのだけれど、ムード作りのために和室で待つことにしたのだ。つまり少しは汗をかこうと思ったということ。
横になったまま天井を見ると蛍光灯がつり下がっているのが見えた。やや古風な、紐を引っ張って電気を付けたり消したりするタイプの蛍光灯だ。シャドーボクシングをするのにちょうどいいやつ。
そのまま窓の方へ寝返りを打つと、窓の向こうに庭が見えた。といってもそう広い庭ではない。すぐ奥に垣根があって、その奥はもう隣家の庭だ。
隣家というのはもちろん僕の住んでいる家で、目線を上げればちょうど僕の部屋も見えている。お隣さんなのだ。といってもお互いの家の庭を挟んでいるから手を伸ばせば届くほど近いというほどではないけれど。
横になった背中をつぅー……と汗が伝うのを感じた。
「あつい……?」
「──うわっ」
後ろからいきなり声を掛けられて、びっくりして振り返るとそこに佐保がいた。丸いお盆に麦茶のボトルと氷の入ったガラスのコップを乗せている。
僕がぼんやりと横になっていたのを見た彼女はクスッと笑って「思ったよりも暑くない……気がする」と呟いた。
「そうだね、想像よりは暑くなかったよ。いや、汗はかくけどね」
「この部屋は西向きだから夕方になると西日で暑くなる。けれど今はまだお昼前だからセーフ、なのかもしれない」
「なるほどね」
そんな会話をしながら佐保はコップに麦茶を注いで「ウェルカムドリンク」とか言いながらこちらに差し出した。
「それ違くない?」と言いながら受け取った麦茶はよく冷えていて美味しかった。
「それはそう」
言いながら佐保は僕の隣にすとんと腰掛け、こちらに肩を寄せてきた。
佐保の体温、というか熱気を感じる。
ビデオカメラをこの部屋でセッティングしたり麦茶を用意したりする段階で既に体は温まっているらしい。ウォーミングアップは完了しているということだろうか。
そんなことを思いながら彼女の肩を抱く。すると佐保は「んー……♡」と喉を鳴らし、それからするりと僕の腕に自分の腕を絡めてきた。
「……やる?」
「あはは、シンプルな言い方だね」
「それはそう。シンプルな方が機能美があるという考え方もある」
「なるほどね……? じゃあ、しよっか」
「……ん。暑さが深刻になったら倒れる前に避難をして」
「オーケー、佐保は大丈夫?」
「胸元に汗をかいている、かも」
「うん、そっか。触るね」
そんな会話をしながら僕はちゃぶ台の上に麦茶のコップを戻し、そっと佐保の白いワンピースにそっと手を伸ばした。
カリン、とコップの中で氷が音を立てるのが聞こえた。
◇◇◇
するりと佐保のワンピースを脱がせると、白い滑らかな肌が現れた。白いブラジャーとショーツだけを身につけた艶めかしい肢体だ。
肌には既に僅かに汗をかいていて、けれども汗らしい香りはほとんどしていない。むしろ霧吹きで真水を吹きかけたような感じだった。
「あなたも、脱いで……」
下着姿になった佐保がそう言うので僕もまたシャツを脱ぎ、ズボンも脱ぎ捨てた。ビデオカメラに映らない位置にそれをそっと投げ、また佐保と向き合う。
するとちょうど佐保がこちらに向かって抱きついてきているところだった。
「──あっ」と声を出しながら佐保を抱き留めながら床に倒れる。とさっと音を立てて床に横になると、肌に畳の感触があった。
「ちょっと、佐保、強引だよ……」
「……ん」
そう言いながら目の前の佐保の体をするりと撫でる。二の腕、肩、腋から脇腹、そして腹部。脂肪分の多いところは少し冷えていて、けれども少し湿っている。
佐保の側も僕の体の輪郭を確かめるみたいに肌を撫でてきていて、その手のひらが通過したところがじんわりと熱くなる。
彼女は、いつもよりも少し積極的だ。
いつもは口で『……がしたい』と言い出すか、黙って誘って無言でこちらの手を受け入れることが多い子なのだけれど、今日は自分から体を重ねにきている。触れてくる手が止まらない。
するり、するりとこちらの胸板を撫で、鎖骨のあたりに唇をつけ、小さく出した舌で喉の方までをチロチロと舐め上げてくる。
「う……もしかして佐保、ムラムラしてた?」
「……む」
「それでこんなに積極的なんだ?」
「……ん」
尋ねながら、こちらの喉頸あたりに顔を埋めている佐保を抱き寄せた。
彼女の後頭部をするりと撫で、首筋、背中と手を滑らせる。脊椎の出っ張りをひとつひとつ撫でながら背中をなぞり、ブラジャーのホックに手が行き当たる。
片手でどうにかそれを外す。
すると佐保が「……っ♡」と小さく息を飲んで身じろぎをした。そしてやや身を起こしながら下着越しに僕のモノを握ってくる。
「──ッ」と今度は僕が息を飲む番だった。
「かちかち……勃起している」
「そりゃあ、そうだよ。佐保とくっついているんだから」
「脱がせても?」
「もちろん」
こちらが許可を出すと、佐保はホックの外れた自分のブラジャーを外し、それから白いショーツもするりと脱いだ。ぬるぅ……♡とクロッチから秘部が剥がれる際に愛液の糸が引いたのが見えたけれど、僕はそれをそっと無視する。
続いて佐保は僕の下着のゴムに手を伸ばし、それを下ろした。
その瞬間にピンッと僕のモノが飛び出してくる。ソレは天を衝かんばかりに勃起していて、佐保はそれを見て「わ……」と声を出した。
「見たところ、あなたの方がむらむらしてる」
「うーん、そうかな? そうかも」
「……ん」
お互いに下着を脱ぎ捨てて裸になって、そのままふたりで再び畳に倒れ込んだ。
今度は肌をすり寄せるように密着する。腕と腕、胸板と乳房、腹と腹の肌がぴったりと触れあう。先ほどまでより少し汗をかいていて、僅かに滑る。それでも汗ばんだ裸の肌同士を擦りあわせていく。
それだけでピリピリとした甘い感触があった。裸で肌と肌を触れあわせるだけでも気持ちがいいのだ。
チリンと風鈴の音が聞こえた。夏である。
「暑いね、佐保」
「あなたの体も、熱い」
「窓が開いているから大きな声で喋ると外に聞こえるかも」
「家の前はほとんど誰も通らないはず……でも、あなたの家には届くかもしれない」
「うちには今は誰も居ないよ。でも、声はひそひそで」
「……御意」
などと言いながら、しかし僕たちはもう止まるすべを見失っていた。
寝転んだまま彼女の体をかき抱き、背中から腰骨、そして尻へと手を伸ばす。
佐保の臀部は汗ばんでいて、けれども冷えていた。お尻というのは体の中でもトップクラスに脂肪が多い箇所だからだ。といっても佐保は痩せ型であるから、それほど肉が多いわけではないけれども。
ともかく彼女の左右の尻タブを両手の手のひらで覆って、それを左右に開いたり閉じたりしながら揉んでみる。
「……んぅ♡ なんだか、手つきが……♡」
などと佐保は小さな声で呟きながらこちらのモノに手を伸ばしてくる。
根元から裏筋を指先で撫で上げ、そのまま先端へ。先端を手のひらで覆ってすりすり、すりすり、と。
「う、く……ッ」と思わず声が漏れた。
亀頭というのは敏感だ。特に佐保は僕の触れ方を心得ていて、だから的確な圧力でそこを撫でてくるのだ。
しかも同時に佐保は僕の喉あたりに舌を寄せていて、喉仏を舌先でちろちろとなぞっている。それもこちらの顔を見上げながら。
「さ、佐保、それ……」
「んー……?」
大きな声で話すと外に聞こえてしまうよ、と言わんばかりの目線で佐保がアイコンタクトを取ってくる。けれども彼女は手を止める気はないらしく、こちらの目を見たままするり、するりと亀頭を撫でている。
それからさらに佐保は僕のモノをそっと握ってシコシコと扱き始めた。下から上に、まるで搾るような手つきである。
「……っあ……く」
「ふふ、これすき? お顔が気持ちよさそ」
「ううぅ……ぼ、僕だって……」
向かい合って横になったまま、僕は前から彼女の秘部に手を伸ばした。内ももの筋をなぞって、開いてきた隙間から秘部の割れ目をそっとなぞったのである。
「──っあ♡」と佐保が小さく声をあげた。
佐保のそこは既に濡れていた。いや、汗もあるかもしれないが、それとはまた別種のぬめり気を帯びた粘液が秘部を満たしていたのである。
その粘液を指で掬うように大陰唇を指で押し、開く。くぱぁ……♡とした振動を指が感じて、そこを開いたり閉じたりしながら秘部全体を柔らかくなぞっていく。
「ん、ん、ん……♡ ん、そこ……♡」
彼女は一瞬口を閉じて俯き、本気で感じているときの顔をして硬直した。けれどもすぐに顔を上げ、こちらの目を見つめたまま再びペニスを扱き始める。
つまり僕と佐保は横になったまま互いの性器を愛撫する形になった。
「佐保、すごいどろどろだよ……?」
「う……あ、んっ♡ これは、あせ……♡」
「それにしてはトロッとしてるけど」
「あなたの先っぽも、それはそう。とろとろしたカウパー腺液が湧いてき──んんっ♡♡」
佐保が言い終える前に僕は彼女の秘部の前の方にあるクリトリスを指で探り当てた。包皮に包まれたそこから佐保のクリトリスは先端だけが飛び出していて、粘液をまとった指でそこを撫でたのだ。
彼女の反応は如実だった。そこは佐保にとって一番の性感帯だから、どうしたって感じてしまうのだ。
「ん、ん、あっ♡♡ んあ、あ、ああっ♡♡ そこ、ばっかりぃ……っ♡♡」
包皮を指で開くようにしてクリトリスの本体を取り出して指で摘まむようにして撫でる。すると佐保は腰をくねらせて逃げようとするけれど、逃がさない。こちらの腕の方が佐保の腰よりも可動域が広いから追いかけるのは余裕だ。きゅ、きゅ、きゅっ♡とリズミカルにそこを責めていく。
すると佐保は喉の奥から湧き出るような声を漏らす。本気で感じているときの彼女の声だ。だから僕はそんな彼女をからかっていく。
「ほら、佐保、窓が開いているんだから、声を我慢しないと外の人に聞かれるかもよ?」
「──ッ♡♡♡ んんっ♡♡ んん、んんんー……っ♡♡」
確かに窓は開いているけれど、実のところ真夏の昼間に外を歩いている人などほとんどいない。いたとしても垣根に阻まれるから角度的に僕たちを見つけることはおおよそ不可能だろう。
けれども佐保は若干だけマゾヒスティックというか、自分の痴態が他人に見られそうになると感じてしまうような性質があるのだ。だから『外』を意識するとより快感が強まってしまうらしい。
彼女は潤んだ目でこちらを見上げ、口をぎゅっと噤んだままイヤイヤをするように首を振った。そしてぎゅっ♡とこちらのモノを握ってくる。
「うぐ……」と思わず唸った。こちらがその気なら、佐保もやる気だ、ということだろう。
だから僕も佐保の腰を引き寄せ、くちゅ、にちっ♡と音を立てながら彼女の秘部を責め立てていく。
「んあ、あ、あっ♡♡ んんん……だめ、だめなのに……っ♡♡」
必死に佐保は口を閉じようとするけれど、快感が勝って口が開いてしまうようだ。やや上を見上げるように体を反らし、口を「あ」の形にして声を漏らしてしまっている。その額を汗が伝っていくのが見える。
彼女の腹部はこちらに押しつけられるような形になっていて、くい、くいっ♡と先ほどから僕のモノの先端が彼女のヘソ下に当たっている。きっと佐保は無意識だろうけれども、そのせいでこちらも気持ちがいい。はっきり言って余裕はない。
だから僕は佐保にとどめを刺そうとクリトリスを指の腹で挟み、きゅきゅきゅっ♡と連続的に転がしていく。
「ああっ♡♡ それやだ、それだめ♡♡ それだめなやつ♡♡ ああああっ♡♡」
すると佐保は高い声を出し、もはや僕のモノを握るのを諦めた。むしろこちらに抱きついてきて、ぎゅううっ♡と全身で密着してくる。
ぺたっと体が汗で滑る。けれどもそれを気にする余裕はない。むしろ僕も佐保の体を抱きしめて、彼女の腹部にペニスを押しつけ、そしてクリトリスを指の腹でくにっ♡と押しつぶし、そして──
「んあ~~~~~~ッッッ♡♡♡」
そして佐保が達した。
ぎゅううううううっ♡と僕の体を全力で抱きしめながら絶頂へと至ったのである。彼女の体が震え、腹筋がひゅくっひゅくっ♡と脈動する。それは彼女の膣部が精液を搾り取るために行っている収縮運動の余波だ。
その佐保の腹筋の振動で、僕も達してしまった。
つまり彼女の腹部にペニスを押し当てたままびゅるるるるるるっと精液を吐き出したのである。
「ああっ♡♡♡ あついのが、でてるっ♡♡♡」
腹部に僕の精液を浴びながら佐保が高い声でそう漏らすのが聞こえた。
それでも僕は彼女の腹部にペニスを押し当てたまま、何度も何度もそこに吐精を続けていったのだった。