月の神獣姫・ルナと契約し、エッチで服従させた冒険者イヴァン。
神殿で新たに出会った金髪灼眼の少女は、太陽の神獣姫・ソルだった。
しっぽを丸めて警戒するケモ耳少女をエッチな眷属にするため、
ルナとの交尾で絶頂のお手本を教えて、仕上げは鏡の前での立ちバック……
恥辱の悦びに目覚めたルナは、見られたがりのかわいい奴隷に!
従順な犬耳娘と勝ち気な猫耳娘──待っていたのは幸せのもふもふ3P!
第一話:絶壁の神殿
第二話:黄金の虎の姫
第三話:繋がれた神獣姫
第四話:破廉恥な行為[ルナ]
第五話:譲れない一線
第六話:交接の契約
第七話:破廉恥な姿[ソル]
第八話:注目の的
第九話:さらに恥ずかしい姿[ソル]
第十話:プライドの限界
第十一話:恥辱の向こう側[ソル]
第十二話:新しい住居
第十三話:みんなでお風呂
第十四話:神獣姫×神獣姫[ルナ&ソル]
第十五話:認められない立場
第十六話:ソルの葛藤
第十七話:自涜の代償[ソル]
第十八話:神獣姫の悩み事
第十九話:素直な気持ち
第二十話:ご主人さまだけに見せたい姿[ソル]
第二十一話:潰える前に
第二十二話:裏切り者
第二十三話:人間らしい望み
第二十四話:飼い猫だから[ソル]
第二十五話:新しい首輪
書き下ろしSS:ルナとソルのご奉仕訓練
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神殿は、地下深くへと階段を伸ばしていた。
ルナを先頭に、カンテラの明かりを頼りに下っていく。その先にも廊下が続いており、彼女は迷わずにどんどんと奥へ進んでいく。
長らく人の手の入らなかった古い神殿は、魔物の住み処になっているようで、あちこちにインプやゴブリンといった小鬼の姿があった。しかし、それらもルナが軽々と倒してしまった。
(これはルナがいなければ、ここまで来れたか怪しかったな……)
イヴァンはホッと胸を撫で下ろす。
ルナがいた月の神殿を探索したときにも魔物がいた。だが、彼女の神殿は開けた森の中にあったから、魔物がいたといっても、ここまでの量ではなかった。
断崖絶壁にあった入り口のことも含め、こちらの神殿のほうが比較にならないくらいの難所だ。
しばらく歩いた先で、やがてルナが足を止めた。
「この先だ」
彼女が見つめる向こう側。
ドアが崩落して枠だけが残された入り口がぽかりと口を開けている。その奥に広間があった。地下であるはずなのに、その部屋だけなぜか明るい。天井から一筋の光が差し込んで、虎の姿をした置物を照らしているのだ。その色は黄金でキラキラと輝き、純金でできているかのようだった。
「これは――」
イヴァンは広間へ足を踏み込むと、光の差し込んでくるところを仰ぐ。
そこには太陽を象った形の穴があり、そこから祭壇へ向かって、太陽の日差しが注ぎ込んでいた。
「……ということは、あれが太陽の神獣姫のトーテムか」
その神々しい景色に唾を呑む。覚悟を決めると、真っ直ぐ歩いていき、祭壇の上の置物を手にする。
「……これが」
しばらくのあいだは感慨深さとともに、その古代人の芸術品をジッと見つめた。
「|御神体《トーテム》だな」とつぶやくルナの声も感慨深そうだ。
「たしかに、眠るときの我々の寝台としてトーテムは造られている。ソルもこの中に在るということは、つまり――」
そんな彼女の言葉に、ピンときた。
「……もしかして、神力を失って休眠状態になっているのだろうか?」
「そうとは限らない。ただ眠っているだけかもしれないからな」
「でも、この神殿も放棄されて久しいし、信仰ももう残ってはいないみたいだぞ」
「だからといって油断は禁物だ。信仰が廃れたからと、すぐさま神力が空っぽになるわけではない。それはそれで長い年月を要するからな……。とにかく、警戒するに越したことはない。主よ、私にしたときのように魔法陣を描いておくといい。主は弱いからな。あの檻があると気休めにはなる。まあ、私がいるからには主には指一本触れさせるつもりはないが」
「ありがとう、アテにしてるよ」
少しは肩の力が抜けた。
イヴァンはリュックを部屋に隅に置くと、古文書と木炭を取り出して、床に魔法陣を描いていった。
最後に、中央部分にトーテムを置く。
詠唱するイヴァンのかたわらでは、ルナが腕組みをして見守っている。
やがて魔法陣が黄金色にまぶしく輝き始め、光が中心部分に集まっていた。
形がうずくまった少女の姿へと変わる。ルナのときと同じだ。
光が落ち着くとともに、すっと立ち上がった一人の女。
腰まで伸びた金の髪の頭部から、金色の毛並みをした猫の耳がぴょこんと生えて、長くしなやかな尾が伸びていた。
吊り目がちでぱっちりとした猫のような瞳の色はルビーレッド。勝ち気そうで品のある整った目鼻立ち。
細身でしなやかな体躯をしているが、胸の膨らみはしっかりとある。それを覆い隠しているのは、赤い色をした布のようなドレスのようなローブ。
素足をぺたりと床につけて、彼女はまぶしげに目をしばたたいたあと、ジッとイヴァンを見据えた。
「……キミが私を呼び覚ましたの?」
彼女は腕組みをして、やはり高慢そうな態度で、ふんと鼻を鳴らす。
「誰かと思えば。神官ではなさそうね。まあ、呼び起こしたことだけは褒めてあげる。……この、ヘタクソな檻は気にくわないけれど。褒美に、名前と用件を告げる権利をあげましょう」
悠々と微笑する彼女は、むしろルナのときよりも、よほど聞く耳があるのではないかと思って戸惑った。しかし、かたわらのルナはムッとした表情で警戒を解こうとしない。
「久しいな、ソル。忘れ去られた神殿のくせに、あいかわらず偉そうにしおって……」
「ん……ルナ?」
ここで、ソルはやっと、かたわらにいる純白の神獣姫に気が付いたらしい。
まるで嘲笑するように、唇を吊り上げる。
「ぷっ……なによその首輪は!? まさかルナ、キミ、この人間の眷属になったと言うんじゃないでしょうね?」
「っ……だ、だったらなんなのだ」
「ふふ。月はただでさえ太陽ほどの信仰を得られなかったというのに、それだけでは飽き足らずに自ら人間に下るなんてね。ルナらしいじゃない?」
「ぐ、ぬぬぬうっ。主よ。私は、だからソルが嫌いなのだ!」
ルナは歯噛みしてから、びしっと目の前の黄金の神獣姫を指差す。
「主よ。かような輩、とっとと眷属にしてしまうのだ!」
「はあ? 冗談。なんでこの私が人間なんかの眷属にならなくちゃなんないわけ?」
ソルが目を細めて、冷たい炎を宿した赤い眼差しをイヴァンに向けた。
「まさかキミの用件。それだと言わないでしょうね。……屠ってあげる!」
つぎの瞬間、ソルがみるみると獣の姿に形を変える。燃えるように輝く黄金の虎に。
体格は、四つ足で立っているにもかかわらず、人の背丈と同じだけある。
イヴァンはギョッとした。
「っげ……!? この神獣姫、神力が残ってるぞ!?」
「ふん……ひるむな、主っ! 見かけ倒しだ!」
ルナはイヴァンの前へ出ると、背中の槍を抜き取って両手に構えた。
それと同時に、身を翻した黄金の虎が矢のように飛び掛かる。ガシャンとガラスの砕けるような音が響き、魔法陣の檻が粉々に散った。
迫る虎の牙をルナの槍ががっしり受け止める。次にはバキリと柄が砕かれた。
「ガルルルウッ!」
虎は低く唸りながら、咥えた槍の柄をぺっと吐き捨てた。
そうして身を低くする。その後方にあったはずの魔法陣の模様は切り裂かれたようにぐちゃぐちゃだ。破られたときに変質したせいだ。
「ガアアアッ!」
虎が身を翻して、あらためてルナへと飛び掛かった。
「舐めるな!」
ルナが叫ぶと、喉元に食いつきかけた虎がバッと後方へ飛び退く。
ルナの体が白銀に包まれて、みるみると形を変えて純銀に輝く大きな狼の姿を作った。
「ガアアアッ!」
「グルルルル!」
二匹の大きな獣が互いに飛び掛かり、組み合いを始めた。
上になったり下になったりを繰り返す。
「る、ルナ……!」
イヴァンはおろおろとする。できれば援護へ向かいたかったが、自分がしゃしゃり出たところで足手まといにしかならないだろう。
(……そうだ!)
かわりに、慌てて古文書をめくると呪文を唱え始めた。
「っ……!?」
旋律を聴いたソルのギラギラと光る赤い瞳が、バッとイヴァンを向いた。
ルナを押しのけてでも飛びつこうとした黄金の虎の背中に、白銀の狼がのし掛かる。
「ガルラアアッ! ガルルッ。ガルルルルッ!」
狼に背中から組み伏されたまま、もがいて暴れる虎。
その口から剥き出される牙を見つめながら、イヴァンは必死に続きを読み上げていく。
なおも、もがき続ける虎の体が黄金に包まれた。そのまま、するすると姫の姿へ戻ってしまう。
「はぁ、はぁ、はぁっ……!」
うつ伏せに組み伏されたまま、激しく息をつく黄金の神獣姫。その瞳は怒りの炎で燃えさかっていた。
憎々しげにイヴァンを睨む。
「くそう。人間め。人間めっ……!」
そうして、叫んだ。
「ルナ! ルナめ! キミさえ邪魔しなければ! 神力が尽きる前に屠れたのに! くそっ、くそおおぉっ!」
イヴァンは、旋律の最後の節を読み上げた。
とたん、びくんとソルの体が大きく跳ねる。
「っっ――ああああぁっ――!」
彼女は、首をかきむしるようにしながらもがき苦しみ始めた。
それを見たルナが背中からのいて、姿をするすると人に戻す。
「はぁ……やはり、これは消耗する……」
深くため息をこぼすルナ。
その間にもソルは苦しみ続けた。
やがて、その動きがピタリと止まる。うずくまったまま大きく胸を上下させる、彼女の細い首には、ルナと同じ重厚な金属製の首輪が掛けられていた。
「はぁ、はぁっ……」
ソルはやがて大きく息をつきながら、ゆらゆらと立ち上がる。
「……ふ、ふふ。キミ、やってくれるじゃないの。反則じゃない? 神獣姫をけしかける――ですって? そんなこと、反則よ。反則に決まってる……!」
ソルの笑みが消えて、かわりに赤い瞳がジッとイヴァンを向く。
「私なら屠れた。屠れたのにいいぃっ!!」
ソルがイヴァンに向かって飛び掛かってきた。
「っ……!」
首輪が付いたからには強制力があるとわかってはいても、つい身を引いてしまう。
そんなイヴァンの目の前で、ソルの体ががくりと落ちて、床に体を伏せる。
「あっ。ああぁぁっ……!」
彼女の瞳はなおも憎々しげだった。
その反抗的な目つきのまま、彼女は膝を折って両手を床につき、頭を床に擦りつけたのだ。
「はぁ、はぁっ。そんな、っく、うううっ……」
小さく震えているソルの体は、それ以外の姿勢が取れなくなってしまった様子だった。
「……愚かだな、ソル」
呆れた目をして、ルナがぽつりと言う。
「首輪も解けないうちに主を屠ろうとするからだ。愚か者め」
「っ――プライドをなくしたルナには言われたくないわよっ!」
ソルが、ひれ伏した姿勢のままで叫んだ。
ルナはちらりとイヴァンのことを見て、肩をすくめるのだった。