修学旅行の夜、悪友たちに引きずられ、露天風呂を覗き見した陽太。
湯煙の向こうには、クラスの一軍女子の生まれたままの姿が──
男子人気ナンバー1の大倉美愛、陸上部のエース・姉川彩音
巨乳な級長・一色理奈、そして、陽太が密かに恋い焦がれる河合華蓮……
エッチな裸体に大興奮の陽太だが、運悪く見つかり、捕まってしまう。
でもこの事件が、彼女たちとの距離を急速に接近させることに……
Webで大人気、夢の修学旅行ハーレムノベル、堂々開幕!
修学旅行一日目
1 陰キャな僕の歓喜と悲劇
2 男子人気ナンバー1・大倉美愛と
3 陸上部のクールビューティー・姉川彩音
4 真面目で巨乳な級長・一色理奈
修学旅行二日目
1 寺社仏閣とエッチな思い出
2 秘密のパイズリ体験
3 二日目の終わりに
本編の一部を立読み
一 修学旅行一日目
1 陰キャな僕の歓喜と悲劇
僕にとって、修学旅行は単なる遠出に毛が生えた程度のものでしかないと思ってた。
…が……まさか、あんなことになるとは……
ここは京都。僕はクラスメートたちと一緒に清水寺の本堂を歩いている。
「皆様、こちらが有名な清水の舞台です」
添乗員さんの案内に耳を傾けながら、前方に見える光景に絶句する。確かに、ここから飛び降りたら無事では済まない。
すると、二人の男子生徒が僕を左右から抑え付け、前へと引きずっていく。
「おい、日高、お前、一度、試してみろよ」
「リアルで清水の舞台から飛び降りたらどうなるか見てみたいしな」
「おい、やめろ! 俺を殺す気か!?」
僕は必死に声を上げて抵抗するが、クラスメートにして悪友である園田と阿久津はそのまま僕を引きずろうとする。しかし、
「日高君、阿久津君、それに園田君! 修学旅行だと言うのに、ここでも悪ふざけをするのはやめなさい!!」
ノンフレームのメガネをかけ、黒の三つ編みをしている女子生徒――一色理奈(いっしきりな)が、鋭く厳しい表情で制止の声を張り上げる。彼女はうちのクラスの級長だ。
一色理奈の一喝に、園田と阿久津は動きを止めてしまう。
そこへ、級長の横にいた、紺色の長い髪の長身の女性が、僕たちに話しかける。
「日高君、阿久津君、園田君、ここは学校の中じゃないのよ。あなたたちがこの京都で変なことをすると、うちの学校の品位が疑われ、後々まで汚名を被ることになるわ。
だから、今回の修学旅行だけは真面目に大人しくしていなさい」
僕らの担任である小山内若葉(おさないわかば)が僕たちを叱る。すると、周りにいた他の生徒たちがドッと笑い声を上げる。
「しょうがないな、日高のヤツ」
「どうあがいても一生、底辺の陰キャでい続けるものだから、自棄になってんじゃねぇの」
笑い声に混じって、僕をあざけり、からかう声が聞こえてくる。ほんのわずかの間の笑いだが、それでも僕の心に一生、消えないだろうトゲを刺してくる。
(俺だって、好きでそうなってるわけじゃないのに……)
恥ずかしさと沈痛の念を交えながら、心の中で苦々しくつぶやく。今の僕は、悪友たちのオモチャにされ、そのたびに皆に笑われる以外に何もできない。そうでなければ、同じクラスにいる好きな娘や気になるあの娘に、存在自体、無視され続けるくらいしか……
僕の名は日高陽太(ひだかようた)。都内の学校に通っている。
お世辞にもイケメンとは言えず、勉強もスポーツもサッパリ。そのせいか、自分に自信がなく、知らず知らずのうちにいわゆる陰キャに成り果ててしまっている。
言うまでもない…と言うか、口にするのもはばかれるが、学年カーストでは下層に甘んじ、年齢=彼女いない歴ときている。
学校では、他の同級生や生徒たちからろくに相手にされず、日陰の境遇を余儀なくされている。それは、今回の修学旅行でも変わりはない。しかも、ずっと同級生たちと一緒なので、逃げたいと思ってもどうしても逃げられない。
他の皆にとっては学校生活でも屈指の大イベントだが、僕にとっては生き地獄以外の何者でもない。
清水寺の見学を終え、次の目的地へ向かうバスの中にいる。
一番後ろの席にこじんまりと腰を下ろしながら、視線の先にある前方の席に目を向ける。
一番前の席には、さっき、僕たちを叱った小山内先生が腰を下ろしている。長い髪をストレートに垂らし、メガネをかけ、知的で整った美貌をしている。しかも、服をキチンと着こなしているのに、胸の辺りから大きな左右のふくらみが嫌でも目につく。
スタイルも良くて胸も大きく、その上、美人。僕を含めて、どれだけ多くの男子たちが心ひそかに劣情を催したか……
そんな小山内先生の真後ろの席には、
「せっかく京都に来たなら、祇園に行って舞妓さんの格好がしたいな」
「まったく、大倉さんったら、私たちは遊びに来たんじゃないのよ」
やはり巨乳で亜麻色の長い髪をした女子生徒と一色理奈が何か言い合っている。
今、理奈と話をしているのは、大倉美愛(おおくらみあ)だ。彼女も僕たちのクラスメートだが、校内では男子人気ナンバー1を誇っている。
嫌でも見とれてしまうくらいの歳相応の快活とした美貌、そして大きなオッパイ。男子たちの劣情を煽っている点では、小山内先生に勝るとも劣らない。
それでいて、男には決して媚びず、同性にも少なからぬ友達を持っている。ついでに言うと、実は読モやグラビアの仕事をチョコッとやっているが、学校側は学業に支障を来たさない程度で…ということで黙認している。
ついつい美愛に見とれてしまいそうになったので、慌てて目線を変える。
次に目を向けた先には、理奈と美愛が座っている席の真向かいの席だ。そこにも、二人の女子生徒が並んで腰を下ろしている。
「次の大会の練習は上手くいってる?」
「今のところはね。そっちの方はどうなの?」
「シングルの方は何とかなるけど、ダブルスとなると……」
「相棒と息が合わない限りはどうにもならないかもしれないけど、華蓮なら上手くいくわよ」
「ありがとう。姉川さんにそう言ってもらえて、十二分に励みになるわ」
「まったく、十二分なんて大げさなんだから」
背の高い黒のショートヘアの女子と、セミロングの女子が話をしながら、和やかに笑みをこぼす。
僕は遠く離れた後部座席から、セミロングの女子――河合華蓮(かわいかれん)をジッと見つめる。
彼女も僕のクラスメートだが、実は、僕がずっと前から心ひそかに恋心を抱いていた相手でもある。しかし、勉強の成績や運動神経では余りにも差がありすぎて、付き合うどころか、ただのクラスメートとして接することさえ気が引けてしまう。
そんな華蓮と楽しく話をしているのは、やはりクラスメートである姉川彩音(あねかわあやね)。姉川はスレンダーで引き締まった長身とクールな美貌、そして、陸上部の女子エースとして常に大会入賞を果たすその実力から、いわゆる「お姉さま」的存在として後輩女子たちから慕われている。
一方の華蓮も、テニス部のレギュラーとして何度も大会に出場している。その上、歳相応に可愛い美貌の持ち主だ。学年でも指折りの美少女としてひそかに注目されているとかされていないとか。
一色理奈、大倉美愛、姉川彩音、そして、河合華蓮……彼女たち四人は、僕のクラスでは一軍女子として評判となっている。もっとも、彼女たちはクラス限定ではなく、学年はおろか、全校生徒を含めても十分、一軍ポジにいるのは間違いない。
僕のような学年カースト最下層の人間から見れば、同じクラスの同級生でありながら、はるか高い別次元の世界の存在のように思えてならない。そんな僕のひそかなわだかまりなど無視するかのように、僕たちの乗るバスは、次の目的地へと着く。
暗くなり始めた空の下、僕たちが乗っていたバスは、京都市の中心部から離れた一角にある広大な敷地内に停まっている。その敷地内には、洋風の高層建造物と和風の建物が合わさった広々とした施設がそびえ立っている。
ここは、僕たち一行が宿泊するホテルだ。
修学旅行一日目の見学を終えた僕たちは、宿泊先のホテルにチェックインした。その後、夕食を食べ、風呂に入った後、宿泊室であるホテル三階の3099号室に入った。
ついでに言うと、成績上位の生徒ほど上の階に泊まることになっている。僕の場合は、一番下の階の端っこの部屋をあてがわれている。
さらに言えば、女子たちは別棟の部屋に入っている。僕たちのいる部屋からはかなり距離が隔たっている。さすがにないと思うが、女子の部屋に夜這いをかけようにも、かなり道のりが厳しい。
入浴を済ませ、パジャマ代わりに体操着に着替えて部屋でくつろぐ。部屋の中には、僕の他に同宿の阿久津と、もう一人のクラスメート男子がいる。
そこへ、部屋のドアが外側から開かれる。ドアの向こうから、園田が色めき立ちながら駆け寄ってくる。
「おい、大倉や級長たちが露天風呂の方へ行こうとしているぞ」
半ば興奮したかのように知らせを言ってくる。すると、僕たちはその場で思わずドキッとした。
大倉や級長たち――すなわち、うちのクラスの一軍女子たちが露天風呂に入ろうとしている。本来、あってはならないよからぬ思いが、すぐ、頭の中でもたげてくる。
すると、僕は何者かによって腕をつかまれる。
「な、何するんだよ!?」
「みなまで言わせるつもりか?」
「おい、行くぞ!」
戸惑いの声を上げる僕を尻目に、阿久津と園田は僕を引っ張りながら部屋を出る。
ホテルの一階の端に、最大十人まで入れる露天風呂がある。出入り口を除く三方を二メートル強の竹垣に囲まれている。
阿久津が辺りを見渡す中、僕は園田と一緒に、露天風呂手前の脱衣場の出入り口ドアをコッソリと開く。五センチほど開けたその隙間から、中の様子をコッソリと覗く。
「おい、若葉先生もいるじゃねぇか」
小声でボソボソしゃべりながらも興奮気味な園田。そんな園田の下から、僕は緊張と不安と興奮を入り混ぜながら脱衣場を覗き見する。
隙間の向こうでは、小山内先生を交えて、一色理奈や大倉美愛、姉川彩音、そして、河合華蓮が服を脱いでいく。皆、和気あいあいに談笑しながら入浴の準備をする。
僕の目は、下着姿になった華蓮を注視している。色白の素肌にシンプルな白のブラジャーとお揃いのショーツが華蓮らしくて、正直、たまらない。
卑怯なまなざしにさらされているのも知らずに、華蓮は笑みを浮かべる。そんな彼女にドキドキしつつも、同時に罪悪感にも似た気持ちが生じる。
しかし次の瞬間、背後から伸ばされた手に襟首をつかまれ、引き下げられる。
「おい、代われ。誰か来ないか、ちゃんと見張ってろ」
さっきまで辺りを見渡していた阿久津が、僕にそう言って交替させる。気が気でない様子で辺りを見渡していると、
「やっぱ、先生、大人だな。色っぽい下着をしてるぜ」
「大倉も負けてないぞ。ピンクのブラジャーにパンティーだ」
「おい、級長のヤツ、マジで巨乳じゃん」
脱衣場を覗き見している園田と阿久津がボソボソと言い合っている。服を脱いだ彼女たちの下着姿に興奮を隠せない様子だ。
やがて、二人が覗き見をやめて、僕を引っ張るようにしてどこかへと向かう。
僕たちは露天風呂の外側にある岩壁の前にいる。屋外へ出て、裏手から露天風呂の外へとやって来た。
そこには、外からの視界を遮るかのように、二メートル強の高さまで岩が積み重なり、壁代わりを成している。
その外側から、僕たちはコッソリ中の露天風呂の様子を覗き見する。十数メートル先に、湯気が立ち込める中、くつろいだ様子で風呂に入っている五つの裸体が見える。
やがて、僕の目に、五つの裸体がハッキリと見える。
「先生、結構、スタイルいいんですね」
「私としてはそんなつもりなどなかったんだけど」
「よく言うわ。その美貌とオッパイと体で、どれだけ多くの野郎どもを骨抜きにさせたことか」
姉川と先生の会話に割って入り、からかうかのような言葉をかける美愛。
「大倉さん、あなた、冗談がすぎますよ!」
先生はすぐに顔を赤らめて、舌鋒鋭く美愛に言い返す。しかし、美愛は気後れするどころか、してやったりと言わんばかりの表情を見せる。
「ヤダ、もう、そんなに顔を真っ赤にするなんて。図星だって言ってるようなものよ」
「いい加減にしなさい! せっかくの気持ちよく露天風呂に入ってるのに、気分がぶち壊しじゃない!」
なおも先生をからかう美愛を、級長こと一色理奈が叱りつける。
続けて二人に怒られて、美愛はシュンと反省する代わりに、理奈の真ん前に歩み寄る。そして突然、理奈の胸をわしづかみにする。
「アンタったら、態度も胸もいっつも生意気なんだから」
そう言いながら、理奈の大きな裸の胸を揉みしだく。なだらかな丸みを帯び、形良い形状をしているその胸は、見たところEカップはありそうだ。
勉強もスポーツもダメなくせに、こういう知識だけは人並み、もしくは人一倍なのが、我ながら恥ずかしく情けないところだ。
一方の美愛も、Dカップの美巨乳を誇り、これはこれで十分に大きい。でも、インパクトで言えば、真面目で厳しいのに、信じられないくらいにオッパイが大きい級長に軍配を上げざるを得ない。
「大倉さん、もう級長をいじめるのはやめなさい」
担任らしく可愛い教え子を叱責する小山内先生。トレードマーク? のメガネを外し、紺色の長い髪を後ろに束ねているが、この中では一番の大きな裸の胸を隠しきれずにいる。タプタプした大きな左右のふくらみは、わずかでも免疫のない者が見たら出血の果てに昇天しかねないくらいだ。それでいて、スタイルのいい体つきをしている。
教師を務めている先生としては、正直、この体は不本意かもしれないが。
「やれやれ……」
まるで我関せずと言わんばかりにつぶやく彩音。スレンダーで引き締まった長身をしているが、胸の方はお世辞にも大きいとは言えない。もっとも、陸上部の女子エースである彼女としては、これくらいがちょうどいいのかもしれない。
彩音の裸体を一瞥すると、残るもう一つの裸体に目を向ける。露天風呂の岩肌に身を寄せながら、くつろいだ様子で湯船に浸かり、ホッと吐息を漏らす。
一番の本命である華蓮は、三分の二ほど体が浸かった湯船の上から、ちょうどいいくらいの大きさの美乳をさらす。色白の素肌がお湯に濡れ、うっすらと汗がにじんでいるのが、遠く離れた僕の目にもちゃんと映る。
(こんなところで覗き見なんかしないで、いっそのこと、華蓮ちゃんと一緒に露天風呂に入りたい)
コソコソと覗き見している罪悪感に上乗せするかのように、よこしまな妄想をたぎらせる。
露天風呂のど真ん中、僕は華蓮と一緒に寄り添いながら湯に浸かっている。
「日高君と一緒にお風呂に入るの、ホントに気持ちいい」
湯気に煽られてほんのりと赤らんだ華蓮が、僕の方を振り向き、笑みを浮かべながら言ってくる。
その声に振り向くと、華蓮の笑顔に加え、湯に浸かっている裸体が否応なく目につく。程良い大きさの美乳、均整の取れた体つき……このまま見続けたらすぐにでも昇天してしまいそうだ。
「僕も君と一緒にこのお風呂に入れて、とても幸せだよ。いつまでも、ずっとこのままでいたい」
華蓮をまっすぐ見つめながら正直な気持ちを言い放つ。すると、
「だったら、ずっとこのままでいようよ」
別の裸体が僕の横から密着しながら、ニヤッと笑みを浮かべて言う。
「お、大倉!?」
さっきまで華蓮がすぐ傍にいたはずなのに、いつの間にか、大倉美愛が横から僕に密着してきた。華蓮よりも大きいDカップはあろう美巨乳を、しっかりと僕に押し付ける。
柔らかくも大きな肉感を直に受け、僕はのぼせ上がるかのような感覚に襲われながら言葉を詰まらせる。グラビアの仕事をやってるだけあって、抜群の美貌とグラビア映えするいい体をしている。嬉しくないと言うと嘘になるが、いつの間にか華蓮に取って代わっていた状況に、僕は戸惑いを隠せない。
「日高君ったら、勉強もスポーツもダメなくせにエッチなことだけは人一倍だなんて許せないわ!」
美愛の密着になすすべがない僕に向かって、反対方向から叱りつける声が聞こえてくる。
反対方向を振り返ると、級長こと一色理奈が、ムッと不機嫌な顔を赤らめながら、背後から僕にしがみ付く。美愛よりも大きく、制服を着ていてもハッキリとわかるEカップの美巨乳が背中から僕の体に押し付けられる。
横と背後から押し付けられる二双のたわわな肉の果実、そして、熱さを増していく露天風呂の湯に、僕は否応なくのぼせ上がり、そのまま昇天してしまいそうな気分に陥る。
そればかりか……
「せっかくだから、日高のオチン×ン、いただくね」
いたずらっぽい笑みを浮かべながら言うと、美愛が湯の下にある僕の股の上にまたがる。慣れた手つきで僕のモノを手にし、自らの裂け目に押し付ける。
「あぁんっ、いいっ……」
肉棒を飲み込みながら恍惚の声を上げる美愛に、僕は一切の感覚が麻痺したかのような気分に襲われる。
その瞬間、僕はハッと我に返り、視線の先にあるものをとらえる。視線の先には、僕をとんでもない妄想に追い込んだ一軍女子たちの入浴している様がハッキリと映る。よりによって危険と背中合わせの状況にも関わらず、日頃の悪癖とも言うべきエッチな妄想が、僕の中で遠慮なしに沸き上がってしまったのだ。
恥ずべき妄想の証しであるかのように、ズボンの下で僕自身が痛いくらいにいきり立っているのを認める。覗き見を続けながらも、これ以上はない羞恥の念に気分がモヤモヤしてしまう。
すると、
「いやぁ、極楽極楽」
「さすが、うちのクラスが誇る一軍女子だけあるぜ。体も文句なしの一軍レベルだ」
「体……っていうか、オッパイが…だろ?」
「あぁ、でも、できることなら、あの中に飛び込んで素っ裸のまま、ずっと一緒にいたいぜ」
一緒に覗き見していた園田と阿久津が、浅ましいスケベ心を口走ってしまう。ハッキリと耳に届く二人のやり取りに、僕はギクッと驚く。
「おい、そんなに大声出すな。バレるぞ」
華蓮たちにバレないよう、小声で二人に注意をうながすが、
「誰!? 誰かいるの!?」
何かに気づいたかのように何者かが声を張り上げる。級長…一色理奈が、僕たちの今のやり取りを耳にし、驚きと怒りの混ざった声を上げたのだ。
ついさっきまで同級生美少女たちの裸体に見とれ、鼻の下を長くしていた園田と阿久津は、一転して血の気が引いたかのような顔を見せる。
「ヤベェ!」
「ずらかれ!」
二人はすっかり狼狽しきった様子で声を上げ、逃げおおせようとする。
僕もすっかり気が動転しながらも、二人の後を追うようにしてその場から逃げようとする。さっき来た道を逆戻りしようとするが、そこへ一つの裸体が勢い良く迫る。
「こらっ! 逃がさないわよ!」
あられもない姿をさらしながらも、姉川が怒りの声を上げ、僕を捕まえる。自分たちの入浴を覗き見した痴漢の存在を認めるなり、陸上部の女子エースを誇る健脚と俊足で卑劣漢に追いつき、捕まえようとしたのだ。
運悪く捕まった僕を明らかに無視し、園田と阿久津はまんまと逃げきっていった。
露天風呂の出入り口で、僕は萎縮しきったかのように正座している。血の気が引け、陰鬱の極みにあるかのような面持ちで重くうな垂れる。
そんな僕の目の前に、五つの裸体が立っている。先生、級長、美愛、姉川、そして華蓮……彼女たちは裸体を隠すかのように、大きいバスタオルで体を包んでいる。
先生と級長は各々、両腕を組んで、明らかに威圧するかのような険しい面持ちで僕をにらむ。姉川は憤怒をあらわにしないものの、やはり冷ややかに僕を見る。美愛も、お世辞にもご機嫌麗しいとは言えない面持ちを見せる。そして華蓮はと言うと、美貌を曇らせたまま僕から目を背ける。
先生と級長の怒りは仕方ないとしても、華蓮のその態度は、余計、僕の心に強く応える。しかし、悪友たちに巻き込まれたとはいえ、クラスメート女子の裸を覗き見した事実に間違いはない。
どうしようもない罪悪感が、つかの間の浅ましい欲望を凌駕してしまっている。それ以上に、今後、僕はどうなるのか…という不安で、頭の中がいっぱいだ。
クラスメート女子たち――それも、クラス、学年で一軍に位置する美少女たちと美人の担任教師の入浴を覗き見したのだ。どうあがいても処罰は避けられない。最悪の場合、校内での処罰に留まらず、人生そのものも終わりも同然の状況に追い込まれるかもしれない。重苦しい沈黙の中、最悪の事態を予感して、いたずらに不安ばかりが募る。
「日高君、あなた、自分が何をしたかわかっているの?」
先生が努めて感情を押し殺しながら、僕を問い詰めようとする。
「勉強もスポーツも他の子たちより遅れを取っているあなたが、クラスメートの娘たちの入浴を覗き見するなんて……自分はどうせ、ずっとスクールカースト最底辺の落ちこぼれだから…だなんて言い訳は通用しないのよ」
続けて叱責する先生の声が、嫌でも僕の耳に届く。
「日高君、ちゃんと聞いてるんだったら顔を上げて!」
別の声が、叱りつけるかのように呼びかける。顔を上げると、級長が腕を組んだまま、僕を険しくにらみ続ける。
思いっきり気圧されながらも、何とかまっすぐ向き合う。どう転んでも最悪の事態は免れない。ならばコソコソ逃げるより、腹をくくった方がマシというものだ。
それでも、バスタオルの隙間からは、大きな柔肉とクッキリとした谷間が嫌でも目につく。そんなところにまで意識を向ける余裕などないのに……
「君のしたことはどうあっても見過ごすことができないけど、ここだと他の宿泊客が迷惑を被るから、一緒についてきて」
鋭くにらんだまま僕に向かって言うと、
「先生、いいですか?」
横にいる先生に向かって伺いを立てる。
「悪いけど、この件の処置はあなたに任せるわ」