本販売日:2000/03/23
電子版配信日:2009/10/23
本定価:535円(税込)
電子版定価:660円(税込)
ISBN:978-4-8296-0951-4
ああ……見ないで……恥ずかしすぎるわ……。
スイミングクラブでは白の紐ビキニ。
夏合宿のビーチでは豹柄の紐ビキニ。
インストラクターの可南子を飾る羞恥水着は、
男たちに視姦されるほどに、媚麗なる魅力を放つ。
やがてマゾの悦楽が、新妻を露出奴隷へ導いていく……。
かなこ(27歳)人妻
まり(25歳)課長
本編の一部を立読み
「可南子コーチ、すごいビキニだな」
「プロポーションがいいから素敵よね。でも人妻なんでしょう」
会員たちのそんな声が、風に乗って耳に届いてくるようだ。思わず耳を塞いでしまいたいほどの辱しめだ。
けれども、座ってばかりいるのも逆に不自然だとも思われた。だから、可南子は思いきって立ちあがった。一度海に入ってしまえば、あとは日光浴をしているとの理由もつけられると考えた。
しばらく海のなかで泳ぎ、誘われてビーチバレーの輪に加わった。若い男の子の視線が痛いほどだった。背後で麻里が会員たちと談笑している。その笑い声さえも自分のヒップに向けられているようで、可南子は意識が過敏になっていく。それでも懸命に、自然にふるまおうと意識した。
(そうよ……。いままでどおりに……。淫らなんて思われるのはいやだもの……)
若い選手や一般会員たちの前では、やさしいコーチでありつづけたいと、可南子は自分に言い聞かせた。人妻インストラクターのことは、他の人は知らないことなのだから。
「可南子コーチ」
麻里が可南子に呼びかけた。スペシャルレッスンのときや二人きりのとき以外は、麻里はけっして可南子を呼び捨てにはしなかった。だからこそ、可南子はスイミングコーチの仕事をつづけられていた。
「コーチだけでミーティングしましょう」
「はい……」
ふたたび浜辺に戻る可南子に、麻里が肩を寄せてくる。並んで歩きながら小声で囁いてきた。
「水着が濡れて透けているわよ」
それは考えないようにしてきたのだ。けれども麻里の言うとおりなのだろう。チラッと視線を落とせば、乳首がツンと目立って見えていた。下半身のことは、確認することも、想像することすら恐ろしくて、可南子はすることができなかった。
自分たちの集まり以外の若い男性が、可南子に向かってなのか、冷やかしに似た口笛を鳴らした。とたんに聴覚が敏感になり、ビーチの人々のざわめきが、肌に突き刺さってくるようだ。
「すごい身体ね」
「わざと見せているのかしら」
「お尻に紐が食いこんでいるよ」
そんな言葉のなかに、クラブの仲間の声がないことだけを、可南子は願って目を閉じた。バストやヒップへ注がれる無数の視線のシャワーと侮辱のざわめきに、溺れてしまいそうで呼吸が乱れた。
「顔が真っ赤よ。感じているのでしょう?」
「違います……。ああ……恥ずかしいだけです」