高層の魔獄【人妻無惨】

著者: 霧谷涼

本販売日:2024/10/23

電子版配信日:2024/11/01

本定価:1,045円(税込)

電子版定価:1,100円(税込)

ISBN:978-4-8296-4764-6

「イク時はイクと言え。そうしたら中に出してやる」
剛直で最奥を抉られ、濡れた女穴を痙攣させる文香。
上戸家に恨みを抱く復讐鬼はタワマンの邸宅に侵入。
人妻をリビングで嬲り抜き、「夫よりイイ」と啼き狂わせる。
帰宅した娘は純潔を穢され、母は娘の傍で裏穴を奪われ……
暴走する淫獣は自らの愛娘みさきすらも毒牙に!

目次

プロローグ 闇夜に響く声

第一章 白昼の悪夢 人妻贖罪

第二章 浴室の肛姦 美臀服従

第三章 鮮血の破瓜 処女強奪

第四章 淫獄の底辺 父娘決別姦

第五章 背徳の楽園 美母娘百合

第六章 禁断の獣欲 復讐執行

第七章 花火の交尾 他人妻鬼孕

エピローグ その男を呼ぶ声

本編の一部を立読み

プロローグ 闇夜に響く声

     *
「──諸君、復讐は執行された!
 見ろ、この写真を! 可愛い娘だろう。騙されたよ。おれはすっかり自分の子だと思い込んで二十三年も育てていたんだ。
 間抜けな野郎だと思うか? 愚図で、勘の鈍い男だと──。
 そうだな。だが、みさきがおれの娘じゃないと知ったとき、おれは真っ先に思ったよ。托卵したクソ野郎を殺してやろうってな。
 しかし、どうだい。今は死ぬより辛い目に遭わせてやれたよ。人間を辞めた気分はどうだい、クソ野郎め。わはははは……」
     *
 湾岸の花火大会が終わり、地上では誰もが晩夏の夜の余韻に酔っていた。
 だから、すぐそばのタワーマンションの最上階から、不気味な男の声と共にぱっと白いものが舞い散ったことに気づいた者はいなかった。
 タガが外れたような男の笑い声はいつまでも続いた。
 ひらひらと舞う白い紙は、あっという間に夜の闇に吸い込まれていく。
 ──薄い紙に書かれたいくつかの手紙には、女手の軽やかな筆跡が躍っていた。

《無事に元気な女の子が生まれました。私に似て、非常に美人(笑)。でも、目元が光汰に似てる気がするな。名前はみさきです。どうだ、可愛いだろっ》
《みさきは一歳になりました。そろそろ、パパって言いそう。光汰にも聞かせてあげたいな。ニコニコ笑うのが、可愛いよ》
《保育園を卒園しました。みさきのランドセル姿の写真を送ります。あれから七年かぁ。時間が経つのは、早いね。そちらの娘さんは、元気?》
《中学校の入学式の写真を送ります。みさきの制服姿、どうだい? 昔の私を思い出すだろう(笑)。私も今でも光汰のことを思い出してます》
《みさきが高校生になったよ。あの頃のことを何となく思い出す時間が増えました。高校時代、楽しかったね》

 手紙と一緒に飛んで行った写真は、一人の女の子の成長を追ったものだ。
 白い布にくるまれた、生まれたての赤ん坊の写真。
 こたつにつかまり立ちして笑う小さな子供の写真。
《そつえんしき》と書かれた看板と、空色の園服で笑う三つ編みの少女の写真。
 ショートカットのセーラー服の少女の写真。
 少し大人びた少女が、ブレザーの制服姿ではにかむ写真。
 女の子は幼いころから二重瞼のはっきりした美しい娘だった。中学以降はどこかボーイッシュできりりとした印象の、いかにも利発そうな娘に育った。
 賢く、愛嬌があり、誰にでも優しく人当たりも良く──そんな自慢の娘に育ってくれた。
「──お父さん、どうしたの?」
 その娘の名前は、橋下みさきという。
 今年二十三歳になる。大手出版社で働く新社会人だ。
「ウン……いや、その、なんだ」
《お父さん》と呼ばれた橋下陸郎は、はっと我に返ったような顔をした。少しやつれた頬を撫でながら、しばらく気怠そうに呻り、それから言った。
「娘に〝予約の取れない鰻屋〟に誘われてホイホイ付いて行ったら、そもそも予約制じゃなく、表で二時間並ばされた……と。ウン、落語のオチみたいだな」
「あはは。ごめん、ごめん。平日の昼ならすぐに入れるんじゃないかと思ったんだけどね。まあ、まずは飲もうよ」
 古びた鰻屋のカウンターに並んで座った父娘は、冷えたビールのグラスをカチンと合わせた。
 新社会人になった娘が、初めてのボーナスで父親に鰻をごちそうする──親ならばこの幸せを感慨深く思わない者はいないだろう。
 しかし、陸郎の表情は浮かない。ビールを飲みながら、一重瞼の小さな目をしょぼしょぼとさせている。
「……お母さんも連れて来たかったね」
 みさきがぽつりと言うと、陸郎はウンと小さく唸るように頷いた。
 陸郎の妻、そしてみさきの母である橋下早紀子が事故死したのは去年の春のことだった。
 職場の近くを歩いていた時に、突然目の前で車道に飛び出した小学生の女の子を助けようとして、トラックに衝突したのである。即死だった。
「お母さん、怒ってるかなあ。私たちだけで美味しいもの食べて、おまけに勝手に引っ越しちゃってさ」
 享年四十九の早紀子は、大手食品会社の研究職の課長を務めていた。家族を喪って呆然とする父娘のところに、嬉しくない多額の賠償金と死亡保険金、それとわずかばかりの退職金が舞い込んだ。
 そこで突然陸郎が引っ越しを決めたのである。埼玉の久喜にある築五十年の一戸建てを引き払い、湾岸のタワーマンションを購入したのだ。
 家族の思い出が残る古い家が苦しい──という、父の切実な願いを聞いて、みさきもそれを受け入れた。
「ウン──そんなことじゃ怒らないだろう、母さんは」
「そうだね……そうだといいなぁ」
 都内の会社に勤めるみさきにとっては劇的に通勤が楽になったが、埼玉の地元密着スーパーの店長をしていた陸郎には不便なはずだった。それでも、妻の賠償金を使ってでも引っ越したいという強い主張を、みさきが拒む理由はなかった。
 父娘が暗い顔をして黙ったところに、不愛想な女将が青磁の小皿を差し出した。鰻の頭部と内臓の《ゑり》と《きも》である。
 陰鬱な表情のまま二人で箸を伸ばし、一口食べて顔を見合わせた。
「美味いな」
 陸郎が思わず言うと、みさきは骨ばった《ゑり》をゴリゴリと噛みながら笑った。
「美味いね。──お母さんも、きっとあっちで私たちと一緒に食べてるよ」
「あいつ、ごちそうに目がないからな」
 父娘は顔を見合わせて笑った。
 しかし陸郎の顔はすぐにぐにゃりと歪んで泣き出しそうになる。
「え、ちょっと。何、どうしたの?」
 箸を置いて目頭を押さえる父親の背中を、みさきは慌てて撫でさすった。
 陸郎は、声を震わせながら、ごめんな、ごめんな、と何度も言った。
「ちょっとぉ。並びすぎて疲れちゃったのかなあ。元気出そ、お父さん」
 娘に背中を撫でられながら、陸郎はウン、ウンと頷いた。
 続いて運ばれてきた特上のうな重を言葉少なに食べながら、父と娘の間に穏やかなひとときが流れた。
 それが最後の父娘の幸せな思い出になった。
 この日からおよそ三か月後、みさきは《父親》である橋下陸郎に襲われ、生々しく屹立した極太の肉棒を女陰と肛門に無惨にも打ち込まれることになる。
「うわー、美味しい。美味しいね、お父さん」
 この時すでに《父親》の計画が始まっていたことも知らずに、みさきは可愛らしい頬をほころばせるのだった。

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