電子版配信日:2026/02/27
電子版定価:880円(税込)
久々の帰郷で高校の同窓会に参加したら、元カノと再会した。
人妻となっていた、クラス1のおっとり美女・喜多川穂花。
飲みの場から連れ出しエレベーターに乗った途端、停電に。
28歳の夏、薄暗く暑い密室に、元恋人の男女が二人きり。
薄着姿の穂花の火照った柔肌に吸い込まれ、腰を引き寄せた。
「だめ、もうあの頃とは違います……挿れたら許しませんよ」
挿入代わりに素股でじらし、かつて弄んだ女体を再び目覚めさせる!
後日、彼女の友人のシンママ・吉祥寺香凜ともアクシデントが……
超ヒット企画「10年に一度~」第四弾、密室エレベーター編!
第一章 エレベーターに閉じ込められた結果、元カノ人妻と触れ合ってしまった
第二章 元カノ人妻をラブホに連れ込んだ結果、セフレにしてしまった
第三章 シングルマザーとエレベーターに閉じ込められた結果、セフレにしてしまった
第四章 元カノ人妻とデートした結果、俺色に染め直してしまった
第五章 シングルマザーに詰問された結果、マゾを開花させてしまった
第六章 元カノ人妻とシングルマザーが淫らに染まった結果
本編の一部を立読み
第一章 エレベーターに閉じ込められた結果、元カノ人妻と触れ合ってしまった
十年ぶりに帰郷し、四ヶ月が過ぎた。
大学進学を機に上京し、そして、まったく帰らなかった故郷だ。最初は変わった街並みに戸惑うこともあったが、よくよく見れば目立つ建物が増減しただけで本質は変わらない。ただの田舎の地方都市。
俺が帰郷しなかったことに大した理由はない。学生時代は面倒臭さが先だったし、フリージャーナリストをしていた頃は多忙を極めた。
家族と不仲もない。むしろ実家の面々は東京に遊びにくる拠点として俺の下宿先を使っていたほどだ。
転職し、地元に戻るのに気まずさも抵抗もなかった。
ジャーナリストは食っていけなかった。三十前に定職に就こう……そう決心した時、たまたま地元の役場に中途採用の募集があった。採用試験でうまいこと潜り込めたので、帰郷。それだけ。
東京で職が見つかってれば、帰ることはなかっただろう。
だから……。
「ほんと、こっちに帰ってきたのに深い理由はないんだよ」
「……そうなんですか」
気まずい。
高校の同窓会である。
俺が地元に帰ってきたことをどこで知ったか、お盆時期に開かれる集まりに呼ばれていた。久方ぶりに旧友に会いたいので出席を決めたのだが、なんとなく座った席、隣を見て固まった……お互いに。
掘り炬燵の和風居酒屋。いかにも大衆向けの店に不釣り合いな美女がいた。
喜多川穂花。
高校時代もクラス一番の美少女として評判だった人物だ。
切れ長の大きな目に、バランスの取れた顔立ち。おっとりと柔和な雰囲気とひとまとめの三つ編みで流される茶色のロングヘアは高校時代と同じ。そして、紺色のワンピースと白いカーディガンで覆われているがGカップの爆乳も変わらぬ美しさを保っていた。
いや、『あの頃』はGカップだったが六年も経っている。目測で見ても胸囲は増している気がした。
「やっぱり、定職に就いときたくてさ」
まさか彼女が隣にいるとは……。それが席についた時の思いだった。何しろ穂花はかつての俺の特別……元カノだった。
ただ今の穂花に未練も想いもない。
何しろ彼女の左手薬指には指輪が光っている。ささやかなダイヤが輝く結婚指輪だ。結婚したとは風の噂で聞いていたので、驚きはない。
しかし、未練はないが何とも複雑な気持ちだ。
「それは大事です」
どこか白々しい元カノと元カレの会話。まぁ、どこもこんなもんだろう。たぶん。
そもそも俺と穂花は大恋愛というわけではなかった。高校卒業で上京したクラスメイトは俺と穂花だけだ。おまけに大学も一緒。結果、何かと連絡を取るようになり付き合うことになった。
色々あって大学卒業と同時に別れたのだが……つまり別れたあの日から初めての遭遇である、気まずいに決まっている。
「まぁ、うん、そういうことだから、よろしく」
隣の席に座る美人との会話に俺の視線が泳ぐ。
よろしくすることは何もないとは思うが、社交辞令の範疇だろう。穂花もさほど本気に取っているわけではないのが伝わってきた。
「でも吉野さんは嘘つきですから……」
「え!? そうか!?」
心外である。
高校時代から穂花の丁寧な口調は変わらない。彼氏に対してもずっとそうだった。けれど語尾をマイルドにしているだけで言うことは言う。
俺を嘘つきとは……思い当たるのは別れる原因になった『アレ』くらいだが。
表情から察したのか、穂花の呆れたような目が飛んでくる。
私はいっぱい嘘つかれましたよ? 表情が言っている。
正直、曖昧な笑みを浮かべるしかない。笑って誤魔化す。
しかし、吉野さんか……。
当たり前だが名前では呼ばれないな。
とはいっても、大学四年間付き合った元カノ。呼吸のリズムは分かっていた。同窓会が進むうちに俺たちの会話からはぎこちなさはなくなり、かつての軽やかさを取り戻していた。
「あの、人のトマト勝手に食べないでもらえますか?」
「え? トマト嫌いじゃなかった?」
「そうですけど……赤の他人のものを勝手に取るのはどうかと……」
赤の他人……あえて使っているのだろう。元カレとは関係ないです、と強調しているようだった。別に旦那がここにいるわけではあるまいし。
ただ俺は穂花のその態度に微笑ましさすら感じていた。
強気の注意は俺相手でなければ行わない。わざとらしい言葉もかえって俺を意識しているようにみえる。
好きの反対は無関心。
あえて俺にだけきつい言葉を使うのは彼女の心に元カレが残っている証拠だろう。
だからといって、どうにかなる話ではないが、元カレとしては完全に胸中から消し去られるのも悲しい。
「お詫びにイカ刺しあげるから」
「いえ、そんなので誤魔化されませんけど……貰いますが」
俺が覚えていた彼女の好物は変わっていなかった。
お上品に箸を使い、表情は嬉しそうに刺身を頬張る。
嫌いなものと好きなのを交換。カップルみたいなやり取りだった。
「変わってませんね」
俺が微笑んでいるとため息を混じらせるような声で穂花が告げる。綺麗な目は俺に向けられることはなく伏されていた。
「穂花は変わったよね」
「それは結婚しましたから……」
「綺麗になった」
「知りません」
完全にそっぽを向かれてしまった。
からかったのもあるが、本音だ。
その微妙な機微は彼女に伝わっているだろうか? 懐かしいやり取りだが、彼女からすれば黒歴史なのかもしれない。悲しいことに。
穂花はすっかりと俺を無視して、別のグループの会話に耳を傾けていた。無視されると逆に意識されている気がするのは気のせいだろうか?
「連絡先、変わってないから。そっちはブロックしたみたいだけど」
俺はそれだけを言い残すと別の友人に挨拶しようと席を立った。
穂花はやはり無視していた。
同窓会はよいものだった。
お盆時期に年一で集まっているらしい。田舎地方都市あるあるだが、同窓会ともなればクラスを超え、同学年のメンバーがかなりの人数集まる。今日も三十人は超えていた。
今回は駅近ビルの和風居酒屋だが、だいたいこのビルのどこかになるようだ。地元で一番大きな駅の前にあるビル。居酒屋やレストランが何軒も入っている場所だ。
たまには帰郷しててもよかったかな、と今さらながらに思う。
起業したやつ、転職したやつ、結婚したやつ、離婚したやつ……高校卒業して十年も経つと人生色々あるもんだ。感慨深い。
久しぶりの旧友との語らいに満足である。特に俺は初の参加だけにみんなからすれば新鮮味があり話が弾む。
卒業式以来のやつもいたし、去年うちを東京ライブの後泊に使ったやつもいた。
ある程度の挨拶回り(?)も終えたので元の席に戻ろうとして、気づく。
「…………」
ナンパされる穂花がいた。
えぇー、人妻だぞ、指輪見れば分かるだろ? と思ったがよくよく見ればナンパしてる男にも結婚指輪があった。マジか。
そもそも誰だ? あんまり記憶にない。ここにいるんだから同級生なんだろうけど。おまけにしゃべりが下手くそで、二人で抜けない? とか妄言を吐いている。
そんな下手なナンパに惹かれる穂花ではない。愛想笑いを浮かべているが、迷惑そうだった。まぁ、外面を良くするのは得意だった穂花である、ナンパしてる相手は迷惑がられてることを分からないだろう。
俺が同じことをしたら厳しく拒否されるのは目に見えているが、ほんと知らない相手には強く出られないのは変わらないらしい。
胸中に何とも言えない懐かしさがよぎるのを感じながら穂花に告げる。
「おーい、穂花帰るぞ」
もう十年も前になるか、あの時もこうして声をかけた。タチの悪いテニサーの歓迎会で攫われかけてた地方少女……助けたのは同郷の男。明るく楽しそうなノリに誘われてうっかり歓迎会に行ってしまった俺たちは危うく悪い連中に染まるところだった。
……あのテニサー、噂によると薬物で捕まったしな……。
かなり危ない経験だったが、歓迎会脱出事件がなければ穂花と付き合うこともなかっただろう。
「え、あ、はい!」
俺のセリフも穂花の返事もあの時と同じだった。
一瞬、穂花の瞳が揺れたのは同じ記憶を思い出したからだろう。
荷物をまとめ、穂花のハンドバッグを持ってあげながら、気づいてしまった。
いや、別に帰る必要はないな。
俺もだいぶ酔っ払っているらしい。元カノがナンパ(しかも既婚者に)されているのを見て、ちょっと正確な判断ができなかったようだ。
えぇー、まるで穂花に未練があるみたいじゃないか。あんな別れ方をしておいて俺もずいぶん厚かましいことだ。
「会費、二人分」
幹事の女性にお金を押し付ける。なんだか物言いたげな顔だったがスルーする。あ、穂花と仲良かったからな、幹事。
別に穂花の会費を払う必要もなかったし、連れ出す意味もない。けど、酔った勢いだ。
俺は特に深いことを考えるわけでなく穂花を連れ、同窓会を抜け出した。
「どうしてですか」
「え?」
「どうして私を連れ出したんですか?」
「ナンパされて困ってなかった?」
ホールでエレベーターを待つタイミング。穂花が綺麗な顔に眉根を寄せて俺を睨んでいた。遠くから同窓会の喧騒が聞こえる。抜けさせてしまったのは……ごめん、ノリと成り行きだ。
「そ、それはそうですが……吉野さんに連れ出されたらあんまり変わりませんよ」
そうか?
明らかに下心のある連中より俺の方が遥かに無害だと思うけど。
「私にあんなことしてた人が無害なもんですか、はぁ」
口に出してたか、俺。けど穂花なら表情から読み取るくらいするかもしれない。
これ見よがしなため息。
ナンパは断れないわりに俺にはずいぶん遠慮がない。
「あんなことって?」
少し意地悪く声にした。
穂花の言いたいことは分かる。俺がかつて穂花にしたことへの鬱憤だろう。
「……知りません……」
頬を染め一言。恥じらうような表情で『あんなこと』の内容が分かってしまう。
懐かしい、俺たちの思い出。
「なぁ、穂花」
「し、知りませんよ!」
「エレベーター来たよ……ふっ」
「わ、笑わないで、もう」
からかい甲斐のある元カノに微笑みながら二人でエレベーターに乗り込む。他に乗客はおらず俺は一階を選択し、「閉」を押す。
さほど広くないエレベーターの中、穂花は俺から距離を取ると言わんばかりに壁側に立ち視線を合わさない。めちゃくちゃ意識されているというか、警戒されている。
「…………」
彼女の態度はむしろ可愛らしいほどだった。
もっと一緒にいたいな。
純粋な気持ちだった。未練ではない。ただ他愛ない話をしたい。それだけだ。けれども誘えばナンパ男と同類と思われる可能性もあり、二の足を踏んでしまう。
(ただ、今夜誘わないとたぶん会わないだろうしな)
迷う。
過去のこともあり、俺が下心はないと言っても信じてもらえない自信はある。悲しいことに、確信に近い。
「え?」
「ん?」
しかし、俺の願いは意外な形で届いてしまう。
どん、と鈍い音を立ててエレベーターが止まる。ほぼ同時に灯りが消え、あたりは暗闇に落ちる。程なくして非常灯らしき灯りが滲むように広がっていく。
光量は心許なくかろうじて穂花の表情が見える程度だった。
「て、停電ですか?」
不安気な顔をした穂花が俺を見た。ようやく目を合わせてくれたな……なんて思ったが、そんな状況ではない。
「みたいだな」
嫌な予感に不安が募る。
エレベーターの扉は開かない。フロアとフロアの間で止まっているのか。
「閉じ込められた」
口から漏れるのはうめくような言葉。
もっと一緒にいたい。そんな俺の思いは図らずも叶ってしまった。