幼馴染の恭助に想いを伝えられずにいた音野舞香。
舞香の親友で、後から恭助を好きになった氷崎麻美。
二人とも実は恭助と関係を持っていたことが判明し、
互いに嫉妬心をむき出しにした大喧嘩へ発展!
友情と愛情の狭間で悩み抜いた末に仲直りし、
今度は協力して恭助を誘惑することに!
慰めックスノベル第4巻、愛欲に溺れる3P編!
プロローグ 二人の女神
第一章 私がなれなかった未来
第二章 吾川恭助、確保
第三章 仲良しレズセックス
第四章 三人で溶け合って
最終章 誰も傷付かないで済む結末
エピローグ トラウマ
本編の一部を立読み
プロローグ 二人の女神
何で、こんなことになってんだ?
「はーっ、はーっ、ああぁ、恭助《きょうすけ》ぇ♡」
俺の幼馴染である音野舞香《おとのまいか》と――。
「ふーっふーっ、恭助くぅん……っ♡」
そして、俺達の親友、氷崎麻美《ひょうざきあみ》――。
「二人とも、ちょ、ちょっと待ってくれ」
女神のように可愛らしい二人の美女が、裸で俺に迫ろうとしていたのである。それも、極上の色香をムンムンに漂わせながら……。
「ねぇ恭助ぇ、しよぉ? セックス、しよぉ♡」
「恭助君、ああ私、も、もう我慢出来ないぃ♡」
舞香と氷崎のおっぱいが左右に揺れる。二人の乳首がひくひくと勃起し、俺に向かって懸命にアプローチをしているのが見えた。二人とも、完全に性行為の準備が整ってしまった様子である。
「舞香、氷崎、す、少し落ち着いてくれ、こ、こんな」
俺は二人から後ずさろうとするが、そこで氷崎が俺の左腕を即座に抱き締め、その弾力たっぷりの巨乳で容赦なく拘束しようとする。
「こーら、恭助君ったら、逃げちゃダメだってば♡」
氷崎に続き、今度は舞香が俺の身体にしがみつき、ふんわりとしたおっぱいの谷間で俺の右腕をがっちりとホールドする。
「恭助が悪いんだからね? 恭助が私達のことを誘惑するから……♡」
現実とは思えないほどに刺激的な光景であった。二つの豊満なおっぱいに両腕を挟まれ、俺は堪え性なくペ×スをガチガチに硬くしてしまう。
(お、俺、二人のおっぱいに挟まれちまってる)
二人の心臓がどくどくと淫靡に高鳴っていくのが分かる。
俺とのセックスに期待を抱いている鼓動であった。
「恭助のおちん×ん、鉄みたいに硬くなってる♡」
「恭助君のおち×ぽぉ、おま×この奥にいっぱいずぽずぽしたいよぉ♡」
「ああ二人とも、そんな同時に」
ついに、二人による熱烈な愛撫が始まる。
「恭助君のち×ぽ、激しく脈打って、私の手の中で暴れてるよぉ♡ あぁ、可愛い、恭助君の欲情勃起ち×ぽ、すっごく愛おしいよぉ♡」
氷崎は左手で俺の竿を大事そうにぎゅっと握り締め――。
「ふあぁ、恭助の金玉、恭助の精子がぶるんぶるんって嬉しそうにはしゃいでるのが分かるよぉ♡ ああ金玉、さ、触ってるだけで興奮しちゃうぅ♡」
舞香は右手で股の間にぶら下がる二つの金玉を柔らかく包み込む。
(ふ、二人がかりであそこを弄るだなんて)
「ああっ、ひょ、氷崎、はあはあっ!」
氷崎は反り返ったペ×スをぎゅっと掴み、手首のスナップを利かせて俺の竿を上下にリズム良くシコっていく。
「恭助君のおち×ぽ、いっぱいシコシコしてあげる♡ ねぇ恭助君、気持ち良い? もっと強くする? ほら、シコシコ、あはっ、おち×ぽシコシコ♡」
俺のペ×スをシコりながら、氷崎は艶っぽい表情で俺の耳元に囁きかける。脳が溶けてしまいそうなほどに甘い吐息交じりの声であった。
シコシコっ、こすこすこすっ、ぎゅむっぎゅむっ、ぎゅううぅっ♡
「ひょ、氷崎の手つき、凄く気持ち良いよ」
教えるまでもなく、氷崎の手淫はこれ以上ないほどに心地良かった。俺のペ×スの悦ばせ方を完璧に熟知した手つきである。堪らず、俺は鈴口からぬるぬるとカウパーを溢れさせてしまう。
「ううっ、ま、舞香、そ、そんな」
氷崎の手コキに合わせ、舞香は指先で俺の金玉をふわふわと揉みまくる。その切ない圧迫感に、俺はぐっと腰を浮かせてしまう。
「恭助、精子もっと送って、ほら、恭助のタマタマ、もみもみしてあげる♡ おちん×んに精子送って、気持ち良くなろ? 精子ぴゅっぴゅしよっ♡」
舞香は小動物を可愛がるような手つきで俺の睾丸を何度も弄ぶ。その躍動により、精子が一気に活発化するのを感じた。
ひくひくっ、ビクッ、むぎゅっ、ふみゅ、むにゅっ、ぶるぶる……っ♡
「舞香、そ、そんなに金玉揉まれたら、す、すぐにっ」
俺は命乞いするかのように舞香に目線を送るが、舞香は一切容赦せず、柔らかな手つきで俺の金玉を追い込んでいく。彼女の手の平で何度も金玉を揉みしだかれるうちに、いよいよペ×スの内部が熱くなってしまう。
「二人とも、だ、ダメだ、そんなにされたら、ああっ」
氷崎に竿をしごかれ、舞香に金玉を揉み解される度に、悲鳴を上げてしまいそうなほどの快楽が伴う。熱く煮え滾ったザーメンが、尿道口のすぐそばまで近付いているのが分かった。
「恭助君、我慢しないでいいからね♡ 精子、たくさん出してね♡」
「恭助、おちん×ん気持ちぃね♡ このまま、いっぱい射精しようね♡」
彼女達の誘惑の声に、俺はいよいよ脳を痺れさせ、そのままビクンッと腰を突き上げてしまう。
「うう、が、我慢出来ない、精子、で、射精《で》そうだ、ううっ」
さっそくフィニッシュの瞬間がやってきた。ペ×スが放出のモードに入ってしまい、二人の手淫一つ一つに身震いするほどの甘美が生まれる。
「出る? 出ちゃう? いいよ恭助君、私らの手で気持ち良くなって♡ いっぱい、いっぱい射精しようね♡ あはっ♡」
「ああ熱い、恭助の金玉、さっきから震えっぱなしだよぉ♡ ああ可愛いぃ、イきそうになってる恭助、すっごく可愛いよぉ♡」
(もうダメだ、せ、精子、く、くる)
ストロークが強まり、射精の引き金が強制的に引かれてしまう。抗うことも出来ず、俺のペ×スは問答無用で絶頂へと導かれていき、彼女達の手の中で思い切りその銃身を震わせたのであった。
「二人とも、で、射精《で》る、イク、う、ううっ!」
精液が、ペ×スの先端から零れようとする刹那――。
「恭助ぇ、んっ、ちゅぷっ、ちゅうっ♡」
「はあはあっ、恭助くぅん、んーっ、ちゅっ♡」
二人が、左右から俺の頬にキスをしてきたのである。
(ああぁ、ふ、二人とも)
その優しい感触に、俺は女神達の手の中で呆気なく果ててしまった。
びくっ、びくびくっ、ぶるる……っ! びゅるううううううッ!!
「ま、舞香、氷崎っ、ううっ、うううッ!」
二人の熱烈な接吻が決定打となり、俺は勢い良くペ×スを震わせ、二人の手の中で精液を激しくぶちまけてしまう。
「ふあっ、ああ恭助っ、恭助ええぇっ♡」
「ああああんっ、ああ恭助くううぅんっ♡」
二人の淫らな声に誘われるかのように、ペ×スの先端から精液が止めどなく噴射されていく。精子を吐き出す度に、腰砕けになるほどの快感が全神経を突き抜けていった。
びゅるびゅるっ! びくっ、ビクンビクンッ! びゅるうううっ!
(き、気持ち良過ぎる)
熱く滾っていた精子達が、嬉しそうに舞香と氷崎の手に付着してしまう。
「あはっ、恭助の精子、いっぱい出た♡ ああ凄いねばねばしてる♡」
「恭助君のおち×ぽ、手の中で震えて、精子吐き出しちゃってるよぉ♡」
俺の精子放出を目の当たりにし、舞香と氷崎は揃って感激したようにうっとりとその瞳を艶めかせた。噎せ返りそうになるほどの栗の花の香りを嗅ぎ、二人は同時にぐっと息を飲む。
「すんっ、すんっ♡ ああ精子、嗅いでるだけで、全身熱くなっちゃうよぉ♡ も、もう我慢出来ない、し、したい、恭助とセックスしたいぃ♡」
「すーっ、はーっ♡ 恭助君のザーメンの匂い、おま×こ熱くなっちゃう♡ 恭助君のおち×ぽ、欲しくなっちゃううぅっ♡」
舞香と氷崎は精液に塗れた俺のペ×スに顔を近付け、これ見よがしに鼻を鳴らして匂いを堪能する。精液の香りにあてられたのか、二人は目を爛々と輝かせ、期待の眼差しで俺の顔に視線を移した。
「はーっ、はーっ、そんな、ふ、二人して、俺の精子の匂いを嗅ぐなんて」
俺はなおも竿を揺らして精子をぽとぽとと溢れさせる。放出の爽快感と同時に、射精後特有の重苦しい冷静さが全身に去来する。
(なんてことだ、俺、このまま、ふ、二人に……)
学校でも指折りの美少女である二人、舞香と氷崎。
俺みたいな陰キャとは住む世界が違う、クラスカースト最上位のギャル、決して交じわることなど許されないような二人である。
「はーっはーっ、恭助、休んでる暇なんてないわよ♡」
「つ、次は、恭助君が私らのことを可愛がって♡」
そんな二人の女神が、肉欲に満ちた目で俺を見ているのだ。
「舞香、氷崎、お、俺のこと、一体どうするつもりなんだ」
問いに対し、二人は揃って妖艶な笑みを浮かべ、獲物に絡みつく蛇のような動きで俺の胸元に手を這わしていく。
三人、セフレという歪な関係。
俺を巡り、これまでずっといがみ合い続けていた舞香と氷崎。
そんな二人が、堪らなさそうな顔で俺にセックスをねだっているのだ。
まるで、俺のことを二人で分け合うかのように――。
「恭助、覚悟してよね♡」
「私ら二人で、今から恭助君のこと、食べちゃうから♡」
「そ、そんな、ふ、二人同時になんて……っ」
背筋にゾクゾクとした感触が疾走する。
そう、俺は今――。
女神二人と、3Pをしているのである。
第一章 私がなれなかった未来
「恭助君のこと、好きなの?」
うだるように暑い夏の日。
私は、親友の舞香と一緒に恭助君の家のリビングにいた。
仲違いをして以来、こうやって舞香と二人きりになるのは久しぶりだった。ぎこちない空気感の中、ひたすら気まずさだけが二人の間に流れていた。
(何か、頭、くらくらする)
それに、何だか具合も良くない。おそらく、先日のプール清掃の際、全身を濡らしたまま過ごしたせいで身体を冷やしてしまったのだろう。
それでも私はどうにか気丈に振舞い、舞香に質問をする。
「……」
だけど、舞香は何も答えなかった。無視をしているというより、言いたくても言えないという様子に思えた。その煮え切らない態度に、私は心の中でうっすらと怒りを抱いてしまう。
(どうして、何も答えないのよ、舞香)
好きか嫌いか――たったそれだけの質問。
なのに、舞香は頑なに自身の本音を明け渡そうとはしない。
(何で、好きって、ちゃんと言えないのよ)
舞香の無言に途方もないやるせなさを覚えてしまい、気付けば――。
「恭助君に関わるの、もう、やめてほしいんだけど」
無意識のうちに、心にもない言葉を吐いてしまっていた。
直後、私の中に重苦しいほどの後悔が生まれる。
(何、言ってんの、私……?)
頭が上手く回らない。言葉を上手く選べない。意識を朦朧とさせながら、私は乱暴に言葉を紡ぎ、それを舞香にぶつけてしまう。
「恭助君のことが好きじゃないなら、その、遊び半分で彼に抱かれようとするの、もうやめてよ。よくないじゃん、そういうの」
これ以上はもう、引っ込みがつかなくなる。
大好きな親友を傷付けてしまう。
『親友と真正面から喧嘩するんだもんな……そりゃ辛ぇだろうさ』
以前、來花に言われた言葉を頭の中で何度も反芻させる。その度に心がぐっと締め付けられるのを感じた。
舞香と目を合わさないまま、私はなおも言葉を続ける。
「私は、恭助君のことが好き。本気であの人のことが好き。だから、あの人の気持ちを悪戯にかき乱すのは、許せない」
私がそう言い放つと、舞香は困惑の表情で返してきた。
「かき乱すって……私、そんなつもりじゃ」
言葉が、気持ちが止まってくれない。舞香が口を開いた瞬間、私は彼女の意見など何一つ受け入れず、ひたすら自分勝手に叫んでしまう。
「かき乱してんじゃん。色々と理由付けて恭助君に近付いて抱かれようとしてるでしょっ、恭助君は優しいから、強引に迫られたら断れないって知っててさっ」
(やめて、言わないで)
舞香の目を一切見ることもなく、私は心無い言葉をぶつける。
舞香は遠回りをしているだけで、本当は何よりも真っ直ぐに恭助君のことを想っている。この子は何も、遊び半分で彼に抱かれている訳じゃない。
きっとその想いは、私よりも強い筈。
本当は全部分かってる。分かって、いるのに。
「あの人の優しさを利用して、これ以上、恭助君を弄ばないで」
私は、そんな舞香の想いを踏み躙《にじ》るような言葉ばかり並べてしまう。どんなに頭では違うと分かっていても、言葉が勝手に喉の奥から溢れてしまうのだ。
(やめて、これ以上、何も言わないでよ)
私は何度も頭の中で自分自身に言い聞かせるが、心が言うことを聞かない。感情が暴走してしまい、自分でも訳が分からなくなってしまう。
「勝手なこと、言わないでよ」
そう囁く舞香の声は、少しだけ震えていた。
「麻美ちゃんには分かんないよ、私の気持ちなんて」
またしても、不明瞭な答えばかりが返ってくる。
舞香の気持ちはもう分かってる。これまでの舞香とのやり取りの中で、彼女の本心が読み取れないほど私は節穴じゃない。
それでも、ちゃんと言葉にしてくれなきゃ……納得出来ないよ。
こんなあやふやなままじゃ、真剣にぶつかり合ったって意味がない。
(舞香、わ、私は)
悲しいだけだって、こんなの――。
「だから……っ!! 分かるように説明してよっ、何でアンタ、恭助君に好きって――それすらまともに言えないのよっ!?」
心臓の奥に虚しさが広がった。その途方もない空洞に叫びかけるかのように、私は朦朧とする身体で必死に激昂してしまう。
「私、バカみたいじゃんっ! 恭助君のことが好きでっ、ま、舞香には絶対負けないって一人で意固地になってっ、なのに、なのにアンタは、いつもそうやってはぐらかして……っ!!」
お互いに、同じ人を好きになってしまったのだ。
だからこそ私達は、全身全霊でぶつからなければならないのだ。
それが、どんなに苦しくても、辛くても、痛くても――。
「お互い真剣に向き合って恭助君に振られるなら、わ、私だって受け入れるしかないけど……アンタがそんな調子じゃ、私、一生納得なんか出来ない……っ!!」
舞香、アンタの口から聞かせてよ。
恭助君のことが好きだって。
じゃないと私、アンタの恋敵にすらなれないじゃない。
親友なのに、喧嘩すらまともに出来ないじゃない。
(やめて、やめてよ、もう、やめて……)
怒りを叫びながら、私は胸の内に泣きたくなるほどの悲痛を抱いた。
「恭助君を惑わさないでよ……っ、あの人のことが好きじゃないなら、本気じゃないなら……っ、もうこれ以上、邪魔をしないで」
それでも、私は殴りつけるような言葉を吐き続ける。溢れ出した涙のように、言葉が止まらなくなってしまう。
「舞香は遊びのつもりで恭助君を誘惑してるのかもしれないけどさ、アンタと違って、私は本気であの人のことを愛してるんだからっ! だからもう、恭助君を玩具にしないでよッ! 迷惑なのよッ!」
(違う、違うよ、だって、だって舞香は……っ!)
舞香の本音を引きずり出すつもりで、私は彼女を挑発するようなことを並べ立てていく。言葉を重ねる度に、心が音もなく崩れるような感覚がした。
「だって、だって舞香って、誰とでも付き合う癖に、誰とも上手くいかないんだもんねっ! アンタの、そんな下らない薄っぺらい恋愛ごっこなんかに、私の大好きな人を巻き込まないでっ!」
(違う、違うっ、舞香は、本気で恭助君のことを……っ!)
舞香は、私と出会う前からずっと恭助君に恋心を抱いている。彼女が学校でいろんな男と節操なく交際をしているのにも、きっと何かしらの訳がある。
舞香は、私の親友なんだから。
そんなの、傍で見ていれば分かるよ。
だって――恭助君以外の男の子と話をする時の舞香ってさ。
ちっとも、楽しくなさそうなんだもん。
(だ、駄目、もう、何も考えられない)
本格的に身体が熱っぽくなってきた。全身がごわごわする。頭がズキズキと痛む。今、自分が何を喋ってんのかも、よく分かんない。
「舞香はもう、十分幸せでしょっ! いろんな人に愛されてさっ、舞香は明るい性格だからっ、優しいから……っ!! わ、私なんかより、よっぽど恵まれてるじゃないっ、これ以上、幸せになるなんてズルい……っ!!」
興奮のあまり、私はテーブルをバンッと叩いた。
「だから、これだけは、これだけは絶対に舞香には譲らない……っ! 私の方が、舞香よりずっと恭助君のことを愛してるんだからっ、だからもうっ、お、お願いだから……っ」
これを言ったら、確実に嫌われる。もう二度と、戻れなくなる。
頭の中に、赤い警報が何度も鳴り響く。
だけど、それでも、私は止まれなかった。
「わ、私から、恭助君を、奪《と》らないで……っ!!」
しんと、静寂が二人の間に広がる。
……舞香の顔を見るのが怖かった。
怒っているのか、悲しんでいるのか、それとも――。
「く、悔しかったら、何か言い返してみなさいよっ、舞香ッ!!」
今の私を動かしているのは、理性でも論理でもない。
心臓の奥に宿った、炎のように熱い感情だけだった。
上手く説明の出来ない感情が心臓の中で綯い交ぜになっている。悲しいとか、悔しいとか、当然、そこには怒りの感情もあった。
だけどこの時、一番私が心に強く想ったのは――。
「羨ましいよ、麻美ちゃん」
「……っ!!」
舞香にその言葉を言われた拍子に、私の頭の中に、どうしようもないほどの空白が広がった。一瞬、何を言われたのか理解出来なかった。
(舞香、そ、それは)
私が今、舞香に思ったことと全く同じ感情だったから。
そこで、私はようやく舞香の目を見た。
羨望――舞香は本当に、心から私のことを羨んでいる目をしていた。
(何で、そんな目で私を見るの?)
私からすれば、アンタの方がよっぽど羨ましい立ち位置にいるのに。
舞香と恭助君、二人は幼馴染という強い繋がりがある。私がどんなに欲しがっても手に入らない関係性である。
(それに、恭助君は、アンタのことが――っ)
恭助君は、舞香に惚れている。
彼女に出会った時からずっと、彼は舞香に思いを寄せ続けているのだ。
二人は間違いなく両想いだ。状況やタイミングがそれを許さなかっただけで、本来であれば、二人はとっくの昔に結ばれている筈であった。
こんなの、本当は勝負にすらなっていない。
恭助君の心を奪うことなんて、きっと叶わない。
それを分かった上で、私は舞香と争うことを選んだのだ。
……途端、意識が大きくぼやけた。
(あ、こ、これ、本当にヤバい)
身体が熱い。まるで全身の血管が燃えているみたいだった。
嫌な汗を背筋にかきつつ、私は気力を振り絞って舞香に吠えかけた。
「何よ、羨ましいって……っ、舞香、アンタの方がよっぽど……っ!!」
私はゆっくりと立ち上がり、舞香の方へと近付こうとする。
次の瞬間、目の前がふわっと暗くなった。
(あれ? 私、どうなって――?)
私はバランスを崩し、そのまま床に倒れ伏してしまう。
「ちょっとっ、ああああ麻美ちゃんっ、し、しっかりしてっ!!」
遠くの方で、舞香の慌てふためく声が響いた、気がした。
舞香が泣きそうな表情で私の身体を抱きかかえようとする。
こんなに近くにいるのに、舞香の叫びが上手く聞き取れない。
(最低だ、私)
舞香に、酷いこと言った――。
意識が途切れる寸前、私は拭うことの出来ない後悔の念を抱いた。