06/26 電子版発売

清楚な同級生を想いながらも彼女の悪友の肉体にドハマりする話3

著者: 間宮キヨヒロ

電子版配信日:2026/06/26

電子版定価:880円(税込)

別荘から帰ってきても、友貞や進道さんと家で交わる夏、
元気いっぱいな義妹・黒永ハルが部屋に転がり込んできた!
褐色肌の陸上部女子の彼女と、突如始まった同棲生活。
それでも、セフレ達との関係はやめられずにいると義妹にバレ……
さらに性に飢えた養護教諭・甘谷涼鳴、ハンサムな使用人・玖条緋滝も登場!
ますます収拾のつかないハーレムの沼へ大ハマリ!?

目次

プロローグ

第一話 ハルとの遭遇

第一話 幕間

第二話 発表会

第二話 幕間

第三話 先輩、最低ですね

第三話 幕間

第四話 オープンスクールにて

第四話 幕間

第五話 甘谷涼鳴

第五話 幕間

第六話 その後の彼女たち

エピローグ

本編の一部を立読み


プロローグ



 私、甘谷涼鳴《あまたにすずな》は常に飢えているのだ。
 常に欲望のままに貪っていないと、心が満たされない。
 思い返せば、幼い頃の私は恵まれていた。満たされていた。
 美しい母に優秀な父。郊外の庭付きの一戸建てで仲睦まじく暮らす。絵に描いたような幸福な家庭。
 だがそれは長く続かなかった。
 母が他に男を見つけ家を出ていってから一転、家の中は冷たくなった。休日はあれだけ我が家でガーデニングに日曜大工に勤しんでいた父は、曜日を問わずに以前よりもさらに仕事に没頭し、家を空けるようになった。母以外の女を見繕ってからはそれも激化した。
 当然、私は孤独になった。
 孤独を癒し、満たし、紛らわせるつながり《・・・・》が欲しかった。
 家の外でもそう変わらなかった。
 友達とは上辺の付き合いでしかなかったし、家族以上に近しい関係になれる見込みのある存在は見当たらなかった。
 だけれども、私には母譲りの容姿に恵まれた肉体があった。
 つながりが欲しかった。
 つながりは簡単に作れた。
 どこか寂しげだった私を心配した中年の生徒指導の教師が最初の相手だった。
 妻子持ちだった彼は、職場や家族に隠れて、私の身体を求めてきた。彼も私と同じ孤独を感じていたんだろうか。シンパシーを抱いた私はただ受け入れていた。だが、調子付いて私以外の女子に手を出そうとしたことが露見し、全てを失った。ああ、結局この人は私以外でも孤独を満たせたんだ。
 がっかりした。
 つながりは容易く切れ落ちる絆でしかなかった。
 私の悪癖は大人になってからも続いた。
 学校で養護教諭として働く傍ら、オフでは行きずりの相手と肉体関係を結んだ。
 男ともした。ヤリチンとも童貞ともした。独身ともしたし、既婚者ともした。若い男とも年を重ねた相手ともした。たった一人とも、部屋を埋め尽くすほどの複数人ともした。日本人ともしたし、外国人ともした。男だけでなく女ともした。バイともしたし、レズともしたし、単に女同士に興味のあるストレートともした。
 とにかく色んな相手と交わった。
(流石に生徒や同僚には手を出さなかった。それだけの自制心は持ち合わせていた)
 だけど結局、いくらつながりを求めても私は満たされなかった。私の中に居座る飢えが解消されることはなかったのだ。
 セックス以外のことにも手を伸ばしたことはある。だけれども長くは続かず、結局はセックスに戻ってきてしまうのだ。
 私はどうしようもない女だ。本当にどうしようもない女なのだ。

「よしこれでいいですかねぇ。見た目よりは深刻な怪我じゃないみたいですよ」
 目の前の三つ編みと眼鏡が特徴的な女の子──硬い雰囲気はあるけれど、かわいらしさのある子──に声をかける。傷口を消毒して、ガーゼと包帯で巻いて完了。
「すぐに傷口も塞がりますよ」
「結構血が出てたんでビックリしたんですけどね」
「血管が近かったから、血が出ちゃったみたいですねぇ」
「ふふ、黒永《くろなが》君ったら自分のことみたいに、まるで鬼気迫る勢いでしたよ」
「目の前であんだけ血を出されたらビビるんだよなぁ」
「まったく大袈裟ですよ先輩。わざわざ部のトップのお二人が同行される必要なんてありませんよ。立場のある進道先輩のお時間を無駄にしてしまって申し訳なさでいっぱいです」
「無駄ではありませんよ。万が一ということがありますからね」
 彼女と彼女を保健室《ここ》に連れてきた一組の男女の生徒が、安堵した顔を見せる。女子の方はそこまでといった感じだが、男子の顔は先ほどまで深刻極まりなかった。
 女子は性別柄出血に慣れているところがある。けれど男子にとっては実際よりも重篤に感じてしまうのだろう。
 二人はボランティア部の部長さんと副部長さんだ。活動中に怪我をした部の後輩を保健室に連れてきたのだ。
 部長さんの方は進道姫奈《しんどうひめな》さん。烏の濡れ羽色の長髪に、白い肌が特徴的な美しい女の子だ。メリハリのありすぎる体つきも併せて、一度見たら二度と忘れることはないビジュアルの持ち主だ。天は一人の女の子に二物も三物も与えたようで、文武両道かつ、お金持ちのお嬢様でもある。
 私の手当を受けた後輩の女の子も彼女には心酔しているようだ。無理もないなと思った。
 一方、副部長の男の子──黒永和泉《いずみ》君は当の後輩からは良く思われていないようだ。舐められているようで、態度からも侮りの色が滲み出ていた。
 実際、彼は顔立ちこそ整っているものの、どこか頼りなさがあった。クラスの女の子からはモテるタイプではない。もっと派手で話好きそうな男子の方が同年代の女子から支持されるものだ。
 と、不躾な当て推量はやめにして、生徒たちに意識を向ける。
 弛緩した雰囲気になっている中、黒永君が切り出した。
「あんまし長居すると迷惑だろうし、俺たちもはやく退室しようか」
「先輩の言う通りですね。他の部員はもう解散しているらしいですし、私たちも早く帰りましょうか」
 後輩の子も追従した。
「ああ、お二人はお先に行っていていただけますか? 私、実は甘谷先生に用がありまして」
 進道さんだけ保健室にとどまるつもりのようだ。私は驚く、見たところ怪我はしていないようだけど、何か目につかない部分で悩みがあるのだろうか。
「へえ、そうなんだ」
 どこか訝しんだ目で黒永君が彼女を見つめた。
「ほら、早く行きますよ黒永先輩。きっと大事なお話なんでしょう。先輩ごときが邪魔しては損失です」
 そんな彼を引っ張っていく後輩さん。
「まったくお前の減らず口は。進道さん、じゃあ俺たちは先に行ってるよ」
「お先に失礼します。甘谷先生、ありがとうございました」
 二人が私にお辞儀をして去っていった。
「はて、私に用とはなんですかねぇ?」
 キャスター付きの椅子を進道さんに向けて、私は言った。
 そんな私に対して彼女が切り出した。それは不可解な一言だった。
「うふふ。私、甘谷先生と同類なのですよ」
 同類? 彼女の台詞の文脈が読み取れない。
「はて、なんのことでしょう?」
「失礼ながら、私、甘谷先生の身辺を探らせていただきまして」
 はっ、となる。思わず目を見開きそうになった。
「な、なにがしたいのですかぁ? 私はただの養護教諭ですよぉ」
 私のプライベートの性的事情を彼女は知っているのだろうか。知った上で何を要求してくるのだろうか? なにかしら脅してくるのだろうか。
 首筋に冷や汗を垂らしながら、私は思索を巡らせる。
 だが、目の前のお嬢様はそんな私の反応が意外なようだった。
「ええと、特に甘谷先生に対して何かをしようとは……。ただ、調査の結果、先生が私と同類なのかと思いまして」
 進道姫奈が私の同類? 実は彼女も夜な夜な男を漁る悪癖があるとか。いやそれはなさそうだ。でももしやということがある。
 彼女が隣の黒永和泉を見る目には、どこか艶めいたものが感じられた。後輩の子にはわからないかもしれないが、特殊な経験を積んできた私にはわかるのだ。
「私と同じく、心の裡《うち》に寂しさを抱えた人間ってことですよ」
 にっ、と口角を緩める彼女。副部長さんと後輩さんは彼女のそんな一面を知っているのだろうか?
 進道姫奈。清楚なお嬢様という概念をそのまま絵に描いたような少女。学校中の誰もが憧れる彼女の知られざる一面が今、私の前で開陳されている。
「こちら、渡しておきますね」
 QRコードのみが描かれた名刺状のカードを渡された。表面はざらついた質感で、肌触りが良い。きっといい紙を使っているのだろう。
 そして、彼女は保健室を後にする。
 だが、ドアを少し開けて顔を突き出して言った。
「あ、ご覧になられるのでしたら、他に人のいる場所ではお控えになった方がよろしいかと思います」
 そう言い残して彼女は去っていった。
 彼女から手渡されたカードを手に取り、ぼんやりと視界に収める。
 これで、私の人生が変わりそうだ。
 中身を見ていないのに、何故だかそう感じてしまう。
 今までの人生が否定されてしまいそうだ。それが怖いのだ。

 その日の夜、自宅にて中身を目にした私の眼《まなこ》は驚愕で見開かれた。
 まさか進道姫奈……そして黒永和泉と奇妙な関係《つながり》を築き上げることになるとは夢にも思っていなかった。
第一話 ハルとの遭遇



 車から降りた俺は、車内の四人の女性に挨拶をする。
「玖条《くじょう》さん、ここまで送ってくれてありがとうございました」
「いえ、これが私の仕事ですので」
 パンツスーツ姿の女性が謙遜して返す。
「黒永君、長時間の車移動でお疲れでしょうから、今日はご静養くださいね」
 女性の主人、俺の同級生の進道姫奈が労《ねぎら》いの言葉をかけてくる。
「進道さんも楽しい時間をありがとう。これからきっちり休ませてもらうよ」
 彼女と同乗する二人の少女、友貞花怜《ともさだかれん》と戸澗夢来《とまゆあ》にはあちら《・・・》で散々酷使《・・》されたから、きちんとリフレッシュしなくては。
 俺は夏休みに入ってからこれまで、進道さんの家が所有するリゾート地の別荘で彼女たち三人娘と四六時中交わっていたのだ。
 おかげで下半身の疲れが半端ない。進道さんの忠告通り、本日はゆっくりさせてもらおう。
「じゃ、今日はきっちり休んでもらって。明日からはまた頑張ってねぇ~」
 友貞がへらへらした顔で言う。
「お前さぁ」
「まあ、アタシたちも超《ちょ~》疲れてるからちゃんと休むよ」
「お前とこれ以上ヤったら身体がボロボロになるしな」
 戸澗が友人に賛同するように述べる。人をセックスモンスターだと思いやがって。
 そして俺は改めて彼女たちに別れの挨拶を済ませ、帰路についた。見慣れたアパートの階段を荷物を抱えながら上っていく。自分の部屋のあるフロアに着いた時、違和感を覚えた。
「えっと、あの女の子は確か」
 黒いメッシュキャップを被った、半袖の白Tシャツに黒のショートパンツ姿の少女が部屋のドアの前に立っていた。帽子の隙間から茶みがかった短髪がうかがえる。いかにも活発そうな女の子だった。俺よりも小柄な彼女は、ボストンバッグを足元に置いて手持ちのポーチの中を探っていた。
「お母さんから鍵を預かってたんだけど、どこやったっけ?」
 歩み寄ると、彼女が俺の存在に気付いた。
「久しぶりっす、和泉義兄《いずみにい》さん」
「ハ、ハルちゃん……!」
 俺の義妹である黒永ハルがそこにはいた。母親の再婚相手の連れ子の女の子の彼女とは久方ぶりの邂逅だ。
 日焼けした肌に汗が滲んでいる。この暑さで最寄りの駅から歩いてきたのだろうか。
「と、とりあえずうちに入ろうか」

 俺は今、ベランダで母と通話をしていた。
 閉め切ったガラス窓の向こうの部屋の中では、ハルちゃんが俺の出した麦茶を飲んでいる。
「あんたがあんまりにも帰ってこないからハルちゃんを派遣したのよ」
「つっても事前の連絡もなしに寄越すのはどうなんだよ」
「事前の連絡ならLINEでしたけど」
 母の言葉で、メッセージアプリの履歴を覗く。スクロールしてもそれらしきメッセージはない。
「ないんだけど」
「ほら、ちゃんと『今度の夏は〝家族で〟過ごしてみるのもいいかもね。独りは体によくないよ?』って送ったでしょ」
「そんなんじゃわかるわけねーだろ!」
 もっとはっきり伝えろはっきり。
 俺が呆れていると、
「それにハルちゃんさ、あんたの学校のオープンスクールに参加するからね」
「え、なんで?」
 地元の学校を受けるのではないのか?
「はぁ……あんたってばほんとにもう」
 今度は母が呆れて続けた。
「ハルちゃんはね、陸上の大会でいい成績を出したの。だからあんたの学校のね、スポーツ推薦の受験を検討しているのよ」
「最近大会が終わったばかりで、間も置かずにオープンスクールの参加だからね。結構負担がかかっているみたい。和泉、お兄ちゃんとして気遣ってあげなさいよ」
 矢継ぎ早に話を進める母。最早、俺が断ることなんて彼女の頭にないだろう。俺だってもうとっくに覚悟を決めている。まさか、ハルちゃんを追い返そうだなんて微塵も思っていない。
 電話を終えて、部屋に戻った俺にハルちゃんが心配そうな顔で声をかけてくる。
「あ、あの、和泉義兄さん、いきなり押しかけちゃってごめんなさいっす」
 不安でいっぱいの顔だ。俺は冷房の風に心地よさを感じながら、なんともないといった雰囲気で返す。
「別に全然大丈夫だから。俺の方こそきっちりおもてなしできなくてごめんね」
「いえいえあたしが……」
 このままじゃ堂々巡りになるから、打ち切るしかない。
「もうすぐ昼も近いしさ、ご飯食べに行こうよ。この辺の道案内も兼ねてさ」
「はいっす。お願いします!」
 こんな俺相手にも礼儀正しく接してくれている。やっぱり運動部だから上下関係が染みついているんだな。

「和泉義兄さん、おごってもらっちゃってすみません」
 俺たちは今、近所のハンバーガーチェーンの席に向き合うように座っていた。テーブルの上には二人分のトレーが並んでいる。その上には、バーガー、ポテト、ドリンクのセットが置かれていた。
 別荘での滞在で使わなかったお金で二人分の昼飯代を支払った。
「別にいいって。義兄なんだからこれだけはさせてくれよ。で、うちの学校のオープンスクールに参加するんだって?」
「そうっす。あたし、実は義兄さんと同じ学校が志望校でして」
「ウチに陸上のスポーツ推薦の枠があったんだな」
「受かるかどうかはまだ全然わからないんですけどね。勉強も頑張んないといけないみたいで」
「実技だけじゃなくて勉強もやらなきゃいけないのか」
「普通の受験ほどは重くはないんすけどね。あたし、勉強が全然できなくて。義兄さん、助けてくれないっすか?」
 ハルちゃんが両手を重ねて拝むようにして、俺に懇願する。
「俺に手伝えることなら」
「あ、ありがとうございます!」
「あんまり頼りにしないでよ。受験から随分経っているから、だいぶ忘れているんだよね」
「それでも嬉しいっす」
 ニコニコと彼女が笑顔になる。表情の変化の激しい子だ。友貞を思い出すが、友貞よりずっといい子だ。
 そう思っていると、なんと見覚えのある黒髪外ハネショートの小柄な少女が目の端に映った。映ってしまった。暢気そうにハンバーガーにかぶりついている。
 俺と別れた後に、玖条さんに家まで送ってもらったはずだろ?
 なんで俺の近所のバーガーショップにいるんだよ。
 すると、一瞬目が合ってしまった。慌てて目を逸らすも、少女は目敏く俺の存在を捉えたようだ。
「は、え?」
 なんかこんなシチュエーション、前にあったな。あの時は俺一人だったから良かったものの、今はハルちゃんが一緒だ。
 友貞のやつがトレーを持ってこっちの席に歩み寄ってくる。
「黒永く~ん、その娘は? もしかして彼女さんかな? 隅に置けないねぇ」
 へらへらした顔で俺に尋ねてくる。お前たちと別荘に遊びに行く男に彼女がいるわけないだろ。それに、もし彼女だったらなんで俺に話しかけてきてるんだよ。
「ちげぇよ。俺の妹のハルちゃんだよ」
 俺の返答に友貞は少し考え込んだ。
「黒永君に妹……あ~そうか、わかった」
 友貞が俺の家庭の事情に思い至り、申し訳なさそうな様子になった。彼女は俺の今の両親が再婚同士だということを知っている。
「和泉義兄さん、この人は……?」
 ハルちゃんが訝しげに俺の顔を見る。
「俺のクラスメイトの友貞っていうんだ」
「へ~、クラスメイトねぇ」
 友貞がジト目で見てくる。
 セフレだなんて言えねぇよ!
「はじめまして、黒永君のお友達《・・・》の友貞花怜で~す。親しみを込めて花怜って呼んで。あっ、先輩ってつけないでいいから。他人行儀なの好きじゃないの」
「え、えっと花怜さん?」
「アタシからは黒永君との区別のためにハルちゃんって呼ぶから」
 思いもよらず、ハルちゃんへの距離を詰める友貞。かなりフレンドリーだ。
 そういえばこいつが戸澗や進道さん以外の同性──それも年下の──とどんな感じで接するのか知らなかったな。
「は、はいっす」
「花怜さんって和泉義兄さんのお友達なんですね。てっきり義兄さんの彼女さんかと思っちゃったっす」
「彼女って、あはは、ないって。ないない」
 へらへらと笑いながら否定する友貞。
「こんなに綺麗な人とお友達だなんて、義兄さんってすごいっすね」
「綺麗な人ってえへへ。褒めても何も出ないよ~。あっ、ポテトあげちゃう!」
「ありがとうございます!」
 友貞が若干残っているポテトをハルちゃんに差し出す。それに有難がるハルちゃん。二人ともお互いのプロフィールや近況についての情報を和気あいあいとした雰囲気で交換している。最初は不安だったが、思いのほか二人は打ち解けた様子だ。
「で、なんでこんなところにいるんだ?」
「なんでってなんでさ」
「お前んちからこのバーガーまで遠いだろ」
「ま、気まぐれだね。家にいても何もすることないもん」
「夏の宿題しろって。お前、まだ全然手を付けてないだろ」
 勉強しろ、勉強。ハルちゃんを見習え。それに、夏休み前にそのせいで滅茶苦茶苦労しただろ。
「夏休みの宿題やってないんすか?」
 ハルちゃんが訝しげに訊く。
「実は今日まで、友達が持っている別荘に泊まっていたんです!」
「わぁ、別荘ってすごいっすね。その人ってどんだけお金持ちさんなんですか?」
 ま、結構な金持ちだねと友貞が言う。
「ああ、黒永君も別荘に一緒にいたんだ」
 ドキリ、とする。ハルちゃんはといえばわくわくした顔で友貞に顔を近付けている。
「和泉義兄さんもですか? すっごく羨ましいです!」
「そういえばウチの学校受験するんでしょ? 受かったら来年あたりにその友達が誘ってくるかもよ~」
「わぁ、だったら頑張ります」
「頑張れ~」
 その後、友貞は別荘で撮った写真をハルちゃんに見せていた。流石にいやらしい写真は見せていないようでほっとした。

「んぶっ、んむっ、んむっ、ほらっ、さっさと射精《だ》さないとハルちゃんがひとりぼっちでかわいそうだよ」
「ぐっ、誘ったお前が言うな」
 俺は今、友貞にバーガーショップの女子トイレの個室に引きずり込まれ、フェラをされている。
 洋式便器に座った彼女が、仁王立ちの俺のチ×ポをしゃぶっている。
『アタシがトイレに行くとき、ついてきて』と耳打ちされたので従ったらこれだ。
「じゅぼっ、じゅぼっ、じゅぶっ、じゅぶぶっ」
 頬を凹ませながら、頭部を前後に振る。唇を輪っかにして肉竿を扱きながら、同時に舌を絡みつかせて、刺激する。
「今日の朝も三人でいっぱい抜いてあげたのに、まだこんなに勃起するんじゃん。ほんと~に節操ないね」
 確かに朝、別荘を出発する前に友貞たち三人娘から抜かれた。が、今の有様を見るに友貞だって俺の節操のことをツッコむ資格がないだろ。
 だけどわざわざ口に出しては言わない。こいつのフェラが気持ちいいからだ。
「んむ、じゅぶっ、じゅぽ、じゅるるるっ」
 デカいチ×ポを小さな口いっぱいに頬張り、口腔と喉で扱きあげる。普段は生意気なこいつも、フェラ抜きの時は献身的になる。
「んぶっ、んむっ、じゅぼっ、じゅぼじゅぼっ」
 快楽に打ちのめされる俺を見て、友貞が嬉しそうに目を細める。
「ぐっ、射精《で》る」
 俺は限界だった。
 びゅるるるるるるるっ♡ びゅるっ♡ びゅるっ♡ びゅるぅぅぅぅぅ~~~~~♡
 彼女の狭い口腔に精液が炸裂する。
「んんんんんっ!」
 とめどめもない間欠泉に呻き声を上げる。
 ごくごくごく、とダマのような白濁液を嚥下する。
「ああ、まっず。後でコーラで口を洗わなきゃ」
 友貞が愚痴る。じゃあ、吐き出せよとは言わない。
「黒永君、耳貸して」
 ここに誘った時のような耳打ち。今は二人だけの個室だから内緒話をする必要なんてないのに。
 俺は訝しみながら、腰を沈めて耳を彼女の口元に寄せる。
「げぇぇぇぇぇぇっぷ♡♡♡」
 酷く耳障りな破裂音が俺の耳孔に響いた。
 コーラの炭酸と喉越しの悪いザーメンにより、引き起こされた生理現象。
「クソ、汚ねぇぞ!」
「その汚い、げっひんなゲップでおち×ちんビキビキにしちゃったのは誰かなぁ?」
 チ×ポの奴が憎たらしく、勃起している。
「アタシのオマ×コで鎮めてあげよっかぁ?」
 友貞が上目遣いで挑発する。
「いいから声出すんじゃねぇぞ」

「あっ♡ あっ♡ ああんっ♡ 黒永君、飛ばしすぎだって♡」
「だから声出すんじゃねぇって」
「ごめんごめん、気持ちよくてさぁ」
 洋式トイレのタンクに背中を預けた友貞を、俺は突きまくっていた。
 最初から飛ばしているのは長く愉しむことよりもすぐに射精するためだ。
「んんっ、んんっ♡ んん~~~~~っ♡」
 友貞が自分の口元を塞いで、声を抑える。だがそんな時だった。
「花怜さん、大丈夫っすか?」
 ノックとともに聞き覚えのある声がした。
 びくり、と俺の腰が震えた。それは友貞も同じだった。
 あまりにも長く待たせすぎたのか、ハルちゃんが女子トイレに様子をうかがいに来てしまった。
「ちょっと心配になって来ちゃいました。デリカシーがなくて、すみません」
「ご、ごめんねハルちゃん。待たせちゃった」
 俺は可能な限り自分の存在感を消そうと努力する。
「朝うんち出なかったから、今出そうなんだ」
「そ、そうっすか。変なこと言わせちゃって申し訳ないっす。が、頑張ってください」
 気まずそうにハルちゃんが去っていった。
「も~う、黒永く~ん、アンタが遅漏すぎたせいで可愛い可愛い後輩に変なこと言っちゃったじゃん!」
 怒り心頭の様子の友貞。申し訳なさがあるが、そもそもこいつが俺を誘わなければこんな目に遭っていないのだ。つまりこいつの自業自得である。
 俺はそう彼女に責任を全て押し付けて、抽送を再開する。
「んっ、んっ、んっ」
 俺は中断前よりも腰の動きを加速させる。
「んんっ、んんんんんっ、んんっ! アンタのチ×ポがデカすぎるせいで、声抑えるの大変!」
 友貞が自分の淫乱さを俺に責任転嫁する。俺は返答せずに腰つきで応えた。
「んんっ、んんぅっ、んおっ♡」
 俺はカリを子宮口に引っかけて小刻みに腰をふるう。
「おっ♡ んおおっ♡ ちょっとまってそれ、声でちゃうっ♡ やばいっ、やばいって♡」
 だが、もうすぐ終わらせるから大丈夫だ。
「んおおおおおっ♡」
 顎を上げて、顔をのけ反らせる。ナカイキしたのだ。それと同時に俺は射精した。
 びゅるぅぅぅぅぅっ♡ びゅるっ♡ びゅるっ♡
 お望み通り、盛大に膣内射精をぶち撒けてやる。
「んんんんんんんんんんっ♡♡♡♡♡」
 彼女は再絶頂し、痙攣する。
 だくだくだく…………と塊のような精液がオマ×コの中に注ぎ込まれる。彼女が避妊薬を飲んでいなければ、そのまま受精してしまいそうなほど濃度の高い生殖液が際限なく炸裂する。

「これでハルちゃんに性欲をぶつけなくて済むね」
「余計なお世話だよ」
 そう言いながら、俺は彼女の頭を撫でる。
 俺の過剰気味なリビドーを義妹にぶつけないように気遣ってくれたのか。
 だけど本当に余計なお世話だ。まさかハルちゃんに手を出すなんてことは絶対にない。
「それと黒永デイってやつ廃止したから」
 黒永デイとは、夏休み前にあった友貞たち三人娘が結んでいた協定のような取り決めだ。一週間を三人で分割して二日ずつ、俺を独占するというルール。
「流石に黒永君のプライベートがなさすぎだし、アタシたちももたないっていうか」
「そういう気遣いはもっと早くしてほしかった」
「これからはみんなで仲良くって感じでいこうって、アンタがいなくなった車の中で話してたんだ」
 俺が出て行った後の車内でそんなやり取りをしていたのか。
「もしかしてもっと俺の負担が増えない?」
「わかんない。でも櫻野《さくらの》先生がアタシたちの輪に入ったし。これからもっと人が増えるかもだし……まあ、頑張れ」
 友貞がぱしんと俺の背中を叩いた。
「まあ、なんだかんだアタシたちってアンタのオナホみたいなものだし。オナホを好き放題に使えるって男として嬉しくない?」
 あっけらかんとトンデモナイことを言う。自認オナホかよお前ら。どちらかといえば、俺が肉バイブって感じだが。
「もしかしたらハルちゃんが輪に……」
「それ以上言ったらもうシてやんないからな」
「うへぇ、ごめんごめん」

「じゃあねハルちゃん。黒永君をよろしく頼むよ~」
「さよならっす花怜さん」
 友貞が手を振って去っていった。
 相変わらず嵐のような女だ。
「美人なうえに面白い人でしたね」
「面白い、ね」
 愉快な奴だと思うが、それ以上に色々とヒヤヒヤさせてくるが。
 友貞と別れた後、二人で日用品や食材などの生活必需品の買い出しに出かけた。
 ハルちゃんが泊まることになって、色々と足りないものがあったからだ。
 近場のショッピングモールに入り、俺たちは二階の日用品、雑貨フロアで彼女の滞在に必要な物を物色していた。
「あ、義兄さん。ちょっといいっすか?」
 モール内にある量販型の衣料品チェーンの前で、ハルちゃんが足を止めた。
 視線の先には、サマーセールとあった。夏用の涼しげなルームウェアやパジャマが並んでいる。
「お母さんからパジャマはそっちで買ってきてってお金を渡されていまして」
「なら、折角だし新しいの買おうか。俺も一緒に選ぶよ」
「だ、ダメっす!」
 俺が歩き出そうとすると、ハルちゃんが慌てて俺の前に立ちはだかった。顔が真っ赤だ。
「え?」
「その、可愛いのがいいんすけど、選んでるとこ見られるのは恥ずかしいんで!」
「あ、ああ。なるほど」
 ハルちゃんは年頃の女の子だ。兄の前で可愛いパジャマを吟味するのは気恥ずかしいのだろう。いつもデリカシーのない友貞と一緒にいたから、そういう感覚が麻痺していた。
「わかった。じゃあ俺、一階のスーパーで夕飯の材料見てるよ」
「はいっす! すぐ決めて追いかけるんで!」
 ハルちゃんは申し訳なさそうに手を合わせてから、服屋へと小走りで消えていった。

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