ツンデレ女子が幼馴染の鈍感男子に「ざまぁ」されていたので、寝取って教え込んであげた話【フルカラー挿絵付】

イラストレーター: イケコケイ

電子版配信日:2024/12/27

電子版定価:1,430円(税込)

900万PV突破のウェブ小説史上ナンバーワンの純愛×寝取り学園ノベル。
カラー挿絵5枚&20万字の超豪華仕様、eブックスプレミアで待望の電子書籍化!
ずっと好きだった幼馴染の鈍感男子に振られたツンデレ女子・霧崎キリエ。
その一部始終を眺めていた同級生の師藤涼介は、失恋中のキリエにつけ込み、
デートに誘い、時に強引に、時に優しく接して距離を縮めていく。
「他のやつのこと好きでもいいからさ。俺は霧崎が欲しい」
突然の告白からのキス──真っ直ぐ愛を向けてくれる涼介にキリエは心惹かれ、やがてその身体も……
巻末には本文中の挿画を集めたイラストギャラリーを収録。

目次

第1部

第1章 快楽堕ちした牝猫の末路

第2章 不器用すぎる女の子

第3章 歪なふたり

第4章 運命は雨の日に

第5章 返事はふたりきりで

第6章 キリエの初体験

第2部

第7章 虜

第8章 きょうだいの関係

第9章 真夏の旅行・悪いやつ

第10章 企みと純真

エピローグ 旅の終わりとこれからと

書き下ろしSS

本編の一部を立読み

第1章 快楽堕ちした牝猫の末路


「嘘でしょ、今なんて言ったの和樹《かずき》……!?」
 七月の曇天、放課後の薄暗い廊下で霧崎《きりさき》キリエは自分の耳を疑った。
「なんでその子と――」
「キリエには関係のないことだろ、僕が誰と付き合おうと!」
 幼馴染の彼――和樹は、吐き捨てるようにそう言った。
 見たことのない顔だった。
 物心ついた頃から一緒だったのに、こんな嫌悪に満ちた顔を向けられたことはない――
 キリエにはそれがなによりショックだった。
 想いを寄せていた彼から、恋人ができたと告げられたこと以上に。
 和樹は、恋人を守るように立ちはだかっている。キリエの剣幕が背後の少女に及ばないよう、まるで威嚇するかのように。
「キリエはさ、僕の保護者か何かなワケ? いちいち口うるさいよね、昔からさぁ……!」
「な――」
 喧嘩すらしたことがなかった。
 幸野《こうの》和樹は、よく言えば穏やかな、クラスメイトの口を借りれば『おどおどして冴えないタイプ』の男子だ。
 要領の良くない彼のことを守りたくて、キリエは事あるごとに口を出してきた。それは彼に指摘されたとおりだ。
 でも……保護者になんてなりたいわけじゃなくて、ただ誰よりも彼のそばにいたかっただけなのに。
 それだけなのに――
 窓の外ではにわかに大粒の雨が落ちてきていて、校舎の窓をしたたかに濡らしていた。
「――行こう、愛花《あいか》」
「いいの? 和樹くん」
 背後の少女が、申し訳なさそうな視線をこちらに向けてくる。
「いいんだよ。キリエは僕のことなんてオモチャぐらいにしか思ってないんだから。そして僕を……平気で裏切った」
「待って、待って!」
 誤解だ。
 そう言いたくて口を開いたが、喉が詰まってうまく声にならない。
 ただただ、窓を打つ大粒の雨の音だけがやたらと頭に響く。
 そんなキリエにはもう目もくれずに和樹は、ポニーテールの美少女――愛花の手を引いて去っていった。
「そんな違う、違うのに……っ」
 涙で視界が滲むおかげで、二人の背中が見えなくなったのはせめてもの救いだった。
 ――そうでも思わないと、立っていられなかった。
 キリエと和樹は赤ん坊の頃からの幼馴染で、気づけば彼に好意を寄せていた。理由はよく覚えていない。
 すり込み《・・・・》のようなものなのかもしれないけれど、ずっと一緒にいたから、これからもずっと一緒にいるのが当たり前だと思っていた。
 いつかは彼と結ばれるものだと信じて疑っていなかったし、今の学校だって、和樹の志望校と知ったから受験したのだ。本来ならもっと高ランクの学校にだって、キリエなら簡単に合格できただろう。
 恋愛に関しては不器用だという自覚はある。
 素直に彼へ気持ちを伝えたことはない。
 代わりに、叱咤の気持ちを込めて彼に強い言葉を浴びせてきた……今振り返ってみれば、彼はそれを好ましく思っていなかったのだろう。
(お節介だったのかな……そうだよね、だから志乃原《しのはら》さんと……)
 同学年の、おしとやかな美少女。
 自分とは正反対の女の子だ。
 友人はキリエのことを『可愛い』と褒めてくれるが、自分ではいまいちピンと来ない。
 それよりも、和樹の恋人の座に収まった彼女――志乃原愛花のほうがよっぽど美人だと思う。
 綺麗な黒髪。真っ白な肌。優しそうな美貌。異性から隔離されて育ったような、触れたら消えてしまいそうな、そんな儚げな雰囲気を纏っている女の子だ。
「……私、バカみたい」
 窓に映る自分を見た。
 酷い泣き顔だ。
 つり上がった目元が、今はグシャグシャに歪んでいた。涙のせいで、乱れた髪が頬に張りついている。
 ――今の髪型だって、和樹の好みに合わせたものだった。
 ポニーテール。和樹から直接聞いたわけではなかったけれど、彼が好きだった漫画のキャラクターを真似て、小学五年生の頃から、キリエはもうずっとこの髪型を貫いていた。
「志乃原さんもポニーテールになってたな……」
 さらさらとした黒髪のロングヘアーにその髪型はよく似合っていた。
 自分なんかよりも、ずっと。
 キリエの記憶が確かならば、愛花はつい最近まではポニーテールではなく、可愛らしいシュシュも身につけていなかったはずだ。
(もしかしたら和樹の好みに合わせて……)
 思うだけで、大粒の涙がポロポロとこぼれた。
「なんで、私っ……、悔しくなんかないっ、悲しく、なんか……!」
 どうして自分は素直になれなかったのだろう。
 早く和樹に告白していれば、もしかしたら隣に立っていたのは……。
 後悔で胸が締めつけられる。廊下にがくりと崩れ落ちて、両肩を抱いてキリエは震えた。
 ――昔から何でもできたキリエにとって、和樹はどんくさい男の子だった。
 要領が悪くて、他の男子からは軽く扱われていて。誰も和樹の心根を見ようとせずにいるから、キリエにはそれが悔しかった。
 彼のそばにいるのは自分だけだ。
 そこに、いつからか優越感に近い感情を抱いていたのかもしれない。
(私、自分勝手だったのかな……)
 そんなキリエの心情が態度に表れていたのだろう。
 だからこの結末は自業自得なのだ。今になってみれば、それが身に沁みて分かる。
 けれど、和樹の言いぶりも酷かった。

「いつも横柄だ」、「高飛車」、「大嫌い」。極めつけは「裏切り者」――

 散々言い募られた。どうやら初めてできた恋人の前で、強い自分を見せたいがための態度だったようだった。
「うっ、く……えぐっ、えぐっ……!! ひっく……、うぁあっ……」
 自分が悪かった部分は仕方がない。そのことで和樹に詰《なじ》られるのなら受け入れるしかない。
 それでも、『裏切り者』という一点だけは断固として違う。それだけでも訂正できなかったのが、分かってもらえなかったのが、悔しい。
 和樹の言いぶりだと、同級生の男子から受けていた陰湿ないじめの原因が、キリエにあるのだと勘違いしていたようだった。男子たちを焚きつけたのがキリエだったと。
 そんなことがあるはずない。
 むしろ、キリエがイジメを止めたのだ。
 しかし彼らは、横から女子にしゃしゃり出られたのが気に食わなかったのだろう。だから連中は和樹に嘘を吹き込んだらしい。自分たちはキリエに唆《そそのか》されただけなのだ――などと。
 そこまで推測できたが、証拠もない。
 そして誰かのことを悪く思うのも、憎むのも――そんな自分も醜く思えて仕方がなかった。
 けれど、
「う、うぅっ……!」
 否定したのに信じてもらえなかった。
 それがなにより情けなく、悔しかった。
 誤解を解く気力などもう残されていない。
 涙がとめどなく溢れる。せめて人気《ひとけ》のないところで良かった。こんなみじめな姿、誰にも見せられない。
 いや、もういい。
 和樹に絶交され、恋人との仲を見せつけられて。これ以上にみじめなことが、他にあるだろうか。
 キリエは散々泣き散らしたあと、失意のままポニーテールをほどき、ようやく立ち上がって、廊下をとぼとぼと歩き出した。

 ――すぐ近くで、一部始終を聞いていた男がいるとも知らずに。

 ■ ■ ■

「ふぅん……」
 師藤《しどう》涼介《りょうすけ》は、おぼつかない足取りで去っていくキリエの背中を目で追いながら思案する。
 涼介がこの場面に立ち会ったのはまったくの偶然だったのだが、見知った顔ばかりだったのには驚いた。
 キリエと和樹とはクラスメイトだ。
 観察していれば分かる――キリエがあの冴えない男子に好意を寄せていることは。
 しかし、和樹のほうはそれに気づいていなかった。涼介には信じられない鈍感さだ。
 確かにキリエの和樹に対する言動にはキツいものがあったが、涼介から見れば、それは好意の裏返しでしかないことは明白だった。そんな彼女の好意に気づけないのは……素朴というより、愚鈍だ。
 霧崎キリエ。文武両道、才色兼備の美少女。
 スタイルもいい。制服の上からでも分かる豊かな胸や引き締まったウエスト、魅惑的な腰つきに目を奪われる男たちはたくさんいた。
 また一方で、男子を寄せ付けない気の強さはあるものの、それはただ不器用なだけだと観察していれば分かる。
 強気な美貌にも男子生徒のファンは多い。特にGカップはあるだろうバストには釘付けになっている男も少なくない。
 そのあたりの女性的な魅力に、本人は無自覚のようだ。
 涼介も、もともと女性としての魅力に溢れているクラスメイトだとは思っていたが、
(彼女、あんないい顔するのか)
 どうやら、思った以上に自分の『好み』のタイプらしい。
(――さあ、どうするかな)
 涼介は不穏当な笑みを浮かべて、キリエのあとを追った。

 放課後に降り出した雨は強さを増していた。
 梅雨のこの時期、連日この調子だ。昼間まではそれでも曇天で耐えていたのだが、夕方になって雨は、封を切られたように空から降り注いできた。
 そんな中でキリエは、傘も持たずに下校しており、雨に打たれるままになっていた。
「…………」
 彼女に追いついた涼介は、ずぶ濡れの背中に声をかける。
「よう、霧崎。傘持ってないのか?」
 気軽な調子で、自分の傘を差し掛けてやる。
「っ!? …………うるさい」
 初め、彼女は驚いて涼介のほうを見たが――声をかけてきたのがさほど仲良くもないクラスメイトだと分かると、一瞥しただけで顔を逸らしてしまった。
 歩みも止めない。
 どうやら、泣き顔を気取られるのを嫌ったらしい。
(――やっぱり。思ったとおりいい表情だ)
 涼介の胸は興奮にさざめく。
 気が強いくせに、打たれ弱い。変にプライドは高いから、誰かに頼ったり、弱音を吐いたりできない。そんな女性を見ると涼介は性的興奮を覚えてしまう。
 さらに言えば、そんな少女の顔が、悲痛に歪むのが大好きだ。今のキリエの顔は、絶望と自己嫌悪がほどよいバランスで混ざり合っていて、実に涼介好みだった。
 けれど、彼の趣味はそれだけでは終わらない。こんなふうに弱りきった少女を自分の虜にすること。それこそが最上の娯楽だと知っている。
「にしても、よく降るよな」
 こちらの話を気にも留めず歩いていくキリエに追いすがりながら、声をかけ続ける。当然のように反応はない。これは予想どおりだ。
 だが、
「あれ? 霧崎って、いつもポニーテールじゃなかったっけ?」
 白々しくその話題を振ってみると、
「…………。あなたには、関係ないでしょ」
 ピタリと足を止めたキリエから、怒気混じりの声が返ってきた。
「髪下ろしても似合うんじゃね? 明日、それで来れば?」
「――ッ、…………」
 振り向き、キッと睨みつけてきたかと思うと、キリエはまた早足で行こうとする。
 まったく、何から何まで想定どおりの反応を見せてくれるので、涼介は不覚にも噴き出しそうになってしまう。
「怒らせたんなら謝るよ、ごめん」
 今度こそ振り返りもせず去っていこうとするキリエ。涼介は大股で歩いて彼女を追い越し、行く手を阻む。
「なによ、構わないでっ!」
「だからごめんって。でもせめて、これだけは持って帰れよな?」
 言って、涼介はキリエの傘をぐいっと差し出し、彼女に突きつける。
 彼女のイメージにぴったりの、真っ赤な傘。
「なんで……」
 キリエの足が止まった。
 彼女の問いは、なぜ涼介がキリエの傘を知っているのか、そしてなぜわざわざ渡しに来たのか、という二重の意味が込められているようだった。
「いつもこの傘持ってたなって」
 他人を観察する目は、人一倍鋭いことを涼介は自覚している。
 特に、相手が女ならば。
「ほら、窓から霧崎が帰っていくの見ちゃったんだけどさ、なんでか傘差してなかったし」
 今日の天気予報は雨。早朝も小雨がぱらついていたし、この二週間ほどはずっとこんな天気だったので、傘を忘れる生徒など、まず居なかった。
「で、これが昇降口に残ってたから、もしかしてって思ってさ」
「違うし……」
 キリエは目を逸らして否定する。
「私のじゃないし」
「じゃあ、傘は?」
「……持って来てない」
 苦しい言い訳だった。
 二年生が使う昇降口に残っていた傘は少なかったし、赤色の傘は他になかった。
「でもさ――」
「違うって言ってるでしょ!」
 よほど他人に――特に涼介に優しくされるのが許せないようだ。涼介は、キリエが自分のようなタイプに嫌悪感を覚えているのを知っている。
 なにせ、キリエの『大好きな人』とは正反対の人種だからだ。男女問わず友人が多く、恋人のウワサも絶えず、浮ついた態度で他人と接している。あの男――和樹とは、似ても似つかない。
 そもそもキリエは、クラスでも、和樹以外の男子には冷たかった。
 人並みの社交性はあるので角が立つようなことはなかったが、こと恋愛面では、まったくの無関心。それが振る舞いに表れてしまっていた。
 だから、自分の弱っている姿を他の男子に見られるのなんて恥辱の極みだし、涼介に借りを作ることなんて、最大級の屈辱なのだろう。
「え、マジか。じゃあこれ、間違えて持って来ちゃったのか」
 涼介は狼狽えたような声を出す。もちろん演技だ。
「弱ったな」
 困ったふりをすると、キリエのしかめ面に、わずかだけ罪悪感の色が浮かんだ。
 嘘が下手で、根が優しくて、つけ込まれやすい少女――
 ますます、涼介の嗜虐心が刺激される。
「俺、これ返してくるわ。霧崎はこっち使って!」
 強引に手を取って、自分が使っていた傘を握らせる。自分が雨に打たれることなど気にしない。
 涼介が豪雨の中を駆け出そうとすると、
「ま、待って」
 キリエが叫んだ。
「それは――」
「いいから、それ使ってろ。大丈夫、俺は職員室で借りてくるからさ。返すの明日でいいからな」
 まくし立て、走り出す涼介の背中に、再びキリエの叫び声がかかる。
「ち、違うの! それ、私の――!」
 驚いてとっさに足を止める――という演技も、涼介はそつなくこなしてみせた。
「それ私のだから……こ、こんなのいらないから!」
 どこまでも素直ではないクラスメイトは、涼介の傘を突き返してきた。
「なんだ、やっぱりそうか」
「…………っ」
 キリエに赤い傘を返してやるが、彼女は傘を開こうともせず、ひたすら雨に打たれながら、うつむいてしまった。
 おおかた、嘘をついたことが恥ずかしく言い訳が思いつかなくて、礼を言うこともできず――かといってこのまま立ち去るような薄情もできず、立ち往生してしまっているのだろう。
 涼介は今度こそ本当に噴き出してしまう。
「くくっ。霧崎って、結構不器用なんだな」
「な、なによ」
「いや、ちょっと可愛いって思ってさ」
「は、はぁ!?」
 演技の延長線上ではあったが、本心でもあった。
「霧崎って、面倒くさい性格だろ?」
「っ……!? 悪い!? あなたに迷惑なんて」
 かけていない――と言いかけて、今まさにその最中だと思い至ったのか、キリエはまたも打ちひしがれて閉口してしまう。
 とことん不器用な子だ。
 涼介はもう我慢せず、肩を揺らして笑った。
「笑わないでよっ! あなたって、本当にムカツク……!」
「よく言われる。――霧崎に、嫌われてるのも知ってる」
「べ、別にそんな……」
「でも俺は霧崎のこと、割と好きだぜ?」
「な――」
「霧崎は嬉しくないだろうけどさ」
「あ、当たり前でしょ……」
「あれ? 今俺フられた? マジかぁ」
 ――そういう軽い態度が嫌いなのよ。
 キリエの表情からは、そんな感想が容易に読み取れた。
 涼介はそこで態度を切り替えて、至って真面目なトーンで、
「――ま。そんなことはどうでもいいよ。とにかく、ちゃんと傘差して帰れよな。バカは風邪引かないらしいけど……念のため、な」
「は、はぁ!? あんたには言われたくない――」
「そう。俺も風邪引いたことないんだ。バカだから。くくっ」
 からかうように笑ってから涼介は、
「じゃあな、霧崎。明日、風邪で休んだら笑ってやるよ」
 キリエの大嫌いなニヤけ顔をたっぷり見せつけてから、彼女の反応も見ずに帰路に就いた。キリエはなにか文句を言いかけたようだったが、涼介はもう聞いていなかった。

 ■ ■ ■

 誰もいない自宅に帰り着いた涼介がシャワーから上がったところで、ちょうど来訪者がやって来た。
 家には涼介だけだった。
 親はろくに帰って来ないし、姉は独立している。同居している妹は、今日は外出しているのか留守にしていた。
 彼女を伴って自室へ籠もり、早速ベッドでセックスに耽《ふけ》る。
「あっ、あんっ――」
 少女の甘い声が響く。彼女は、仰向けになった涼介の股間に跨がり、激しく腰を振って、全身で性交を愉しんでいた。
 靴下と制服のスカートだけを下半身に残し、ほとんど全裸になって、涼介のほうに向けた白い臀部《でんぶ》を大きく上下させて膣への挿入感を堪能している。
「やっ……、はっ……ぁんっ!!」
 淫らな嬌声と温もりを味わいながらも涼介は、頭ではキリエの顔ばかりを思い浮かべていた。

 警戒心を露わにした野良猫のような顔。その激しい美貌の裏に見え隠れする、傷心の苦しみ。雨に打たれた長い髪。強気なまつ毛。制服のブラウスが張りついた豊かな胸の膨らみ。

 どれもが涼介を興奮させる。
 蠢く膣内で、怒張が膨らみを増すほどに。
「ま、また大きくっ……、涼介くんっ、あっ、きもちいいっ、涼介くんも、突いて、おねがいっ……」
 少女は黒髪のポニーテールを振り乱しながら、はしたなくおねだりをする。
 ――学校で見せる顔とは大違いだ。
 涼介は、他人事《ひとごと》のような感想を持つ。他人事どころか、無垢だった彼女をこんなふうに変えてしまったのは、他ならぬ涼介なのだが。
「俺に動けってこと?」
「だって、だって……、涼介くんに動いてもらうと、すごく気持ちいいんだもんっ……」
「それにしてもさ。すごい姿だよな。男に尻の穴まで見せつけて、ガンガン腰振ってさ」
「や、やぁあっ……い、言わないでっ、涼介くんっ、そんないじわる、言わないでっ……!!」
「学校のみんなが知ったらどう思うだろうな――愛花《・・》がこんなビッチだって知ったらさ」
「や、やだぁ……っ、みんなに教えるの、やだ……っ、こんな格好見せるの、涼介くんだけなんだからっ……!」
 涼介に言葉で責められながらも、志乃原愛花は快楽を貪るのをやめようとしない。
 むしろ、淫欲が増したようで――
「愛花、ナカがきゅって締まったぞ。今想像したろ? 皆にセックス姿を見物されるところ、蔑んだ目で舐め回されるところを」
「ち、ちがうっ、ちがうのっ……! あっ、あっ、あんッ!?」
 まったく説得力のない態度と声。
 愛花は間違いなく、はしたない妄想に溺れて、さらにそのことを責められて興奮していた。
 その証拠に、結合部からはだらしない体液がとろとろと漏れて、涼介の腹までをびしょびしょに濡らしていた。
 肉棒に絡みつく膣肉の感触。
 責めてやれば責めてやるほど、少女の肉壺は収縮を強め、射精を促してくる。
「ほんと、セックスの相手としては最高だよ、愛花は」
「やぁあっ、やぁあああっ……!!」
 涼介は愛花を、恋人扱いなどしない。都合のいいときに呼び出して、その瑞々しくて、たおやかな裸体を思うままに弄ぶだけだ。
 けれど、愛花のほうもそれに不満を覚えていない。
 処女だった彼女を調教して、こんな歪な関係を作りあげたのは確かに涼介なのだが――それをいとも容易く構築できたのは、愛花にも大いに素質があったからだ。
 いや、本性と呼ぶべきか。
 学校で見せる、おしとやかで優等生な顔。けれど志乃原愛花の本性は、そんなところにはなかった。
「涼介くんっ、おねがいっ、おねがいっ……!」
「分かったよ。突いてやるから……さっ」
 愛花の白尻が振りおろされるのに合わせて、涼介は腰を突き上げてやる。
「んぐぅっ!? んっ、う……涼介くんのが奥まで来たッ!? いくっ、いくのっ、とまらないのっっっ」
 たった一回、最奥を突いただけで愛花は背中をびくびくと震わせ、絶頂に至ってしまう。
「あーあ。すぐイクよな。なあ、俺のことも気持ち良くする気あんの?」
「ご、ごめ……なさっ……、あっ!? あぅんっ」
 涼介は、まだ絶頂痙攣の最中《さなか》にある愛花の腰を、リズミカルに突き上げて、次々と快感を送り込む。
「やぁっ! んっ、あっ、おっ、んおッ」
 尻を叩き上げるたび、びちゃっびちゃっと愛液が飛び散る。
「濡らしすぎ。シーツ、どうしてくれんの?」
「ごめんなひゃっ、ひぅっ!? ぇうっ、んぅっ、ぉおっ?! んぉっ」
「つーかさ」
 涼介は身を起こして、愛花の背中を突き倒す。愛花は四つん這いになって、涼介のペニスを受け止める体勢になった。
「あいつ……なんだっけ? 和樹だっけ。幸野和樹。おまえ、あいつと付き合ってるの?」
『彼氏』の名前を出されて、愛花が慌てて首を振る。涙目で涼介のことを振り仰いで、
「あれは……あの人が勝手に勘違いして! わ、私は……そんなつもりじゃ……」
「思わせぶりな態度で、童貞くんを弄んだわけ? 最低だな」
「そ、そんな――っ」
 自身のことを棚上げにして責める涼介に、しかし愛花の反論は弱々しい。
 なぜならば――
「求められたら、誰にでも股を広げる女だもんな、愛花は」
「ち、ちがうのぉ……っ、信じて、しんじて? 涼介くんっ……」
 こうして、涼介から詰られるのを待っているからだ。
 実際彼女は、和樹とのあいだにハッキリとした交際関係を持っているわけではないのだろう。
 恋心の告白めいたこともなく、ただ勝手に和樹が舞い上がっているだけ――らしいのだが、愛花は、それすらも涼介に言い訳しない。
 だって、そのほうが気持ちいいから。
 そんな愛花の心情が、涼介には手に取るように分かる。
「和樹くんとは、本当に何でもないのっ、ごめんなさい、ごめんなさいっっ」
「関係ないのに、なんで謝るんだよ。どうせ、あいつともこういうことしたくてたまらないんだろ?」
「し、したくないっ……あ、あんな人とっ……涼介くんだけなのっ、こういうことしたいのは……、だ、だからっ」
「そんなこと言って」
 涼介は、愛花の後ろ頭で揺れるポニーテールを引っつかんで、ぐいっと引っぱる。
「んぎっ!?」
「こんな髪型、してなかっただろ? あいつに好かれたくて、こんなことしたのか?」
「ち、がうっ……!! どうしてもって言うから! そ、それで……、シュシュ、渡されちゃって、断れなくって……!!」
「おまえさ。断れなかったらセックスもしちゃうんだろ。どうせ、俺と寝たのだって――」
「ちがうっ……!」
 後背位で乱暴にされながらも、心身の苦痛を快感に変えて、愛花が哀願してくる。
「涼介くんだけなの! 他の人となんてしたくない、涼介くん以外のおちん×んなんて、欲しくないからっ!」
「ははっ。ウケるな。じゃあ、あの童貞くんは愛花とセックスできないわけだ。せっかく付き合ったのに」
「んぅっ! はっ、はっ、っ……ぁんッ!!」
 再び絶頂が近くなったのか。愛花はもう言葉らしい言葉を発する余裕すらなくしていた。
「ああ、そういえばさ」
 愛花の性感帯をペニスで何度も擦りながら、涼介はキリエのことを思い浮かべる。
「霧崎キリエって知ってる? 俺と同じクラスの。俺、あいつに告白してフられたんだよ」
「――えッ!? あっ、ぁんっ! な、なん、でっ……! んぅっ、んぁっ!!」
「あいつのことが……幸野のことが好きなんだってよ。おまえらが見せつけたせいで、霧崎のやつ、相当落ち込んでたぜ。それでも、まだあいつのことが好きみたいだ」
 突然キリエのことを持ち出されて、愛花は混乱しきっているようだ。しかし彼女はその混乱を整理する暇《いとま》もなく、ひたすらに男性器で膣奥を叩かれ、快感にその身を貫かれている。
「――えぅッ!? んぅっ、んぉッッ!?」
「でもさ。俺やっぱり、霧崎のこと好きだわ。だから……あいつと付き合うことにするよ」
「ひぅっ、やらっ、やらっ、だめっ、んっ、んっ、んぉっ、ぁぐっ?!」
「安心しろって。まだおまえには飽きてないから。こうやって、まだセックスしてやるからさ」
「――ッ、ンっ、ンぅっ……!!」
 喘ぐ愛花の蜜壺は、はしたないくらいに愛液を溢れさせ、男根をこれでもかと濡らし、搾り取ろうとしてくる。
 酷い言葉を浴びせかけられているくせに、むしろ発情しているのだ。
「――ほんと、こんなことで興奮するとか。最低の牝猫だよな」
「あッ、んぅッ、ごめんなさ、ごめんなさぃッ!!」
「いいよ。許してやるよ。これからも可愛がってやるから」
「~~~~ッッ、りょうすけくんっ、あッ、んぅッ、ひゃう、やぁっ……イクっ、イクッ」
 牝肉が、いっそう切なく、きゅぅっと肉棒を締めつけてくる。
「愛花、射精《だ》すぞ。このドMま×こに、いっぱい射精していいか?」
「はひッ、んひッ!! ……は、はいッッ」
 ピルを飲ませているとはいえ、愛花は一切の躊躇もなく答える。
「だして、だしてっ」
「おねだりは?」
 冷たい声で言ってやると、
「お、おねがいします……ッ」
 首だけでこちらを振り仰いだ愛花は、精一杯に媚びた声で求めてきた。
「――あ、愛花の牝ビッチおま×こにッ、涼介くんのせーしっ、だしてっ、いっぱい――だしてぇっ!! わ、わたしの、おま×こに、せーえきびちゃびちゃってぶっかけてっ、こわしてぇっ……! んぃッ!? あッ、あッ、ぁああああああッッッ!?」
 愛花の絶頂に合わせ、涼介も肉幹に充填されていた精液を思い切り解き放つ。熱く、粘りのある白濁液が、少女の膣にごぷごぷと流し込まれる。
「んぃいいいいっ……あ゛ッ、きてるっ、きてるっ、子宮まで来てるのッ――、あっ、ゃぁっ、んぅううううッッ……!!」
 のけ反り、快楽絶頂に溺れる愛花。
 その細い腰を押さえつけ、さらに深いところに最後の一滴まで送り込みながらも涼介は――脳裏に次の獲物のことを思い浮かべて、体の芯まで愉悦に浸っていた。

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