大人びてきた姪・千星は、叔父である俺に心底懐いている。
初恋の義姉の面影と女の色気をチラチラ匂わせ誘惑してくる千星。
「おじさまとわたし、この夏の間はカレシとカノジョになろうよ」
姪の甘美な提案に乗ってしまった俺は、理性の限界を超えて、
母譲りの巨乳で迫る小悪魔な千星と、肉欲の日々を過ごすことに──
姪と恋人関係のインモラルな夏が始まる! 特別書き下ろし付き!
0.君がいた夏の終わり
1.アイスでイチャラブ
2.お風呂でイチャラブ
3.しつけでイチャラブ
4.デートでイチャラブ
5.おくちでイチャラブ
6.ラブホでイチャラブ
7.ホラーでイチャラブ
8.逃避行でイチャラブ
9.ビーチでイチャラブ
10.ビキニでイチャラブ
11.温泉宿でイチャラブ
12.ふとんでイチャラブ
EX.こさつでイチャラブ
本編の一部を立読み
0.君がいた夏の終わり
「友紀也《ゆきや》くん、私ね。結婚するの」
その夜のことを、今でも夢に視る。
夏の終わり。
一年で一番神社が賑わう、縁日の祭りの日の出来事を。
幼馴染の千歌《ちか》とは、友達以上で恋人未満。微妙な関係が続いて、あと一歩が踏み出せないでいた。
隣で屋台を巡る浴衣の彼女はいつもより綺麗で、見とれてしまうほどなのに。
「好きだ」って簡単な一言が、俺にはどうしても言えなかった。いつまでも勇気が出せないでいたんだ。
それでもきっと、千歌も俺のことが好きなんだって。想いは同じだって。
根拠もなく、そう信じていた。
「婚姻届ももうすぐ提出しにいくんだよ。だから友紀也くん」
だけど、そんな思春期の幻想は簡単に……。
「次に会う時は、私があなたのお義姉《ねえ》さんになるんだね」
他でもない、実の兄によって打ち砕かれた。
わかってるって。最初から勝負はついていたんだ。
格好良くて、背が高くて、頭が良くて。学歴も収入も、兄貴に勝ってるところなんて俺には一つとしてなかったって。
そしてわかってたんだ。
千歌が時々兄貴を見つめる視線には、憧れが宿っていたということ。
わかっていたのに目をそらして、見ないようにしていただけなんだ。
「友紀也くんは……どう思うの?」
何も言えずに立ちつくす俺。
そんな俺の顔を覗き込む、宝石のような彼女の瞳。
いつも自信満々で天真爛漫な千歌の、キラキラした眼が好きだった。満天の星みたいな瞳が大好きだった。
なのにその夜は、その眼が不安で揺れていた。
「私たち、ホントに結婚してもいいのかな?」
何故そんなことを俺に訊く?
俺なんかが認める必要なんてあるのか?
兄貴は俺よりずっとずっとすごい男なんだ。それは小さな頃から兄貴に助けられてきた俺が一番よく知っている。
なのに何が不満なんだ?
何が不安なんだ?
「……勝手にしろよ」
俺はうつむいて、奥歯を噛み締めながら、
「誰が誰と結婚しようが、俺には関係ないだろ」
必死に絞り出した言葉は情けない捨て台詞だった。
「っ――!」
千歌に背を向ける。
一緒に観ようと約束していた花火の音が今、弾けて背中に降りかかる。
祭りの終わり、その始まりの合図だった。
「友紀也くん、私ね――」
彼女が何か言おうとしていたが、俺は聞かなかった。聞けなかった。
その声は花火にかき消されて、光と共に夜空に霧散していった。
今になって思うんだ。
それが最後のチャンスだったのかもしれないって。
俺が逃げずに振り返って、千歌の眼をまっすぐ見つめて、抱きしめていれば。
「好きだ」って素直な気持ちを叫び、兄貴との結婚を止めていれば。
何かが変わったのだろうか。
だけど全ては過去になった。今更そんな反実仮想《たられば》に意味はない。
俺は結局、千歌に背を向けたまま、逃げるようにその場を去った。
それが変えようのない現実なんだから。
夜が明けて、幼馴染は義理の姉となり。
やがて一児の母となった。
1.アイスでイチャラブ
「おじさま! ゲームしよっ、ゲーム!」
初夏の天気は快晴。
ジリジリと照りつける日差しが窓から飛び込んでくる。
学校帰りの少女がいきなり俺の部屋に上がり込んできたと思ったら、制服のままベッドに飛び込んで脚をパタパタさせている。
ひらり、舞い上がるイマドキの短いプリーツスカート。
少し日焼け跡の残る、健康的な白い太ももがチラチラ覗く。
汗ばんだ肌が健康的な若い魅力を醸し出す。
一人暮らしの男の前で無防備な姿を晒す彼女こそが、幼馴染の千歌と兄貴との間に生まれた一人娘。
今年度から学園生になった俺の姪っ子にあたる少女、名前は千星《ちせ》。
「うーん、今日はどのハードで遊ぼっか。レトロハード、最新ハード……おじさまたくさん持ってるから迷っちゃうなぁー」
さっそくガサゴソと無遠慮に俺のゲームBOXを漁る千星。
ここ最近は毎日こんな感じだ。
昔から叔父である俺によく懐いてきた姪ではあったが、俺のアパートの近くにあるお嬢様女子校に進学してからは部屋に来る頻度が激増したのだ。
その理由はシンプルで、曰く「学校から一番近い遊び場だもん☆」だそうだ。
ゲームライターという職業柄、ゲームを大量に所有しているだけであって、別に遊び場ってワケじゃないのだが。むしろ仕事場と呼んでほしいところだ。
「よーしっ、今日はレトロゲーの気分! キミに決めた!」
そんな俺のお気持ちなど歯牙にもかけず、千星は無邪気にレトロハードのセッティングを始めていた。
「あー、コンポジット接続端子が不調だから挿し込む角度に気をつけろよ」
「わかってますよーだ」
俺の忠告にイタズラっぽくべーと舌を出しつつテキパキとケーブル位置を調整する千星。
アナログAVケーブルってヤツは接触不良が起こりやすい。買い換えればいいだけだが、しがないライターの財布に余裕はないし面倒くさい。
そういうワケで被膜もボロボロに使い古されたケーブルを絶縁テープで補修しつつなんとか工夫して使い続けているのだった。
「黄色端子をちょーっと上向きに挿すのがコツなんだよねぇー」
なんて独り言を漏らす現代っ子を見ていると、なんだか昔の俺と千歌を思い出して微笑ましい気持ちになってくる。
さんざん在宅ワークを邪魔されても追い出したり怒ったりできず、なんだかんだいつも家に上げてしまうのは、千星が俺にノスタルジーを与えてくれる存在だからなのかもしれない。
「準備かんりょー! 何からしよっか、レースゲームか、パーティーゲームか……格ゲーもアリ? それともいきなりシューティングなんかシちゃったりして!」
懐いた犬のようにパタパタと興奮気味に叔父を遊びに誘う姪。
我が姪ながら可愛いなぁ、なんてオジサンくさい単純な感慨しか湧いてこない。
とはいえ、叔父としてちゃんと言い聞かせなきゃならない責任だってある。
「まず手を洗ってうがいしてからな」
「えー、はやくやりたーい!」
千星は腕をパタパタ振り回して抗議の声を上げた。
まったく、お嬢様学校に通っているわりにお行儀が悪いですわよ。
「アイスやんねーぞ」
「えーヤダ! 暑いからアイスたべたーい!」
立ち上がった千星は片足を上げて、汗で蒸れた白のオーバーニーソックスを脱ぎ捨てた。
滑らかなふくらはぎと、キュッとしまったくるぶしがチラリ。
熱を帯びた足の指をくにくにとひろげてほぐしている。
「おじさまー、靴下吊るしてファブっといて」
「ニーソをぞんざいに投げてくるな、匂い嗅ぐぞ」
初夏の気温で蒸れに蒸れ、学園指定のローファーでさらに熟成されたニーソックスは、汗を吸ってなんとも言えない濃厚なスメルを放っていた。
千星は結局素直に洗面所で手洗いうがいをしてから、俺をむむっと睨みつける。
赤ん坊の頃から知ってる姪に凄まれても全然迫力がないし、むしろ可愛いとしか思えないのだが。
「ヘンタイ」
シンプルな軽蔑。
「うお、若い子に罵倒されてしまった。これはこれで悪くないな」
「ホントにヘンタイじゃん! おかーさんに言うよ?」
「それは勘弁。義姉さん怒るとマジ怖いからな」
「おかーさんの逆鱗に触れたくなければおとなしくアイスをよこしなさい!」
「わかったわかった、冷蔵庫に冷やしてあるから好きなの取っていいぞ」
「やたっ☆」
ぴょんと飛び跳ねる千星。ぺたぺたと裸足で床を歩き、しゃがみこんで冷蔵庫をガサゴソ探る。
「ハーゲンダッツないかなー」
「そんな高いのあるわけないだろ。兄貴に買ってもらえ」
「ぶー、おじさまのかいしょーなしぃー」
「どこで覚えてくるんだそんな言葉」
年々マセてくる姪に呆れてため息をついた。
しかし、なんというか……そこで気付く。
スカートがめくれあがって下着が見えているのだが、いいのだろうか?
おじさんが若い子のお尻をまじまじ眺めるなんてダメだよなぁ、なんて思いつつも視線が吸い込まれてしまう。
白と水色のストライプ柄、いわゆるしまぱん。
学園生になって目に見えて肉付きが良くなってきたし、叔父の贔屓目を抜きにしても顔だってかなり可愛い部類だとは思うけど。やっぱりこういうところはまだまだコドモだなって思わされる。
だから無防備な色気をふいに振りまかれてドキリとすることはあっても、結局は姪に変な気が起こることはないのだ。
きっと千星のほうもそれがわかっているからこそ、俺の部屋を安心できる遊び場として入り浸ってくれているのだろう。
兄貴と違って三十過ぎても家庭を持つ気配が微塵もない俺には、千星とのこの関係が心地よかった。
「はい、おじさまのぶんね!」
「俺はいいよ、二本食べていいぞ」
「一緒に食べるのがいいの、そのほうが美味しいじゃん!」
「はいはい」
千星が二本取ってきた棒アイスのうち一本を渡してくる。
俺たちはそれを咥えて舐めながらゲームを開始するのだった。
いつものように窮屈なシングルベッドに肩を並べて座り、身を寄せ合って20インチ程度の一人用モニタを覗き込みながら。
体温の高い若い女の子とくっついていると、ただでさえ暑いのにさらに暑い。
けどまあ、女子校生特有の柔らかさと香りを堪能できると思えば、役得ってヤツなのかもしれないな。
「あー、リスポーン地点にモーションセンサー爆弾つけるのはずるいよ!」
「これがこのゲームの醍醐味だろうが」
「むぅー、じゃあ次はチョップのみで対決だー!」
「かかってこいや小娘がぁ!」
俺たちはひとしきり名作ゲームを楽しんだ。
互いにしゃがみ歩き斜め移動を駆使しつつチョップ対決をしたり、投げナイフだけで戦ったり。
二人で男子小学生みたいなテンションでゲラゲラ笑いながら同じ時間を過ごしたのだった。
☆ ☆ ☆
「ふぅー、はぁー、も、もぉ笑いすぎてお腹痛いよぉ」
「俺もさすがに疲れたな。休憩すっか」
「えー、もっとやろうよぉ」
「ゲームは一日一時間って、一秒間に十六連射で有名な某ゲーム名人も言ってたぞ」
「だれそれ?」
「うぐっ……ジェネレーションギャップで胃もたれしてきた」
数時間ぶっ通しでゲームをやっても大丈夫。女子校生の体力は無限なのだろうか。
なんて無限ロケランをぶっ放す姪を見ながら考えていた。俺はというと、腰や肩の疲労が既に限界に達しようとしている。
こういう時、衰えを感じずにはいられない。
若い頃は一日中ゲームをしててもただ楽しいだけだったのに、今はそうはいかないんだ。
なにより大好きだったゲームが仕事になってからは、時々苦痛にも感じる。
「にしても暑いな。千星、アイスもう一本いるか?」
「いる!」
電気はできるだけゲームに回したい。
そんな俺のケチくさいこだわりから、暑さが本格化するまでクーラーはつけていない。
まだ初夏だ。窓を開けて風を通せばしのげるレベル。
とはいえ、さすがに体温が高い千星とくっついてゲームしてたらさすがに暑い。
俺たちは二本目のアイスと共に休憩を取ることにした。
結局……真横に千星がくっついてくるから、アイスがあろうとなかろうと暑いもんは暑いままなんだが。
「おいしー♡」
無邪気に棒アイスにむしゃぶりつく姪の横顔を見て、ふっと頬が緩んでしまう。
少なくとも、千星とのゲームプレイは肉体的にはともかく、精神的にはただただ癒やされる、楽しい時間になっていた。
純粋にゲームが大好きだったあの頃の自分に戻ったみたいで、この時間は俺にとっての救いになっていたんだ。
「それにしてもおじさまってさ、いろんなゲームが上手だよね」
「そうだな、仕事でやりこんでるからな」
「ゲームライターのお仕事ってどうなの?」
「それなりに軌道に乗ってて悪くはないぞ。部屋から出ずに仕事できるし俺向きだと思ってる」
「ふぅーん、プロゲーマーとかどう? 最近流行ってるじゃん、いーすぽーつってヤツ」
「ああ、それな。まあ真剣にやればワンチャンあるかもしれないが……」
これはうぬぼれではなく、正確な自己分析だろう。
ゲームライターとして、対戦ゲームでプロゲーマーとお手合わせする機会が度々あるのだが、全くかなわないということはないしむしろ良い勝負ができる。
というのも俺は、自分が記事を書くことになったゲームをかなり綿密にやりこむ性分だからだ。
このこだわりの強さのおかげで、パイの少ないゲーム記事の世界で仕事を安定して取れているという側面もある。
だが――。
「お父さん言ってたよ、昔っからゲームだけはおじさまにはかなわなかったって」
「ゲームだけは、な。そもそも俺には競技ゲームって向いてないと思うよ。ああいう風に勝ち負けがシビアな世界は……キツいもんだ」
競技者に取材をすることだってあるからこそ、わかることもある。
勝ち負けを常に眼前に突きつけられて、不本意な結果も認めなければならない世界だ。
人生の大切な瞬間にいつも逃げ続けた俺には……あんな世界は眩しすぎる。
「……」
表情を曇らせたのが悟られたのかもしれない。
千星はじぃーっと俺を見つめると、唐突に耳を疑うようなことを口にした。
「おじさまって、どーてー?」
……時間停止系AVの九割はヤラセらしい。そして今回は本物の一割なのかもしれない。
なんてバカなフレーズが頭によぎる。
何が言いたいのかというと、時間が止まっていた。
俺と千星は互いを見つめあったまま微動だにしない。できない。
蒸し暑さと日差しと、鳥と虫の鳴き声だけが、時間が変わらず進み続けていることを教えてくれていた。
やがて、
「は? ど、どどどどどどどどどど童貞ちゃうわ!」
沈黙を破ったのは俺のほうだった。
ごまかしたい。その一心で焦ってごまかしようがない返答をしてしまった。
千星は「ふーん」と目を細めて追及してくる。
「じゃあカノジョとかいるんだ?」
「い、いねーよ……今は、な。知ってて言ってんだろ」
「だったらさ、千星がおじさまのカノジョになってあげよっか♡」
ゆっくりと俺の肩にしなだれて、潤んだ上目遣いで誘ってくる少女。
長いまつ毛に大きくて猫っぽい瞳、赤らんだ頬が、いつになく蠱惑的だ。
「お部屋の中ばっかりじゃなくてね、外にデートでも行こうよ」
確かに魅力的な提案ではあるが、それはデジャヴってヤツだった。
聞き覚えのあるフレーズに、俺はため息をついて答えた。
「はぁ、どうせ服とかアクセとか買わせる気だろ。手口が義姉さんと同じだぞ」
「おかーさんのこと? そっか、おじさまと幼馴染だもんね。でもでも、わたしがおじさまとお出かけしたいのはホントだよ?」
「はいはい、あざといあざとい」
「もぉー、つれないおじさまはアイス没収の刑でーす!」
いきなり俺の口からはみ出た棒アイスの持ち手を掴む姪。
ずぽっと無理やり引き抜いて、「あーむっ♡」と大口を開けて自ら咥えた。
「一緒に食べるのがいいとか言ってたのに、高速手のひら返しかよ」
「代わりにおじさまはこっちね!」
「むぐっ!?」
代わりにと無理やり口に突っ込まれたのは、さっきまで千星が舐めていたほうの棒アイスだった。
俺のと比べるともうほとんど残っていない。
コ、コイツ、舐めるだけじゃなくて噛んで早食いしてやがったな!
「へへっ、間接キッスだね♡」
「お前なぁ、そういう男泣かせなこと誰にでもしてんのか?」
「そんなワケないじゃん。おじさま限定なのです」
ちょっと不機嫌そうに言う千星。ったく、からかいやがって。
俺じゃなきゃ勘違いされたあげくストーカーになりかねないぞ。
そもそも間接キスなんて今更じゃねーかよ。なんせ、
「ちっさい頃は俺に『おじちゃま、ちゅーしよ♡』なんてせがんできたくせに」
「あーあー聞こえなーい! そーゆー黒歴史はそっこく忘れるように!」
「あの時から全然変わってねぇよな。コドモっぽくて可愛いままだよな、千星は」
「やだもー、可愛いなんて……おじさまったら♡」
テレテレと目を泳がせ、顔をかーっと赤らめる千星。
頬に手を当てて唇を尖らせる様子がなにより可愛らしい。
ちょろいな、俺をからかおうとしてくるくせに、ちょっとからかったらすぐコレだ。
「でもでもっ、わたしだってオトナだもんね! いつまでもコドモ扱いしちゃダメだからね!」
「ほぉー、おこちゃまの千星ちゃんがどのヘンがオトナになったって? 大した自信だな」
「いいもん、わたしがオトナだってしょーこ見せてあげるもん!」
売り言葉に買い言葉というヤツで、千星は頬を膨らませた。
どうせティーン雑誌からパクったようなぎこちないセクシーポーズでも披露してくれるんだろう。盛大に笑ってやるか、なんて期待していたのだが。
今日の姪は、予想外の行動をとった。
「じゃあおじさま、見ててよね。千星のオトナなとこ♡」
そう言って彼女は俺から奪い取った棒アイスを桜色の唇で咥え込んだ。
ちゅぷ……♡
髪をかきあげ、ちゅこちゅこと音を立ててねぶったり。
唇と頬をすぼめて、じゅるじゅると吸い込んだり。
こ、これは……オトナっていうかヤラシイ舐め方じゃねえか!
「お、お前どこでそんな……!」
「ちゅぷ……ちゅぱ♡ んっ、こんなの……さいきんのこならフツーだよぉ♡」
千星は横目で俺に挑発的な視線を飛ばしながら棒アイスに舌を這わせ続ける。
唇の端からぽたぽたと、最近すくすく育ってきた双丘に溶けたアイスが垂れてゆく。
暑さでリボンは緩んで、シャツのボタンが開いていた。
つぅーっと淫らにも水滴がハリのある胸の谷間を、滑らかな白い肌を流れ落ちてゆく。
ううっ、こんな……まだコドモだと思ってたのに。
姪とはいえ年頃の美少女に挑発的な姿を見せつけられて、ドクドクと心臓が高鳴ってくる。
そしてそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、追い打ちをかけるように彼女はほとんど溶けきったアイスを口から離して言った。
「んっ、おっぱいに落ちちゃった。ね、おじさまも一緒に舐めよ?」
「一緒にって、お前これ……」
「ほら、わたしの谷間《ここ》……水たまりができるくらいおっきくなったんだよ? これを見ても千星のこと、コドモだなんて言える?」
どたぷーん、という効果音を感じさせるほどたわわに実った双房を寄せて上げる千星。
た、確かに大きい。制服の上からはだけた胸元だけ見ても、とてもじゃないがコドモとは言えない。確かな質量を感じさせるモノが目の前にあった。
そして今、彼女自身が言う通り、深い谷間には溶けたアイスが溜まっていた。
「一緒に舐めよ」ってつまり、ここに顔を突っ込めってコトなのか?
「な、なあ千星。わかった、わかったから降参だ。そんなことしたら義姉さんに殺されちまうよ」
「へぇー、ふぅーん。じゃあ、このゲームはおじさまの負けってことでいいよね?」
千星はニヤニヤ顔で煽ってきた。
くそ、最近舐められっぱなしだからこれ以上立場が低くなるのは辛いものがあるが。
しかし俺とて節度を持った社会人《オトナ》なのだ。
女子校生に、それも自分の姪に手を出すなんて。さすがに理性がストップをかけざるを得ない。
だけど当の千星本人は、ストップなんてかける気は微塵もなかった。
「罰ゲームだよ、おじさま♡」
叔父の膝の上に乗ってくる姪。
それだけなら珍しくもない、小さな頃から続いてきたじゃれあいだ。
だけど今回は、そんな可愛らしいものじゃない。俺の顔の正面に少女の胸と顔が向かい合う。いわゆる対面座位というオトナな姿勢だった。
「おじさま、ちゅーして♡」
「え、えええ……いやいやいや。コドモの頃ならともかく、もう学園生だぞ。俺、捕まっちまうよ」
「あはっ、誰にも言わないからヘーキだよ。それにこれはね、コドモのちゅーじゃなくて……オトナのキス」
「む、ううぅ……」
どうやら千星は既にひっこみがつかなくなってきているらしい。
冗談やからかいといった口調でも表情でもなかった。微笑んではいるが真剣だ。
そんな状態の彼女を拒絶し続けても、さらに強情になるだけかもしれない。こういう時にワガママをひっこめるタイプじゃないんだ。
ならば適当に付き合ってあげて、欲求を解消するしかないのか。どうせ千星も意地を張ってるだけで、最後までいく度胸も覚悟もないだろう。
年上の男をからかって遊びたい年頃になったってだけだ。
小さい頃にさんざんお遊びでちゅっちゅされた仲だ。今更ファーストキスだって恥じらう関係でもない。
いっちょここいらで、オトナのキスで年上の恐ろしさを見せつけてやろうかな。
そうすりゃ、ビビってすぐにしおらしくなるに違いない。
うん、俺は覚悟を決めて向き合った。
「いいんだな、オトナのキス。するぞ、千星」
「いいよ、おじさまなら。うぇるかむかもーん♡」
千星は目を閉じ、桜色のぷりっとした唇をつんと前に突き出した。
キス待ち顔。改めて見るとその美少女っぷりに驚愕させられる。
長いまつ毛に、白くてシミもシワも全くないすべすべのたまご肌。
今まで目をそらしていた、姪のオンナの部分を否応なしに意識させられる。
「……いくぞ」
ドクドクと高鳴り始める心臓。
こんなに密着して抱きついてたらバレはしないだろうか?
いや、俺はオトナなんだ。姪に翻弄されてどうする。
見せつけてやれ俺、大人の男ってヤツをな!
こうして俺は千星に顔を近づけて、
「んっ……♡」
二人の影が重なった。
「ちゅ、ん……はぁ、はぁ……」
何度も唇をくっつけては離して、ついばむようなバードキス。
彼女の唇はいつのまにか肉厚になっていて、柔らかくて、あたたかくて、今にもとろけてしまいそうだった。
「はぁ……んんっ、も、もっと……♡」
興奮しているのか、千星はぎゅうっと身体をくっつけて、必死に何度もキスをせがんでくる。
そんな少女のいじらしい姿がなんだか愛おしくなって、俺は。
「んゅ――っ♡」
つぷりと舌を侵入させた。
「ふぅ、ぁ……ん、ちゅっ……」
ビクリと身体を震わせる千星。最初は驚いていたようだったが、徐々に安心したのかとろりと舌を絡めてきた。
ちゅるちゅると音を立てて、唾液が絡まり泡立つほどの濃厚な粘膜接触。
ぷちゅぷちゅと泡が潰れる音がビリビリと脳まで届いて痺れてきた。
「はぁ、はぁ……お、おじさまっ、もっと、もっとして……♡」
千星は頬を上気させ、興奮しきった表情で舌先を突き出した。
ぴちゃぴちゃと俺の唇や歯を犬や猫のようにちゅるちゅると舐め上げてくる。
そんな姪の姿を見て、俺は悟った。
目の前の少女は既に、赤ん坊の頃から知っているあのコドモではないのだ。
ムチムチの肉体に育ち、身体をもてあました一人の女子校生。
いいや――異性を求める本能に目覚めたオンナなのだと。
☆ ☆ ☆
プリミティブな性欲を丸出しに迫ってくる千星に、俺はもう我慢の限界を迎えていた。
「お前な……こんなことして、男が我慢できると思ってんのか?」
「ガマンなんて、しなくていいよ。わたし、おじさまにならナニされても嬉しいから」
「くそっ、どうなっても知らねぇぞ」
「あはっ♡」
俺はついに千星の華奢な身体をベッドに押し倒した。
少女の身体の軽さに言いようもない罪悪感と、それに比例した劣情が溢れ出してくる。
シャツのボタンを外し、露出した胸元にむしゃぶりついた。
先ほど垂れて谷間に溜まっていた、溶けたアイスの欠片を舌で舐め取り、唇で吸う。
「あんっ。け、結局舐め舐めしちゃってるじゃん♡」
「お前が、お前が悪いんだからな。大人をからかって、誘惑して……!」
「だっておじさまってからかうと焦って顔真っ赤にするからかわいーんだもん♡」
「まだ言うか、そんな悪い子にはお仕置きだ」
ぷちぷちと学校指定のワイシャツのボタンを全部外した。
首元から鎖骨、ブラに覆われた胸に、きゅっとしまった細いくびれから鼠径部《そけいぶ》にいたるまで。
汗ばんだ上半身が丸見えになった。白くて本当に精巧な陶磁器のような肌だった。
そんな雪のように白い肌の上には、最近始まった水泳の授業の影響か、競泳水着の形にこんがり日焼け跡が刻まれている。
「この日焼け跡、なんかセクシーだな」
「も、もぉ恥ずかしいからぁ……見ないで」
「そんな可愛いこと言われたら、余計に止まれなくなるぞ」
俺は仕上げとばかりに、ぐいっと強引にブラを上にずらした。
ぶるん、と着痩せするタイプなのか、思ったよりボリュームのある乳房が姿を現す。
美しい、素直にそう思った。
実が詰まった確かな重みを感じる双丘は、それでもツンと上向きに張り出しており、ナマイキにも重力に逆らっていた。
色素の薄い若さ溢れる乳輪と乳首はちょっと膨らんでいて、既に固くなっているようだった。
「んきゅぅ」
俺がおっぱいを掴むと、子犬のような鳴き声が漏れ出す。
かまわず胸を持ち上げ、根本から乳頭に向かってナマイキなおっぱいをコキ上げてやる。
むにむにと牛の乳搾りのように、まだ少し固さの残る若い天然モノの乳肉を揉みしだいた。
「んっ、くぅ……お、おじさまの手つき、やらしーよぉ」
「そういうお前も興奮しているみたいだが。ほら、先っぽ固くなってんぞ」
こりゅ♡ 乳首を軽くつねると、面白いように口をふにゃふにゃと震わせる。
「ふあぁ♡ ちくびぃ、ダメだよぅ♡」
少女の身体は敏感だった。触るたびにひくひくと腰を浮かせてくる。
俺は気を良くして大胆にも顔を胸に近づけ、舌先で乳輪に触れた。
ぷっくり膨らんだパフィーニップルに、ちろちろと舌を這わせてゆく。
「あっ、あうぅ! お、おじさまがわたしのおっぱい、おっぱい舐めちゃってるぅ♡」
「こんなオッサンに乳輪舐められて興奮してるとか、お前オッサン好きの変態だったんだな」
「ち、違うからぁ! おじさまだけっ、おじさまだけだもんっ♡」
「はいはい、そういうことにしておきますよ――と」
かぷっ、乳首を甘噛みすると。
乳輪でさんざん焦らされて出来上がった身体がビクンと跳ねた。
「あっ、んんああぁ♡♡」
ビクビクビクッ。上半身が反って腰が浮いた。
まさか、イったのか?
オッサンにおっぱい舐められただけで?
ま、まさか俺の可愛い姪が叔父に胸を責められただけで絶頂する淫乱女子校生だったとは……。
「はー、はー……い、いまのなんか。頭のナカふわふわして、スゴかったぁ……♡」
くたくたになってベッドに横たわる千星。
深く上下する胸郭。潤んだ瞳。スカートがめくれあがり露出する、汗ばんだ太もも。
もはや可愛い姪じゃなくて、目の前には性の対象以外の何者でもない女しかいなかった。
ごくり、俺は唾を飲み込んだ。
怒張する自身の下半身が熱を帯びるのを感じる。
これ以上は、ヤバい。マジで歯止めが利かなくなる。
「ど、どうだ千星。大人の怖さがわかったか。これに懲りたら――」
「こわい? おじさまにスゴまれて怖いワケないじゃん♡ もしかしておじさまこそ、おっぱい舐めただけで怖気づいちゃったんじゃないよね? 可愛いなぁ、どーてーのお・じ・さ・ま♡」
ここで逃げ道を提示しないとお互いに引けなくなる。
そう思って停戦を呼びかけたのだが、千星の答えは徹底抗戦だった。
彼女はプリーツスカートを自らめくり上げ、しまぱんを見せつけてきたのだ。
子どもっぽい下着のチョイス。普段なら欲情なんてするわけないのだが。
今は、
「っ……お、お前。これ以上はマジでヤバいって……!」
スカートのその奥。開かれた両脚の中心が、股間を覆うクロッチの部分が……。
じっとりと濡れていて、ワレメにぴったりと張り付いていた。
くっきりと形が浮かび上がる、現役女子校生の外性器に俺は……。
ズボンの上からでもわかるくらい、言い訳のしようがないほど勃起していた。
「あはっ、おじさまもヤる気マンマンじゃん」
テントを張る俺の股間を目ざとく発見した千星の指摘に俺は、
「こ、これはだな……」
もはや反論できない。身体は正直だ。
彼女は俺と目を合わせ、ゆっくりと諭すように話し始めた。
「ねぇ、おじさま。姪と叔父って関係だから気後れしてるんだよね? もしもわたしたちがフツーのカノジョとカレシだったら、手を出してくれるんだよね?」
「……そう、かもしれない」
「だったらわたしたち、この夏の間だけカノジョとカレシになってみない? わたしにカレシができるか、おじさまにカノジョができるか。それまでの関係でいいから、ね? それならいいでしょ? お互いに合意の上で、秘密の関係だから、後腐れもなし」
「……」
吸い込まれそうだった。キラキラと乱反射する宝石の瞳に。
気持ちは揺らいでいた。いや、とっくに傾いていたんだ。
義姉さん――千歌への失恋以降、部屋にこもってゲームばかりしていた俺は女子との交流など数えるほどしかなかった。千星の言う通り、恥ずかしながら童貞だ。
そんな情けない男の俺がこんな美少女に誘惑されるだなんて、そんな機会が今後の人生でありえるのか? 絶対にないだろう。これはチャンスなんだ。
このチャンスを逃せば、俺は一生童貞のままかもしれない。
なにより……。
目の前にいる少女は、初恋の幼馴染である千歌に生き写しだったから。
この声も、瞳も、髪も、身体も、白い肌も。
全部、全部。あの時好きだった女の子と同じで。
あの夏《とき》に置いてきた何かを、俺は……。
取り戻せるかもしれないって、思ってしまったんだ。