淫らすぎる若祖母【秘湯の宿】

著者: 源瑞稀

本販売日:2026/06/23

電子版配信日:2026/07/03

本定価:1,100円(税込)

電子版定価:1,100円(税込)

ISBN:978-4-8296-4880-3

「裕斗……お婆ちゃんの大事な所しっかり見なさい」
月光に照らされた、58歳とは思えぬ豊麗な双丘。
孫の指が秘裂を割り、熟れきった肉堤が芳香を放つ。
不動産屋を営む凛とした若祖母との禁断の二人旅。
桜島を望む隠し湯には、Gカップの美母も加わる。
湯煙の中、母娘二代で若者に捧げる極上の色香。

目次

第一章 若祖母と孫、温泉へ

第二章 お婆ちゃんで童貞卒業

第三章 禁断の裏穴

第四章 淫らすぎる美母

第五章 母娘二代、競いあう奉仕

第六章 新しい家族の始まり

本編の一部を立読み

第一章 若祖母と孫、温泉へ

 宮崎県と鹿児島県の境、天孫降臨の地として名高い霧島連山。その山道を、一台のタクシーが軽快に疾走する。八月七日、暦の上では秋だ。高さを増した青空に、入道雲が湧き上がる。傾いた南国の日差しに高千穂峰と韓国岳が偉容を示し、新燃岳が白い噴煙をたなびかせる。
 湯煙漂う賑やかな温泉街に差しかかった。石畳の目抜き通りを高原の風がサッと吹き抜け、月遅れの七夕飾りが涼やかに揺れる。
 その奥まった一角で、「薩摩藩隠し湯 星降温泉 月読の宿 子宝の湯」と行書体の筆文字で書かれた飫肥杉の建植看板が旅人を出迎えた。丁寧に手入れされた芝生から、夏草の香りが漂う。
 黒塗りの車体が茅葺きの数寄屋門をくぐり、ケヤキ並木の小径を進む。敷地の南を貫く渓流に架かる石橋を越えると、宮大工の手になる総ヒノキの木造二階建てが目前に迫る。川沿いの和風庭園には、古民家風の離れが点在している。大きな露天風呂から濛々たる湯煙が立ち昇り、いかにも温泉街らしい硫黄の匂いが旅情を掻き立てる。
 タクシーは速度を緩め、車寄せで音もなく停車した。後部ドアから、一組の男女が降り立つ。開け放たれた玄関前で、薄桃色の和服姿の仲居たちが整列し、一斉に頭を下げた。夏の繁忙期の真っ只中、歓迎看板は宿泊客の名でいっぱいだ。
「ありがとうございました。東京からのお客さんって、どこにご案内すればいいか迷いましたよ。ご満足していただけたようで安心しました。またご贔屓に」
 思いがけず多額のチップを受け取った中年男性運転手の顔が綻び、名刺を女性に手渡す。
「こちらこそ、鹿児島空港からいろんな観光地を案内していただいて助かりました。登山まで付きあっていただいて……。またお願いするわ。このお名刺にある携帯電話番号に、直接連絡しますね」
 凜とした壮年女性が微笑み、快活そうな大きめの口から白い歯がこぼれる。理知的な薄い朱唇と、それを彩る鮮やかな赤のルージュが目を引く。紫のパンプスの音を軽快に響かせ、フロントカウンターに歩を進める。濃紺のビジネススーツが、引きしまった身体のラインを強調する。
「予定通りの時間ね……」
 シンプルな国産腕時計を一瞥し呟く。艶めいた長い黒髪をポニーテールにまとめ、キャリアウーマンらしい出で立ちだ。後れ毛が張りついた白い首筋から、甘いフレグランスの香りがふわりと漂った。
「お婆ちゃん、待ってよ」
 パンパンに膨らんだボストンバッグを両腕に抱え、青年が後を追う。優しげな童顔に対し、意外なほど低い声だ。痩身にまとった生成りのサマートレーナーとベージュの綿パンには、じっとり汗が滲む。
「慌てないでいいわ。それより、靴の土を落としなさい。お婆ちゃんは履き替えたからいいけど……」
 孫は入り口の泥落としマットに、黒いスニーカーの底をこすりつけた。
「おじゃったもんせ、和恵さん」
 清楚な女将が深々と頭を下げ、祖母と孫を出迎える。接客業にふさわしい、高く通る声だ。淡水色の御召に薄桃色の袋帯がよく似合う。艶やかな黒髪をアップにまとめ、覗くうなじから淑やかな色気が漂う。
「ご無沙汰しております、若女将さん。あっ、女将さんでしたわね、日高さん。町起こしの時以来ね」
「ええ。あの頃は先代女将、母の見習いでした。先年母が亡くなり跡を継ぎましたが、まだまだ修行中でございます」
 謙遜しつつも、オーナー兼女将としての矜持が伝わってくる。
「あれから二十年ちょっと。だけど、まるで昨日のことみたいね……」
 和恵と女将が旧交を温める横で、青年が会釈した。
「こちらは?」
「孫の裕斗。この春、大学に入学したばかりで、今回はお祝いの旅行よ。私も東京の不動産屋を夏休みにして、少し羽を伸ばそうと思ってね。一人でやっているから、疲れがたまっちゃって」
「さようでございましたか。こんにちは、裕斗君。さすが都会の男の子ね。恰好いいわ」
「お世話になります。ところで、さっきの『おじゃったもんせ』ってどういう意味ですか?」
「フフフッ。いらっしゃいって意味よ。挨拶は薩摩弁でしなさいって、先代女将の教えでね。あとは裕斗君に分かる言葉で話すから、気にしないで」
 吊り気味で二重の鳶色の瞳が、初対面の青年を優しげに見つめる。純和風の瓜実顔、気品溢れる美しい三日月形の眉、そして気高い鼻が、いかにも格式ある老舗旅館の女将らしい。
「はい……」
 純情な青年は、大人の女性にじっと見つめられ下を向いた。牡の象徴がビクンと跳ね、膨らみつつある。
(バレたらまずい……)
 昂りを悟られないように、ボストンバッグで無理やり押さえつけた。かえって女将の視線を感じ、いっそう膨張する。
「じゃあ、宿帳を」
 女将自ら奥の応接室に招き入れた。上質な空間には伽羅のお香がほんのり漂い、和モダンの応接セットが鎮座している。透明ガラスのテーブルに、ベテラン仲居が一枚紙と筆を差し出した。
「お婆ちゃんが書くわ。えーっと、住所は東京都……電話番号は携帯でいいわね。名前は藤堂和恵……フリガナはトウドウカズエ、年齢は五十八歳っと。裕斗……ユウト、年齢は十八歳ね」
「ええっ。和恵さん、五十八歳なんですか? てっきり、もっとお若いかと」
 記入を見守っていた女将が驚き二度見する。
「お上手ね。お世辞でも嬉しいわ」
「本気ですわ。白髪はないですし、背筋は伸びてお身体も引きしまって……。失礼かと存じますが、その、出るところは出ていて張りがあって……」
「たしかに同年代の女性よりは白髪は少ないけど、染めているの。不動産屋って商売柄ドタバタ走り回っているから、身体は引きしまっているのよ。それに、近くの大学の生協で学生さんや教職員向けのお部屋を斡旋していて、若い方々と交流しているから若く見えるのかもしれないわ」
「それにしても綺麗なお肌。外回りしてらっしゃるのに、雪みたいに白くて素敵です」
「紫外線は美容の大敵。日焼け対策は厳重にしているの。女将さんこそ綺麗なお肌ね」
 閑寂な室内に、キャリアウーマンの涼やかな声色が響く。頬が柔らかに膨らんだ丸顔が、実年齢よりも若く見せている。広い額に走る直線的な眉が、女一人で不動産屋を立ち上げ生き残ってきた意志の強さを物語る。
 やや垂れ気味のくっきりした二重に濃く長い睫毛、スッと伸びた優美な鼻筋、そして気品溢れる薄い唇は、玲瓏な美と親しみやすさを兼ね備える。客商売向きの快活な性格を象徴する大きな口が開き、並びのよい皓歯が覗いた。隠しきれない目尻の小皺とほうれい線から、深い人生経験が滲み出ている。
「では、お部屋にご案内します。離れの桔梗の間とのご指定でしたよね」
 女将がにっこり微笑み立ち上がった。肉厚のおちょぼ口に施された薄桃色の口紅が、南国美女らしからぬ透き通るような白肌に映える。話すたびに八重歯が見え隠れし、秀麗な顔立ちに愛嬌を添えた。
「ええ。渓流に近いお部屋に泊まりたくて。じゃあ、裕斗、行きましょう」
 隣でかしこまっていた孫に優しく声をかけ、若祖母はゆったり腰を上げる。
「裕斗君、お荷物お持ちしますね」
「お願いします……」
(ふんわりした手……。あったかい……)
 手と手が触れ、その柔らかい感触と温もりが青年の心と股間をときめかせた。
 先導する女将は、和恵の肩ほどの背丈しかない。小柄ながらも優美さと芯がある立ち居振舞いは、いかにも薩摩おごじょらしい。
 着物の裾を華麗に捌き、本館と離れをつなぐ廊下に白足袋の清冽な音が響く。歩を進めるごとに、化粧と伽羅が入り混じった高雅な香りが漂う。
 慎ましくも艶めかしい大人の色香にあてられ、裕斗は前かがみになり二人の後を追った。

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