弟に跨がり、屹立する肉棒を濡れた女膣へ導く夏生。
その瞬間、どうして姉の瞳から涙がこぼれてしまうのか。
孝介にセックスの練習をさせてあげるだけなのになぜ……
がさつな振る舞いとは裏腹に弟を誰よりも大事にしてきた姉。
姉弟で溺れる秘密と快楽の沼。待ち受ける未来は……
新世代エース・懺悔が贈る、姉弟禁忌小説の最高峰!
プロローグ 姉と弟
第一話 一線 信じられない現実
第二話 生ハメ 繰り返される過ち
第三話 共犯 罪悪感と快感と
最終話 約束 種付けの日
エピローグ 禁忌を越えて
本編の一部を立読み
プロローグ 姉と弟
西野孝介は朝からひどく緊張していた。
こんなに気持ちが落ち着かない朝は、この春に卒業したばかりの高校でバスケ部として最後の県大会で決勝まで勝ち進んだ時以来である。食事は喉も通らなかった。
「落ち着け……落ち着け」
孝介は繰り返し自分に言い聞かせる。
そして立ち上がると姿見の前で自分の服装を確認した。ファッションセンスに自信があるわけではないが、けしておかしな格好ではないはずだ。
そして黒い短髪を弄ってみる。
「……もう少し立たせた方が良いか?」
自問自答しながら、ヘアワックスをつけては指で髪を摘まんだ。
鏡を覗き込みながら入念に髪型を整えていると部屋のドアが突然開いた。顔を出したのは姉の夏生である。
もう孝介は「ノックをしろ」と咎めることはない。視線を向けることもなかった。姉の自分に対するデリカシーの無さはとうの昔に諦めている。世の中の姉弟のほとんどがそうであるように、姉にとって弟とは体の良い小間使いでしかない。西野姉弟も多分に漏れない。
夏生は孝介に声を掛けることもせずに本棚から漫画を物色し始めた。孝介もそれに対して何も反応しない。
いつもならそのままお互い黙ったまま、夏生が部屋を去っていく。しかし今朝は違った。
「そんな髪の毛こねくり回しちゃって。デートでもすんの?」
「そうだよ。文句あるか」
「別に。ただ笑える」
笑いたきゃ笑え、と孝介は頭の中で鼻を鳴らす。
「あんた彼女なんてできたんだ。どんな子?」
「他人の部屋に入る時には絶対ノックをするような最低限の品性を持ち合わせた子」
孝介は皮肉たっぷりにそう言った。
しかし夏生は気にした様子もない。
「ふーん。品性ねぇ」
「姉貴も少しは気にした方が良いぞ」
「あんたは他人じゃないじゃん」
ああ言えばこう言う。
夏生には口で勝てたことがないので、孝介もそれ以上は追及しない。姉弟で喧嘩など小学生の頃にはもう辟易としていた。
それよりも孝介はそんな姉に利用価値を見出す。いくら品性に欠けるとはいえ生物学的及び社会的には間違いなく女性である。センスは十人十色ではあると理解しているものの、少なくとも恋人の同性からという貴重な意見が聞けるチャンスではあった。
夏生はバンドでギターボーカルをしていることもあり、ファッションにはそれなりに拘りがある。その割にはいつもスッピンだ。元来持つ濃い睫毛と綺麗な二重瞼や鼻筋、血色の良い唇が化粧をせずとも十分に彼女を彩っている。孝介はそんな姉の可憐さが物心ついた頃から当たり前の光景なので、特別に自分の姉の容姿が際立っていることに気付いていない。
ともかく自分の服装と髪型をチェックしてもらおうと初めて夏生の方へと身体を向ける。その視線の先の夏生は下着姿だった。
朝のシャワーを浴びてきたばかりなのか、頭からバスタオルを羽織っているだけでそれ以外は黒いブラジャーとショーツだけだ。
身長は人並み。童貞の孝介にとって女体のことなど液晶や誌面でしか見たことがないが、それでも身体は細い方だろうと確信している。そんな華奢な肢体の中でも胸部は大きな膨らみがあった。
しかし孝介は動揺の一つも見せない。
夏生の半裸姿など、親の顔よりも見慣れた光景だからだ。
「なぁ。どう思う? この格好。何か変か?」
夏生がちらりと孝介を見やる。
「顔が生意気そうでむかつく」
「お前に言われたくないんだよ」
孝介の言う通り、夏生は負けん気が強そうな顔つきをしていた。そして実際に気が強い。短気というわけではないが、自分の意志は絶対に折れない。特に弟である孝介に対しては。
「服とか髪のことを聞いてんだ」
孝介が改めて問い直す。
夏生はつまらなさそうに答えた。
「普通って感じ」
「そうか。じゃあ良いわ」
「言い方を変えるとつまらない」
「一言多いんだよ」
孝介はベッドに腰を掛けると精神統一の為に俯いて目を瞑る。バスケをやっていた時も試合前はよくこうしていた。
夏生もそんな孝介に何か言葉を掛けるわけでもなく、漫画を片手に黙って部屋を出ていく。
姉の動向などどうでも良い。孝介は懸念している事案があった。
生まれて初めての彼女。
生まれて初めてのデート。
(きっと俺は、彼女の香りを嗅ぐだけで勃起してしまうだろう。手でも繋ごうものなら射精してしまうかもしれない)
そんな危惧が頭をよぎる。
孝介は大真面目だ。
彼は客観的に物事を判断できる。そして己の若さゆえの制御不能な性欲を自覚していた。
出発の時間は迫っている。
(一回オナニーしてクールダウンさせておいた方が良いか)
下半身は既に期待でむずむずしていた。
迷っていると再びドアが乱暴に開く。そこには夏生が居た。
彼女は顔を出すや否や言葉を投げかける。
「言っとくけど、デート前にシコるなよ」
何故自分がそのことで悩んでいるかわかったのかなんて、孝介は不思議に思わない。
彼ら姉弟はけして仲睦まじいわけではないが、幼い頃から時折以心伝心を見せた。
「……どうして?」
孝介は素直に尋ねる。姉に対して今更恥じらいなどない。
「匂いでバレる。シャワーを浴びても無駄だぞ」
「そうか」
夏生は相変わらず下着姿だった。白い肌が作る豊満な谷間は一般的な男性には垂涎モノだろう。
しかし孝介にとってそれは心を落ち着かせた。
要するに萎えたのだ。
血の繋がった家族の半裸姿など、鎮静剤にしかならない。
夏生が言葉を続ける。
「どうしてもムラムラするなら止めないけどな」
「いや。もう大丈夫だ」
「何なら姉ちゃんの下着姿で抜くか? 可愛い弟の為ならオカズになってやらんでもないぞ。ただし今度ハンバーガー奢れよ」
「気持ち悪いこと言ってんじゃねえっ」
孝介は手元にあった枕を夏生に向かって投げつける。
「おー怖。反抗期だわコイツ」
退散していく夏生に、孝介は心中で感謝していた。姉の肌を見て彼の下腹部のむず痒さは霧散していた。