乱身調書(下)

著者: 結城彩雨

本販売日:1995/11/10

本定価:912円(税込)

ISBN:978-4-8296-3124-9

志田は女を肛虐するための生まれてきたような悪魔だった。肛虐調教の主導権を握った志田が江里子に強制する羞恥の数々! 幸せな若妻から魔虐の肉実験用の牝に堕とされた江里子は、商店街の主人や主婦たちにまで辱しめられ、奴隷の魔悦に目覚めていく。志田の淫虐巧緻な調教によって、とろけんばかりの官能に翻弄される江里子。大勢の男たちが待つ秘密クラブで加えられるおぞましい超絶の魔責めとは?

登場人物

えりこ(26歳)人妻

本編の一部を立読み

「ひッ……はやく、車に……」
だが、美容院の前にとまっているはずの志田の車は、どこにも見あたらなかった。
「ああ、そんなッ……車は、車はどこなのッ」
「フフフ、言い忘れたけど、車は向こうの駐車場へ移したんだ。ここじゃ駐車違反になるんだ」
志田はわざとらしく言った。
「ひッ」と江里子は息を呑んだ。駐車場といえばここから百メートルはある。
本能的に美容院へ逃げ帰ろうとするのを、志田はグイと糸を引いて許さなかった。
「駐車場まで行くんだ、江里子さん」
「いや……かんにんして……」
すでに何人かの道行く人に気づかれている。大きな声を出せば、さらに人が集まってくると思うと、まともに声も出ない。
「いやでも行ってもらうぜ、江里子さん」
「こ、こんな姿でなんて……いや、ああ、そんなこと、許して……」
「裸を見られることより、洩らさねえように気をつけることを心配するんだな、フフフ」
志田は糸を引っぱって、江里子を強引に商店街の中心へと引きたてていく。
「あ、あ……ひッ……」
江里子は生きた心地もなく、キリキリと唇をかみしめた。乳首と女芯を絞った糸を引かれては、あらがうことはまったく不可能だった。
長山夫人が江里子の首から厚紙をぶらさげた。画用紙大の大きさで『私は浣腸好きの牝です。川野江里子』と書かれ、その下には江里子の住所まで書かれていた。
すぐに道行く人々が江里子に気づいた。それでなくても美しさのきわ立つ江里子が、一糸まとわぬ全裸をうしろ手に縛られ、商店街を引きたてられてくるのだ。みんな一瞬ギョッとして立ちどまり、ある者はひそひそとささやき合う。
「すごい美人だな。なんていい身体してるんだ。たまらんな」
とまぶしいものでも見るように眼を細める男、幻でも見たようにポカーンと口を開けている学生。そして、
「ねえ、あれ噂の人じゃない。何か書いてあるわ……川野江里子って、やっぱりだわ」
「裸でテニスしたり、犬を相手にいやらしいことをするって噂でしょう。本当だったのね」
「なんてハレンチなの。よくあんなかっこうで歩けるわね。牝っていうだけあってすごい」
好奇と軽蔑の眼でささやき合う主婦たち。江里子が顔見知りの近所の人たちも何人かいた。
そんななかを江里子はゆっくりと引きたてられていく。女芯を縛った糸が、江里子が前かがみになることを許さない。
(ひどい……こんなことって……ああ、死んでしまいたいわ……)
だが、江里子のそんな思いも猛烈な便意に押し流されてしまう。頭のなかがうつろになり、もう自分の置かれている状況さえわからなくなる。
荒れ狂う便意だけが、失神寸前の江里子の意識をジリジリと灼いた。
(ああ、もうだめ……で、出ちゃう、出る……)
江里子は肛門の痙攣を自覚した。
ちょうど商店街の一番にぎやかな場所で、江里子を囲んで人だかりができているのもわからないように、江里子はズルズルとしゃがみこんだ。

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