33歳独身素人童貞のリョウスケは、目覚めると異世界に召喚されていた。
「単刀直入に言います。姫と子作りをしていただきたいのです」
勇者は呪いで子を成せないので代わりに俺が子作り、って本気ですか?
絶倫スキルを付与された俺と、自らに発情スキルを使ったレティシア姫(処女)は、
時と場所を選ばず、純真な聖女の最奥に中出しする濃厚子作りセックスを………
eブックス賞受賞作に特典SS追加。WEBで大人気、皆が幸せになる托卵物語!
プロローグ
1 聖女のハジメテ、いただきます
2 勇者の背負うもの、俺が背負うもの
3 さよなら恋心、これから聖女をブチ犯す
エピローグ
本編の一部を立読み
プロローグ
――目が覚めたら、知らん世界の知らん国にいた。
取り立てて特筆するようなこともない、三十三歳独身素人童貞。
そんな俺が、突如として異世界に召喚されたらしいのだ。
「おぉ……! これこそが神の奇跡! 神官団よ、よくやった!」
木曜深夜の虚無感の中で眠りについたはずの俺の目の前には、モサモサとものすごい量の白ひげを蓄えたおじいさんがいた。
そしてその横には、なかなかハンサムな顔立ちをした男と、小柄な女性が立っている。
「こ、この方が……」
薄桃色の髪をしたその女性が喋っているのも、白ひげのおじいさんが喋っているのも、俺には日本語に聞こえている。
だが、この光景は現代日本じゃまず見られないものだろう。
鎧で武装した兵士たちに、明らかに儀礼用じゃない剣を携えたハンサム(仮)。休日によくやってるゲームですら、近頃はここまで王道を貫くスタイルは見たことがないかもしれない。
「……あ、あの」
「やぁ、ようこそようこそ! 異世界の客人よ」
客人って、俺のことだろうか。
ニコニコと人の良さそうな笑みを浮かべた白ひげのおじいさんは、自らを国王ダルムッド八世と名乗った。
傍らに控えているのは一人娘のレティシア姫と、その婚約者であるリーチェルド。なんとこのハンサム、職業は勇者だという。
「ゆ、勇者ですか……」
「左様。リーチェルドは先日、東の大陸にはびこる魔族を撃滅し国に帰還したばかりでな。この度勲二等聖星勲章を授与された国の英雄だ」
その勲二等なんちゃらというのがどれほどすごいことなのかはわからないが、とにかくとんでもない名誉なのだろう。
俺が住んでいた日本でも勲章の授与というのは栄えあるものだし、それはなんとなく理解できた。
「へぇ、すごいんだな……だってアンタ、見たところまだ二十代半ばにもなってないだろう」
「さすが、異世界の方のご慧眼には恐れ入ります。俺は今年二十歳になったばかりです」
……会社の後輩より若い。大したもんだ。
それなのに魔族の討伐とは、逆にこんな若い男に世界を任せてまともな大人はなにやってんだと言いたくなる。三十路をいくらか超えれば、二十歳なんてのはまだまだ子どもみたいなもんだ。
「それで、あの……さっぱり状況が理解できてないんですが、ここって一体どこなんですか……?」
「こ、ここはタリェンダリン王国……メージェット大陸の西に位置する国です。そして、その……お父様やリーチェルド様がおっしゃるとおり、先日無事に魔族が討伐されました」
イマイチ状況が理解できなくてキョロキョロと周囲を見回す俺の問いかけに、レティシア姫が答えてくれた。
なんでも、この国は魔族の侵攻を退け、更には勇者が魔王を撃滅したことでお祭り騒ぎらしい。
更には姫と勇者の結婚も決まり、これ以上ないほどに盛り上がっているのだとか。
「……ん? なんか、今聞いた限りでは俺を召喚する要素ってどこにもなくないか……?」
なんか、異世界召喚とか異世界転生っていうのは、召喚先なり転生先なりの世界に問題があるからそれが起こっているように思う。
あくまで漫画とかアニメの世界だが、少なくとも普段俺が好んで読んでいるよう話は大体がそういうものだ。
「だって、魔族を倒して、お姫様と勇者は結婚する……往年のRPGみたいだけど、それでめでたしめでたしだろう?」
聞いた感じでは、この国は前途洋々で俺の必要性なんてないように思えた。
だが、緊張感なく頬を掻く俺に、レティシア姫はなんとも言えない表情を浮かべた。
「――異世界の客人よ、まずは茶でもどうかね。いきなり呼び立てた不躾を詫びる代わりに、この国特産の紅茶を用意させよう」
娘が黙り込むと、国王ダルムッドはことさらに明るい声を上げてパン、と手を叩いた。
兎にも角にも家に帰る手段などない俺は、ただ黙って国王のあとについていくしかなかった。
(つーか、異世界召喚とか本当にあるんだな……マジでアニメの中だけの話かと思ってた)
最近は忙しくて、腰を据えて漫画を読むなんてこともできなかった。
通勤途中の電車の中で、スマホアプリで漫画を読む――そのなかでこういう話が流行っているのは知っていたが、まさか自分が本当に異世界に飛ばされるとは夢にも思わなかったのだ。
それと、案外自分が冷静なことにも驚いた。
おそらくそれは、勇者が魔族を倒したあとの世界に呼び出されたからだろう。少なくとも命の危険はないし、話を聞く限りこの国自体も平和そのものだ。
(戦争の途中とかだったら多分発狂してたな……)
ごくごく一般的な、平和ボケした日本人。俺はその典型的なタイプを、爺さんの代から受け継いでいる。
「こちらでお茶をどうぞ。……その、お客様はあまり――驚かれないのですね」
王宮の一角にある部屋に通された俺に、レティシア姫がそう尋ねてきた。
白いテーブルが置かれたその部屋の中には、すでにお茶の用意がされていた。会社の後輩たちが言っていたアフタヌーンティーのセットみたいなものが並んでいて、思わず面食らう。こういう時の作法ってどうすればいいんだ。
「え、いや……まぁ、驚いてはいるんですけどね? ただその、予備知識みたいなものがあったというか……」
現代日本じゃまずお目にかかることができないような光景だが、RPGみたいだと思えばなんとなく落ち着いていられることができる。
あるいは、まだ頭のどこかでこれが夢なんじゃないかと思っているのかもしれない。
「異世界の方は、異なる世界のことを知る術があるのですね」
「いや、まぁ……なんていうのかな。異世界に人を召喚するのは無理だけど。その点では、さっきの神官さんたち? の方がすごいんじゃないかな」
どこか不安げな表情を浮かべるレティシア姫に、セクハラにならないよう笑みを返す。
テーブルにつくと、控えていた女性がお茶を入れてくれた。
部長に飯を奢ってもらう時みたいな、妙な緊張感。それをごまかすためにティーカップのお茶を飲むと、対面に座った勇者がコホンと咳払いをした。
「異世界の方」
「……リョウスケって名前なんで、そう呼んでもらっていいかな。その……なんかあんまり仰々しく呼ばれるような人間じゃないっていうか……」
「では、リョウスケ様」
ぐっと背筋を伸ばした勇者の姿に、思わず俺はゴクリと唾を飲んだ。
……やっぱり、勇者っていうのは特別なものなんだろう。人を引き付ける雰囲気というか、独特な魅力のような物がある。
「単刀直入にいいます。姫と――レティシア姫と、子作りをしていただきたいのです」
「……は?」
俺は、目の前が真っ白になった。
「こ、子作り? いやアンタ何言ってんだよ……アンタとこのお姫様が結婚するんだろ?」
姫と結婚するのは勇者のはずだ。
なにをどうしたら俺とこのお姫様が子作りなんて話になる。
もしかしてそういう、いわゆる特殊な性癖の持ち主かと身構える俺に、勇者は酷く真剣な眼差しを向けてきた。
「俺は、魔族との戦いでたくさんの呪いを受けました。そのほとんどは、旅に同行したレティシア姫の力で取り除くことができたのですが……」
「……えっ、姫様魔族討伐の旅に同行してたの?」
次々と浮かび上がる疑問符に、俺も頭の中がとっちらかってくる。
なんでも、レティシア姫は女神の加護を受けた『聖女』として、勇者とともに旅を続けていたらしい。
「はい。姫の治癒能力と、特殊なスキルを付与できるエンチャント能力にはたくさん助けられました」
「……でも、癒せなかったんです。魔族の王が残した最後の呪い……何度試行錯誤をしても、わたしの力では勇者様をお救いすることは……」
すすり泣くような声で、レティシア姫が肩を震わせていた。
その悲しみ方を見るに、おそらく彼女は大変な努力をしたのだろう。
婚約者で、長い間一緒に旅を続けていた勇者のために力を尽くしたのに、それが報われない。
若い姫君に、その現実は残酷だったに違いない。
「その、呪いっていうのは? もしかして、生命に関わるとか……」
「いえ――今すぐ生きるとか死ぬとか、そういうものではありません。俺にかけられた呪いは、系譜の断絶です」
目尻に涙を浮かべるレティシア姫の肩を抱きながら、勇者はギュッと眉を寄せた。
まるで一枚の絵画みたいな二人を見ながら、俺はもう一度お茶で喉を潤す。
「系譜の断絶……? えーと、つまりどういうことだ?」
「勇者の血を継ぐ人間が現れないように、子を作ることができなくなる呪いです。この世でたった一人、愛する人間とだけ結ばれない呪い――魔族らしい、なんとも卑劣な手段ですよ」
吐き捨てるようにそう言った勇者に、俺はなるほどと手を打った。
子どもの頃やり込んだRPGでも見たことがある。
勇者の子どもはこれまた勇者――何世代にも渡って魔王と戦いを繰り広げるみたいな話だったが、つまりはそれをできなくさせる呪いということだ。
「……ん? 愛する人とだけ結ばれないってことは、他の女の人とは……」
「性行為はできるようですが、種は残せません。レティシア姫相手だと、そもそもその行為自体が……」
姫の父である国王の前でそんな話をして大丈夫かとも思ったが、ことは俺なんかが考えているよりもよっぽど大事らしい。
先程は人のいい笑み浮かべていた国王ですら、その表情は暗かった。
「勇者と姫が子を成せぬとなれば、結婚を認めるわけにもいかん。彼女は聖女であり王族――言い方は悪いが、利用価値が非常に高いのだ」
「利用価値、って……」
苦々しげな口調の国王に反論することはできなかった。
名もなき一般市民の俺からすれば、娘に利用価値なんて言葉を使う親は非道そのものだ。
だけど、王族という目線で見ると、たしかにレティシア姫には利用価値があった。
「あ、あの……仮に、仮にだぞ? 俺と姫様がそういうことをして、その……子どもができたりとかしたら……」
「それは勇者との子どもということになる。リョウスケ殿には申し訳ないが、姫と勇者を結婚させるには、もうそれしか……」
国王としても勇者としても、苦渋の選択であるらしい。
そうしなければ、勇者と結婚できなくなったレティシア姫は国外に嫁ぐことになるという。
「勇者と聖女の存在は、いうなればこの国の抑止力だ。高い癒やしの力を持った姫を他国に嫁がせることは、この国にとっても大きな損失となる」
「なるほど……この国に勇者と聖女がいるってなったら、他国も侵略してきたりしないですもんね?」
「そうだ。姫本人の命を保証するためにも、力を貸してはくださらんか」
そう言うと、国王陛下は深々と頭を下げた。
「ちょっ、あ、頭上げてくださいよ! 王様にそんなことされたら、俺――」
普段会社で頭を下げる側の人間なのに、どうして今俺は王様に頭を下げさせているのか。
俺はわたわたと両手を振ったが、更には勇者までが頭を下げてくる。
一気に血圧が上がるような感覚に陥りながらも、俺はちょこんと座っている姫様の方を見た。
「だから待ってくれよ! 俺に頼むより、レティシア姫の意思は……だって、知らない男と子作りさせられるのは彼女なんだぞ?」
負担になるのは俺じゃなくて、彼女の方だ。
きっとレティシア姫は勇者のことを深く愛している――だからこそ、自分の力で彼を救えなかった現実に涙すら浮かべていたんだろう。
それなのに、異世界から召喚されたよくわからない平民の男と子作りをさせられるなんて、あんまりじゃないか。
「いえ、わたしは……か、覚悟はできております。もとより王族に生まれた身、それで勇者様と添い遂げることができるなら……」
そう言いながらも、レティシア姫は震えていた。
小さな唇をきゅっと噛んで、必死にあらゆる気持ちを堪えていた。
その姿を見て――俺は、なんだか自分が情けなくなってしまう。
彼女は大好きな人と添い遂げたいといういかにも少女らしい望みと、王族として生まれた責任を一緒に抱えているのだ。
「……わかった、わかったよ。そこまで言われて、嫌ですなんて言えないし……」
悲しきかな、長いものにはとりあえず巻かれておくのが楽であることを知っている。
世界のために戦った二人と比べると、自分がなんだか酷くちっぽけで汚れた大人に思えてしまった。
「って言っても、俺そんな経験とかないし……」
「それはお任せください。そのぅ……聖女の力で、いくつかの能力をエンチャントします」
レティシア姫の力は、治癒と付与に特化しているらしい。
勇者が魔物を倒すための剣に特別な効果を付与したり、あるいは肉体全体にバフを乗せることだって可能だという。
「そ、そう? じゃあ……俺みたいなオッサンでよかったら、力になりたいと思うけど……」
これ、なんていうんだっけ。
寝取らせ? それとも寝取り?
なんとも言えない気持ちになりながら頷くと、勇者と国王の顔がパッと明るくなった。
「ありがとうございます、リョウスケ様!」
「リョウスケ殿、貴殿はこの国の影の救世主だ……!」
大仰に喜ぶ二人はいいとして、レティシア姫が気になるのだが――視線をずらすと、彼女もほんのりと微笑んでいた。
そうだ。これで姫様は、大好きな勇者と結婚することができる。子どもさえできてしまえば問題ないはずだ。
日本人の倫理観と異世界の倫理観がせめぎ合うのを感じながら、俺はすっかり冷めきった紅茶をぐいっと飲み干した。
「では、手始めに今夜から……お、王宮の奥にお部屋をご用意しますので、そちらに来ていただけますか?」
「えっ、今日から?」
「何事も、早いほうがよろしいかと思って……」
頬を染めたレティシア姫が、もごもごとそう言い出した。
……確かに、彼女からしてみたらこういったことは早く終わらせてしまった方がいいのかもしれない。
「あー……了解、しました。はい……今日からね……」
ゴホン、と咳払いをしてなんとか誤魔化したが、どうにも男の性というのは悲しいものだ。
彼女と「そういうこと」をすると思っただけで、その柔らかそうな体につい意識がいってしまう。
(考えないようにしてたけど……姫、おっぱいでけぇな……)
清楚感のある白いドレスには、たわわな乳房がむっちりと収まっている。
姫自身が細身なこともあって、その豊満な乳房はより目立って見えた。
「これでようやく、この国の憂いも取り払われます。そして、俺も姫と……レティシア姫と結婚することができる。リョウスケ様、本当に……本当に、ありがとうございます!」
表情を明るくしてこちらの手を握ってくる勇者の姿に、俺はただ曖昧に笑うしかできなかった。
ここにいる人間の誰よりも欲に弱い俺の頭の中は、もうレティシア姫の柔らかな乳房を揉みしだくことしか考えられなかったのだ。