本販売日:2026/06/23
電子版配信日:2026/07/03
本定価:935円(税込)
電子版定価:935円(税込)
ISBN:978-4-8296-4884-1
家族に疎まれ、退屈な日々を過ごす中年会社員・岩田。
図書館で再会したのは、眩しく成長した隣家の娘・結菜。
文学を通じて心を通わせる裏で膨らみ続ける不埒な妄想。
密室同然の書架の陰で、男の魔指がついに牙を剥く!
密やかな愛撫は、清純な乙女を背徳の悦楽へ導き……
羞恥を快楽に塗り替え、処女を牝に堕とす静寂の聖域。
第一章 予期せぬ再会 隣家の娘と図書館
第二章 書架の陰の暴走 ミニスカートと勃起
第三章 公共の場での淫行 おじさんの指と絶頂
第四章 結菜の葛藤 愛撫と抗えない身体
第五章 散らされた処女 ラブホテルと膣内射精
第六章 乙女の部屋で 体操服とブルマ
第七章 禁断の一泊旅行 露天風呂とフェラチオ
エピローグ 愛の証
本編の一部を立読み
第一章 予期せぬ再会 隣家の娘と図書館
その日の朝も青空が眩しくて、空気は澄みきっていた。家を出て空を見上げれば、誰もが胸躍る気分になれるはずだ。しかし四十二歳の中年男・岩田俊樹の表情に覇気は感じられない。元々冴えない顔立ちである彼だが、落ち込んでいては周囲に与える印象が益々悪くなってしまう。
(なんだろうな、オレの人生は。このまま終わっちまうのかな……)
二年間に及ぶ単身赴任をやっと終えて自宅に戻り、早二週間。見送りもなく玄関を出た男は、型落ちの軽自動車に乗り込んで溜め息を吐く。結婚して娘をひとり授かり、マイホームも手にして人生は順風満帆のはずだった。だがいつからだろうか、自宅は憩いの場ではなくなっていた。
俊樹は身長百七十二センチ、現在は年齢相応に少し腹の出た体型をしている。なにをしても常に平均的な成績で、どこにでもいそうな風貌とも相まって目立たない毎日を送ってきた。だが特に不満はなかった。これといった夢がある訳でもなく、なにより注目を浴びることが苦手だったからだ。
そんな性格だから恋にも奥手だった。肉体が健康であれば、成長と共に自然と異性に目が向く。しかし想いを伝えて性行為に移るにはなにより前向きな性格が重要となってくる。ここ一番での度胸がないのならひとり悶々として過ごすしかない。俊樹はごく平均的に小学時代には初恋を経験していたが、恋心を相手に伝えるには至らなかった。
中学、高校と成長していってもその傾向は変わらず、女性と満足に手を繋いだこともなく大学へと進学した。選んだ進路は文学部だ。運動が苦手で内向的な日々を送っていたせいで、いつしか本たちが友となっていたのだ。将来は本に関わる仕事に就けたら良いとも考えるようになっていた。
だがここで大きな転機が訪れる。同じ文学部の同期女性に猛烈な恋心を抱いてしまったのだ。後になって思えば、なぜそれほど執着心を持ったのか理由が分からない。彼女の外見は特に派手な訳ではなく、どこにでもいそうな地味めの雰囲気だったからだ。なのに自然と目が吸い寄せられ、気になって仕方がなかった。
身体の成長がほぼ終了して精力が充実していたせいもあってか、彼女のことを考えると異様な性欲に襲われた。同時に耐えきれないほどの切なさにも見舞われ、一睡もできない夜を経験した。夢精を経験したのはこの時が初めてだ。自分はおかしくなってしまったのかと不安になり、胸中は荒れるばかりだった。
そこで俊樹は一大決心をし、同期の彼女に想いを伝えるべく動き出した。陰鬱な状況から抜け出すには行動するしかない、そう思い至ったのだ。
その恋路は最初から苦難の道程だった。日本文学専攻の自分に対し、彼女は外国文学。これまでに外国文学も多少は読んできたものの、踏み込んだ内容には到底付いていけない。そこで俊樹は彼女に近付きたい一心で大学の図書館に通い詰め、外国文学を読み漁った。自分の専攻もこなしながらの日々は正直大変だった。だが不思議と力が湧いてきて、様々な外国作家の知識を得ることができた。
後はさり気なく話し掛けるだけ──しかし現実は非情だった。タッチの差で彼女は他の男と交際を始めてしまったのだ。恋に夢中の女性にはどんな甘い誘い文句も通じない。そればかりか、自分を上げて恋敵を落とすような話でもしようものなら仇敵として認識される。残された手段は彼女の交際が失敗に終わるのを待つだけとなるが、大抵の場合それは成就しない。俊樹の場合も例外ではなく、彼女は毎日幸せそうで一年後には入籍まで果たしてしまった。
こうして片思いは終わり、俊樹は言い知れぬ絶望感に包まれた。だが図書館通いは止めなかった。寂しさを紛らわせる方法が他に思い付かなかったからだ。金銭に余裕があれば呑み歩いて馬鹿騒ぎをすることですぐに立ち直れたかも知れない。でも俊樹の家庭は中の下といった財力状況で、大学生活を維持するにはアルバイトが必須だった。娯楽に回すお金の余裕などなかったのだ。
その点、大学や公営の図書館であればお金を掛けずに充実した時間を過ごすことができる。本に描かれた世界は広大で、好きな時に好きなだけ意識の旅が楽しめる。物語の主人公に自分を重ねたりあれこれと考察したりするのはこの上ない気晴らしとなったのだった。
しかし俊樹の挫折はこの経験だけに留まらなかった。大学卒業後の夢は本に関わる仕事に就く──編集者になることだったが、それには少し能力と適性が足りていなかった。何社も出版社の採用試験を受けたが結果は全滅で、家庭の事情を考えれば就職浪人もできない。どうにか内定を取り付けたのは教材を取り扱う会社で、当初の夢からは遠く離れることとなってしまった。
それでも人生、悪いことばかりではない。同期の彼女との恋には破れたが、バイト先で他の女性と親密になれたのだ。
彼女は大学こそ違うが同級生で、少し勝ち気な性格をしていた。見た目は平凡で見蕩れるようなことはなかったが、それが逆に良かったのかも知れない。彼女も同じ思いだったのかなし崩し的に交際が始まり、それからの毎日は刺激あるものになっていった。
交際と言っても特別なことを毎日行う訳ではなく、一緒に買い物へ行ったり遊びに行ったりする程度だ。だがこれが初めての交際だけに、この上なく幸せだった。彼女──綾海と過ごす日々が増えるにつれ、俊樹はある不安に駆られるようになった。綾海が自分に飽きて振られるのではないか、そんなネガティブな思いにばかり囚われるのだ。外国文学専攻の彼女への恋が破れたショックは、確実に男の人生に影響を及ぼしていた。
その時の年齢は二十一歳、俊樹はまだ童貞だった。キスだって無論経験がなく、セックスへの期待が膨らむ一方で恐怖も募っていった。交際に於いて肉体関係は重要なイベントだ。最初から性的接触はなしと決めているならともかく、ごく普通の交際をする者は避けて通れない。しかも成功が大前提となる。もし失敗すれば気まずくなり、交際は終わってしまうだろう。
自分は他の男性に比べて容姿が劣っている。身長は平均的だし顔立ちはブサイクだ。なのに交際ができるようになった幸運を情けない理由で台無しにはしたくなかった。そこで俊樹は一計を案じて、綾海に内緒で風俗を利用することにした。とにかく女性を経験して度胸を付けるのと、色々な愛撫を習得するのが目的だ。彼女を裏切るようで気が引けたが、より細やかに尽くすことで償うと決めた。
いざ風俗店へ行ってみると、案の定ペニスは勃起しなかった。出てきた嬢は三十代前半の歳上で顔も身体も中の下だったのに、緊張が酷くて青ざめるほどだったのだ。しかし事情を打ち明けると嬢は相好を崩し、その後数回にわたって手取り足取り性技を伝授してくれた。お陰で綾海との初夜はどうにか乗りきることができて、破局を迎えずに済んだ。あの時の嬢には感謝しかない。
こうして綾海との交際は続き、大学を卒業して一年後に結婚まで漕ぎ着けた。少々性急だった気もするが、その交際が最初で最後に思えて焦りを抑えられなかったのだから仕方がない。そして仕事に打ち込んでマイホーム購入の目処が立ち、綾海が身籠もったのを機に新居へ引っ越した。産まれてきたのは娘で、その時の喜びはひとしおだった。自分は生涯独身で過ごすのではないかと半ば諦めていた時期もあったからだ。
綾海も娘の誕生を喜び、家事と育児に頑張ってくれた。帰宅した際に出迎えてくれる家族がいる、この幸せに勝るものが他にあるだろうか。妻と娘のためにとやる気が湧き上がり、一層仕事に励めるようになった。それなのに──。
男は大きく溜め息を吐き、赤信号で軽自動車を停める。家族の団らんがなくなったのはいつからだろう。娘の琴葉が初潮を迎えた辺りが分岐点に思える。現在中学三年生の彼女とは毎日会話らしいものがない。話し掛けようとすると、不機嫌も露わにすぐ自室へ籠もってしまうのだ。
妻の綾海ともろくに言葉を交わしていない。出勤前の会話は帰宅時刻を聞かれるだけで終わり、帰宅後はおかえりなさいのひと言だけだ。娘に距離を置かれる理由はなんとなく分かる。年頃になった少女が父親を生理的に避けるようになるという現象だ。だが妻の態度はなんなのだろう。一応心を通わせ合って一緒になったのに、妻の取る冷たい態度が理解できない。
平日はともかく、休日は更に肩身が狭い思いをする羽目になる。自分の家なのに居場所がないのだ。〝なにか用事はないの?〟これが休日の妻から真っ先に聞かされる台詞だ。それは邪魔だから家にいるなという意味に他ならない。そこまで邪険にされる理由が見当たらないだけに、俊樹の精神は崩壊寸前だった。
そんな折に遠方への転勤命令が出た。自宅から車で六時間かかる距離で、単身赴任となるのは確実だった。しかし俊樹には却って有り難い辞令と言えた。妻と娘から暫く距離を置けば、お互いに気持ちが落ち着いて昔の笑顔溢れる家庭に戻れるかも知れない。転勤の辞令をふたりに告げた際に最後まで反対の言葉が聞かれなかったことも、単身赴任を決意する後押しとなった。
(……上手くいかないもんだ。どうすりゃいいんだろうな)
信号が青に変わり、中年男を乗せた軽自動車は会社への道を進み出す。家庭内の不和を距離と時間に解決してもらおうとしたが、結局なにも変わっていない。明日は土曜日なのだが少しも心は躍らず、いっそのこと休日出勤でも命じられないものかと思えてしまう。情けない内容の悩みだけに相談できる相手もなく、俊樹の冴えない顔は益々覇気を失ってゆくのだった。
「……ねえ、なにか約束あったりしないの? ゴルフとか」
「……いや、特には……。第一、ゴルフなんてしたことないよ」
予想していた通り、土曜日は微妙な空気で始まった。起床した夫を待っていたのは、妻の冷ややかな視線と思わせぶりな言葉だった。娘はリビングでスマートフォンに夢中で、おはようのひと言もない。ここは親としてぴしゃりと叱ってやる場面だが、娘との関係が悪化するのを恐れる俊樹にはそれができなかった。
朝食は質素かつ手抜きもいいところで、ダイニングテーブルに置かれているのは六枚切りの食パンの袋がひとつのみ。袋は開封済みで二枚しか残っていないが、自分の分を残しておいてもらえるだけ有り難いと言うべきか。
男は溜め息を堪えてトースターでパンを焼き、冷蔵庫からマーガリンと牛乳を取り出して手早く胃に押し込む。妻が食事に手を抜き始めたのはいつからだろう。居心地が悪くてたまらず、俊樹はそそくさと着替えて玄関へ向かう。
「ちょっと出てくる。夕飯頃に戻るから」
「あら、そう」
リビングに声を掛けると妻の返事だけが届く。その声色にはやれやれといった感情が滲んでいてやるせなくなる。娘の琴葉は相変わらずひと言も発しない。自分にも反抗期はあったがここまで酷くはなかったのに。
男は軽自動車の鍵を手に表へ出る。出掛けてくるとは言ったものの、行く当ては特にない。それにこういう時に連める友達はいないし、小遣いも心許なかった。となれば──車に乗り込んだ俊樹は行く先を市立図書館に決める。公営の施設は庶民の味方だ。お金を掛けずに充分時間を潰せる。昼食はコンビニで軽食でも買えば良い。
車で十分足らずの距離に図書館はある。駐車場へ乗り入れてみると、停めてある車はまばらだった。パソコンやスマートフォンで自宅にいながら最新の情報が簡単に手に入る時代だ、利用者が減っているのも致し方ない。だが本好きには却って良い環境になったと言えるのではないだろうか。混雑に煩わされることなく読書や調べ物に没頭できるのだから。
(……あれっ? あの子は……)
車から降りて図書館の玄関へ向かう途中、中年男は駐輪場から現れた制服姿の少女に気付く。制服の上衣は紺色のブレザータイプで、私立の学園のものだ。艶やかな黒髪を肩口まで伸ばし、身長は百五十五センチといったところか。全体的に細身だが、青のタータンチェックのミニスカートから覗く太腿はいかにも健康的だ。ぼうっと輝いていて目に眩しい。
白のブラウスに臙脂色のワンタッチネクタイを合わせ、すらりと長い足には紺色のハイソックスが良く似合っている。足下を飾るのは黒のローファーで、良く磨き上げられていることから少女が真面目な性格なのだと分かる。
彼女との距離が近付いてゆくにつれ、その顔立ちが端正に整っていることも分かってくる。長い睫毛に澄んだ大きな瞳、形の良い桜色の唇、細いおとがい──どの部分にも非の打ち所がなく、つい見蕩れてしまう。色白の透き通るような柔肌にも心音を加速させられる。自分とは住む世界が違う美の化身だが、俊樹にはその美少女に見覚えがあった。
「……もしかして、結菜ちゃん、かい?」
思わず声を震わせながら男は話し掛ける。すると制服少女は細い美脚の歩みを止め、ぱっと美貌を綻ばせて愛らしい声を上げる。
「あっ、俊樹おじさん!? 単身赴任終わったんですね、お帰りなさい!」
やっぱり──中年男は予想が的中するも驚きを隠せない。彼女は羽田結菜、岩田家の西隣に住む羽田家の一人娘だ。自分たちと同じく親子三人の暮らしで、お隣さんとして接するようになってもう十年が経つ。羽田家とは家族ぐるみの付き合いで、家長の高次とは歳も近く数少ない友人のひとりだ。
「うん、ただいま。そう言えばきちんと挨拶に行ってなかったね、ごめん」
俊樹は胸をじんわりと熱くする。結菜が掛けてくれた言葉は妻や娘からはついぞ聞けなかったものだった。幼い頃から優しかった結菜だが、そのまま立派に成長したようだ。
本当の父親のように嬉しい一方、実娘の琴葉とつい比べて落ち込んでしまう。琴葉は結菜のひとつ歳下で、姉妹のように仲が良い。なのに結菜とは違って琴葉には少々優しさが欠けている。育て方が悪いのかと自分を責めたくなる。
親娘のようなふたりは図書館へ入り、一階のバルコニー型歓談スペースに腰を下ろす。丸テーブルと椅子のセットが並ぶそこは飲み物の自販機が備わり、外の陽気や風を楽しみながら読書や雑談ができる。だが周囲に人影はなく、憩いの場は静まり返っていた。
「どうかしました?」
「……え、ああ……、結菜ちゃん、綺麗になったなぁって。最初は別人かと思ったくらいだよ」
少女にきょとんと覗き込まれて、冴えない中年男は赤くなって頭を掻く。結菜とは二年振りの再会となる。元々器量好しだった彼女だが、暫く見ない間に格段の成長を遂げていた。特に良く育ったのが胸元で、硬い生地のブレザー越しにもそこが相当なボリュームを持っていると分かる。Eカップか、それともFか──娘も同然の乙女に邪な思いを抱いてしまい、俊樹は益々頬を熱くする。
「やだ、そんな……。でも嬉しいな、おじさんにそう言ってもらえて。ふふっ」
結菜も恥ずかしそうに頬を染め、眩い笑みを浮かべる。その笑顔にまた中年男は視線を奪われる。
なんと可憐なのだろう、いつまでも見詰めていたくなる。モデルの如きスタイルと美貌を備えている上に性格も良いのだから、学園ではさぞもてるに違いない。これほど美しくなったのは恋人ができたからではないのかと思うと、俊樹の胸はなぜかぎゅうっと締め付けられる。
切なさの混じったその感情には醜男の自分にも覚えがある。これは恋心ではないのか──そう思い至った刹那、男の心音は急激に加速する。あってはならないことだが、俊樹はこの時遥か歳下の少女に心を奪われていた。