05/02 電子版発売

15日目、私は魔指に屈した 若妻と隣家の美娘

著者: 御前零士

本販売日:2024/04/23

電子版配信日:2024/05/02

本定価:825円(税込)

電子版定価:880円(税込)

ISBN:978-4-8296-4728-8

(やあっ……またお尻の間で硬くなって……)
電車が揺れるたび、スカート越しに感じる棒状の物体。
毎朝、痴姦に悩む杏美を助けたのは私人逮捕系配信者。
ガード役を名乗り出た男が、今度は敵になる悪夢。
一方、車両内での異変に気付いた人妻・眞子は、
隣家の美娘を救おうとするが、逆に魔指に囚われ……

目次

第一章 満員電車でお尻に触れる固い肉棒


第二章 純真な乙女に開始された痴姦調教


第三章 クズ男に開発されていくウブな肉体


第四章 隣家の美娘を守ろうとする若妻


第五章 十五日目、二匹の牝は魔指に屈した 


エピローグ 忘れられない痴指の記憶

本編の一部を立読み

第一章 満員電車でお尻に触れる固い肉棒

 朝の空気はどこか厳かで自然と身が引き締まるものだ。抜けるような青空に恵まれたその日、駅のホームにはいつもと変わらない光景があった。涼やかな空気を吸いながらも疲れた表情を浮かべる背広男たちを他所に、可憐な制服姿の少女たちが五人でグループを作っておしゃべりに興じる。これから二十五分ほど急行に乗って共学の私立学園へ向かうのだ。
 その駅は上り、下りでそれぞれホームを持ち、各停から急行まで全ての編成が停車する。運用される電車は十両編成で、通勤通学の時間帯には最後尾が女性専用車両となる。しかし制服少女たちが電車を待つのはホームの中程だった。朝の時間帯は常に最後尾車両が混み合っていて、列に並んだとしても乗車できないからだ。
 可憐な制服少女たちが混み合った一般車両に乗るのだから、痴漢被害を心配する声も上がるだろう。だが彼女たちは群れを成すことでその不安を解消してきた。対象が集団なら性犯罪者も手を出し難い。それに固まっていれば誰かが被害に遭ったとしてもすぐ異変に気付け、助け合える。この作戦は功を奏し、少女たちは一般車両で通学を始めて一年以上、痴漢被害とは無縁だった。
 松下杏美はそんな少女グループに混じっていた。学園生活も二年目を迎え、充分にお年頃だ。身長百六十五センチで女子としては中々に背が高い。体躯はすらりとした細身だが、急激に大人の女性へと変化しつつある。その最たる部分は胸元だろう。
 ベージュ色のブレザーをきつそうに盛り上げるそこは、トップ九十一センチのGカップを誇る。完熟前の膨らみだが柔らかさは既に一人前で、ふとした所作にもたゆたゆと良く弾んでしまう。しかし若いだけに張りが強く、どんなに揺れてもすぐに上向きの形へ戻ってみせる。薄着の季節に男性の視線が集まってくるのが悩みのひとつで、プールや海水浴へ気軽に行けないのが辛い。
 ウエスト周りには余計な肉がなく、きゅっとくびれて五十四センチ。タータンチェックのミニスカートに包まれたおしりは八十八センチ。優美な曲線を描く美脚は長く細く、紺のハイソックスが良く似合う。
 同性の友人たちも羨む抜群のスタイルに加え、素肌も特筆ものだ。染みひとつなくて白く輝き、汗ばめば雄を虜にする甘い匂いを立ちのぼらせる。それは彼女の肉体が健康で、生殖の準備が整っている証に他ならない。
 男性たちが杏美を見掛けると、まず白くぼうっと輝く太腿に目が向く。そして豊かな胸元に生唾を飲まされ、最後に眩いまでの美貌に度肝を抜かれる。艶やかな黒髪を肩口までのボブカットに纏めた彼女は清楚そのものだ。相対して平静を保てる男はまずいない。見蕩れるあまりに口説きの台詞を忘れてしまうのだ。
 そんな目立つ存在である杏美だったが、恋愛に奥手な性格もあって交際の経験はなかった。しかし中身はごく普通の少女である。恋に憧れを抱き、性への好奇心も持っている。
 誰にも言えない秘密ではあるが、小学校高学年の頃には既にオナニーを覚えていた。でもまだ〝イク〟という現象、つまりオーガズムは得たことがない。快感がじわじわ高まってきて、鼻先にパチパチと星が舞うところまでは辿り着く。しかしその先に進むのが怖くていつもそこで指を止めてしまう。
 そんな状態ではあるものの、身体が大人に近付いてゆくにつれて快感は鮮烈になってくる。そして感じ易くなってきているのも実感していた。そのせいで性的好奇心は増すばかりだ。はしたなくも週に三・四回は胸や股間へ指を這わせてしまうのがこのところの悩みだった。
 自宅は閑静な住宅街にあって、両親と三人で庭付き二階建ての家に住んでいる。自室は二階にあり、眺望が良いのがお気に入りだ。両親は共働きだが、それほど寂しさを覚えたことはない。裏手に住む隣人・倉西家と家族ぐるみの付き合いがあり、小学生の頃から良く面倒を見てもらっているからだ。
 倉西家は一人娘の眞子が婿を取る形で、彼女の両親と四人暮らしをしている。眞子は杏美の十歳年上で現在二十七歳の主婦で、杏美とは十年来の付き合いになる。白い美肌が目を引く細身の美人で、背の中程まで届く長い黒髪が良く似合う。結婚五年を経て子どもはまだ授かっておらず、最近は両親からまだかまだかと急かされているらしい。
 杏美にとって眞子は歳の離れた姉の如き存在で、彼女も妹同然の対応をしてくれる。まるで本物の姉妹のようだと近隣で評判だ。しかも美形同士だけに、揃ってお出かけをすると誰もが振り返る。だが交際経験のない杏美は異性からの視線に戸惑うばかりだ。眞子も男性経験は夫だけで、ナンパ慣れしていない様子が余計に男性の気を引いてしまう。
「それで杏美、カレのことはどうすんの。その気があるなら間取り持つけど」
「うーん……、やっぱ、まだいいかな」
 急行電車を待つ間、年頃の少女たちの話題は自然と恋愛絡みに偏る。話を振ってきたのは仲の良いひとりである可奈だ。彼女は髪を少し茶に染めていて、放課後には化粧をして街へ繰り出したりする。恋愛も派手目で、現在はひとつ年上のサッカー部男子と交際している。可奈の話によれば、そのサッカー部内に杏美へ好意を寄せている同級生男子がいるとのことだった。
 好意を持たれるのは悪い気はしないが、杏美は中々一歩を踏み出せずにいた。相手のことを良く知らないし、付き合うとなればいずれ性的行為に発展する。キスやセックスに興味はあるものの、その時を思うとやっぱり怖い。どちらの初めても一生記憶に残るものなのだから、捧げる相手は充分に見定めたかった。
「そっか、分かった。上手く断っとくから心配しないで。けど勿体ないなぁ、そこそこカッコイイんだけどなぁ」
「ふふ、またそんなこと言って。彼に怒られるわよ?」
 可奈は友達思いで頼りになるのだが、男性に関しては少々軽いところがある。現在交際中の男子は彼女にとって五人目の恋人であり、もちろん肉体の関係も持っている。なのに見た目に秀でた男性がいるとすぐ声を掛けに行ってしまう。今回の交際も長くは続かないのではと心配せずにはいられない。
「まぁしょうがないか、杏美は奥手だもんね・。気が変わったらいつでも言って、カッコイイのを紹介したげるからさ」
「もう……」
 少女たちはきゃっきゃと笑う。そこへ急行電車が滑り込んできて、男を惑わせる甘い香りがふわっと風に流れるのだった。

 学園生活と言えば基本的に楽しい。勉強でも部活動でも日々少しずつ自分が成長している実感を得られ、友情も強固に育まれてゆく。ここで一生の友人ができる者も少なくない。時には衝突することもあるが、数時間もすれば元の仲良しに戻れるのは若者の特権だろう。
 しかしある日、杏美が直面した友人との諍いはありきたりなものではなかった。下手をすれば二度と関係を修復できない、深刻な内容だったのだ。
「はぁ……」
 いつもなら五人で帰るのに、杏美はその日の放課後ひとりで帰途に就く。契機となったのは可奈との言い争いだ。昼休みに彼女が漏らした台詞が許せなくて、つい頭に血が上ってしまった。
『杏美、土曜日遊びに行かね? 新アトラクションまだ未体験っしょ?』
『え、うん。でも行けないかなぁ、もうお小遣い苦しいんだ』
 可奈たち四人は週末に大型遊園地へ遊びに行こうと誘ってくれた。でも杏美は懐事情が厳しく、断るしかなかった。貯めておいたお年玉と月初にもらえる五千円のお小遣いで一年間乗り切らなくてはならず、考えなしに遣っていてはすぐに金欠となってしまう。誘われるのは嬉しいのだが、このところ頻繁で貯金の減りが早くなっていた。
『マジ? そんじゃ良いハナシ教えよっか? 一回で三万円はいくんだけどさ』
『え……? それって、もしかして……ウソでしょ!?』
 杏美は息を呑んで可奈を見遣る。彼女の言わんとしていることは〝パパ活〟の勧めではないのか。可奈は男性関係が緩いが、それでも犯罪じみた真似だけはしないと思っていたのに。
『なによ、そんな驚くこと? こんなん皆やってるって。だってさ、バイトなんか割に合わねーじゃん。キモいスケベ上司にセクハラされたり、お局に嫌味言われたりさ。第一時給低過ぎだっての。その点アタシらのは別格なんよ。暇な時にパッとできるし、即日即金だし。それになんたって気持ちイイし・』
 驚いたことに、自分以外の四人がパパ活──援助交際をしていた。発起人は可奈だ。スマートフォンを使って専用サイトに登録をして、応募してきた男性たちの中から希望の相手を指名する仕組みだという。お金をもらうには相手の望みを叶えなくてはならず、かと言って食事やカラオケでは五千円にも満たないらしい。それなりの金額を得るには身体を差し出すしかないという訳だ。
『ちょっと可奈、本気で言ってる? 皆も。有り得ないよ、そんなの』
 杏美は端正な美貌を見る見る赤らめて友人たちを見回す。いま思えば彼女たちは確かに羽振りが良かった。まさか身体を売ってお金を得ていたとは──怒りと不潔感とがごっちゃになって込み上げてきて、涙まで滲んでくる。
 一方で友人たちはあっけらかんとしている。特に悪びれる様子もなく、ひとり激昂する美少女に目を丸くするばかりだ。
『あー、まぁ杏美の気持ちも分かるよ。アタシだって最初は抵抗あったしさ。でも考えてみなよ、こんな楽に稼げるなんていまだけなんよ? あと二年もしたらアタシらの価値なんてなくなっちゃうし。だったら活用すべきなんじゃね?』
『あたしもそう思う。初めてだったんだけどさ、そしたらオジさん十万もくれたんだよ? それにお互い割り切ってるから後腐れもないし、身元が確かなとこだから未払いのトラブルもないしね。杏美はちょっと真面目過ぎるよ。一生ひとりのオトコとしかしないつもり? それこそ有り得ないんだけど』
 可奈が笑みを湛えながら胸を張ると、もうひとりの友人も衝撃の告白をする。残るふたりは同意の頷きをするばかりだ。誰も反省の色を見せないのが杏美には信じられない。
『そんなこと……、大体彼氏はどうするのよ。悪いと思わないの? 皆おかしいよ、絶対間違ってる。こんなんじゃもう友達続けられないよ』
 絶縁を匂わせる台詞を言ってしまったのは早計だったかも知れない。しかしそれは彼女たちを心配しているからこそ漏れた言葉だ。なのに可奈たち友人四人は顔を見合わせてやれやれと肩を竦め、杏美から離れてゆく。
『そういうことならしょうがねーか。んじゃ、アタシらだけで遊びに行くわ』
『あっ、ちょっと……』
 まだ話は終わっていないのに、引き留める間もなかった。そしてショックな出来事は続く。スマートフォンのメッセージアプリ、その会話グループから杏美だけが弾き出されたのだ。これは絶縁を意味する行為であり、友人を四人同時に失った証と言える。
(どうしよう。こんなのってないよ……)
 可奈ともうひとりは同じクラスであり、休み時間に話をしようとはした。だが彼女たちは完全に無視を決め込んで視線すら合わせてくれなかった。他のクラスにいる残りのふたりも同様で、杏美は孤立する形となってしまった。電話と電子メールで連絡を取ろうにもどうやらブロックされたらしく反応がない。これでは自分が悪人みたいに思えて余計に悲しくなる。
 どうすれば元の関係に戻れるのだろう。まずは可奈たちと話をすることだが、連絡手段を断たれたのでは直接会うしか手がない。しかし今日の放課後は空振りに終わった。友人たちはこちらの姿を視界に入れるや否や、あっという間に姿を消した。正に取り付く島もないといった状況と言える。
 杏美はボブカットの黒髪を軽く左右へ振って大きく溜め息を吐く。可奈たちも悪いが自分にも落ち度はあった。怒りや不潔感に囚われるあまり、相手の言い分を最後まで聞かずに悪と断じたのだから。一晩頭を冷やして明日の朝に望みを繋ぐのが良いかも知れない。可奈はさっぱりした性格の持ち主だ。朝になれば気持ちを切り替えていつものように接してくれるのではないだろうか。
 駅のホームに立った少女はまたひとつ溜め息を吐く。ひとりで帰るのは入学直後ですらなかっただけに、寂しさはひとしおだった。

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