本販売日:2026/05/22
電子版配信日:2026/06/05
本定価:935円(税込)
電子版定価:935円(税込)
ISBN:978-4-8296-4876-6
「史郎くん、今夜は泊まっていきなさいな」
誘い込まれた恋人の実家は淫女たちの巣窟だった!
妖艶な未亡人の手ほどき、好奇心旺盛なギャル妹の挑発。
母娘同士で牡を奪い合い、果てるまで続く3P。
櫻子、葵、向日葵……三人の美女に囲まれる桃源郷。
上品な家族(実は淫乱)に導かれる甘い彼氏修業。
プロローグ 身持ちの堅すぎる恋人
第一章 雨宿りの夜 未亡人が教える大人のカラダ
第二章 ドア一枚の秘め事 リビング、彼女のベッドで
第三章 共犯者は彼女の妹 口止め代わりの危ない遊び
第四章 母娘で英才教育 とろけるダブルアナル
第五章 捧げられた純潔 最愛の彼女が牝に目覚めて
第六章 おもてなし乱交 倒錯と淫蕩の部屋で
エピローグ 三人の淫女と誓う永遠の愛
本編の一部を立読み
プロローグ 身持ちの堅すぎる恋人
その日は金曜日。ぼちぼち日が傾き始めた。橘史郎は、彼女である相葉葵を伴って、アパートの玄関をくぐる。駅から五分。築十五年、三階建、南向き日当たり良好の1K十畳。バストイレ別、宅配ボックス完備、インターネット無料。この可もなく不可もなくのアパートが、史郎の家だ。
「いやあ……楽しかったけどけっこう消耗したな……」
「言えてる……。特に移動も運動もしてないのにねー……」
史郎と葵は、互いに疲れた笑顔を突き合わせる。今日は映画を観に行ってきた。ネットで特報を見て、是非観に行こうと約束した。それはいい。問題は、放映場所が限られていること。近場では放映しているシアターがなく、一時間半かけて観に行くはめになったのだ。
面白かった。が、電車で移動するのがしんどい。駅からシアターまで歩くのがしんどい。帰るのがしんどい。ふたりともすっかりクタクタだった。
「なあ……葵……。これから料理するのか……? 少し休憩してからにしてもよくね……?」
ベッドに座り込んだまま、史郎はTシャツの胸元をパタパタとさせる。生憎電車は混んでいて、ずっと立ちんぼだった。台所に立つのが嫌すぎる。
彼は二十歳の大学生、細マッチョのそこそこイケメン。百七十六センチの長身と引き締まった身体。普通にかっこいいと言える。ただ、長めの髪と黒主体の服装。わざと開けた胸元。ピアスに指輪、派手すぎず地味すぎずのアクセサリー。はっきり言ってチャラく見える。
「ダメだよ。食事の時間が不規則になるのって、身体に悪いんだから。ほら、手伝って。ステーキ焼くだけだから簡単だって」
葵は全く妥協する気がない。なにせ、育ちのいいお嬢様だ。疲れているからといって、生活をだらしなくするのは彼女の品位が許さない。
彼女もまた二十歳。史郎と同じ大学の同級生。百六十六センチの長身。黒髪セミロングポニーテールは、活発であると同時に上品だ。吊り目がちな双眸と、卵型のフェイスラインが美しい。スリムジーンズと白のニットシャツの組み合わせは、セクシーであると同時にどこか身持ちの堅さを感じさせる。
(やっぱり……美人だよな……。ちょっと愛想が足りないけど……。葵と恋人になれて……よかった……)
「火加減気をつけてね、私はミディアム、史郎はレアだよね」
「わかってますって……。難しいなあ……」
パスタを茹でる葵の横で、史郎は必死でステーキの火加減を調整する。彼女は料理にはこだわりがある。ステーキなら焼き加減、醤油ガーリックソースを作るタイミング、皿の暖めかた。
「いやあ……。うまかったなあ……。食べた食べた……」
「そうだね……。食べたねえ……。ワインも美味しかったし……」
ふたりは向かい合ってリラックスしながら、だらしない姿勢で天井を仰ぐ。オージービーフの味と香りが、口と鼻腔に残っている。ニンニクのほのかな香りも、赤ワインの酸味と甘みも。
(けっこう……いい雰囲気じゃないか……? これなら……。俺たち……付き合ってけっこう経つし……)
赤ワインの勢いもあった。史郎は思い切って腰を上げ、葵の横に腰掛ける。ふわりとした、いいにおいがする。卵型の美貌と、吊り目がちな透き通った眼がとても近い。
「なあ……葵……。今晩……泊まって行かないか……? これから帰るの……大変だろ……?」
眼を覗き込み、言葉を選びながら問いかける。史郎は自分が抑えられなかった。わかっている。葵はとても貞淑で恥ずかしがりだ。今まで、キス以上の関係になったことはなかったのだ。
が、今なら……という思いがある。身体目当てだったつもりはない。自分は彼女を愛している。だが、もっと深い関係になりたい。彼女と触れ合いたい。もっと粘膜をぬめり合わせたい。そう思わずにはいられない。
が、葵の返答は残酷だった。唇が重なる。が、それだけだ。
「史郎……ごめん……。ええと……ニンニクのにおいが……。史郎のことは好きだよ。それは信じて……? んん……」
狡猾な妖精が、言葉巧みに逃れた瞬間だった。ニンニクのにおい→でも、愛している→キスはする→でもそこ止まり。実にずるい拒否の仕方。
「ごめんなさい史郎……。家族が……心配するから……」
そう言った葵は、手際よく食後の片付けを始める。油を吸い取り、洗剤で食器とナイフ、フォークを清める。
(結局こうなるのか……。身持ちの堅い彼女……それはうれしいけど……。セックスできるのはいつなんだ……?)
史郎は不安と焦燥感を感じる。恋人というものは、一方通行ではなり立たない。相互に信頼し同意しなければ。それはわかる。が、今の自分は眼の前に人参を吊された馬だ。が、あちらとこちらの間には、金網がある。
「葵、送って行くよ。物騒だからな」
「うん、お願い。頼りになる彼氏で、素敵だよ。史郎」
手を恋人つなぎにして、夜の街角を歩くカップル。一見幸せそうだが、ふたりの間には透明にして分厚い壁がある。スケベな彼氏と、貞淑過剰な彼女。この危うさが、後に取り返しのつかない事態に繋がっていくのだった。