母さんのなかにきて…

著者: 青葉羊

本販売日:2023/09/22

電子版配信日:2023/10/06

本定価:825円(税込)

電子版定価:880円(税込)

ISBN:978-4-8296-4681-6

初夜――愛し合う男と女が心と体を繋げる神聖な夜。
わたしの望みは、お腹を痛めて産んだ我が子との交合。
キスも、フェラチオも、中出しも体験させてあげる。
ハードなSMプレイでわたしを責めていいの。
お尻の穴も使ってね。したいことを全部叶えてあげる。
良介――あなたは大切な息子、そして……愛しい恋人。

目次

第一章 初めての母子交尾の夜


第二章 初めてのディープスロートの夜


第三章 初めての母への生中出しの夜


第四章 初めての母が服従する夜


第五章 初めてのアナルセックスの夜


第六章 初めて「夫婦」になった夜

本編の一部を立読み


1
 初夜。
 それは愛し合う男と女が、初めて心と体を一つにする、神聖な夜。
 今夜、これからわたしは、世界中の他の誰よりも愛している大切な男性と、初めてのセックスをします。
 十数年前、わたしが自らのお腹を痛めて出産し、今日までずっと大事に育て続けてきた、愛しくて愛しくてたまらない実の息子、良介と。
 そうです。わたし達は血のつながった母子であるにもかかわらず、お互いのことを男と女として愛していると気づいてしまい、その純粋な気持ちに嘘をつきたくなく、正直に、想いを遂げることを決心したのでした。
 マンションの自宅でいつものように、わたしが心をこめて手作りした栄養たっぷりの夕食の席を、良介と二人で囲んでから、わたしは普段よりも念入りに入浴を済ませ、寝室に息子を招きました。
 時刻は、午後九時過ぎ。
 三月も下旬となり、エアコンの暖房をつけなくとも、室内はほど良い温かさに包まれていました。
 年度末で多忙だからと、夫はこれからの数日間、経営しているデザイン事務所に泊まりこんでいて不在で、この家にいるのは、わたしと良介の二人きりです。
 もう何年も夫とは寝床を別にしている、わたし専用の寝室を訪れた息子は、おずおずとベッドの片すみに、腰掛けました。
「……母さんの部屋、とっても良い匂いがするね」
「……どんな、匂い?」
 母子といえどもわたしのプライバシーを気づかってくれているのか、これまでこの部屋に出入りすることも滅多になかった良介が、深呼吸をしました。
「……アロマキャンドルと、ほんのりとした香水と……母さんそのものの甘い匂いがまじり合ったような……とってもホッとする香り」
 実年齢よりも少しだけ幼く見える童顔に、リラックスした笑みを浮かべてくれ、自分までおだやかな気分になりながら、バスローブをまとったわたしは寄りそうように、良介の隣に座りました。
 女性としては平均よりもやや高身長のわたしに比べ、成長期真っさかりの彼はまだいくらか小柄で、そのことだけでも息子が愛おしく、「守ってあげたい」と母性本能が、キュンとしてしまいます。
 ふと、いったん落ちついていた我が子の顔に、あらためて緊張が浮かびました。
「……こんなことしちゃって、ほんとにいいのかな?」
「こんなことって?」
 少しの間ためらった後、声変わりをしてからまだ何年も経っていない若々しい喉が、言葉をしぼり出しました。
「……ご近所の人たちからも評判になるくらい、清楚で、おしとやかで、上品な母さんと……実の息子の僕が……エッチなことをしちゃうなんて……許されるのかな……」
 あまりにも世間の常識をはずれたことなので、年若い彼が、今さらここにきて迷ってしまうのも、無理からぬことです。
 ですから大人として、女として、母として、三十六年の人生を経験してきた上で、強く覚悟を決めていたわたしは、勇気づけるように我が子の手を握りしめました。
「だってわたし達は、あなたの四月からの進学で、離ればなれになってしまうことが決まって……それぞれ、お互いの本心に気づいてしまったでしょう」
「……うん、僕は母さんのことを……家族だからじゃなく……女性として、大好きだ……」
「……母さんも良ちゃんのことを、もちろん我が子として、ずっと全身全霊をこめて愛し続けてきたけれど……今はそれだけでなく……男性として、愛おしくてたまらないの」
 わたしは息子と、恋人同士のように間近に顔を寄せ、見つめ合いました。
「自分の本心には嘘をつかずに、真っすぐに生きていってほしい……そう思って今日まで、あなたを育ててきて……良ちゃんのお手本になれるように、わたし自身もそう生きなきゃって、自分を律してきたつもりよ……」
 初々しい童顔が、うなずいてくれます。
「だからこうすることは母さんと良ちゃんにとって、他の何よりも正しくて、清らかで、大切なことなの」
 他県にある全寮制の学校への、良介の進学が決まったこと。それがこの初夜を迎える、すべてのきっかけでした。
 高偏差値のその学校を目指すことは、もともと同校出身の夫が望んでいたもので、息子は懸命な受験勉強の甲斐あって、見事難関を突破したのでした。
「おめでとう、良ちゃん……本当にがんばったわね……母さん、とっても誇らしいわ」
 合格発表があったその日、思わず目に涙を浮かべながら、わたしが彼にねぎらいの言葉を掛けると、良介はメソメソと幼児のように泣き出したのでした。
 はじめは、ついわたしにもらい泣きしただけだと勘ちがいしたのですが、そうではありませんでした。
「……僕の模試の成績じゃ合格ラインぎりぎりで、どうせ受からないと思ってたのに……父さんがうるさいから、しかたなく受けただけなのに……母さんといっしょにいられなくなっちゃうなんて、耐えられないよ……」
「……まあ、良ちゃんたら……家族で暮らせなくなってさみしいだなんて、そんなに子供っぽいことを言っちゃ、先行きが心配だわ」
 すると息子は真顔になってわたしを見つめ、思わず、本心からの言葉をしぼり出したのでした。
「そんなんじゃないよ!……家族だからじゃない……一人の女性として、ずっと前から母さんに憧れて……大好きだったんだ……だから、離ればなれになりたくないんだ!」
 それを聞いた瞬間、雷に打たれたように、わたしの全身に衝撃が走り抜けました。
(……わたしだけじゃなく、良ちゃんも同じ想いでいてくれてただなんて……)
 そう、いつからかわたしも彼に対して、息子としてだけでなく、一人の成長しつつある若い男性として、性的な魅力あふれる存在として、秘めやかな恋愛感情を抱き続けていたのです。
 わたしは実の母として、異常なのでしょうか。
 そんなことは、絶対にありません。
 赤ちゃんの頃から、百パーセント以上の母性愛をこめて、大切に男の子を育て続けてきた母親なら、だんだんと立派な大人に向かって成長していく息子に対して、女としてのときめきを覚えずにいる方が、正常な感覚ではないはずです。
 わたしのような行動を起こす勇気のない、世間のほとんどの母親たちこそが、自分の心を欺いている、嘘つきなのです。
 それでもわたしは、安易に衝動に身をまかせてしまうようなことはせず、それから何日も、何日も真剣に考えた末に結論を出し、我が子に告げました。
「入寮してしまったら、早くても夏休みまでは、もう会えなくなってしまうわ……だからその前に、二人だけの大切な思い出を、作りましょう……男と女として、母さんと、愛し合いましょう」
「……愛し合うって……?」
 わたしは優しく微笑み、彼の耳もとにささやきました。
「母さんと、セックスをするの」

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