06/26 電子版発売

僕の転生先は側室の存在に緩い世界だった4

著者: 柚子故障

電子版配信日:2026/06/26

電子版定価:880円(税込)

僕の転生先は、側室の存在に緩すぎる夢のハーレム世界。
ノヴァルダード王国の大伯爵家の嫡男・アレンとして愛欲の日々を満喫していたが、
平和なクラリア公国が突如滅亡したという衝撃の報せが届く!
祖国を喪い、僕の元へと逃れてきた金髪爆乳の第一王女・フィオーレ。
正室となるはずだった彼女が自ら志願したのは、まさかの「最下層の扱い」!?
前世の恋人・ネオンたちも巻き込んで、過激な主従逆転の宴が幕を開ける!
大人気WEB小説、激震の第4巻! 書き下ろし短編2本収録!

目次

第一話「若様は詰みを悟ってしまう」

第二話「若様は漢気を見せる」

第三話「若様は家族計画を議論する」

第四話「元王女、肉便器を志願してしまう」

第五話「若様、新進気鋭の官僚となる」

第六話「元王女は純潔を散らす」

第七話「恋人先輩、淫らなメス犬となる」

第八話「謎の新皇帝、正体をあっさり暴露する」

第九話「恋人先輩は性奴隷を志願する」

第十話「エロ魔人は凌辱の場を作る」

第十一話「元王女はアナル処女も献上する」

エピローグ「世界は勝手に動く」


番外編1「銀髪メイド、御付きに選ばれる」

番外編2「恋人先輩、義母に調教される」


書き下ろし短編1「義母は御付きの生き様を披露する」

書き下ろし短編2「銀髪御付きの日常と、愛ある調教」

本編の一部を立読み


第一話「若様は詰みを悟ってしまう」



 大学生だった僕は、アレン=ランベールという大伯爵家の嫡男として転生した。転生した理由はよく分からない。
 だけど僕は、この世界で実に気楽な性生活を送っていた。
 貴族には『御付き』と呼ばれる制度がある。将来の夫人の地位を約束する代わりに、貴族用の学園に通う三年間、事実上の性奴隷として仕えるのだ。
 異例なことだけど、僕には御付きが二人いる。専属メイド出身のリーナはウェーブのかかった銀髪を持ち、幼馴染で男爵家の長女のカレンは栗色のポニーテールが特徴的だ。そして二人とも大変に立派な乳房の持ち主である。
 そんな厚遇となった理由はきちんとある。きっかけは、異母妹のエリシャが皇太子殿下の御付きになったこと。それから派生したのが、クラリア公国の第一王女であるフィオーレ姫との婚約だった。
 僕は外遊先でフィオーレと出会い、そして転生前の恋人だった美咲先輩と出会う。ネオンという名前で性接待メイドをしていた彼女も、僕は自分の手元に引き取ることに成功していた。
 さらには元義母のラクチェとルイーダの奴隷姉妹、エリシャの実母であるアリエスとも関係を結び、実に順調な人生だった……はずだった。
 しかし人生とは実に分からない。平和で安定した世界に転生したはずの僕の運命は、ここから大きく変わっていくことになる。

*******

 クラリア公国が滅亡したという一報は、伝書鳩によってもたらされた。
 その後は、五月雨式に伝書鳩や陸路で情報が舞い込んでくるようになった。宮城も市井も上を下への大騒ぎだけど、何ができるわけでもなく時間だけが経過する。
 その中でも分かったのは、カノナ公国が率いる軍勢が突如として夜襲をかけてきたという事実だ。
 出稼ぎとしてクラリア公国に滞在していた連中が広場に集められ、武器を手に市中を行進するように指示された。
 もちろんこれはハリボテだけど、平和すぎて武力を持たないクラリア公国にとっては十分すぎるほどの脅威となったはずだ。そして本物の軍勢が船で上陸して、宮城や一部の上級貴族の邸宅を制圧した。これも、驚くほどあっさりと成功したようだ。
「アレンさん。宮城に乱入した人数などは分からないのですか?」
「分かりません。シロエ……我が国の子爵家のクロエが手引きをしたことまでは分かっていますが。クロエはカノナ公王の正室であることを明らかにしたようです」
 僕は母上に報告をしていた。その傍らには同席を許された夫人たち、それに弟のセドリックとリーナ、末席にネオンが座っており、部屋の傍らにはラクチェとルイーダが控えている。
 母上の表情は心痛で真っ青になっている。この緊急事態に、父上はよりによって侵攻の当事者であるカノナ公国に行っており……そして帰ってきていないのだ。
「王家の方々はどうなったのでしょうか……あなたの婚約者であるフィオーレ姫は?」
「主だった方々は船でカノナ公国に連行されたようです。ただ、そこにはフィオーレ姫の姿がなかったことも報告されています」
「あぁ、何ということでしょう……」
 母上は頭を抱えて嘆いている。想定している最悪の事態は僕と同じだろう。
「アレンさん、同じ女性としてのお願いです。もし、もしですよ。フィオーレ姫が純潔を喪っていたとしても、私はこの家に迎え入れたいと思います」
「もちろんです。僕もフィオーレを思う気持ちに変わりはありません」
「ありがとう……普段は女に甘い息子だと頭が痛いですが、こんなときはあなたの優しさが心強いです」
 母上、それは言わなくても良いんじゃないでしょうかね?
「ところでユーゴさんはどうなっているのか、何か情報はありましたか?」
 ユーゴさんとは父上の名前だ。他の夫人たちも気が気じゃない様子だ。
「いえ、今のところは。僕はこの後に父上の名代として宮城に赴くように指示を受けておりますので、分かったことがあったら報告させていただきます」
「よろしくお願いしますね。ラクチェたちのことも……」
 母上が、部屋の隅に座っているラクチェとルイーダに視線をやる。二人とも、逆に落ち着き払った表情だ。覚悟を決めた表情ともいえる。
「どうか、命だけは……必要であれば家財をいくらでも使ってください。お願いします、あなたの力で二人を……」
「もちろんです、母上。自害をさせることがないよう、立ち回ってきます」
 二人とは父上たちのことではない。縛られているラクチェとルイーダのことだ。
 今回の襲撃に、二人の出身部族であるカムシャ族の男たちが主力として加わっていたのだ。これはすでに周知の事実となっている。
 間もなく宮城から尋問官が来ることになっており、母上とアリエスは二人を拘束することで先手を打ち、屋敷から連行されることを防ぐことにしたのだ。
 まあ……カムシャ族はうちの領地の少数民族だから、大伯爵家全体の責任問題なんだけどね。
「ラクチェ、ルイーダ、申し訳ありません。あなたたちが関与していないことは信じていますが、今はこうするしかないのです」
「ご配慮ありがとうございます。ですが、私たちは覚悟はできております。どうか、御家の存続に関わるようなことになりましたら、遠慮なく毒をお与えください」
 ラクチェは凛とした表情で答えるけど、それに第五夫人のベアトリスが敏感に反応した。
「冗談でもやめて、ラクチェ。私たちは家族でしょう? そんなことは絶対にないわよ! そうでしょう、若様」
「ベアトリスの言うとおりだよ、ラクチェ。しばらくは不自由な生活になるけど、我慢してくれ」
 僕は弟のセドリックにちらっと視線を配るけど、まじめなくらいしか特徴のないセドリックはこの場でも口を開かない。
 視線はルイーダにずっと向いてるし、惚れている女を心配してるのは伝わるんだけど、行動にちゃんと移せないところが足りないんだぞ。
「ご主人様、ご心配には及びません。私たちは大丈夫です」
 ルイーダが気丈な声で返事をした。族長の娘として生きてきた二人にとって、部族の存続は最優先事項だ。ラクチェたちのことはもちろんだけど、父親である族長や部族のことも僕が何とかしてあげないといけないだろう。
 こうして僕は婚約者であるフィオーレの安否確認と保護、父上の消息の把握、大伯爵家の名代としての立ち回り、そしてラクチェとルイーダを含めたカムシャ族全体の安全の確保という、一つだけでもお腹いっぱいになりそうな案件を抱えることになった。
 僕は転生前は大学生だったから社畜になった経験はないけど、これって家畜と表現しても差し支えないんじゃないだろうか?

*******

 母上たちへの報告を終え、ラクチェとルイーダに色々と言い含めた僕は、宮城に父上の名代として参上した。
 しかし、こんな事態でも門番レベルしかいないんだな。まあ世界全体で武力を持たないのだから仕方ないんだけど……そう思いながら簡単に通されて、宮城の中を進んでいく。
「あっ、君はランベール家のアレン殿かな?」
 見慣れない僕の姿を見かけた官僚の一人がバタバタと走り去ったかと思うと、王弟殿下ことレイモンド公爵が自ら出迎えに現れた。
「ああ、アレン君。この度は、ユーゴ殿には申し訳ないことをした」
「いえ、父上も仕事を遂行しただけのことですから……何か情報は来ているのですか?」
「うん、そのことだが……ここでは何だから私の執務室に来てくれ」
 豪奢な執務室に入ると、父上が所属している派閥の重鎮たちもバタバタと入室してきた。上座にレイモンド公爵と儀典局長のリンドン侯爵が座り、僕は末席に腰かける。
「では、まずクラリア公国の被害状況を教えてくれ」
「はい。我が国の外交員からもたらされた情報では、今のところ死者はおらず、公都も平穏を保っているようです。国民が国外に脱出するという流れも起きていないと報告が来ております」
 クラリア公国でも一緒だった補佐官役の人が報告すると、レイモンド公爵は呆気にとられた様子で尋ねかえした。
「死者がいないというのは本当なのか? 略奪なども起きていないのか?」
「はい。襲撃の翌日には、王家や公爵家の人間などは船でカノナ公国に移送されたため、生死は不明のようです」
 カノナ公国は島国だ。父上もそうだけど、情報を得ることは難しいだろうな。
「その後、残った貴族と三国の外交官はすべて宮城に集められました。そこでクラリア公国がカノナ公国に吸収され、遷都してカノナ公国の首都となることが発表されました」
「もうそこまで進んでいるのかね」
「連行した王家を含めて貴族たちに危害を加えないことが伝えられ、その時点でも死者が皆無だったため、抵抗する者はいなかったようです」
 レイモンド公爵は信じられない様子だ。リンドン侯爵は白髭を手で触りながら思案顔となっている。
「……それで、一夜にしてクラリア公国は滅び、カノナ公国に乗っ取られたと?」
「はい。通常通りに生活しても構わないというお触れが公都に出されました。貴族も各領土に同様の伝達を行っているため、国土内での混乱は発生していないようです」
 執務室がどよめきに包まれる。僕も驚いていた。無血で国の乗っ取りが行われたというその鮮やかさにもだけど、歴史と伝統を持っていたはずの国のもろさにもだ。
 いや、逆なのか? 頭が替わっても国という仕組みは変わらないのが強いのか。確か、昔の中国ってそんな感じだったんだよな。
 レイモンド公爵が、僕に質問をすることを視線で許可してくれる。
「私事が混ざって申し訳ございません。フィオーレ姫はカノナ公国に移送されていないと聞いたのですが、事実でしょうか?」
 説明役の補佐官が、眼鏡をくいっと上げながら微笑む。
「申し訳ございません、アレン君……いえ、名代のためにも、真っ先にその説明をすべきでしたね。フィオーレ姫の無事は確認されております」
 補佐官はちょっとドヤ顔気味に報告する。
「そして、安心してください。姫を乗せた馬車がこのノヴァルダード王国に向かってすでに出発しているという報告がなされております」
 執務室がさらに大きなどよめきに包まれる。僕も安堵しつつ驚いていた。カノナ公国がフィオーレを手放す理由が、あまり思いつかないからだ。侵攻の意思がないと示したいのだろうか?
「確認するが、クラリア公国に侵攻した者たちは公都に留まっているのだな?」
「はい。各国の外交官が情報を持ち寄っているところでは、我が国のカムシャ族などのように狩猟を生業とする部族の者たちが根こそぎ出稼ぎとして集められ、説得された上でカノナ公国の一団を形成しているようです」
 この世界では兵士という単語すら死語なので、抽象的な言葉遣いになっている。
 カムシャ族という名前が出たところで、皆の視線が一斉にこちらに集まる。んー、まぁそうですよね。はい、うちが悪ぅございます。
(しかし、この情報は結構まずいぞ)
 だって、侵攻に備えて今から軍備を整えようにも、包丁で即席の槍を作るくらいしか思いつかないし、軍隊としての訓練のノウハウも戦術も全く存在しない。
(負け確定の強制ボス戦状態だよね)
 即席で役に立ちそうなのは弓矢だけど、それを扱えるレアな人材は恐らくほとんどがカノナ公国にリクルート済なのだ。おまけに船を造るという名目で貴重な資源である鉄をかき集めていたから、もう逆立ちしても敵いっこない。
(まぁあれだ、三手詰みって感じだな)
 一手ごとに一国滅ぶけど、こちらは軍事力がないのでパスするしかない。斬新な競技だなこれ……レイモンド公爵や官僚たちもその事実に気付いたようで、頭を抱えている。
「とにかく、外交を通してカノナ公国と接触を図っていくしかなさそうだな……」
「はい。行方不明とされていた第二王子が、カノナ公王を僭称しています。そして、我が国のオリーエ子爵の娘であるクロエ嬢が正室であることも、すでに公式に発表されております」
 クロエはエリシャと皇太子殿下の御付きを争っていた人物だ。気が付いたらフィオーレの側仕えになっていたけど、僕とネオンの間では転生者の可能性が高いと踏んでいる。
「その辺りは訳が分からないが……オリーエ子爵はどうしているのだ」
「はい。尋問官からの報告では、寝耳に水といった様子だったようです。娘はカノナ公国に傷心旅行をしたいと願ったあとで音信不通になったが、家の体面もあるので公にはしなかったと説明しております」
「子爵の失点はあちらの失点だが……そんなことを勘定している場合でもないか」
 レイモンド公爵は僕の方を見ながらため息をついた。
 リンドン侯爵も先程からこちらを見て何かを言いたそうにしている。やめてくれ、あんたが口を開くと、大方のところ僕には迷惑にしかならないんだから。
「とりあえず、宮城にいる貴族を集めて、今の報告を取りまとめて陛下に上奏しよう。ところでアレン君」
 うわ、来たよ。絶対に厄介ごとだ。だけど大人の僕は、貴族スマイルで応答する。
「そこで君には、フィオーレ姫を出迎えに行ってもらうように提案するぞ。カムシャ族の疑念は、姫を連れ帰った手柄で少しでも早く払拭するんだ」
「分かりました。どうか、よろしくお願いします」
 わお、そう来たか。でも僕にとっても点数稼ぎができるのはありがたい。
 こうして僕は、再びクラリア公国へと赴くことになったのだった。

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