人間不信のトラストにより監禁調教されることになったフィーリア。
「あなたが癒やされるまで私を閉じ込め穢し尽くしてください!」
ひたむきな想いで欲望を受け止め昼夜となく何度も犯されるTS少女。
果たしてフィーリアは寝取られ勇者の心を溶かすことができるのか?
堕落の鎖が繋いだ「絆」で、勇者と聖女は再び魔王と対峙する!
大人気アニメ化作家アネコユサギが贈る純黒純愛監禁IFルート!
(文庫換算410ページ)
●もくじ
プロローグ 堕落の鎖♀
第一話 どうしてこうなった?♂
第二話 奉仕に目覚めたTS少女♀
第三話 不安と希望は後ろから♂
第四話 ズレた世界とくすんだ空♀
第五話 逃避行
第六話 赤と紫の霧
第七話 君と明日を見るために♂
第八話 勇者の証明
第九話 ずっと一緒にいます♀
第十話 聖女の光
第十一話 ここからが始まり♀
エピローグ 希望の鎖
番外編 この身が朽ち果てるその日まで
フィーリア 美少女
本編の一部を立読み
「……んん」
酷く頭が重い。
鈍い思考の中で金属が擦れるような、そんな音が聞こえた。
えっと……オレは何をしていたんだっけ?
確かトラストと共にたくさんの魔族と戦いながらネーリスフォードへ辿り着いて『その日は宿屋でゆっくり身体を休めて眠った』、翌日に近隣の村に魔物の襲撃があって、それを見事二人で退治した。 その翌日には早朝からトラストに武術を教わって、昼頃からこれから必要な買出しをしたりしたんだ。
それから数日は平和な日々を過ごしたと思う。
トラストも……っ……よく思い出せない。
どうしてオレはこんなに頭痛がするんだろう。
オレはぼんやりとした思考をなんとか覚醒させるために目を開いた。
「…………え?」
オレはベッドの上に横たわっていた。
それはいい。眠っていたのだから当然だ。
しかし、そのベッドのある場所が見覚えのある場所じゃなかった。
……ネーリスフォードの宿屋じゃない。
家具が何もなく、大きな金属製の扉と隣の部屋に繋がる普通の扉があるだけ。
空気は換気されているが、どことなくどんよりとした雰囲気がする。
電気……じゃないな。
魔法の道具で明かりがつけられていて、今が昼なのか夜なのかすらわからない。
「えっと……っ……」
思わず身体を動かしたら、途中で止まってしまった。
見れば両手首に金属製の……手枷が嵌められており、その鎖がベッドの頭上に繋がれている。
それは両足も同じで四肢を拘束されていた。
思わず力を込めて拘束から逃れようとするも、ビクともしない。
……この身体は相当な力があったはずなのに。
首元にも違和感がある。
これは、首輪? 触れることができないのでわからないが、多分そうだ。
「ひっ……」
直後、大きな金属製の扉が開き始めた。
外側から鍵を掛けるタイプで、酷く金属的な音が響く。
あまりの事態にその扉から現れる人物を恐怖の目で凝視した。
「もう起きたのか。やっぱりフィーリアは凄いな」
トラストだった。
ごくごく当たり前かのように、トラストが扉から入ってきた。
……これはどういうことだ? どうして、その……オレが拘束されているのに、トラストが自然な顔で入ってくる?
「あの……トラスト様? これはどういう? わたしはどうしてこんな状態に……?」
薄々わかってはいた。
今オレがこういう状況になっているのが、トラストが原因であることに。
「フィーリア、君……いや、お前は俺のことが好きなんだろう?」
「……はい、好きです」
惚れ薬の影響ではあったが、オレはトラストに好意を持っている。
そうでなくてもトラストはオレの好きなゲームの好きなキャラクターだ。
だから、断言できる程度にはトラストのことが好きだ。
「そうか……でも、俺はお前を信用できない」
「…………」
こうもハッキリと拒絶されるのは、正直凹みそうな気分になる。
しかし、その気持ちを俺は理解することができた。
トラストは信じていたヒロインたちに裏切られて、その手で殺されそうになった。
いや、ゲームのままなら実際に殺されていただろう。
そんな経験をしたら、誰かを信用することなんてできなくなる。
ゲームだった頃にその体験をした俺ですら、軽度の人間不信になったんだ。
実体験であるトラストだったら、そんな次元ではないだろう。
「だけど、俺のために戦ってくれたお前が、俺は好きだ」
……その言葉を聞いて、悲しい気持ちになった。
好きな相手を信用できないんだなんて、悲しすぎる。
彼が普通の精神状態ではないことをオレは瞬時に理解した。
そして、その理由を知っているだけに、適当なことは言えない。
「だから――」
「――だから監禁するんですね?」
トラストの言葉を遮って、オレは事実を突きつける。
そう……これが今、オレが拘束されていることの真実だ。
「……そうだ」
甘かった。