11/13 電子版発売

好きと言うには遅すぎて、身体を許すには早すぎた2

電子版配信日:2026/11/13

電子版定価:880円(税込)

幼馴染の藍原翔子と転校生・一条カレンと関係を持ってしまった。
涙目のカレンと決別し、翔子と付き合い始めたはずだったが、
翌日、なぜか同級生にはカレンが彼女だと勘違いされていた。
己の傷心すら武器にして、思わせぶりな彼女面をするカレン。
「わかってる。エッチはしないよ。ちょっと気持ちいいことするだけだから」
その絶妙な距離感、ふと見せる切なげな顔に心をかき乱され……
湿度高めな幼馴染と小悪魔な転校生と。すべてが手遅れの青春ノベル第2巻。

目次

第一章

第二章

第三章

第四章

本編の一部を立読み

第一章


 日曜の夜のLINEは、いつも翔子のほうから来る。
『まだ起きてる?』
 時刻は十一時を少し過ぎたところで、朝陽《あさひ》はベッドに転がってスマホを見つめていた。
 返信を打つよりも先にカーテンの隙間から向かいの家を見ると、翔子《しょうこ》の部屋の窓にまだ人影がちらちらと動いているのが見えた。
『起きてるけど。何』
『ノート忘れた。英語の。明日提出なんだけど』
 翔子が提出物を忘れるわけがない。学年一位で生徒会長の藍原《あいはら》翔子が締め切りを落とすなど朝陽の記憶にある限り一度もなかった。
『英語のノート、明日提出どころか水曜までないけど』
『うるさい。私が明日と言ったら明日なの。それ以外の用事はない。五分後に裏口開けといて。両親寝た?』
『とっくに寝てる』
 スマホを置いてベッドから下りた。階段を下りる時にキッチンの時計が目に入って、洗い物がすでに食洗機に突っ込まれているのを確認してから裏口の鍵を開けた。
 外は三月の夜で、まだ冬の名残りを引きずった風が首筋を撫でていった。
 すぐ来た。
 翔子は学校指定のジャージの上にカーディガンを羽織って、髪を後ろで一つに束ねていた。化粧はしていない。
「入って。音気をつけろよ」
「言われなくても。スリッパ持ってきてるに決まってるでしょ」
 すっぴんの翔子を見るのは向かいの家に住んでいる朝陽の特権で、翔子はその無防備さを分かっているから、口調だけ余計に強くなる。
 手には手提げ袋に入った室内用スリッパと、提出予定のない英語のノート。アリバイ工作だけは完璧だった。
 親が寝静まった一階の廊下を、翔子の靴下だけが音を吸い込んでいく。
 日曜の深夜に家主の寝静まった家の中を堂々と歩き回るこの女には、空き巣の才能があるんじゃないか。
 二階の部屋に入ると、翔子はまず窓を確認した。カーテンが完全に閉まっているかを指先で確かめてから、振り向く。
「なに。ニヤニヤしないでくれる」
「してない」
「してた。口元が緩んでた。自覚して」
 翔子はカーディガンを脱いでベッドの端に畳んで置いた。
 ジャージの下は、着古したパジャマ代わりのTシャツ。向かいの家から来るだけだから着替える気もないらしい。
 ブラはしてない。Tシャツ越しに、胸の輪郭がうっすら浮いている。
 翔子がベッドに腰かけて、足を投げ出した。枕を一つ引っ張って膝の上に抱えている。幼馴染の遠慮のなさで、すっかり自分の部屋のように占拠する。
「ていうか、あんたの部屋、相変わらず散らかってるわね。その漫画の山、崩れたら死ぬよ」
「深夜に裏口から脱走してきた女に生活指導されたくないんだけど」
「脱走じゃないでしょ。玄関だと音がするから裏口にしただけ。合理的な判断」
「屁理屈すぎる」
「うるさい。ていうか寒い。暖房つけてないの? 何するか分かってるのに」
「どうせすぐ暑くなるだろ?」
「暑くなるまでの十分が寒いって言ってるの」
 翔子がベッドの上で膝を抱え直した。足先が冷えているらしく、靴下の指先をもぞもぞと動かしている。
 隣に座ると肩が触れた。冷えると言ってる割に、翔子の肩はいつも通り温かかった。
 翔子が何かを言いかけて、少し開いた唇を閉じて、代わりに朝陽の肩へと額を預けてくる。
 黒い髪が腕にかかって、風呂上がりの石鹸の匂いが鼻を掠めた。言葉の鋭さとは裏腹に、肩に預けられた体重はずしりと重い。
「なに」
「なにって、何が」
「寄りかかってるくせにこっち見ないの、ずるくない?」
「見てほしいの?」
「見てほしいって言ってない。ずるいって言った」
 翔子が顔を上げると、すっぴんの黒い瞳がまっすぐこちらを見据えていた。リップだけ塗った唇が、少しだけ突き出されている。
「キスしていい?」
「いちいち聞かないで。萎えるから」
 そう吐き捨てるのに、翔子は自分から肩を深く預けてくる。
 細い指がシーツを這い、朝陽の右腕にある小さな火傷の痕を探り当てて、なぞるように撫でた。
 押し当てられた唇は少しだけ乾いていて、それを舐め上げるように濡らすと、翔子の肩がぴくっと跳ねた。
 呼気とともにミントの香りが鼻腔を掠める。歯列をこじ開けて舌を入れると、無防備に開かれた口の中はぬるりと熱かった。
「んっ……」
 甘い声が漏れた。キスの最中に声を出すのを嫌がるくせに、最近はうまく殺せていない。隠しきれない媚声が上ずっていくのが分かってるから、わざと逃さずに長く吸う。
 後頭部に手を回してゴムを引き抜くと、束ねていた黒髪がさらりと指の間から落ちた。
「脱がすの、そこからなんだ」
 肩を掴んでベッドの真ん中へ引き倒すと、髪が枕の上に散らばった。
 白いTシャツの下で、ノーブラの柔らかな双乳が頼りなく揺れている。浅くなる呼吸のたびに、押し上げられた生地がこすれる音がやけに生々しい。
「電気、消して」
「嫌だ」
「最悪。後で絶対消させるから」
 恨めしげな声とともに翔子が小さく息を吐いた。
 気にせずTシャツの裾から手を入れると、冷えた指先に素肌がびくっと強張った。
 ウエストから肋骨へ這わせていく手のひらが、その柔らかな肉の厚みに沈み込んだ。
 座り仕事の多い生徒会長の少し重たくて柔らかい、剥き出しの体温。
「何見てるの」
「いや、ちょっと肉ついたなって」
「最近ちゃんと食べてるから。母さんが目光らせてるし。……それに、女に向かって肉ついたは失礼でしょ」
 むっとしたように唇を尖らせる。その意地っ張りな言葉ごと塞ぐようにTシャツを捲り上げた。翔子が反射的に腕で胸を隠そうとして、その手を掴んで除ける。
「見ないでって言ったでしょ」
「言ってない。電気消してって言っただろ。それは断った。見ないでとは言ってない」
「屁理屈言うな。あんた、こういう時だけ頭の回転速いの何なの」
 呆れたようなため息の中に、隠しきれない熱が混じり始めている。
 Tシャツの下から現れた白い胸は仰向けの姿勢で左右にとろりと流れて、薄桃色の乳首が冷たい空気に触れてつんと尖り始めていた。
 粟立った肌の上では、細かな産毛がぞくりと逆立っている。
 右の乳首を親指の腹でぐりっと撫で上げると、胸の奥から搾り出されるような声がひゅっと喉で潰れ、連動してシーツの上の腰がぴくっと跳ねた。
「ひゃっ……あんたのその手、冷蔵庫から出したでしょ。もうちょっと温めてから触って」
「温めろって言われても手段がないだろ。息をかけると翔子がうるさいし。残ってるの口ぐらいしか──」
「……最初からそれが言いたかったんでしょ」
 冷たい指の代わりに、温かい口で含んだ。
 唾液でぬるりと濡らした乳首を舌先でねっとりと弾くと、細い指が朝陽の髪を掴んだ。引き寄せてるのか押し返してるのか分からない。ただ指の力だけが異常に強い。
 風呂上がりの石鹸がうっすら舌に触れる。それ以外は味なんかしない。
 でも吸い続けていると舌先に当たる感触が変わっていく。つんと尖って、硬くなる。
「や……っ、そこ、舌……っ、んっ……」
 左の胸を掌で覆いながら、右の乳首を吸い上げた。翔子の太腿がぎゅっと閉じた。
 ジャージのウエストに指をかけると、翔子は文句を言う前に自分から腰を浮かせた。
 こういう時の翔子が一番かわいい。本人は絶対認めないけど。
「あんた、脱がすの早すぎない? もうちょっと丁寧にできないの」
「丁寧にやると翔子が我慢できなくなるだろ」
「何それ。自惚れすぎ。別に我慢なんかしてない」
 しっとり汗ばんだ太腿の内側に手を添えると、翔子の強張っていた膝が呆気なく外側へ倒れた。
 あんだけ強がってたのに、力なんかとっくに入ってない。翔子の嘘はいつも身体がバラす。
 キスと愛撫だけでとっくに蕩けている秘裂が、ぬるりと熱い蜜を指先に纏わせてくる。
「我慢してないのにこんな濡れてるの?」
「黙って。体質なの。あんたには関係ない」
「都合のいい体質ありがとう」
「どういたしまして。で、いつまで止めてるの」
 挑発するような言葉に呼応して、中指をゆっくりと沈めた。ぬめりを帯びた柔らかな内壁がきゅうっと指先を吸い込む。
 奥へ探りを入れるほど、肉襞の反発が指の腹を叩く。
「翔子、そんなに締められると俺の指が折れるんだけど」
「折れるわけないでしょ。あんたの指が太いの。私だって好きで力入れてるんじゃないの、反射なの……っ、ん、ああ、そこ……っ」
 指を増やして内側から外へ圧をかける。
 密着した壁をこじ開けるたびに蜜が根元まで伝い落ち、ぐちゅっ、という水音が静まった部屋に異様に大きく響いた。
 翔子がばつが悪そうに顔を背ける。
「音、やだ。下でおばさんたちが寝てるのに」
「聞こえてるのは俺だけだろ。さすがに一階までは──」
「分かってるけど嫌なの。あんたが変な音出させるからでしょ……っ」
 親指の腹で充血して硬くなった肉芽をぐりっと押し上げる。
 翔子の内腿がびくんと痙攣し、足の指がシーツをきつく掴んだ。
 深く沈めたまま、親指の腹をクリトリスに当てて小さな円を描くように動かした。中を埋めたまま外を弄る。包皮ごと肉芽を転がすように擦ると、翔子の腰がかくんと跳ねた。
「ちょっ……中と外、同時にやられるとっ……やだ、集中できないっ」
「翔子のクリ、めちゃくちゃ硬いんだけど」
「っ……あんただって硬くなってるくせに……っ」
「硬くなってないほうがおかしいだろ」
 中の指をゆっくり曲げて内側から擦り上げながら、親指の反復を少しだけ速める。荒くなった吐息が枕に散る。
 二つの摩擦が噛み合うたびに翔子の腰が細かく浮き上がり、大量の蜜が手首まで溢れてシーツに重い染みを作った。
「やっ……待って、どっちに集中していいか分かんない」
「どっちにも集中しなくていいよ。ただ感じればいいじゃん」
「あんた、今日……っ、いつもよりしつこい……っ、んんっ!」
 翔子の呼吸が明らかに変わった。胸から腹のラインが小刻みに波打ち、太腿の内側が完全に朝陽の腕に張り付いて離れない。
 指を引くたびに内壁が不規則に締まる。
 体液で滑る指先が意図せず奥まで滑った。
 ぐちゅ、と卑猥な破裂音が一つ鳴り、翔子が耐えきれずに枕に顔を押し付ける。
「あっ……やだ、待って、来る……っ、あんた、もうちょっと、ゆっくり……」
「ゆっくりしたらイけないだろ」
「いいの……っ、イきたくないの。こんな、指だけで……っ」
 口の端では拒絶するのに、閉じかけた脚が朝陽の腕をぎちぎちに挟み込んで確実にホールドしている。
 逃がす気など、最初からない。
 中からどろりと押し出されてきた愛液が、手の甲を伝ってとめどなく滴り落ちていく。
 包皮を剥くように親指をずらし、剥き出しになった先端を直接ぐりっと押し潰した。
 翔子の太腿がばたんと交差して腕をロックしたまま、腰が浮いて背中がベッドから離れた。
「ひっ──あっ、そこ直接っ、ダメ──っ、あ、くぅっ……!」
 枕を顔に押し当てて必死に声を殺そうとするが、痙攣した太腿が腕全体を力任せに締め上げてくる。
 翔子の全身が乱暴に何度か大きく跳ね、交差した太腿の隙間からとろりと透明な液が溢れ出した。
 乱れた呼吸の熱が、半分埋まった口元から漏れ続けている。
 しばらくして、挟んでいた力が緩んだ。荒い息をしながら、翔子が睨んできた。
「あんた。今日、なんかいつもと違う。よからぬ知識でも入れてきた?」
「翔子が気持ちよくなるための情報収集は欠かさない男だけどな」
「よく言うわ、そのドヤ顔で。いつもよりしつこいし……反省して」
 腕で顔を覆った。捲れたTシャツの下で腹が汗で光っていて、呼吸のたびに細かく震えている。
 翔子が腕の隙間からこっちを見た。視線が下にずれて──朝陽のものを見た。
 限界まで張り詰めている。翔子が一人で達した間、何もされないまま突っ立っていた男根が、生地を押し上げて先端をじわりと濡らしている。
「私ばっかり先にイくの、不公平でしょ」
 身体を起こした。まだ膝が震えているのに、朝陽の腰の前に移動してくる。ズボンの上から掌を当てた。
「翔子、別にいいから──」
「いいわけないの。借りは返すの。黙って座ってなさい」
 ズボンと下着を一気に引き下ろした。跳ね上がったものを見て、翔子の目が一瞬だけ丸くなって、すぐに戻る。
「……ほんと、ふざけた大きさ」
 呆れたように吐き捨てて、血管が浮き出た肉棒の根元を片手で握った。
「動かないで。私がやるんだから」
 先端に唇が触れた。
 ──っ、熱い。
 翔子の口の中はキスの時より、ずっと熱い。舌が触れるたびに頭の芯が痺れて白くなる。
 キスするみたいに唇だけで亀頭を包んで、舌先が裏筋のくぼみをちろりと舐めた。それだけで腰が跳ねた。
 翔子の髪が揺れて、汗で湿った毛先が朝陽の腹に触れた。
「……ここが弱いの、もう知ってるから」
 舌先が尿道口の縁をつつくように何度もチロチロと往復した。
 痛みに近い鋭さが先端を貫いて、一瞬遅れて快感に裏返る。脊髄の奥から這い上がってくる衝動に、シーツを掴んだ。
「翔子……っ、そこ続けたら出る……っ」
「出せば? さっき私にしたことと同じでしょ。……こんなにビクビクしてるのに我慢するとか、格好つけなくていいの。私の口で、一滴残らず搾り取ってあげるから」
 ──仕返しかよ。
 頬がこけるほど空気を抜いた真空の吸引が竿全体を包んで、口内の粘膜がぴったり張り付いた。隙間がなくなる。
 唾液がカリ首の溝に溜まって、そこを舌先がゆっくりとなぞるたびに、睾丸の裏から精液がせり上がってくるのを自分で止められなかった。
 翔子の喉がこくりと動いた。浅く含んでいたのが急に深くなって、亀頭が喉の入り口に当たった。
 翔子の眉が寄った。一度口を離して、唾液の糸を引きながら睨んでくる。
「……あんたのこれ、毎回喉に当たるの腹立つんだけど」
 文句を言い終わる前に、自分から顎の角度を変えてもう一度咥え直した。鼻から長く息を抜いて、今度は先端が喉の奥に滑り込む。粘膜が先端を締め上げて、蠕動が竿を飲み込もうとしてくる。
「んむっ……じゅるっ……」
 静かな部屋に、ずっちゅ、と粘着質な水音だけが響いている。普段なら絶対に音を殺そうとするはずの翔子の唇から、とめどなく音が漏れ続けていた。
 唇が先端に触れたまま、舌の腹でゆっくり裏筋を登ってくる。とろとろに甘い感触が全身を痺れさせて、頭の芯がぼんやり溶けていく。
 手を伸ばして翔子の頭に置いた。髪をくしゃっと撫でると、翔子が一瞬止まった。咥えたまま上目遣いで睨んでくる。
「……ん、……なに、撫でてんの」
 口を離さずに言うから声がくぐもっている。
「別に。翔子が頑張ってるから」
 翔子が腕をばちんと叩いた。でも払いのけはしない。舌が動き出した時、少しだけ手のひらに頭を押し付けてきたのが分かった。
 叩いた手で押し付けてくるのは反則だろ。
 翔子の手が震えていた。口で奉仕しながら、脚を擦り合わせている。さっきの余韻がまだ残っているのか、膝が小刻みに揺れている。
 ──翔子も、まだ感じてる。
 不意に口を離した。唾液の糸が切れて、亀頭と翔子の唇の間を粘液が繋いでいた。
「……何でもない。続ける。はぁっ……あむっ、じゅるっ……」
 さっきまでの丁寧な吸引が消えて、舌が根元から先端まで一気にしごき上げて、亀頭をぐりっと転がして、また呑み込む。
 リズムが乱れている。何かに急かされるように、粗い。
 ──もう、無理だ。
「翔子、出る──」
「出して。……全部、飲むから」
 根元を握っていた手が離れた瞬間、堰を切ったように精液が噴き上がった。
 翔子の喉がごくりと動いて、射精のたびに口内が収縮して先端を搾り上げてくる。
 飲み込む筋肉が竿を根元までしごくように脈打って、一滴残らず吸い出そうとしている。
 翔子の目が潤んでいた。頬が赤くて、唇の端に白いものが残っている。それを親指で拭って、ちろっと舐めた。
「……ちゃんと全部出した? 残ってたら知らないわよ」
「出し切った。翔子が搾りすぎたんだろ」
「搾りすぎとか文句言わないでくれる?」
 翔子が仰向けに倒れた。脚を閉じもせず、股間からとろりと蜜が垂れるまま、濡れた前髪が額に張り付いているのも直さない。
 息を乱しながら、わずかに口角だけが満足げに上がっていた。
「……入れて」
「さっき搾り取られたばっかりなんだけど」
「知らない。もう戻ってるでしょ」
 覆いかぶさって先端をあてがった。ひくついた膣口が亀頭を咥え込むように吸い付き、翔子の呼吸が止まった。
 腰を進めると身体が勝手に開いてくる。ねちゃりと粘つく蜜が亀頭を丸ごと舐め包み、竿を呑むたびに翔子の中がどくん、と血を送るように脈打った。
 一息で根元まで沈み込ませる。根元まで完全に繋がると一番奥の壁が先端を押し返してくる圧力が竿の根元までじんと響いた。
「翔子の中に入れただけでもう限界なんだけど」
「……っ、さっき口で出したばっかりでしょ。どんだけ溜まってんのよ……っ」
「きつすぎる翔子の中が悪い」
「……当たり前でしょ。誰の中だと思ってんの。……いいから早く奥まで動きなさいよ……っ」
 翔子の中は奥へ行くほど灼けるように熱く、きつく吸い付いてはほどけ、また奥の肉がぬるりと巻きついてくる。
 もっと奥まで行きたい。翔子を全部感じたい。理屈じゃなく身体がそう急かしてくる。
 ゆっくりと腰を引くと内壁がぎちぎちと男根に吸い付き、その強い反発力を引き剥がして再び奥底まで深く打ち込んだ。
 ぬめりを帯びた生の摩擦が竿の根元から背骨を伝って熱くせり上がっていく。それと同時に、ぐちゅっ、という卑猥な水音が静まり返った部屋のなかに反響した。
「んっ……あ……っ、やっ……音、出さないでってば……っ」
「俺が音出してるわけじゃないだろ。翔子の中が濡れすぎてるんだから」
「違うっ……あんたが上で、変なとこ抉るからでしょ……っ! もうちょっと大人しく……ッ、あ、あっ、そこっ、ダメ……っ」
 唇をきつく噛んでも、鼻の奥からこぼれる声を翔子自身でも止められなくなっていた。
 腰を打ち付けるたび、反り返った先端が翔子の腹の奥を下から乱暴に抉り上げる。
 子宮口の手前にある一番敏感な壁を擦り上げられると、翔子の目が大きく見開かれて、裏返った喘ぎ声が喉の奥から飛び出した。
「あっ──! やっ、そこ当たると……っ、声、止めらんない……っ」
「止めなくていいって言ってるだろ。親はもう寝てるから聞こえないよ」
「聞こえるって……っ、あんたの親に私の声聞かれるの冗談じゃないから……っ、明日の朝、学校行く時、もしあんたのお母さんと顔合わせたらっ……んっ、ああぁっ……!」
 翔子の細い脚が腰に巻きついてきて踵が尻の上できつく交差した。太腿の内側が汗ばんで吸い付いて、力を込めるほど離れなくなる。
 ベッドの軋みを気にする余裕はとっくに消えて、結合部から溢れ出す愛液が泡立ちながらずるっ、ぐちゅっ、と粘り気のある卑猥な音を立て続けた。
 汗ばんだ肌と翔子の内側から溢れてくる蜜の匂いが、息を吸うたびにべったりと鼻の奥に張り付いて離れない。
 腰の動きが速くなると翔子の呼吸がめちゃくちゃに乱れ始めた。言葉をまとめようとしているのに、突き上げのたびに途切れる。
「っ、ちょ、待って……っ、今のペースは……っ、んっ、あぁっ……!」
「何。止めてほしいの」
「止めてなんて言ってない……っ! もう少し、加減って……あっ、あぁっ、そこ、だめっ……!」
 翔子の手が朝陽の背中を掴んだ。
「翔子、さっきから全然止めてほしそうな顔してないけど」
「うるっ……さ……っ、あんたに顔見られてるの、だけで……っ、もう、何も……っ」
 文句が文句として最後まで成立しなくなってきた。語尾が全部喘ぎに食い潰されている。
「朝陽……っ、ねえ……っ、あんた今、笑ってるでしょ……っ」
「笑ってない」
「笑って……っ、んんっ……! あたしが、こんな声出してるの見て……っ、は、腹立つ……っ」
 腹立つと言いながら脚の力が強くなる。踵が腰を引き込んで離さない。
「あっ、朝陽っ……好き。……んっ、好き……っ。今言っとかないと、後から絶対言えなくなるから……っ」
「……俺も」
「短い。もうちょっとちゃんと言ってよ……っ、あっ……」
 腰を突き上げるたびに翔子の声が途切れる。好きと言いながら締め上げてくる翔子の中が不規則に脈打って、その収縮が竿越しに直に伝わってきた。
「翔子が好きだよ。ずっと」
「……ばか。こういう時にずるい……っ、こんな顔で見られながら言われたら……っ」
 額と額を合わせると汗で濡れた前髪が絡まって、翔子の吐息と朝陽の吐息が同じ空気のなかで混ざり合っていた。
「翔子、もうイく?」
 中が小刻みに波打って、亀頭をちぎるみたいにきつく吸い付いてくる。
「っ……なんで、わかんのよ……っ」
「分かるよ。中が全部教えてくれるから」
「……やだ……っ、そんなの、恥ずかし……っ、あ、あっ……!」
「合わせるから。一緒にイこう」
 一番きつく締め付けてくるところを狙って、引くのを堪えて奥底まで深く腰を叩きつけた。翔子の呼吸が完全に止まった。
「あ、っ──あさ、ひ……っ! だめ、もう……っ、奥っ、あたし、イッ──!」
 翔子の中がびくびくと不規則な痙攣を始めた。根元まで搾り潰されるような締め付けが来て、奥の柔肉が先端を抉るように何度も擦り上げてくる。
 ぎちぎちに搾り上げられて、もう耐えきれなかった。
「翔子……っ、出る──」
「っ、ん……っ、出して……っ! あッ──! イって……っ、イってる、とまん、な……ぁああッッ──!!」
 翔子の絶頂に巻き込まれるように、一番奥の壁を深く抉り込んで射精した。
「あ──ぁあっ……! 熱い……っ、朝陽のが、中に……っ、あぁ、いっぱい……入って、くる……っ!」
 灼けつくような白濁が子宮の入り口にドクドクと注ぎ込まれていく。
 翔子の喉から、もう言葉じゃない何かが漏れ続けている。ひっく、ひっく、と喉の奥が痙攣するたびに、中も同じリズムで竿を締め上げてくる。
 精液を注ぎ込まれるたびに、翔子の腰がびくっ、びくっ、と跳ねて、そのたび声にならない息が漏れた。
 やがて朝陽の腕のなかで翔子のすべての力が抜けて、汗ばんだ身体がずしりと重くのしかかった。荒い呼吸だけが二人分、静かな部屋に重なっている。
 繋がったまましばらく動くことができなかった。中にぶちまけたものが結合部から逆流して、翔子の内腿をぬるぬると伝い落ちていく。その温度がいつまでも冷めない。
「……ティッシュ」
「枕元」
「取って。……私、動けない」
 腕を伸ばしてティッシュの箱を取った。渡すと、肩口に顔を埋めたまま片手でティッシュを引き抜いて、股間を押さえた。
「……最悪。あんたのベッド、汚れた」
「いつものことだろ」
「いつものことにしないで。……洗濯、自分でやってね。お母さんにバレたらどうすんの」
「バレない。日曜の夜にシーツ汚す男子学生なんて珍しくないだろ」
「……想像させないで」
 胸を叩いた。力がない。叩くというより、手を置いただけに近い。
 身体を起こした。Tシャツのたくし上げを直して、ジャージのズボンに脚を通す。下着は汚れたまま丸めてカーディガンのポケットにねじ込んだ。
「帰る」
「泊まってけば」
「無理に決まってるでしょ。朝、私が二階から下りてきたらおばさんたちにどう説明するの」
「いつも遊びに来てるし──」
「日曜の夜に泊まりに来る幼馴染の女は遊びじゃないでしょ。……ほんと鈍感よね」
 翔子がカーディガンを羽織ってスリッパを手提げ袋にしまった。
 窓のカーテンの隙間から向かいの自宅を覗いて、リビングの明かりが消えているのを確かめてからドアに手をかけた。
「……おやすみ。明日、寝坊しないように、いつも通りの時間ね」
 翔子が部屋を出ていった。裏口から出る足音すら聞こえない。
 窓から見ると、向かいの家の裏口がそっと開いて翔子の影が滑り込んでいくのが見えた。すぐに翔子の部屋の窓が暗くなった。
 ベッドに寝転がった。シーツはまだ翔子の体温を重く残して温かい。

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