放課後インスタントセックス3

著者: 佐々木かず

電子版配信日:2024/11/22

電子版定価:880円(税込)

波乱の修学旅行が終わり、クラスの人気者・南川雫、
隠れ美少女の二見小夜と3Pする平和な(?)日常が戻ってきた。
三人で再建した園芸部に、ヤンキー女子・猿渡符鈴先輩、草食系な男の娘・藤野成男と、
南川の友人で、小柄で可愛い「ひよ子」こと観音寺雛姫さんも参加!
学園で成績二位の彼女は、学園一位で部長の僕が気になる様子で、
急接近してくるので、南川と二見とのセフレ以上な関係を明かすと……
恋に部活にエッチに忙しい最高の夏が始まる! 特別書き下ろしSSを収録!

目次

第一話 交わる体液、卒業セックス

第二話 過去の寝取り

第三話 ひよ子の逆鱗

第四話 とびっこ散歩

第五話 路傍の石も使いよう

第六話 夏に負けたから

第七話 見られてると恥ずかしいね

第八話 まずはオーラルセックス

第九話 妖精の告白

幕間 気になるあのガリ勉

番外編 ぼくと先輩の夏休み

書き下ろし 爛れた夜を思う夜

本編の一部を立読み

第一話 交わる体液、卒業セックス



 僕、石野清明《いしのせいめい》と南川雫《みなみかわしずく》はベッドでセックスをしていた。
「あッ、ん……ねえ、小夜、まだ? うち、お腹減ったんだけど?」
 テーブルでは、ピンク色のブラジャーに水色のホットパンツという軽装の二見小夜がすわって夏休みの宿題に勤しんでいる。
 正常位で僕に突かれている南川が、二見から僕へと視線をもどした。
「あ……石野ッ、んッ……そこ、気持ちいいよ。あんッ、もっかいイキそッ、んッ」
 南川はグレーのTシャツを着ていた。僕の持っているTシャツの中でも、とくに古いよれよれのものだが、南川のお気に入りだった。シャワーから出てきた南川はショーツを穿いていなかった。ベッドで抱き合うと、すぐに正常位で交わり、一度は二人とも絶頂を迎えている。
 そんな僕と南川の横で、二見はブラジャー姿でずっと夏休みの宿題をしていた。夏休み一日目にすべて終わらせる。そう豪語していたが、すでに夏休みも三日目だ。
「んッ……石野ッ石野ッ」
 甘えたような声を出し、南川が僕にしがみつく。下半身だけ露出した僕は、射精を我慢しながらラストスパートをかけた。あッあッ。喘ぎ声をあげながら南川が僕の目を見つめ、すこし照れたように笑ったあと、膣をきゅうと締めつけた。
 僕は南川がイクのに合わせて射精できるよう調整をしながらも、腰を強く打ちつけた。
「……あッ、んんあっ。石野、マジ、いいッッ。気持ちいいッ。あうッ、んッ、イク。んあッッ――」
「僕も」
「できた――――!」
 南川が絶頂を迎えるのと、僕が射精するのと、そして二見が夏休みの宿題を終えたのは同時だった。
「……わたしすごいかも! こんなに早く夏休みの宿題を終わらせたの、初めてだわ」
「はぁ……そう……それは、おめでと」
 一日目に宿題を終わらせていた南川が、僕の肉棒を体から引き抜きながら言った。
 ピンク色のブラジャー姿の二見が、腕を上に伸ばしながら僕のほうに顔をむける。
「イッシー……わたしも、エッチしたい」
「ダメだよ! これから、ご飯食べに行くんだってば!」
 体を起こすと南川が言った。
「そんなぁ……」
 二見が椅子から立ちあがり、南川にちかづきながら唇を尖らせた。
「……わたしは、おあずけですかいな?」
「てか、小夜は宿題終わってないのに、一昨日も昨日も、石野としたじゃん……夏休みは思いっきり遊ぶから、できるだけ早く宿題は終わらせるって約束したのに」
「厳しいなぁ、これでも、わたしの中では最速だったんだから。褒めて?」
「もっと訓練しないとダメだね、うちと石野なんて、初日だよ? 夏休み初日に全部終わらせたんだよ?」
「一般人のわたしを、イッシーと雫と一緒にしないで」
 そんな話をしながら、美少女二人が着替えをする。
 僕もベッドの上を片づけると、パンツとズボンを穿いた。

 修学旅行の日から僕たちの関係はより濃厚なものになったと言っていい。ほとんど毎日一緒にいて、セックスの回数も多い。期末テストの直前はさすがに勉強に励んだが、それもつかの間だった。
 園芸部にも変化があった。後輩の藤野成男《ふじのなるお》が、僕と同い年の猿渡音鈴《さるわたりぷりん》を使用人として雇ったとかで、五人全員が部室に集まるようになった。雨の日以外は校内の花壇に水やりをみんなでして、それ以外の時間は部室でしゃべっている。猿渡は、はじめこそぎこちない感じだったが、最近ではすっかり馴染んでいた。南川の予想では、藤野と猿渡は付き合っているとのことだった。
「で、イッシーはなに食べたい?」
 二見の声で、僕は顔をあげる。南川も二見も出かける準備が万端だった。
 僕は充電器に繋げていたスマホを手にとり、時間を確かめようとした。しかし電源が入ってなかったので、机に置いてある腕時計を手にする。夕食にはちょうどいい時間だった。
「なんでもいいよ……パスタとカレーと焼き肉と寿司、それから揚げ物以外だったら」
「めんど! なにそれめんど!」
 と、南川が吐き捨てるように言う。
「丸の内のOLだってもうすこし許容するよ? じゃ、カツカレーで」
「どうせ僕の我儘は無視されるから、我儘はいくら言っても我儘にならない」
「イッシー、意味わからないよ?」
 二見が憐れみの目で僕を見た。
「わたしもカツカレーがいいかなぁ」
「……二見、絶対わかって言ってるだろ?」
 と、僕が腕時計をはめたときだった。ピンポーン! と、この部屋には珍しい音が響いた。ん? と、すでに玄関へとむかっていた南川と二見が顔を見合わせる。そして家主である僕のほうを見て、どうする? と無言で問いかけた。
 僕は玄関まで行き、覗き穴から外を見た。黒いタイトなスーツのキレイな女性が立っていた。風香《ふうか》さんだ。
「あ……え? なんで?」
「誰? どうしたの?」
「わたしにも見せて……」
 南川と二見が扉へとちかづいてくるので、僕はそれを部屋のほうまで押し返した。そして、息を整えてから告げた。
「親が来た……」
「親って……あ、あの、キレイな人?」
「……イッシーの叔母さんだっけ? え? 急に?」
 僕は慌ててスマホの電源を入れて確認する。風香さんからの着信履歴とメッセージが表示される。南川と二見と一緒にいるとスマホを見ることがほとんどないため、気づかなかった。
 とりあえずメッセージを読む。
>仕事の用で、ちかくまで来たから、せいくんの部屋よるね
 その後、在宅を確かめるために何度かメッセージがあった。
 僕は南川と二見に小声で言った。
「とりあえず、中には入れないから……二人はこのままで……」
 もう一度、チャイムが鳴った。
「建物から十分に離れたところまで行ったら、連絡する」
「わ、わかった……」
「噂のキレイな叔母さんだよね?」
 素直に返事をする南川に対して、二見は好奇心に抗えないらしい。
「わたし、会いたい!」
「ま、また今度紹介するから……とりあえず、ごめん」
 言うと、僕は玄関へと急いだ。一呼吸おいてから扉をあける。
「あ、せいくん……やっぱりいた……って、え?」
 靴を履いて、外に出てきた僕に驚く風香さん。
 素早く扉をしめると、僕は背中でそれを守った。
「あれ? 部屋には入れてくれないの?」
「……き、汚いから……男の一人暮らしだからさ……で、なにか用?」
「用ってほどでもないけど、元気してるかなって?」
 笑顔をむける風香さんはやはり美人だ。黒いタイトなスーツがよく似合い、いかにも仕事ができる雰囲気がある。
「べつに、散らかっててもいいけど?」
「いや、ダメだよ。あ、ご飯でも食べ行かない?」
「いいけど、なに食べる?」
「え……と……カ、カツカレーとか?」
「カツカレー!?」
 目を大きくひらいて、風香さんがすこし跳ねた。
「いいね! そういうの最近食べてないから、行こう!」
「よ、よかった……じゃ、行こう……」
 そのまま歩き出そうとする僕に、風香さんが声をかける。
「ちょっと待って」
 南川や二見のことがバレたのだろうか。おそるおそるふりかえると、風香さんが鞄から鍵をとり出した。それを僕の住む部屋の扉へとさし、施錠した。
「ダメだよ? ちゃんと鍵はかけないと……」
「あ、そ、そうだね……」
 南川と二見が部屋にいるため、無意識に鍵をかけなかった。そもそも風香さんが持っているその鍵で扉をあけられていたら大変だった。風香さん名義で借りている部屋で、家賃も風香さんが払っているとはいえ、いちおう僕のプライバシーを尊重してくれる風香さんに感謝しかない。

 カツカレーの美味しいカレー屋へと入る。店内は狭いが、調度品やBGMが雰囲気を醸し出していた。入口ちかくの椅子にすわると、僕はさっそく南川と二見にメッセージを送った。
>すまん。勢いでカレー屋に来てる
>それ以外のところで夕食は食べてくれ
 すぐに南川と二見からは返事があった。
>うちの、カツカレーが……
>わたしの、カツカレーが……
 僕は無視し、スマホをポケットにしまうと、むかいにすわる風香さんと目を合わせた。
「なんだか、忙しそうだね……メッセージも返事なかったし」
「ま、まあ……部活とか、いろいろあって」
「でも、よかったよ、元気そうで。夏休みさ、ちょっとだけでも帰ってこない?」
 本当に仕事でちかくまで来たのだろうか。
「部活も、毎日ってわけじゃないでしょ?」
「……いや、水やりはしないといけないから」
 実際はルーティンを組んでいて、毎日というわけではない。
「でも、一泊くらいはできるでしょ?」
 すっ。と、風香さんの手が僕の腕へと触れた。心臓が大きく脈を打つ。
「……この時計、してくれてるんだ」
 風香さんが掴んだ腕に、僕は時計をつけていた。中学二年生のときの誕生日に風香さんからもらったものだった。
「うれしい……」
 僕の腕に触れた風香さんの細い指が、ゆっくりと肌を撫でる。声も、うごきも、すべてが艶めかしい。
「ふ、風香さん……なにか頼もう!」
 言って、僕は慌てて店員を呼んだ。
 風香さんの手は離れたが、掴まれていた部分だけが熱を持っているようだった。

 カツカレーはすぐにやってきた。
 風香さんはスプーンで食べるべきかフォークで食べるべきか悩んでいた。僕がフォークで食べ出すと、それを見て笑顔でうなずき、フォークを手にした。
「初めてってわけじゃないのに、いざ考えると食べ方ってわからないものだね」
「べつに正解があるわけじゃないけどね」
 それからは、二人とも無言で食べた。サクサクとした衣の部分と、カレーに浸ったしっとりした部分がカツカレーの魅力だ。カレー味の揚げ物は、胃が空っぽだったことを思い出させてくれる。
「んぐっ」
 僕が新しいカツを口に入れたときだ。入口から、二人の美少女が店内へと入ってきた。南川と二見だ。他のところで食べてくれとメッセージを送ったはずなのに、普通に来店している。
 店員に人数をきかれて、二見が指二本を立てた。そしてそのまま手を横に移動させて、僕へとピースする。南川は申し訳なさそうに顔を伏せ、僕と視線を合わせない。おそらく、二見が無理やり引っぱってきたのだろう。
「どうかした?」
 ナプキンで口元を拭きながら風香さんが尋ねてきた。
「あ……いや、なんでもない」
 すこし離れたテーブル席に南川と二見がすわった。メニューも見ずにカツカレーを注文している。僕はとりあえず目の前にあるカレーへと集中をもどした。
「このあとどうする?」
 食べ終わると、風香さんがきいた。
「わたし、せいくんの部屋、行きたいんだけど……」
「いや、それは」
 あの部屋には、南川や二見の形跡が多すぎる。キレイにはしているが、それでも歯ブラシや化粧品などは目に見えるところにある。
「……こ、公園でも行く?」
「え? 暑くない?」
 僕の提案に風香さんが眉をよせる。たしかにかなり暑いだろう。夏真っ盛りだ。
 スーツ姿だった風香さんも上着を脱いで、ワイシャツ姿になっていた。豊満な胸が強調され、いやでも視線がむく。
「じゃあ……えっと……」
「わかったよ。部屋がイヤなのは、わかった」
 しょうがないな、といった感じで風香さんが微笑んだ。とりあえずお会計しちゃうね、と言って立ちあがる。
 会計をするために、風香さんが南川と二見のテーブルの前を通過した。二人の女子校生は、風香さんに釘付けだ。
 僕は急いでスマホをとり出すと、二人にメッセージを送った。慌てていたため、すこし打ち間違える。
>なぜきた? どうぢできた?
 スマホのメッセージに気づいた二見が素早く返事を送ってくる。
>ねえ、風香さんだよね? モデルの
 予想外の返信に、僕は思考が停止した。二見には風香さんの名前は言っていない。言っていたとしても、モデルだったことは伝えないだろう。
 会計を済ませた風香さんが、テーブルにもどってくる。
「行こうか」
 と、鞄を手にすると、先に店を出ていった。僕は二見のほうに顔をむけ、無言で問う。なぜ、知っている? 返事はスマホのメッセージであった。
>小学生のときに一緒に撮影したことがある!
 二見が小学生のときにモデルをしていたのはきいている。それがきっかけで、面倒なファンがつき、その人につい最近もストーカーされていた。まさかのところで、風香さんと二見が繋がっていたわけだ。
「……コーヒーでも飲み行こうか?」
 店を出ると、風香さんが言った。
「ちかくに喫茶店ある?」
 僕は自分が知っている喫茶店へと風香さんを案内した。チェーン店で、この街にも二店舗あり、勉強のためによく来ている場所だった。
「……で、さっきの二人は友達?」
 喫茶店の席につくと、風香さんが尋ねてきた。やはりバレていたようで、僕は溜息をついた。ちなみに風香さんはアイスコーヒーで、僕はバナナジュースを頼んでいた。
「園芸部の友達」
「ふぅん」
 なにか含みのある返事だったが、風香さんはそれ以上なにもきかなかった。外を歩く人たちを見ている。
「……風香さん、本当はなにしに来たの?」
「え?」
 顔を僕のほうにむけると、すこし目を丸くする風香さん。
 バナナジュースを一口飲んでから、僕はさらにきいた。
「仕事なわけないよね……こんな時間にこの街で……」
「鋭いね」
 風香さんほどではない。カレー屋での一瞬で、南川と二見が僕と関わりがあると見抜いた。昔から風香さんは鋭いところがあったが、嘘は下手だった。
「実はね、正式に勇吾さんと離婚しようと思って……」
 勇吾というのは、僕の叔父の名前だ。石野勇吾《ゆうご》。遊び人で、僕の血縁者ではあるが嫌悪する相手。いや、嫌悪はしてない。する前に、家から出た。
「……そう。なら、僕のせいだね」
「そうじゃないの。もう時間の問題だったってだけで。決して、せいくんのせいじゃない」
「でも、きっかけにはなったはずだ」
「それは……そうかもしれないけど……」
 手を伸ばし、風香さんが時計をしているほうの僕の腕を掴もうとした。しかし、僕は思わず腕を引いていた。
「ごめん……」
 下をむき、風香さんが下唇を噛んだ。



 数年前の、あれも夏だった。
 いつものように風香さんと叔父は喧嘩をしていた。広いリビングに、二人の声が甲高く響いていた。僕は二階の部屋で、かじりつくように勉強をしていた。
「大丈夫だ……僕は大丈夫だ。大丈夫」
 呪文のように繰り返し、シャーペンの芯を減らしていく。
 怒鳴り声がやみ、しばらく静寂の時間があった。
 僕は机から離れ、ベッドのほうにすわった。
「……せいくん?」
 おそるおそる風香さんが僕の部屋へと入ってきた。ベッドにすわっている僕を見ると、目にいっぱいの涙を溜める風香さん。ごめんね。言いながら僕の隣にすわると、強く抱きしめてくる。僕の頭を撫でながら、必死で風香さんはなにかに耐えているようだった。
「ごめんね……せいくん、ごめんね」
 この家に僕が来てから風香さんと叔父の仲が険悪になったように思えてならなかった。しかしすでに二人のあいだに愛はなく、僕がその亀裂に最後の楔を打ちこんだだけだということもわかっていた。
「ごめんね、こんなお母さんで……」
 こういう日が何度もあった。風香さんは謝りながら僕の頭を撫でつづけ、泣いていることもしばしばで、ときには嗚咽した。僕を慰めているようで、その実、風香さん自身が慰めを必要としているのではないか、と思った。しかし僕としても、風香さんの温もりには助けられていた。
 その日は、いつもに増して風香さんは辛そうだった。沈黙したまま洟を何度もすすり、僕に顔を見られないようにしていた。ゆったりとした白いレースのついたパジャマを着ている風香さん。セミロングの黒髪を頭の上で無造作に結び、首筋にうっすら汗が光る。
 抱きしめてくる風香さんの匂いで、僕はふわふわしていた。大きな胸も押しつけられ、性的経験のない男子には刺激が強い。
「……んっ……せいくん、平気?」
 やっと体を僕から離すと風香さんが尋ねてくる。
 僕はちいさくうなずいた。
「へ、平気……」
「なにかしてほしいこととかあったら、言ってね? やれることは、するから……」
 鼻声でそう言うと、風香さんが僕の膝へと手を置いた。それがいけなかった。風香さんの指先が僕の肉棒へと触れた。うッ、と僕は喉の奥を鳴らすと激しく射精した。
「え? あ、あれ?」
 すぐに何事かを察した風香さんが、顔を赤らめる。
「あ、せいくん……これって……」
 じんわりとズボンの中央に染みができていく。僕は自分がしてしまったことへの羞恥心と罪悪感で声が出なかった。
「……だ、大丈夫だから。ちょっとそのまま待ってて」
 言うと、風香さんは部屋を出ていった。
 どうしたらいいかわからず、僕はベッドにすわったままうごけなかった。もどってきた風香さんの手には、ウェットティッシュの入った箱が握られていた。
「いま、拭いてあげるから……」
「あ、いいよ」
 やっと声が出た。僕は必死で首をふった。
「じ、自分でやるから……ごめんなさい……」
「謝らないで……わたしに、やらせて」
 床に膝をつくと、風香さんがゆっくりと僕のズボンを脱がしにかかった。そのとき見た風香さんの目に渦巻く、形容しようのない光に僕は慄いた。
 ズボンとパンツはあっという間に脱がされ、あらわれたのはびんびんに勃起した僕の肉棒だった。
「はぁ……」
 熱く甘い吐息を漏らす風香さん。冷たいウェットティッシュで亀頭を拭き、幹を拭き、そして陰嚢を拭いてくれる。その目は、僕の肉棒に釘付けだった。
「……そ、そうだよね、男の子だもんね」
 言いながら丁寧に優しく風香さんが僕の肉棒を拭く。射精したばかりの肉棒が、びくんびくん反応してしまう。
 拭き終えると、風香さんが僕の顔を見あげ、わずかに口角をあげた。薄い唇を舌がぺろりと舐めた。目は涙で腫れているが、しっかりと意思があった。
「……ちょっとだけ、いいことしようか?」
 言うと、僕の肉棒から手を離し、風香さんがベッドにすわった。パジャマの首元から両腕を出し、上半身を露出させる。
 僕は生唾を飲みこんでから部屋の扉のほうを見た。
「平気……あの人は、いま家にいないから……」
 風香さんはブラジャーをつけていなかった。ふっくらとした双丘が、僕のほうを見ている。乳首は桃色。ぴんと立ちあがっていた。
「おいで……」
 と、風香さんが膝を叩いた。僕は吸いよせられるように頭を風香さんの膝の上にのせた。
 すぐに風香さんが前かがみになった。乳首が僕の口元へとやってくる。はむっ、と咥えこむと頭の中が幸福感に包まれた。
「んッ……」
 風香さんが鼻から息を抜いたような声を出した。
 ちゅぱちゅぱ。必死で僕が乳首を吸っていると、風香さんの手が肉棒を優しく包みこんだ。強すぎない刺激を与えながら、細く長い指が肉棒をしごき始める。
「んッ、せいくん……あッ、せいくんッッ……」
 感じている。経験のない僕にもわかった。夢中で風香さんの乳首を吸った。ふかふかの体をひくひくと震わせながら、風香さんが肉棒をしごいてくれる。なにも考えられなかった。
「あ……風香さんッ、またッ」
 乳首を口から出すと、僕は告白した。
「また出ちゃうッ」
「いいよ、いっぱい出そう」
 風香さんの手のうごきが速くなる。
 さっき出したばかりなのに、大量に放出される予感があった。
「あ、ふッッ」
 どぴゅぅぅっ、と噴水のように精液が吹き出たのがわかった。
「あぁ……すっごく、濃い……んっ、上手、いっぱい出したね」
「風香さん……風香さん……」
「うん。もっかいしようね」
 その後、僕は風香さんの乳首を吸いながら二度射精した。
 合計四度の射精した僕は気を失うようにして眠った。
 翌日、目が覚めてすぐ、僕は激しく自分の肉棒をしごいた。しかしどんなに刺激を与えても、肉棒は勃起もしなかった。学校から帰ってきて、もう一度挑戦しても、昨日のような快感は得られない。風香さんにまたしてほしかった。乳首を吸いたかった。肉棒をあの細い指で握ってほしかった。
 次の機会はすぐに訪れた。
 風香さんは家にいないことも多いが、あの日から二日目の夜に、もう一度僕の部屋へとやってきた。叔父と喧嘩したわけではない。無言でベッドにすわると、服を脱ぎ、僕にむかって膝を叩いた。
 僕は尻尾をふった犬のように飛びつきたい衝動を抑え、おずおずと風香さんの膝へと頭をのせた。ズボンがあっという間に脱がされ、期待で勃起している肉棒がおもてに出る。
「風香さん……僕……」
「いいよ。ほら、ちゅうちゅうして」
 我慢できず、僕は風香さんの乳首に飛びついた。
「あうッ。激しいなぁ……」
 乳首を夢中で吸いながら、僕はふたたび風香さんの手によって射精した。
 それから毎夜、家にいるときは必ず、風香さんは僕の部屋へとやってきた。じょじょに行為は激しくなっていった。あるときは、口で肉棒を咥えてくれた。またあるときは、おっぱいで肉棒を挟んで、上下にしごいてくれた。
 そして、夏休みも終わりのころだった。僕は風香さんを押し倒した。一瞬だけ驚いた顔を見せたが、慈悲深い笑顔を僕にむけると、風香さんは赤いショーツを自分から脱いだ。
「そう……ここ……ここに、挿れるの……わかる?」
 真夏の夜。僕の初めては風香さんだった。
 薫香とも言える女の匂いに包まれ、足と足のあいだに体を進めた。ふっくらとした恥丘の奥にある陰唇は濡れそぼっていた。
 ぐぐぐ。膣へと肉棒を挿入させていった。
 しかし僕は、途中で射精してしまった。
「ごめんなさい……風香さん」
 泣きそうだった。
「大丈夫だから……ゆっくり、そのまま……奥まで」
 優しく風香さんが僕の頭を撫でてくれる。慈しむように、何度も優しく指で髪をすいていく。小刻みに体を震わせながら、僕はどうにか風香さんの体へと肉棒のすべてを挿入した。
「せいくん……」
「風香さん……」
 このときの僕と風香さんは壊れていた。あとで知ったことだが、風香さんは立ち上げたばかりの化粧品ブランドがうまくいっていなかった。そこに叔父とのことが拍車をかけ、精神的にだいぶ参っていたらしい。
 僕は多感な時期に父を失い、身近な大人の怒鳴り声をききつづけていた。過度なストレスがかかっていたのは間違いなく、心を閉ざしそうだった。暗澹たる毎日から、性の快感を使って逃避していたと言っていい。
「あッ……せいくん、せいくん……気持ちいいッッ。出して、一番奥でッ……あああッ、せいくんッ、出して、わたしも、もう、あああんッッッ――――」
 狂ったように交わった。風香さんが家にいるときは毎晩だった。だから、風香さんが家にいるとわかった時点で、僕は勃起するようになっていた。
 叔父が家にいるときは、声を潜めた。いないときは、わざとのように声をあげた。ベッドはぎしぎしと揺れ、部屋はあっという間に性的な香りに満たされる。
 一晩で何度もセックスをし、恥を捨て去り、ただ性へと没頭した。
 僕は持っているすべての欲望を風香さんにぶつけた。風香さんは、そんな僕を全力で受け止め、ときには僕を上回る勢いで迫ってきた。どびゅどびゅ、と何度も脈打ちながら、僕は風香さんの中へと精を放ちつづけた。朝までベッドでセックスをすることも多く、疲れて学校を休むこともあった。
 成績はあっという間に落ちていったが、風香さんとの情事をやめることはできなかった。
 そして、その日。いないと思っていた叔父が、家にいた。風香さんが見られていたことに気づくまで、僕たちはいつものように激しく交わっていた。

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