本販売日:2026/06/23
電子版配信日:2026/07/03
本定価:957円(税込)
電子版定価:957円(税込)
ISBN:978-4-8296-4879-7
大嫌いな女上司・木崎琴音と出張先でまさかの相部屋に!
普段は口うるさく当たりが強い、独身のエリートだが、
風呂上がりの無防備な浴衣姿に、初めてオンナを感じて……
その晩、欲望のままに押し倒し、秘肉をむさぼった。
嫌がりながらも甘い声を漏らし、仰け反り絶頂する牝。
身体の相性だけは抜群で──秘密の肉体関係が始まる。
第一章 出張×相部屋 大嫌いな女上司だけど身体だけは最高で…
第二章 残業×オフィス クール女上司の秘部は期待に濡れて…
第三章 リゾート×ツアー ガイド役女上司は案内中に絶頂して…
第四章 飲み会×抜け駆け 酔いどれ女上司の家に誘われて…
第五章 温泉旅館×混浴 愛しの女上司の中に出して…
エピローグ 幸せな家族計画
本編の一部を立読み
第一章 出張×相部屋 大嫌いな女上司だけど身体だけは最高で…
「長宮くん、さっきのは失礼だったんじゃない?」
「……そうでしたか?」
真っ直ぐ前方を見つめてハンドルを握る上司から問いかけられて、哲樹は間抜けな答えを返す。
すると上司──木崎琴音の目元に、怒りの色が浮かぶのがわかった。
六月の蒸し暑いこの時期にもスーツを着こなす女上司。運転中の今はジャケットを脱いでいるものの、シワひとつない白シャツに、下半身にぴっちりとフィットしたタイトスカート。
彼女越しに見る運転席の窓には、水田の青々とした風景がゆっくりと流れている。
出張でレンタカーを使うことにも慣れている彼女だが、油断など微塵も感じさせない運転姿勢で、交通法規の遵守を徹底したドライビングを継続している。
後ろで束ねた長い黒髪。切れ長の目元。薄化粧の頬。車内には冷房が効いているとはいえ、どこまでも澄ました横顔で──
しかし、その鉄面皮にすら怒りが表れているということは、これは危険信号だ。すぐさま哲樹は言葉を継ぐ。
「すみませんでした、反省します」
だが、このリカバリーも不用意だった。
「あなたね」
硬質な声でお説教が返ってくる。
「どこを反省すべきか理解しているの? 先方の課長さんにあんな軽口を──」
ついさっきまで、町役場の観光課とのミーティングに臨んでいた。
田舎の役場だけあって、堅苦しいというよりフレンドリーな雰囲気だったので、哲樹も同調して途中から砕けた口調で話してみたのだが、それが琴音は気に入らなかったらしい。
「こちらはあくまで、お話を伺わせてもらっているの。節度を持って接しなさい」
どうにもこの上司とは馬が合わない。完璧主義の彼女は、会社の中でも浮いた存在だ。
瑞穂ツーリスト営業推進部、企画開発課。それが二人の所属する部署の名前だ。
この旅行代理店は、老舗の割に社風が緩く、哲樹もそれを信じて春に中途入社したばかりだった。
そして社員のほとんどは事前情報通り、いい意味で柔軟な勤務態度とラフな雰囲気を持ち合わせており、社員間の競争意識も過剰ではない。
前職までの堅苦しさに嫌気が差していた哲樹にとって、瑞穂ツーリストの環境はありがたかった。
──ただ、中には例外もいるもので。
しかもそれが自分の直属の上司で、マンツーマンで付きっきりの教育係でもあるのだから、不運だった。
企画開発課長・木崎琴音。三十四歳で独身。
「なに? 反論があるのなら今言いなさい」
「いえ、特には……」
単に琴音を横目で観察していただけなのだが、その視線に、自然とネガティブな感情が混じっていたのかもしれない。哲樹ですら無自覚だったのに、それに勘づく彼女はなかなかに敏感だ。
──それまで直線だった片道一車線の県道に、カーブが増えてきた。
ハンドルをゆったりと切る琴音。
彼女の動きを無意識にうかがってしまうのには、他にも理由がある。
いつもジャストサイズの女性用ワイシャツを着用しているが、琴音のバストはどうやら規格外らしく、どうしても胸元が目立ってしまう。
(目のやり場に困るんだよな)
たとえ年増でも、嫌いな相手であっても──豊かな乳房の丸みにはどうしても視線が吸い寄せられるのが男というものだ。
今などは、胸の谷間にシートベルトがぐいと食い込んでいて、シャツの生地がぱつぱつに張って苦しそうなほど。
(……でっか)
シンプルな白シャツを着こなしているものの、むしろその清楚さとのギャップで胸の膨らみが余計に卑猥に見える。
胸だけでなく、張りのあるヒップも、むっちりとした太ももも。
姿勢の良さのおかげでスレンダーに見られがちだが、琴音はグラビアアイドルも顔負けのグラマラスな体型なのだ。
先ほどの打ち合わせでも、役場の中年課長や若手職員が琴音の胸をちらちら見ていたのに哲樹は気づいていた。
実のところ、哲樹がフレンドリーな会話に切り替えたのはバストを注視しそうになっていた相手方への助け船でもあったのだ。
先方もハッとして視線を戻し、気を取り直したように哲樹の雑談に乗ってくれた。
琴音は資料に目を落としていたので、男連中による言外のコミュニケーションに気づけなかったようだが。
(「あの人たち、課長の胸に釘付けになっていたので」……なんて言えるわけないしな)
そんな弁明をしようものなら、セクハラで訴えられるのは哲樹の方かもしれない。
教育係の彼女とは一緒に出張することは多かったが、レンタカーでの移動は今日が初めてだ。二人きりの密室。年上は守備範囲外ではあるのだが、ここまで女らしい身体を間近で見せつけられ続けると、ご無沙汰の哲樹には堪えるものがある。
ただ、幸か不幸か──
「第一あなたには向上心が見えないわ。いい? 中途入社は即戦力であることが求められるのよ。課内でも、先輩社員だからっていつまでも年下相手に──」
琴音がずっとこの調子で説教を垂れ流しにしてくるので、彼女に対する欲情もいくらかは紛れる。
──宝の持ち腐れ。
社内で、口さがない同僚からそう評されていたのを思い出す。
仕事一筋。新入社員の頃に恋人がいたらしいという噂は聞いたが、それ以降、男の影はないようだ。
(性格がキツいからな、仕方ないよ)
エリートな彼女にとって、前職を三年ともたずに辞めて再就職した哲樹など落ちこぼれにしか見えないのだろう。
レンタカーの運転だってそうだ。部下として当然の務めとして運転を申し出たのだが、あなたには任せられない、と一蹴されてしまった。
男としてのプライドも傷つくが──『男女平等』なエリート女上司は、そんなことは気にも留めないのだろう。
窓の外を見ると、午後の陽光がにわかに陰ってきた。
「雨の予報とか、出てましたっけ?」
「天気予報も確認していないの? 外に出るときは毎回チェックしておきなさい。ツアーバスに添乗することもあるのよ」
「…………はい」
企画、営業、モニターツアーへの同行。
哲樹たちの部署は、柔軟にさまざまな業務をこなすことを求められている。堅物のくせに、そういった業務もそつなくこなしてしまうのが、この木崎琴音なのだ。自分にもその完璧さを求められているようで息苦しい。
車内が暗くなったのは雨雲のせいだけでなく、山道に差しかかったためでもあった。
琴音の運転するレンタカーは狭隘なくねくね道をスムーズに進む。平日の昼間、十数分ほど走ったところで、すれ違ったのは軽トラたった一台だけだった。
これから向かうのは、役場よりずっと山奥にある集落だ。
いわゆる限界集落ながらも、大自然を活かして観光客に足を運んでもらおうと地元の人たちが頑張っているのだと、ついさっき町役場で教えてもらった地域だ。
これから企画するプランに組み込むべきかどうか、せっかくなので現地を見てみようと即決したのは琴音だ。
(お勉強もできて、交渉上手で、フットワークも軽い……そりゃ、出世コースだよな)
琴音といると、過剰な劣等感に苛まれる。
──その理由に、哲樹はひとつ心当たりがあった。
似ているのだ、母に。
自身に、そして一人息子にも完璧を求めるあの人。過干渉で、行動を管理しなければ気が済まなかった母親。父が息子に無関心だった分、より強く責任を感じていたのかもしれない。
だが、物心ついたときからずっとプレッシャーをかけられてきた哲樹にとって、母はこちらを萎縮させる存在だった。外見こそ似ていないものの、琴音から近しい空気を感じ取ってしまう。
そんな家庭環境を勝手に投影されても彼女は困るだろうけれど──