婚活パーティ行ったら母がいた

著者: 美野晶

本販売日:2024/10/23

電子版配信日:2024/11/01

本定価:825円(税込)

電子版定価:880円(税込)

ISBN:978-4-8296-4760-8

(どうして婚活パーティに母さんが!?……)
サクラで参加した会場で出会ったのはまさかの実の母。
ワンピースからのぞく白い腕、むっちりした熟尻……
初めて見る母・真緒の「女」の顔に戸惑う優大。
男性参加者に口説かれる母の姿に複雑な感情を抱き、
家に帰った後も母の痴態を妄想するようになり……

目次

第一章 婚活パーティで人気の美熟女は母!?

第二章 期間限定の恋人同士になった母と僕

第三章 息子の性技で「女」にされる真緒

第四章 淫乱な本性を暴かれていく肉体

第五章 貞淑の仮面を捨てて牝に堕ちる夜

第六章 嫉妬心から無理やり奪った母の裏穴

第七章 母さんと僕の幸せな「夫婦生活」

本編の一部を立読み

第一章 婚活パーティで人気の美熟女は母!?

 シティホテルの金曜の夜は、宿泊客だけでなく、レストランや宴会場を訪れる人々でごった返している。
 ロビーもやけに人が多く、このホテルで宴会場やレストランの裏方のバイトをしている、十九歳の大学生、中村優大も、飲み物の準備などに、忙しく駆け回っていた。
「中村くん、支配人が呼んでる」
「えっ、僕をですか?」
 バイト先のNホテルは、中堅といったところだろうか。従業員数も多いので、ホテルのトップである支配人と、一介のバイト学生である優大は、顔を合わせたら挨拶をするくらいだ。
 その支配人から直々に呼び出しと言われて、優大は面食らった。
「怒られる話じゃないみたいだから大丈夫。とりあえず支配人室に行って」
 なにかとんでもないことを自分がやらかしたのかと、ビビっている優大に、宴会場の担当である社員が言った。
「は、はい」
 とりあえず怒られるわけではないと知って、ほっとした優大だったが、なぜ自分が呼ばれるのかはわからない。
 支配人室に急ぎ足で向かい、ドアをノックした。
「どうぞ」
 中から声が聞こえて来て、ドアを開くと、支配人が座るデスク前に数名の男性がいた。
「中村くん、悪いね急に」
 優大の顔と名前をちゃんと覚えてくれていた様子の支配人は、優大が入るなり笑顔を向けてきた。
 デスクの前には、優大も顔を知っているホテルの従業員がふたりと、もうひとりスーツ姿の男性がいた。
「お、ちょっと若いけど、身体が大きくていいですね、歳はいくつ?」
 スーツの男性は優大の顔を見るなり、そう言って笑みを浮かべた。
「十九歳ですけど……えっと……どういうことでしょうか?」
 足元から顔までをじっと見てくる男性に、優大は戸惑い気味に答えた。
「このかたは簑田さんと言ってね、うちのホテルで婚活パーティをよく主催してくださる会社のかただ」
 目をキョロキョロとさせている優大に、支配人がそう言った。宴会場ではよく婚活業者によるパーティが行われていて、優大も飲み物を運んだり、照明や音響を手伝ったりしていた。
 ただその業者の人への応対は、当然、社員がするので、優大は簑田と面識はなかった。そんな簑田がなぜか優大の前で両手を合わせてきた。
「実は今日もその婚活パーティがあるんだけど、男性の参加者にキャンセルが入っちゃったんだ。申し訳ないけど、この人たちと一緒にサクラで参加してくれないかな」
 両手を顔の前で合わせたまま、簑田は頭をさげた。
「ええっ? 僕、十九歳ですよ」
 婚活パーティと言えば、最低でも二十五歳よりうえの男女が参加するというイメージだ。
 そこに十九歳の大学生である自分が入るなど、考えられなかった。
「婚活パーティだから、お酒は飲まない人もたくさんいるから大丈夫。なんとかお願いできないかな」
 愛想のいい笑顔で簑田は頭をさげている。確かに優大もここの宴会場で、婚活パーティの飲食の手伝いをしているが、やはり出会いがメインなので、お酒はあまり出なかった。
「いや、でも……」
 たださすがに自分がいくのは違和感がありすぎるように思う。身長は確かにそこそこあり、幼い顔でもないが、結婚を考える年齢には見えないはずだ。
「今日は他のみんなも手が一杯でね。君たち三人しかいないんだよ」
 支配人はなんとか頼めないかなと、困った様子だ。婚活パーティはホテルの大事な収入源、と社員が言っていたから、支配人としては、協力しないわけにはいかないのだろう。
 金曜の今日は皆忙しいのを優大も知っている。優大以外のふたりは、確か駐車場の警備の人と、ボイラー室担当の人だ。
 そのくらい動ける人間がいないということだ。
「わかりました……でもほんとになんにもできませんよ」
 サクラとはいえ、優大は社会人経験もないし、参加者の女性と話が弾むようにも思えなかった。
「いてくれるだけでいいから、ありがとう」
 優大が了承すると、簑田は遥か年下の青年にまた頭をさげた。

 よほど男性の参加者の少なさに困っていたのだろう。婚活パーティの会場に入ると、一目で女性が多いとわかった。
 ホテルの社員さんがロッカーに置いていたスーツを借り、自分の名字が書かれた名札を胸につけ、優大は、なるべく目だたないように会場のすみっこにいた。
(ボイラー係の人……けっこう乗り気じゃん……)
 司会の挨拶から始まったパーティは、あっという間に、それぞれが自由に会話をしていいフリータイムになった。
 このあと、渡された番号札の順に、一人一人向かい合って自己紹介をしあうのだが、優大は宴会場から出てもいいと言われていた。
 ボイラー係の男性も同じはずだが、すでにかなり乗り気で、女性たちと会話をしている。
(若い女の人もいるんだな……)
 会場の中はスーツ姿の男性陣と、華やかな感じの服装の女性陣が、合わせて数十人といった様子だ。
 優大が以前に関わった婚活パーティと違うところは、三十代らしき女性陣に交じって、二十代の女性もちらほらいることだ。 
 簑田が今日は出会いが少ない職場の人たちが多いと言っていたから、二十代でも婚活をしようという女性がきているのだろうか。
(絵里さんくらいの年齢だよな……)
 優大は半年くらい前まで、二十五歳のOLと付き合っていた。その彼女と同じくらいの年齢の女性が数名いて、どうしても目に付いてしまう。
(すごいスケベだったもんな……)
 交際とは言っても、恋人同士というよりはセフレのような関係だった。
 南米系のクオーターだという絵里は、グラマラスなボディをした、セックスにも積極的なタイプの女性だった。
(僕のチン×ンのこともなぜか見抜かれたし……どうしてわかったんだろう)
 絵里は男友達と遊びに行った場所で知り合った。実は優大はかなり肉棒のサイズが大きめなのだが、それを絵里は服の上からでも気がついたようだ。
 その帰り道にそのまま拉致されるようにホテルに連れていかれ、そこから彼女が、しばらく祖父の国に行くと言い出して別れるまで、半年ほど毎週のようにセックスをしていた。
 絵里は快感を追求し続ける女性で、彼女に溺れるように、優大は濃厚なセックスを体験したのだ。
(でもさすがにちゃんと彼女を見つけないとな……)
 その絵里で肉体関係をもったのはふたり目。あとは高校時代にいた恋人だ。
 初恋の頃のようにピュアな恋愛ができるとは思わないが、それでも好きになった人と、ちゃんと交際をするのが正しいように優大は思うのだ。
「では自己紹介タイムを始めます。皆さんは番号札の順番にお並びください」
 会話にいそしむ男女を見ながらそんなことを考えていると、司会の男性の声がスピーカーから響いた。
(やばい……外に……)
 ぼんやりと考えごとをしている間に対面での自己紹介の時間が来ていたようだ。
 簑田からその時間は、トイレにでも行ってくれていていい、と言われていたので、優大は宴会場から出ようとした。
「こっちですよ」
 そのとき男性が優大の前に歩いてきて、出口とは反対の方向である、集合場所を指差した。
 中年のその男性は、長身の爽やかな感じで、スーツがよく似合っていた。
「あ、はい……そうですね」
 もちろん男性は優大を普通の参加者だと思っているので、親切で場所を教えてくれているのだ。
 とっさにうまく言い訳もできず、優大は仕方なしに男性についていった。
(やばい……どうしよう……)
 広い宴会場の真ん中に作られたスペースに、すでに男女数十人が集まっている。
 全員が大人の中に交じって、十九歳の自分が会話などできるはずがない。いちおう、簑田から、ホテルの仕事の経験があるので、他のホテルのホテルマンだという設定はもらっているが。
「おや、番号もお隣ですね」
 先ほどのスーツの男性が、番号札を見ながら優大の隣に立った。彼は四十代といった感じだろうか、はっきり年下とわかる優大にも丁寧に接している。
 爽やかな雰囲気といい、男としてこんな大人になりたいと思わせる男性で、胸のところには守山と名前が書かれていた。
「ぐ、偶然ですね……はい……」
 言葉遣いだけは、いくら裏方担当とはいえ、お客さんと接することもあるから、しっかりとホテルの社員たちから教育を受けている。
 だからうわべの会話はできるが、問題はそこからだ。
「では始めます、足元のテープに沿って並んでください」
 宴会場の絨毯の上に、あとから剥がせるテープだろうか、黄色いテープが二本、スタッフによって平行に貼られた。
 すでに番号順に並んでいた優大たち男性参加者が、そのテープに沿って横並びに整列し、一メートルほどの間を置いて女性陣が対面に並んだ。
「えっ、ええっ」
 ずっと戸惑い気味だった優大は、床の絨毯ばかりを見ていて、ここでようやく顔をあげた。
 わずか一メートルの距離で、優大の真正面に立つ女性の顔を初めて見た瞬間、優大は大声を出しそうになってしまった。
 そして、その女性も瞳を見開いて、顔を強ばらせている。
「どうしました? 大丈夫ですか」
 絶句して立っている優大を心配して、隣の守山が話しかけてきた。
「大丈夫です。はい……」
 背中に汗が流れていくのを感じながら、優大はどうにか男性に返事をした。
(どうして母さんがいるんだよ)
 自分の正面にいる、黒のノースリーブのワンピースから、白い腕をのぞかせた女性は、優大の母である中村真緒だ。胸のところの名札にも中村と書かれている。
 黒髪をアップにまとめ、普段は薄化粧なのに、今日はしっかりとメイクをしていて、二重の瞳がさらに大きく見える。
 同じ会場にいたのに気がつかなかったのは、優大が身を隠すようにしていたのと、濃いめの化粧の母がちょっと別人のような女っぷりをまとっていたからだ。
「さあでは、正面のかたと自己紹介を始めてください」
 サクラで参加した婚活パーティに母親がいた。そんな驚きに固まる暇も与えてくれずに、宴は進行していく。
「ど、どうも中山優大です」
 簑田と相談して、名字だけ偽名にすることにした。サクラなので本名はやめようという話になったのだ。
「中村真緒です、仕事は営業事務をしております」
 母は息子が偽名を名乗ったことに、なにかを察したようで、あくまで他人として挨拶をしてきた。
「そうですか、自分はOホテルに勤めております」
 簑田に仕込まれた職業を言って、優大はなんとか会話を繋いだ。しかしあきらかにギクシャクとしていて、挙動不審だ。
 そこからお互いに言葉は出ず、じっと無言のまま向かい合う。
(しかし、一瞬、よく似た別人かと思った……)
 こんなドレスのような服装を着ている母を見るのは初めてだ。そしてなにより、そのメイクをした顔がいつもの母とはあまりに違いすぎる。
 もともと、同級生たちから可愛いと言われてしまうくらい、少し幼げな顔立ちの母は、優しくて、優大も真面目な性格なので、あまり怒られた記憶もない。
 父とは優大がまだ幼い頃に離婚していて、そこからずっと母は再婚せずに通してきていた。
(こうして見たら、確かに美人なんだよな……う、俺、母さんを相手になにを)
 大きく澄んだ瞳に、高めの鼻、唇は少し厚めでセクシーだ。長めの黒髪を今日はアップにしているので、色白のうなじが爽やかな色香を見せている。
 優大はそんな母にいつしか魅入られている自分に、はっとなった。
「さあ一分が経ちました。男性陣はひとつ横にずれてください」
 実母を相手になにを考えているのかと、自分に驚いていると、司会の男性の声が響いた。
 この自己紹介タイムの持ち時間は一分間、それをひとりずつ繰り返すのだ。
「ありがとうございました」
 母があくまで他人行儀に、優大に向かって頭をさげてきたので、優大も同じように頭をさげた。
「守山です、よろしくお願いします」
 先ほどから優大を心配してくれている男性が、母の前に立ち、優大はひとつずれて隣の中年女性の前となった。
「中村真緒です」
 優大のときとは一転、笑顔になった母が挨拶をしている。白い歯を見せたその顔が優大は少し気になった。
「どうされました」
 気もそぞろの優大に、母の隣の女性が声を掛けてきた。
「い、いえ、はい」
 本気で婚活パーティに参加している人たちは、この一分間を無駄にすまいと必死なのだ。
 いくらサクラとはいえ、失礼があってはいけないと、優大は前を向いた。

続きを読む

本の購入

定価:825円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

電子版の購入

定価:880円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

電子版の購入

定価:880円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

本の購入

定価:825円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます