もう許して、もうしないで 未亡人女将・孕ませの宿

著者: 舞条弦

本販売日:2023/07/21

電子版配信日:2023/08/04

本定価:1,001円(税込)

電子版定価:1,100円(税込)

ISBN:978-4-8296-4670-0

「お客様の濃い精液を、私の奥にお注ぎください」
和服をはだけ、太い肉棒を濡れた膣に誘う美人女将。
亡夫の残した老舗旅館を懸命に守る未亡人・侑子。
34歳の熟れた色香が常連客を鬼畜に変貌させた。
ソープ奉仕、秘唇晒しストリップ、種付けショウ……
義娘も毒牙にかかり、母娘はお座敷の肉奴隷に……

目次

第一章 中出しの宿 強制された女肉接待


第二章 ソープ奉仕 露天風呂の未亡人女将


第三章 M字開脚  淫獣たちの視線に晒されて


第四章 娼婦生活  紳士面した客が鬼畜に


第五章 悪魔の契約 宴会場でのお披露目式


第六章 奴隷候補  義娘を待ち構えていた淫檻


第七章 生き地獄  牝犬若女将として生きる道


第八章 母娘陥落  淫売旅館の生け贄たち

登場人物

ゆうこ(34歳)女将

えん 女子大生

本編の一部を立読み

 旅館の一室で、歳の離れた男女が向かい合っていた。
 着物に身を包む女──早瀬侑子は、青白く染まった相貌を伏せ、薄く開いた朱唇を震わせていた。長い睫毛の下、茶の色味を帯びた瞳には、隠しきれぬほどの憂いが滲む。誰が見ても侑子の胸裏が穏やかでないのは明らかであった。
 一方で、陰鬱な雰囲気を醸す女の姿は、どこか官能的にも見えた。
 後頭部で丁寧に結わえられた濡れ羽色の髪、その下から覗く白磁色のうなじは、成熟した色香をむんむんと漂わせる。未亡人という肩書きが余計にそう思わせるのだろうか。三十四歳という年齢も、沈鬱な面持ちも、意図せずして早瀬侑子という女の魅力を惹きたてていた。
「女将さん、大丈夫ですかな? 少々顔色が悪いようだが」
 座椅子に腰を掛けた初老の男が、侑子の様子を見て言葉を掛ける。黒いスーツに身を包む鬼崎の顔は、名前に似合わず仏のように穏和だった。
「だ、大丈夫……です。少し、緊張していまして」
「そう怯えないで。何も私は脅迫しに来たわけじゃない。ビジネスの話をしに来ただけです。いつも通りね。私が女将さんを脅したことがありますか?」
「い、いいえ……その、鬼崎さんには、良くしていただいて、その」
 懸命に喋ろうとはするが、喉の筋肉が引き攣ってうまく発声できない。侑子が言葉を詰まらせている間、重々しい沈黙が室内に漂った。外からは鳥の囀りが響き、旅館を囲む竹林が、風に煽られて枝葉の擦れる音を響かせる。湯呑を口に運んだ鬼崎が、一つ息を吐いて沈黙を終わらせた。
「いやあ、何度来てもここは良いですな。静かで穏やかで、空気も美味い。青々とした景色を見ていると心が浄化されるようです」
「あ……ありがとう、ございます」
「しかし残念ながら、早瀬旅館の素晴らしさは広く知れ渡ってはいないらしい。客足は以前よりも遠のいたようですな。どうですか、経営の方は?」
 核心へ一気に迫られ、痛いくらいに心臓が跳ねる。鬼崎の質問に対して侑子は何も言えなかった。相手は旅館の現状を知り尽くした金融屋であり、嘘や誤魔化しが通用するとは思えず、未亡人は再び沈黙してしまう。
「ふむ、変わらず芳しくないようですな。駅の近くに大型旅館も立ちましたからねぇ。風光明媚と言えば聞こえはいいが、これほどの山奥だとアクセスも悪い。土産一つ買いに行くのも難しいでしょう。最寄りのコンビニへ行くには長い坂道を下りなくてはいけない場所だ。客があちらに流れるのも当然でしょうな」
 穏やかな声で事実を淡々と告げられる。当然、女将である侑子も、ただ指を咥えて経営が傾くのを待っていたわけではない。何か手を打たねばと模索を続け、必死に切り盛りしてきた。
 だが、元々経営の知識が不足している侑子に旅館の立て直しは難しい。まともな相談相手もいなかった。先代女将は脳梗塞で死去し、二人三脚で頑張ってきた夫は事故で他界した。助力してくれる親戚もおらず、嫁いできた侑子一人の肩に、すべての重圧と責任がのしかかっていた。それは三十四歳の未亡人にとって、あまりにも重すぎるものだろう。
「あ、あの……鬼崎さん。借金の件なのですが……もうしばらくお待ちいただけませんか。利子を含め、必ずお返しいたしますので……」
「女将さんには同情もあります。だが、過剰に情けを掛けていては、今度は私のビジネスが破綻してしまう。それにもう充分待ちました」
「それは、私も判っています。何度も返済期限を延ばしていただいたことも、頭が上がらないくらい感謝しております……ですが、その」
「女将さんが何を言おうと、結論は変わりません」
 その絶望的な言葉に泣き崩れそうにもなった。鬼崎からお金を借りられないとなれば、いよいよ待っているのは破滅だけである。
 自分一人が破滅するのは構わない。だが、早瀬家が代々受け継いできた旅館を──亡き夫との思い出が残る旅館が潰れるなど、侑子には耐えられなかった。
「以前から提案している通り、土地を売ってしまいませんか。山奥という立地も、ある側面から見れば使いようがあります」
「で、ですが、その提案は……!」
「ええ、納得されないのでしょう? なので今回は二つ目の提案をさせていただきます。経営コンサルタントを派遣する、という形はいかがでしょうか。知人に凄腕の立て直し人がいましてね。彼に協力を要請して、旅館を再建します」
「ほ、本当ですか!」
 願ってもない提案に、思わず声をあげ、侑子は身を乗りだした。旅館の立て直しこそが侑子の悲願だ。プロの指導を仰げば、この旅館の持つポテンシャルを最大限に発揮できる。その自信はあった。
「彼を雇う経費はひとまずこちらで負担します。経営の立て直しに成功した場合に、後で支払っていただくということで。いかがでしょうか?」
「ぜ、是非。何も問題はありません。どうか、よろしくお願いします」
「判りました。では、双方合意の上ということで。早速彼を呼びましょう」
「え……もう、ですか? 今日、ここに?」
 とんとん拍子に話が進んでいる現状に、侑子は少なからず疑念を抱く。いや、考えても仕方がない。どのみち他に選択肢はないのだ。これが鬼崎の描いた筋書き通りであっても、彼に縋るしかなかった。
「再建は早いほうがいいでしょう? それとも、おやめになりますか?」
「あ……い、いえ。大丈夫です。よろしくお願いします」
 初老の男はコクリと頷き、部屋の入り口に向かって声をあげた。
「おーい、峰岸くん。入ってくれるかい」
 鬼崎の言葉に反応して男が入ってくる。正直に言えば、彼が経営コンサルタントには思えなかった。第一印象は典型的な酒好きの中年男性と言ったところで、アロハシャツに覆われた腹は贅肉で大きく膨らんでいる。やたらに光沢のある黒髪は、艶々とした虫の外皮を想起させ、生理的な嫌悪感を抱かせた。
 峰岸はずかずかと大股で歩き、侑子の傍を通り過ぎていく。中年は断りもなく座布団を敷くと、畳が抜けそうな勢いで、ドスンッと座った。
「呼ばれないから交渉が決裂したのかと思ったぞ。長々と話すなんてらしくもない。昔は有無を言わさず相手を従えていたじゃないか」
「それは十年以上も前のことだろう。孫が生まれてからはこの調子だよ」
「ふふ、そうだったかな。雄吾くんは元気かい。久しぶりに会いてぇな」
「勘弁してくれよ。峰岸くんと会うと、可愛い孫が女遊びを覚えそうだ」
「俺の所為にするなよ。派手な女遊びしても、そりゃあんたの遺伝だよ」
 峰岸の言葉に鬼崎は口元を緩める。軽口の応酬を聞きながら、侑子は居心地の悪さを感じて俯く。直後、何やら視線を感じて顔を上げなおすと、下品な笑みを浮かべる峰岸と目が合う。
「えっと……な……何か、私の顔についていますか……」
「いやあ、何も? ただ良い女だな、と思ってな。噂通りの……いや、それ以上だ。写真より実物のほうが綺麗じゃないか。ふふふ」
「あ、ありがとうございます。それで、その。本題なんですけれど──」
「胸もケツもデカくていい。何より、十代や二十代にゃ出せねぇ色気がムンムンしてるのがたまらねぇ。苦労した女特有の翳りも良いスパイスだ。未亡人だって思うと余計にそそるなぁ」
 侑子の発言を遮り、中年は涎を口角に浮かせて下卑た品評を口にする。下品なのは言葉だけではない。弧状に細められた双眸で、舐め回すように身体を見つめてくるのだ。
(な……なんなの。この人……なんて目で私を見て……)
 身体の芯が悪寒で震えるような、性的で邪な感情を孕んだ視線だ。助けを請うように鬼崎を見つめるが、男は事の成り行きをじっと傍観しているだけだ。侑子は渇いた喉に唾を流し、恐々としつつも口を開く。
「し……失礼な質問で恐縮ですが、峰岸さんは経営コンサルタントの方なんですよね?」
「証拠を出してほしいのか? ならスマホで調べてみろよ。俺の事務所はすぐに出てくる。実績も公開してるからな。信用に足るとは思うぜ。だがまあ、別に信じなくてもいい。そのときは手を引くだけだ。俺も、鬼崎さんもな?」
 牽制するような物言いに侑子は「うッ……」と言葉を詰まらせる。どれほど不信感を抱こうが、今の侑子は彼らを追い返せる立場にない。峰岸は「ふん」と鼻を鳴らして続けた。
「まあいい。まずは話を進めようじゃねえか。旅館の中を一通り見て回ったが、雰囲気は悪くねえ。閑静な場所にあるうえに、周囲は竹に囲まれてる。やましいことは全部隠せる土地だな。温泉旅館としての基本的なスペックも充分だ」
「でしたら……!」
「だが、この程度の旅館はいくらでもある。腐るほどな」
 判ってはいたことだが、改めて言葉にされると、頭を殴られたような衝撃を受けてしまう。唇を閉じ、憂いを帯びた瞳を伏せる侑子に向かって、男は言葉を付け足した。
「改善策はある。この旅館だけの特色を作れば良いだけだ」
「特色、ですか……それは、どういう」
「ここを、売春宿──いや、売春旅館にする」
 告げられた言葉に侑子は絶句した。悪い冗談か聞き間違いだと思った。どういう感情を示すべきかも判らず侑子は苦笑する。だが峰岸の顔を見て──脂ぎった顔に浮かんだ笑みを見て、侑子の表情は凍りつく。
「ここを性的なサービスを提供する旅館にするんだ。そして性接待を行うのはもちろん、女将であるお前だ。客はお前を目当てに旅館を訪れる。そして宿泊プランに合わせた性接待を客にする。これで大繁盛間違いなしだ」
 売春。性的なサービス。性接待。淫らな単語が頭蓋骨の内側でぐわんぐわんと反響して眩暈がした。一体自分は何を聞かされているのだろう。
「な、何かの冗談ですよね? そんなの無理に決まっています」
「俺は本気だ。お前は淫売女将になるんだよ。客の前で裸晒して、髪も腋も口もま×こもケツの穴も──身体全部使ってち×ぽを扱く売女にな」
「う、受け入れられるわけないでしょう! あなたはッ──」
「女将さん。感情的になってはいけないよ」
 鬼崎が静かに言葉を吐く。得体の知れない威圧感を正面から浴びて、侑子は浮かせた腰を座布団に落とした。
「これはビジネスです。私は貸した金を回収する。彼は旅館を立て直す。あなたは女将として、旅館を経営して返済をする。そのための最善策ですよ」
「で、できるわけがないです。そもそも法律が許しません。そうでしょう?」
「安心しろ。俺たちはちゃんと、網目のかいくぐり方ってやつを知ってるからな。コネと知恵と金がありゃ、うまくやれるんだよ」
 峰岸は自信を漲らせて言う。侑子を騙すための言葉ではなく、確実な根拠があってのことだろう。「でも」と侑子は口を開くも、そこから先の台詞が頭に浮かばない。何を迷っているのだろうか。刹那の逡巡も不要なはずだ。こんな凶案、断固として拒否すればいい。
(だけど断れば、次は何の譲歩もしてくださらないわ……旅館が潰れる……ああ、でも……あまりにも狂った提案でしょう、こんなの……)
 早瀬旅館が風俗施設に成り果てるくらいなら、土地も施設も売却すべきだ。そもそも侑子の倫理観や道徳観念からして無理な相談だ。時間を稼ぎ、他の案を捻出する以外にない。だが、それができれば苦労はしない。でも。だけど。しかし。……。悶々と考えこむ侑子を見かねてか、峰岸は大きく溜息を吐いた。
「仕方ねぇなあ。まずは手本を見せてやるよ。売春旅館がどういうモンか実演してやる。それを見てから決めろ。いいな?」
 一体何をするのか判らないが、ロクなことではないだろう。そんなもの見たくありません。今すぐお引き取りをお願いします。そう言うべきだ。しかし侑子は項垂れるように俯いたまま、唇を噛みしめることしかできなかった。

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