豊麗な乳房を盛りあげる黒いブラジャー。
恥毛と見まがうほどの黒いスキャンティー。
甘美な太腿には黒のガーターとスットキング。
白衣姿の下にこんな淫らが潜んでいるとは!
女医の隠された恥面に悪鬼たちは喜悦する。
沙耶子――黒下着を纏う時だけ、真の自分に戻る女。
さやこ(30歳)女医
あさみ(21歳)女子大生
ゆり その他
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「スリップをまくりあげてみな」
消え入りそうな嘆願の呟きが、沙耶子の口をついて出た。
「や、やめて。お願い……」
ボスのもくろみが何なのか、まだ見当がつかなかったものの、手下どもは揃って女をいじめるのが大好きな連中だった。三人は気を揃え、スリップを沙耶子のすべすべした脚にそってするりと引きあげた。
「やっぱり。スキャンティもだ。思った通りよ」
贅肉のまったくない白い腹部と二本の太腿の合わせ目を、申しわけ程度に隠す黒い薄布を見おろして、市井は得意満面の表情でうなずいた。冷酷さを示す薄い唇が、トレードマークの含み笑いをもらしながら、沙耶子の傍らへ膝をつき、顔を面白そうにのぞきこむ。
「奥さん、あなたも好きねえ、黒い下着のせいでこんな羽目になったというのに、性懲りもなく上も下も……ねえ」
やっと事情を呑みこんだ手下たちは、淫らな興味に目を輝かせ、口々に言い放った。
「へえ、こんな美人のくせして」
「すごい変態だったんスねえ」
大男の青木は黙っていた。だが、そのズボンの前立てがグロテスクにふくれあがっているのをチラッと見た沙耶子は、冷水を浴びせられたような悪寒を感じた。
ああ、神様! 恐ろしい夜になりませんように……。
市井は沙耶子の肩先に走った震えをめざとく見つけた。嬉しくてたまらない様子で頬を突ついてくる。避けようがなかった。市井の指先は蛇の肌みたいに冷たかった。沙耶子はぞくっとして裸身をさらに縮めた。
「奥さん、そんなに純情なふりしたって無駄ね。何もかも見透かしちまったんだから」
市井はてのひらを、黒いスキャンティの上からヴィーナスの丘にねっとりと這わせた。
布地の下の草むらがジャリッと音をたてた。坊谷たちが下品な笑い声をあげ、得意げな市井の言葉がさらに調子づいた。
「タレント歌手崩れのスナックのママがいるんだけどね。恋人にもらった黒いスキャンティでデートに行こうとする途中、レイプされたわけさ。それが最高によかったんだとさ。
で、そのあと、黒以外の下着を着けなくなってしまったんだ。奥さん、彼女の口実はわかってるね」
沙耶子は口を結んでいた。それ以上どうしたらいいのだ。
「お前たち。わかるかい」
市井は手下たちに尋ねた。しかし、血の滴るステーキのようにうまそうな女の躯を前にして、いい気な講義を聞く気分ではない彼らは、おざなりに首を振った。一刻も早く犯したくてしようがないのだ。
「わからないなら教えてやろう。黒い下着を着け、あの時の屈辱を思いだして、もう二度と過ちを繰り返さないためだとさ」
市井は羞恥で燃えるような沙耶子の頬を両手で挟み、閉じた瞼に向かってまくしたてた。
「嘘っぱちの口実さ。本当は、黒いのをはくと女はみんな大胆になれるのよ。恥ずかしいことが何でもできるんだな。あなたが黒がすごく好きだってことは、ぼくらにやってほしいっていう無意識の意志表示。奥さん、してほしいんだろう? この牝犬ちゃん」
いちいち図星だった。一言一言が沙耶子の淫らな女の中心へ刺激を送りこんでくる。子宮の奥底から衝きあげてくる喘ぎを、沙耶子は必死になって抑えようとした。しかし、腰のあたりがどうしようもなく熱くなり、とめようがなかった。敏感な乳首がいち早く勃起した。
市井はブラジャーごと、突き立った乳首をつかんでひねりあげた。沙耶子が呻いて思わず目を開く。その目は悩ましく潤んでいた。市井は見透かしたように微笑した。
「思ったとおり尖ってきている。お望みどおりにしてあげよう。早いとこ、スッポンポンに脱がしちまいな!」