ボッチの僕でも、クズのヤリチンになれるってホントですか? 可愛すぎる陸上部女子を寝取りエッチ!

著者: 黄金の黒山羊

電子版配信日:2024/12/27

電子版定価:880円(税込)

ボッチで陰キャな僕の、夢のヤリチン生活はまだまだ続く!
黒髪委員長・金井純花さん、ギャルの延岡ルリナさん&黒木アイリさんと、
夏休みにタワマンで4Pセックスで生ハメしまくる最高の日々。
そんな折、僕のセフレのひとりで可愛すぎる陸上部女子の山尾涼子ちゃんが、
突然、関係を解消する決意を!? でも大会前なのに好タイムが出ないみたい。
原因はエッチ不足でしょ? そのスランプ、僕がセックスで解消してあげるよ。
超人気シリーズ、復活の全編書き下ろし! 山尾家母娘丼ルートも特別収録!

目次

第一話 夏の終わりと陸上ユニフォーム

第二話 ボッチ陰キャはタワマンで同級生女子とハメまくる

第三話 彼氏の知らないところでボッチ陰キャとの交尾にドハマりする涼子

第四話 二学期の始まり

第五話 スランプの少女、浮気相手のボッチヤリチンを想ってオナニーにふける

第六話 用具庫での仲直りセックス

第七話 ボッチ少年と陸上少女の仲直りセックスは深夜まで続く

第八話 彼氏より先に僕が涼子ちゃんの子宮に仮予約

エピローグ ボッチ少年の家で行われる性の饗宴

おまけ 山尾涼子&玲子 母娘寝取りルート

本編の一部を立読み

第一話 夏の終わりと陸上ユニフォーム



 夏休みを始めとする長期休暇は学生には貴重なリフレッシュ期間だが、部活や受験でそれどころではない者もいる。その日グラウンドで練習に励んでいたとある学園の陸上部員たちも、どちらかと言えばそちら側だ。
 エンジョイ系の部活ならばともかく、この部はどちらかというとガチなほうだ。歴代OBやOGには、全国レベルの大会で優秀な成績を残した者もいる。それゆえに今年の夏も、二学期が始まる直前の今日になるまで、ほとんど毎日のように練習が行われていた。
 いまも晴天の空の下、スタートライン上には男子二人に女子二人、合わせて四人のユニフォーム姿の少年少女が位置についている。彼らはいずれも真剣な表情で、合図が告げられるのを待っていた。
「よーい!」
 スタート係の女子の掛け声とともに、彼らは一斉にスタートの体勢をとる。それから一拍置いてピッという電子的な音が響くと、全員が一斉に駆け出した。
「ッ――!」
 男女混合の400m走。四人が懸命に地面を蹴り、腕を振ってゴールに向かって進む。その中で集団から抜け出したのは女子だった。
 陸上ユニフォームのボブヘアーの少女が、その髪をなびかせながら真っ直ぐ前を見据えて駆けていく。――彼女の名は山尾涼子。この学園の陸上部の女子エースだ。
 トラックの外のベンチに座りその様子を眺めていた二名の男子が、ぽかんと呆気にとられた表情で感想を漏らした。
「はぇー……。やっぱ流石だな」
「女子のくせして、どうしてあそこまで速く走れるんだよ。信っじらんねえ」
「俺もあいつとは勝負したくないな……女子に負けたら立ち直れねえもん」
 涼子は身長的には平均よりやや小柄ではあるが、そのタイムが並大抵の男子よりずっと速いのは見ての通りである。男子たちがこうして見ているあいだにも、涼子の身体はぐんぐんと加速していく。
「しかもさ」
「ああ」
 加えて涼子は美少女だ。彼女は陸上の大会でも相当な実績を残しているが、その愛らしい容姿も間違いなく全国クラスである。
 涼子を映した競技動画が、「可愛すぎる陸上女子」的な少々下世話な煽り文句とともに動画サイトに投稿され、異常な再生回数を記録したのは少し前の話だ。同じ大会の他の動画がせいぜいで数百回程度しか再生されていないのに対し、涼子が映っているものは、最高数で百万回再生を記録した。
 ゴールしたあと汗だくの笑顔でカメラに向かってピースサインを見せた涼子の姿は、その朗らかな笑顔と可愛い仕草がSNSでもバズった。それをきっかけに彼女は世間に注目されるようになり、これまでに何度か雑誌やテレビの取材も受けていた。
 涼子が風とともに前を駆け抜けていった時、見学の男子たちは声を漏らした。
「うお……っ」
「やば……っ」
 彼女の速さに純粋に驚嘆したようにも思えるが、実はそうではない。彼らの視線は、涼子の胸やユニフォームから露出したヘソ周りなどのデリケートな部分に向けられていた。
(めっちゃ乳揺れしてっし……。足もはええけど、それよりあの美少女顔であの巨乳とか反則過ぎるだろ)
(ヘソと太もも丸見えでエッロ……。あれが拝めるだけで、この部活に入って良かったって思えちまうよな……)
 真剣にスポーツに打ち込む十代の少女たちの健康的な肉体は、実に美しい。若い彼女たちが一心に努力している光景には胸を打たれずにはいられない。そんな少女たちが青春の汗を流す神聖なる競技の場に、邪な感情が入る余地など全くない。――そう言いたいところだが、いくつかの部活動のユニフォームが、オスの劣情を煽り立てるようなデザインになっていることは紛れもない事実である。
 男子のオカズになりがちなエロユニフォームとしてよく話題にあがるのは、彼らの学園で言えば、水泳部の水着とチアリーディング部のひらひらのミニスカート、テニス部のスコート姿などだ。それ以外にも、バレーボール部やバスケットボール部のウェアも根強い人気がある。剣道部と弓道部の袴姿がグッとくるという意見も多い。
 それに加えてエロい目で見られがちなのが陸上部のユニフォームだ。上下セパレートの陸上ユニは下手をすれば水着並みの露出度である。それを身に着けた少女の鍛えられた脚部だけでなく、腋やヘソまで丸見えだ。しかも空気抵抗を減らすためなのか、布に覆われている部分も身体に密着して、ボディラインがはっきりと浮かぶようになっている。
 涼子を見ている男子たちの正直な感想は、「オナニーしたい」というものだ。世間からも騒がれるほどの美少女の、どこもかしこも健康的な身体をオカズにして勃起チ×ポをしごき倒せば、さぞかし濃いザーメンを、気持ち良く発射することができるだろう。
 チームメイトの美少女が発散する健康的な魅力に性欲を掻き立てられた男子たちは、ここが晴天の屋外で、まだ練習時間中であるにもかかわらず、思わず生唾を飲み込んだ。
 オナニーではなく、本当に涼子とセックスできれば、いったいどれほどの快感が得られるのだろうか? それを想像してしまったらしい。
(山尾ってセックスんときどんな顔して喘ぐんだろ。あいつ何気に声もめっちゃ可愛いし。やっべ、んなこと考えてたら勃起しそうになってきた)
(つーか、あいつ俺ら男子とも距離近いし、すれ違うたびにめちゃくちゃいい匂いすっから、その度にチ×コイラつくんだよなぁ……。あ~、山尾のマ×コにチ×ポ突っ込みてぇ。俺のピストンであのデカパイ揺らさせてぇよ。それができたら死んでもいいわ)
 死んでもいいというのは大げさだが、思春期の彼らはそれくらいセックスに飢えている。彼らがこういった妄想にふけるのも大目に見なければならないだろう。身近にいる魅力的なメスと生殖行為に及びたいと思うのは、健全な男子ならば当然の反応だ。思考の大部分を性欲関連の妄想に占められている十代のオスが、鼻先にあの極上の肢体を突き付けられれば、ムラつきが抑えられなくなるのはやむを得ない。
 ちょうどそのとき涼子がゴールした。もちろん彼女が一着だ。走り終えた涼子はしばらく歩いてから、左手を腰に当てて、顔を流れ落ちる汗を右腕で拭った。
 ――あの涼子のユニフォームを全裸に剥いて、薄っすら日焼け跡が残る身体を舐め回し、キッツキツのマ×コに勃起チ×ポをぶち込めたなら、さぞや気持ち良かろう。それは男として味わえる至上の快楽に違いない。明るい太陽の下、陸上競技で流すあの汗が、激しいセックスで流れたものだったとしたら、普段の彼女の溌溂とした雰囲気とのギャップで実にエロいだろう。
 だがしかし、一般男子たちが涼子に手を出すことは実際には不可能だった。――その理由は簡単である。涼子にはああ見えて、既に交際相手がいるのだ。
「はあ……」
「んだよ、溜め息なんてついて」
「康太くんはいいよなあ。山尾と付き合えるんだから」
 その男子が口にした「康太くん」というのは、この陸上部の男子エース、吉宮康太のことである。レーンラインが描かれたグラウンドの向こう側では、まさにその康太が涼子に近寄り、彼女にスポーツドリンクを差し出していた。
 康太は陸上選手らしい細身のイケメンだ。短髪で、日焼けした肌は若干浅黒い。彼は既に多くの大会で実績を残しており、コーチからの覚えもめでたい。ゆくゆくは推薦で有名私立大学に進学することが確実視されている。コミュニケーション能力の高い彼は交友関係も広く、いわゆるスクールカースト内で男子のトップグループに位置する存在だった。
 彼らが康太のことを「くん」付けで呼ぶのは、そこに目に見えない上下関係が存在するからだ。男子で彼のことを気安く呼び捨てできるのは、彼と同じグループに属する者だけである。この辺りは、男子たちのパワーバランスにも非常にデリケートなものがあった。
 涼子と康太のやり取りを遠くから眺めていた男子は、友人に尋ねた。
「なあ、どう思う」
「――ん?」
「康太くんって、やっぱ山尾とヤリまくってんのかな」
「おいバカ! 聞こえっぞ」
「こんだけ距離離れてるから大丈夫だって。――練習のあととか、二人でホテルとか入ってサカりまくってるんだろうな。山尾ってそういうの免疫なさそうに見えるけど、ハマったら凄そうじゃん?」
「おいおい、ちょっとやめろよ……言ったら駄目なライン超えてるぞ」
「んだよ、お前だって羨ましいって思うだろ? ――あ~あ、いいよなぁ。俺も早く彼女欲しいわ。ていうか童貞卒業してえよ。夏休み中も練習ばっかで、結局出会いなんてなかったし。誰かどっかにヤラせてくれる奴いねーかな? この際、山尾以外のうちの女子でも我慢するから……――なあおい、聞いてんのか?」
 彼が返事をしなくなった友人のほうを向くと、そこには涼子とは違う同学年の女子が立っていた。
 その女子は眉間に皺を寄せ、明らかに怒っていた。
「――あ、いや」
「村井くん、練習サボって何してるの? 何か楽しい話でもしてた?」
「えっと、それは……」
「それなら私も混ぜてくれないかしら」
「――やっべ、次俺の番じゃん! 気付かなかったわ! じゃあな!」
 彼は慌てて立ち上がると、その場を一目散に退散した。彼に注意した女子は、呆れかえった様子で溜め息をつくと、近くでストレッチをしていた他の女子メンバーに合流した。
「お帰り。どうだった?」
「やっぱりあいつら涼子のこと見てスケベなこと話してた。ひょっとしてああいうの気付かれてないとか思ってるのかな」
「ほんっといい加減にして欲しいよね。あいつこないだ私のお尻もジロジロ見てたし……。今度コーチに注意してもらわなきゃ」
「無駄だと思うけどね。あのコーチってそういうの全然興味ないから。涼子が大会で活躍すれば、自分も有名になれるってことしか考えてない感じだもん」
 人によって性格が異なるように、部にはそれぞれ固有の空気感というものが存在する。そしてこの世代の陸上部女子は、男女交際について、どちらかというとストイックな考えを持つ者が集まっていた。
 自分たちに向けられるエロい視線に敏感な彼女たちは、口々に男子を非難した。そうでなくとも、大会になれば関係者かどうかもわからない男たちのカメラに晒されて、彼女たちは辟易していたのだ。
「そもそもなんで陸上のユニフォームって、こんなにエッチなんだと思う?」
「それは他の学校もそうだし、こういうもんなんじゃないの?」
「それにしたっておヘソ丸見えだし、お尻もほとんど見えかけちゃってるでしょ。だから男子たちだって変な妄想するのよ」
「やめてよそんなこと言うの。改めて意識したら恥ずかしくなってくるじゃない」
 男子がスケベだという話題で盛り上がっていた少女たちは沈黙した。彼女たちも涼子と同じ、上下セパレートの陸上ユニフォームを身に着けている。
 涼子とは別メニューを与えられている彼女たちは、軽く円陣を組んでストレッチで身体をほぐしている。毎日のようにやっているだけあって流石の柔軟性だ。足をほとんど百八十度開脚しながら上体を前に倒している。女子陸上部員の中では涼子が間違いなく一番の巨乳である。それほどではなくとも、それぞれにしっかりと発達した胸の膨らみが、地面にくっつきそうになっていた。
 ちなみにこの場に彼氏持ちは一人もいない。これまでに誰かと付き合った経験のある者すらゼロであった。
 だが――。
(男子にジロジロ見られるってことは、私の身体も……けっこうエッチだってこと? 私とそういうことしたいって思ってるってこと? え~……どうしよ)
(村井にはああ言ったけど、男子とエッチなことするってどういう気分なのかな? やっぱり、気持ちいいのかな? けど、私まだ男の子とデートしたことすらないし……。涼子も吉宮くんと付き合ってるってことは、そういうことしてるの?)
 そう、異性に対する興味があるのは、決して男子たちだけではない。表向きは男子のスケベさに対して辛辣なことを言うかもしれないが、女子たちも彼らに負けず劣らず「そういうこと」に関心があった。
 それは別に意外でも何でもない当たり前のことである。男子が女子に興味を持つように、女子も男子に興味を持つ。だからこそこの世の中は成り立っている。この陸上部の女子たちが、自分たちが露出度が高いとユニフォームを文句を言いながらもしっかりと身に着け、見られるのが嫌だと言いながらこれ見よがしにこんな場所でストレッチするのもそういう理由だ。
 さっき彼女たちにスケベ扱いされた彼だって、玉砕覚悟で彼女たちの誰かに告白してみれば、OKをもらえる可能性はゼロではないはずだ。本気で童貞を卒業したいというのであれば、チャレンジしてみればいい。
 しかし、どれだけエロいことをしたいと思っていても、男女を問わず多くの者はなかなか最後の一線を踏み越えられないのである。その結果として、ここにはこれだけ食べごろの娘たちが、誰の手にも触れられないまま残っていた。――それは実にもったいない話ではないだろうか?
 そうこうしているうちに、少女たちはストレッチを終えた。そして涼子たちと合流して本格的な練習に入ろうとしたところで、その中の一人がためらいがちに口を開いた。
「……ねえ、そういえばさ、みんなはあの噂って聞いたことある?」
「あの噂?」
「ってどんな噂?」
「ええっと、かなり変な内容なんだけど……」
 彼女はいったん口を開いておきながら、こんな荒唐無稽な話を友人たちに聞かせて良いものか迷っている様子だ。
「私たちの学年に凄い男の子がいるって話……聞いたことない?」
「凄い男の子? 何それ」
「あっ、聞いたことないならいいの! 全然! ごめん、いまの忘れて!」
 その少女は慌てて身体の前で手のひらを振った。なぜかその顔が少し赤くなっている。いまの断片的な情報だけでは何が何やら意味不明だと、他のチームメイトたちは一様に首を傾げた。
 彼女が耳にした噂とは、実際のところかなり卑猥で、荒唐無稽なものだった。
 その噂の中身とはこうである。――近ごろ、彼女たちの学園に、女子に次々と手を出してはセックスしている男子がいるというのだ。嘘か誠か、その男子は別にそれほどカッコいいという訳ではないのに、セックスがとても上手いそうだ。女子はたとえ未経験の処女であっても、一度でも彼とセックスしてしまえば、その行為の虜になってしまうのだという。
 例えば学園でも可愛い女子揃いの女子テニス部のメンバーなどは、ほとんど全員――彼氏持ちを含めてその男子と関係を持ってしまっているらしい。その男子は女子テニス部の合宿に同行し、参加した女子たち全員を相手に肉欲塗れの数日間を過ごしたという話も聞いた。
 しかしいくらなんでも、そんなハーレムの主のような男子生徒が現実に存在するだろうか? これはきっと、変化のない学園生活に飽きた誰かが広めた、都市伝説のようなものに決まっている。
「それより練習しよ! ほら早く!」
「ちょっともお……話を振ってきたのはそっちじゃん」
「結局その噂ってなんなの?」
「いいから練習練習! 涼子に負けないように張り切って行こ!」
「えぇ~……」
「お~い、涼子~!」
 少女たちがトラックの向こう側にいる涼子のところに合流していく。それから彼女たちは、青い空の下で青春の汗を流し始めたのだった。



 その日の部活の練習をあがった吉宮康太は、学園の運動部用に設置されたシャワールームの外に立っていた。
 彼の脚はそわそわと小刻みに動き、手はたまにスマホの時計を確認している。
 帰り支度を終えた康太が待っている相手は、恋人の涼子である。涼子はいまシャワーを浴びている最中だ。女子用シャワールーム内の音は彼が立っている場所まで漏れ聞こえては来ないが、気配は伝わってくる。
 康太の鍛えられた細マッチョな身体つきに、日焼けした肌と目つきの鋭い精悍な顔つきは、いかにも陸上部のエースらしく、さぞかしモテるのだろうという雰囲気がある。そして実際、彼はモテてきた。この世には、人生で付き合う女に困ったことはないという羨ましい人種が存在するが、康太はその一人で間違いない。
 だがしかし、さっき陸上部男子の一人が妄想していたように、康太が涼子とプライベートでセックスしまくっているかというと、話は別だ。
「ごめんね康太くん!」
 しばらくすると、涼子がシャワールームの中から急ぎ足で出てきた。彼女のボブヘアーは、ドライヤーが甘いのかまだ若干濡れて光っている。
「おっせーよ涼子」
 言葉遣いは乱暴だが、康太は彼女に笑顔を向けた。
 さっきまでのイラついた様子は影もない。
 これは彼なりの恋人に対する配慮だ。いかに康太がモテるとはいえ、誰もが羨む涼子ほどのランクの美少女を、そう簡単に恋人にできる訳がない。だから彼なりに、涼子に嫌われないように努力しているのだ。
 本来の康太は、かなりオラついた性格の持ち主だ。現にさっき彼は、後輩の一年男子に自分のシューズの手入れを始めとするいくつかの雑用を押し付けてきた。その後輩は一瞬断りたそうな顔をしたが、コーチにも可愛がられている部のエースに「あ? 嫌なのか?」と凄まれてしまえば黙って引き受けるしかなかった。
 しかし彼がそのような態度を涼子の前で見せることはない。そんなことをすれば涼子に一発で嫌われるというのは、彼もわかっていた。
「――んじゃ、帰るか」
「うん」
「その前にどっか寄ってこうぜ? ファミレスとかカラオケとか――」
「あ、えっと……今日は早目に家に帰るってパパとママに約束したから、あんまり寄り道できないの」
「は? またかよ」
 涼子のその言葉に康太は不機嫌になりかけたが、どうにか表情を取り繕った。
「まあ仕方ねーけど」
「……ごめんね?」
「だから別に謝らなくてもいいって。じゃあ行こうぜ」
 康太と涼子は連れ立って歩き始めた。目的地は学園最寄りの駅である。
 駅に向かう最中、隣を歩く涼子の身体からは、石鹸と涼子自身の体臭が混じった香りが漂ってきて康太の煩悩を強烈に刺激した。練習で身体に溜まった疲労が余計に性欲を増幅させ、油断するとムラムラとしたものが内側から込み上げてきそうになる。
(あー……やべぇわこれ。なんでこいつってこんなに良い匂いすんだろうな)
 流行りの音楽など、涼子と青少年らしい話題で盛り上がりながら、康太はそんなことばかりを考えていた。
 実を言うと、この二人には依然として肉体関係はない。康太と同じグループの男子くらいしか知らないことだが、康太と涼子はまだプラトニックな関係を維持していた。
 康太は歩きながら涼子の身体をチラ見していた。二人の身長差もあり、ユニフォームから制服に着替えた涼子の胸を、康太が上から見下ろす形になる。
 振り返れば、夏休み前に行われた修学旅行という絶好のシチュエーションで、二人の関係を進展させられなかったのは痛かった。康太の計画的には、あの旅行の自由行動やホテルで二人きりになるタイミングで一気に関係を進めるつもりだったのだ。しかしそれは色々と邪魔が入り、上手くいかなかった。
(それもこれもあいつのせいだよ、あの瀬戸とかいう陰キャ野郎)
 康太は腹が煮えくり返る思いで、その男子のぼやけた顔を思い浮かべた。
 その瀬戸という男子は、学年でも有名なボッチである。瀬戸は康太とは違い、存在感が薄く全く友人がいない憐れなタイプの人種だ。その瀬戸があろうことか、修学旅行の夜に、ホテルのロビーで康太に無許可で涼子と会話していた。それを見た康太は腹を立て、涼子の目の前で瀬戸の胸倉を掴んで乱暴に押すような真似をした。
 だが、それは流石に不味かった。心優しい涼子は康太の態度に怒り、そのあとの旅行中も、どこかギクシャクしてしまったのだ。康太は別に、瀬戸の胸倉を掴んだこと自体は悪いと思ってはいない。相手は自分とは格の違う陰キャボッチである。彼は単に、涼子にそのシーンを見られてしまったのを悔やんでいるだけだ。
(あれさえなきゃ、今頃こいつと――)
 セックスしていたに違いないのだと思いながら、康太は涼子の身体を見ていた。
(……でもまあ、焦っても仕方ねーか)
 康太としては、ここまで我慢したのだから、強引にことを進めて涼子との関係を台無しにするような真似だけは避けたかった。
 そう、焦る必要はない。康太は己に言い聞かせた。涼子が自分の恋人なのは事実なのだから、焦らずともいずれセックスはできる。自分以外のモブ男子たちが指を咥えて見ているしかない涼子の最高の身体を、自分だけが味わうことができるのだ。
 なぜならば自分は他の奴らとは違う。才能に恵まれた人間だからだ。
(そうだよ。俺はああいう惨めな野郎とは違うからな)
 そうやって自分を抑えつつ、康太は涼子と会話しながら駅への道を歩いたのだった。

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