ギャル三人組のノリでぼっちの倉井に嘘の告白をした陽キャギャル・美音。
偽デートで笑い者にするはずが、体を許すほどのめり込んでしまい、
結果、ベタ惚れして何度もイカされて、彼氏→ご主人様に!?
ダウナー系ギャル芽衣とFカップ処女ギャル里奈も倉井に接近し、
気付けばドハマりして、みんな仲良く棒姉妹になりました!
これってアオハル!? エッチシーン大幅加筆、WEB発の性春物語!
【金髪陽キャギャル・矢口美音の場合】
【ダウナー系ギャル・根岸芽衣の場合】
【ピュア系処女ギャル・岡野里奈の場合】
【クラスの薄暗ぼっち・倉井悠斗の場合】
【ギャルたち、ドハマる】
みおん 女子学生
めい 女子大生
りな 女子学生
本編の一部を立読み
【金髪陽キャギャル・矢口美音の場合】
「おはっ」
朝、いつものように登校していつものように声をかけると、いつもと違ったリアクションが返ってきた。
「ちょっ……えっ……??」
困惑気味に声を上げるのはクラスメイトで友だちの|岡野《おかの》|里奈《りな》。
「がっつりイメチェンしてんじゃんっ!」
と続くのはクラスメイトで友だちの|根岸《ねぎし》|芽衣《めい》。
「清楚っぽくキメてみましたー。サマになってない?」
ピッと親指を立ててみせる。
「なってるなってる! ってかウケるっ」
「180度変わった感じ。外は、だけど」
金髪ロングを巻き巻きしてアイラインやらマスカラやらで目元をパッチパチ。薄くチークを塗って、ラメ入りリップを引いていた。
それがかつての私。
黒髪のストレート。それだと重い印象があるからストレートパーマをあてて纏まりと艶、サラサラ感を与える。化粧は所謂ナチュラルで軽め。
それが今日からの私。
「なになに? なんかあったの?」
「|悠斗《ゆうと》のタイプに合わせてみた」
「悠斗?」
二人して首を傾げる。
「|倉井《くらい》の下の名前。で、私のカレシ」
「え、マジで言ってんの!?」
「マジマジ」
「有り得ないんですけど!? あっ、あれでしょ。上げるだけ上げて突き落とす、的な? |美音《みおん》えっぐ」
と言いつつも、芽衣は、ぷくくっ、と笑いを堪えていた。
「違うしー。デートもどきの〆に嘘告だって言ったんだけどさ……まあ、なんて言うか……」
「なにその意味深な濁し。ちょー気になるんですけど」
「ってか偽デート実況も途中でやめちゃうし。あの日のこと、詳しく聞かせてもらおうか」
「んじゃあ、ここまでの粗筋? 的なのを軽く」
※
先週の金曜日の放課後。私は倉井悠斗に告白した。
倉井はクラスメイトの男子で、いわゆるぼっち。休み時間にはスマホばかり弄り回してて、誰かと話してるところを見たことがない。
容姿体型は可もなく不可もなく。けれど前髪は目にかかり気味で、髪はボサボサ。暗い雰囲気と不潔な印象があって、話しかけづらいオーラが漂っていた。
その倉井に告白したのは単なる暇潰し。
ジャンケンで負けた人が倉井に告白して、土曜日にデートをして、その様子をトークアプリで実況する。
そして別れ際に嘘告だとネタバレする。
次の日の日曜日に集まって、より詳細な話をする。
そういう暇潰し。
ジャンケンで負けた私は、このご時世にハートをふんだんに使ったラブレターを書いて下駄箱に投函。
それを読んだ倉井は放課後に屋上へやってきた。
「あ、倉井っ。来てくれたんだ」
もうこの時点で笑いを堪えるのに必死。
「え……あの手紙、|矢口《やぐち》さんが……?」
「なに? 文句ある?」
「そそそんなことはない、けど……」
「けど?」
「あの、その……お、俺……矢口さんのタイプじゃなそうだし……」
もちろん違う。
こんな暗くてオドオドしててぼっちなんかがタイプなわけがない。
どこが好きかとか聞かれるとメンドーだから畳み掛けることにする。
「いいじゃん。好きなもんは好きなんだし。付き合うの? 付き合わないの? どっち?」
「え……あの……」
倉井は口どもって俯く。
握り拳をフルフルと震わせる。
「その……こんなこと初めてでまだよく呑み込めてないんだけど……こんな俺でよかったら、矢口さんのこと、大事にしたいと思うんだ……だから、あの……よろしくお願いします……」
はい、第一関門クリアー。
倉井にとって告白されるなんて一生であるかないかのビッグイベントだろうし、相手がこの私だし、当然といえば当然なんだけど。
「やったーっ! ちょーうれしーっ!」
なんて言ってとりあえず喜んでおく。
「じゃあさ、早速明日どっか行かない?」
「ど、どっか?」
「そそ。私たちの初デートっ」
そして最後のデート。
「デデデデート……う、うん……そうだね……」
倉井の口元が緩んでる。
キモい。
「ど、どこ行く?」
「それは倉井が決めてよ」
「え、あ、えっと──」
「じゃあ明日の10時に、夢ノ丘駅の中央改札前で待ち合わせってことで」
一方的に話を切って踵を返した。
無理だった。笑いを抑えるのが無理だった。口元や頬がピクピクしてしまって、崩壊寸前だった。