絶頂カウンター3 女子のイッた回数が見えたら妄想が現実に

著者: 日立かぐ市

電子版配信日:2025/01/10

電子版定価:880円(税込)

女子の絶頂回数がわかる能力を得た麗央のハーレムはカオス状態に!
いがみ合うセフレたちの間で真の彼女の座を巡って《正妻戦争》が勃発!
王子様系のクールな美少女・涼風耀と初ラブホで見つめ合いながら正常位エッチ。
小柄で生意気な美蘭と放課後デート、教師のみやちゃんとおうちデート。
純情なイチャラブエッチに憧れていた麗央が、悩んだ末に出した答えとは。
ノンストップ絶頂系ハーレム最終章、正妻の座は誰に。限定書き下ろし付き。

目次

1 セフレの願いを叶える正妻戦争、ここに開幕

2 二人目の正妻候補、美蘭の大胆な仕掛け

3 委員長は正妻よりも射精が欲しい?

4 みやちゃんとおうちデートなのに、結局やっぱり

5 自称彼女、千波は俺を正直にさせる

SS 涼風の新しい下着

本編の一部を立読み

1 セフレの願いを叶える正妻戦争、ここに開幕



 日曜日、俺・三条麗央《さんじょうれお》は待ち合わせの本屋へ急いだ。待ち合わせの相手は千波でも委員長でもなく、みやちゃんでもない。涼風耀《すずかぜよう》だ。
 絶頂回数が見えるようになってからというもの、デートなんてしたこともなかった俺が、こうして休みの日に待ち合わせもできるようになった。しかも相手はあの涼風だ。
 スラリと伸びた長い手足、2.5次元俳優のような中性的で洗練された顔立ち、恵まれた容姿を持ち学園ではいつも女子に囲まれ黄色い声が上がる涼風と、誰にも声をかけられない俺がデートするなんてな。
 何度か涼風を助けたこともあって彼女は俺を好きだと言ってくれる。だけど俺と涼風とじゃまず不釣り合いだし、涼風には俺よりもずっと相応しい男がいるはずだと彼女とセックスをすることから逃げていた。でも、もう逃げられなくなった。
 逃げてばかりもいられない。少しでも早く涼風の黒いイカせパワーを白くしなければ、彼女はこれからも何度となくひどい目に遭うかもしれないから。
 ランジェリーショップの柳《やなぎ》さんが教えてくれた、俺には見えないし詳細もわからないイカせパワーだけど、涼風のことを考えると柳さんの話を信じるしかなかった。
 俺が目撃しただけでもレイプと痴漢が複数回。俺が知らなくて、涼風が言わないだけで同じようなことを何度も何度も経験しているのだろう。
 涼風は無意識で男を誘っているせいだと言っていたが違う。そんなことは絶対にない。ありえない。
 本当に涼風の黒いイカせパワーが原因なら、それを白くできれば涼風を救える。俺はその可能性に賭けた。
 俺なら涼風を黒いイカせパワーから助けることができるかもしれないから。
 待ち合わせは本屋というだけで、雑誌なのか小説なのか専門書なのか、棚までは決めていなかったが不思議と簡単に見つかった。
 急いで探したからじゃない。涼風が立っているだけで周囲の目を引くからだ。涼風を見た他の客が小さな声で彼女のことを話すものだから、どこにいるのかすぐに見当がついた。
 背の高い涼風は、学園ではいつも女子に囲まれ男装の麗人といった雰囲気だけど、今日は様子が違う。見慣れない私服のせいだろうか。
 薄い黄色の柔らかな生地のスカート姿で本に手を伸ばす涼風の姿は、学園では感じたことのない女性らしさを醸していた。
 近づくと本棚から視線を横に逸らした涼風と目が合った。
「大丈夫、待ってないよ」
 話しかけたのは涼風が先だった。学園で女子に囲まれている時の王子様の振る舞いではなく、普通の女子の声音だ。
「気になってた本があったから少し早めに来てたの。それに、ちょっとくらい待ってもいいように本屋でしょ。あと、ラブホも決めておいたから」
 決断力のない、迷いがちな俺に先手を打つようなその言葉がありがたい。
「でも、もう少し待ってて。先にこれ買ってくるから」
 そう言って涼風が一冊の文庫本を手に取った時だった。
「ごめんごめん、待った?」
 その声は背後から聞こえた。もちろん、声だけでわかる。それでも無視するわけにはいかない。振り返ると、地雷系であることを隠そうともしない、レースやチュールを使った複雑なデザインの黒いワンピースを着た千波夢芽《せんなみゆめ》がそこにいた。
「どうしたの、千波さん?」
 その様子から、涼風が呼んでいないことはわかる。もちろん、俺も千波に今日のことは話していない。
「だって、あたし君の彼女だから」
 当然のような顔で言うが、当然じゃないぞ。全然。
「何度も言ってるけど、付き合うとか、そんなこと俺は一度も言ってないだろ」
 何度も言っているから俺が一番わかっている。これで引き下がる千波ではないことを。
「三条は、千波さんと付き合ってないんだよね?」
 なんのつもりなのか、涼風は強い語気で聞いた。
「ああ、千波に付き合うなんて言ったことは一度もない。そうだろ」
「じゃあ、三条は私と付き合うってことでいいんだよね」
「「え?」」
 あまりにも大胆な涼風の言葉に、俺だけでなく千波も声を出していた。
 三度も助けたことで涼風は俺を好きになったと言ってくれたが、彼女だと主張する千波の目の前で言うか。喧嘩を売るようなものだ。
「彼女の私は正妻で、彼女じゃない千波さんはただのセフレってこと。三条には前にも話したけど、私はセフレがいても構わないからね。少しずつでもいいから減らしてもらうけど」
 千波に対して強気な涼風の言葉が意外だった。はっきりと喧嘩を売っている。でも、そこまで突っかからなくたっていいだろ。
 涼風は俺が学園でセックスをしているのを見ているんだから。相手は千波じゃなく、みやちゃんだけど。俺がクズだってことは知っているんだから。そんな俺に固執しなくても。
 いや、それよりだ、本屋で何度もセフレセフレと言わないでくれ。ただでさえ涼風は人目を引くっていうのに、昼間の本屋に見合わない言葉のせいで周りの視線が痛い。
「ちょっと、周りも見てるし、とりあえず場所変えようか」
 しかし挑発し合う二人には、もはや俺の声など耳に入らないらしい。
「あたしもセフレを認めてるし。彼としたがる女が多いことも知ってるし。あたしは理解のある彼女だし」
 だから日曜午前の本屋でセフレって言うな。お店には幼女だっているんだぞ。
「じゃあさ、今から三人でセックスして決めようよ。誰が三条の彼女に相応しいか」
「あ、いいね、それ。あたしは、ここのトイレでもいいよ。君もそういうの好きでしょ」
「だから待て、待ってくれ」
 売り言葉に買い言葉のその場の勢いで、正妻なんて俺は決めたくないぞ。だいたい、一人だけを選びたくない。これからもみんなと仲良くセックスしたいからな。
 いや、そんな考えだから俺のイカせパワーが白濁した精子色になっているんじゃないのか?
「とりあえず場所を変えよう。ここで話すことじゃない」
 二人の顔はまだ何か言いたげだが俺の言葉に従うように口を閉じた。ようやく、ここが本屋であることを思い出してくれたからか。
「よし、とりあえず外に行こう」
 そうではなかった。二人が黙ったのには別の理由があった。
「あれ? 今日は珍しい組み合わせの三人だね」
 どうやら二人は俺の背後から現れた委員長・斎藤優佳《さいとうゆうか》の姿を認めて黙ったらしい。
 日曜の本屋だ。委員長が現れるのもおかしくはないが、偶然にしてはすぎるだろ。千波は俺のあとをつけてきたとしても、委員長がそんなことはすまい。しないよな。
「どうしたの、変な顔して」
 制服ではなくチノパンを穿いていても、いかにも委員長という規律正しそうな顔のまま首をかしげた。その様子からすると、ここに現れたのはやっぱり偶然なのだろう。
 そういえば、委員長のパンツスタイルは珍しい。でも悪くない。委員長なら下着を通り越してベージュのチノパンまで濡らして染みを作りそうで。
 いや、そうじゃない。
「今から彼と正妻のあたしとセフレの王子様と三人ですることになったんだよね」
 千波はまるで自慢するかのように言った。
「ふぅん、今日は3Pなんだ。今日もって言った方がいいのかな。でも涼風さんまで麗央君としたがるなんて、少し意外かも」
「今日は」でも「今日も」でもおかしいだろ。涼風も変な顔してるし。
「私はただセックスしたいんじゃないから。三条のことが好きだからするの。三条がクズでセフレはしょうがないから、千波さんも入れて三人でやるってだけで」
 はっきりクズって言うな。
「確か、千波さんもそうだったよね。二人とも、セフレはしょうがないって考えているんだ」
 委員長らしくない、まっとうな疑問だ。
「彼って優しいから、セフレもすぐには捨てられないからさ」
「じゃあ、私は麗央君のセフレとして安泰ってことでいいんだよね。例えば、今日の3Pが4Pになっても」
「委員長もちょっと待て、ここで話す内容じゃないだろ。一旦、外に出よう」
「ねえ、麗央君。私はセフレとしても、正妻ってどっちなの? 先にやった千波さん? それとも涼風さん?」
 また、二人に火をつけるようなことを言ったら。ほら、やっぱりだ。
「だから、今から3Pで正妻争いするの。あたしと王子様のどっちが正妻か決めるの。委員長ちゃんも見に来る?」
 普段声の小さい千波なのに、委員長が煽るものだから興奮して人並みの声量になってしまっている。
「勝負? 競争するってこと?」
「そう。勝てば正妻、負ければセフレの勝負を」
 それじゃあセフレは賊軍みたいじゃないか。俺に賊軍なんていないからな。
「待て、みんなが正妻だ。それでいいだろ。少し落ち着いて、迷惑になるから一旦外に出て落ち着こう」
「ほら、麗央君がそういうこと言うからだよ。でも、勝負かぁ。どうやって決めるの? 正妻かセフレかって。どうせ麗央君は決められないでしょ。決めたくない、って言った方が正確かな」
 さすが委員長、よくわかっていらっしゃる。俺は正妻とセフレで区別したくない。いや、できない。
「それって、私も参加していいのかな?」
 本当に3Pを4Pにするつもりか。
「いいんじゃない? 私はギャラリーが多い方が気持ちが盛り上がる方だから」
 やめろ、輪姦されていた涼風が言うと洒落にならん。が、それは二人には言えない。ツッコめない。
 でも、ギャラリーか。勝負を見届ける裁定者。俺はてっきり委員長も正妻になるって言い出すのかと思った。でも委員長はセフレで安泰って話したばかりだ。きっと、二人がどんな勝負をするのか関心があるんだな。そんなところまで委員長らしい。
「そうじゃなくって、正妻争いに参加したいなって。正妻はまだ決まっていないんだよね」
「ちょっと待って」
 俺は思わず声を出したが、その先を、本屋でセフレという言葉を使うのは憚られ、そこで口を閉じてしまった。
 しかし、もう三人はおかまいなしだ。
「委員長ちゃんって、そういうタイプだっけ? エロいことだけできればいいんだと思ってた」
「さっきまではセフレでいられるなら、って感じだったけど」
 そうだそうだ!
「私は正妻じゃなくってセフレでもいいんだけど、でも競争してみたいなって。好きなんだよね、競うのが。負けたくないっていうか」
 ああ、こんな時にも顔を出すのか。妥協しない優等生の顔が。委員長の闘争心に火が着いたのはしょうがない。でも、とりあえず場所を変えよう。
「ちょっと待って」
「「「なに?」」」
 三人が三人、冷たい声だ。俺へのその冷たい声で、誰の正妻を目指すつもりなんだ。
「なに?」
「ここで話すことじゃないし、とりあえず場所を変えて、少し落ち着いて話そうよ」
「そうだね。立ち話もなんだから、お茶しながらじっくり話した方がいいかもしれないね」
 委員長、そういうことじゃない。公共の場で人目のある場で話すことじゃないんだ。
「あれ? 三条君のセフレが揃ってどうしたの?」
 教え子をセフレと呼ぶな! 本屋に誰がいたっておかしくないけど、担任教師のみやちゃんまでいるのかよ。
「いえ先生、この中に正妻がいるんです。全員がセフレじゃないんです」
「正妻って、子供作るの? 卒業まで一年あるし妊娠はまだ早いんじゃないかな。でも、そういう意味では私が正妻だね」
「みやちゃんさ、中出ししてるからって正妻じゃないよ。ピル飲んでるんだから子作りじゃないでしょ」
 珍しく千波の声に感情がこもっていた。
「もう飲んでないよ。三条君と妊活中だから」
「「「え!?」」」
 三人の声が揃った。
「周りの迷惑になるから、一旦外に出よう」
 しかし四人は話を中断するつもりはないらしい。みやちゃんが変なことを言うせいで、場所を変えることに同意した委員長まで忘れたようにみやちゃんに食いついてしまった。
「妊活って、どういう意味ですか? 麗央君、私言ったよね。卒業式はボテ腹で出たいって」
「あたし、彼女なのに聞いてないんだけど。セフレは許すけど、子作りまで許すなんて言わなかったよね」
「三条が話していないのは、本当の彼女じゃないからでしょ」
 そう言ってニヤリと笑った涼風は間違いなく感情的になった千波を挑発している。千波も普段は表情に出さないのに俺をギロリと睨んだ。
「じゃあさ、君はみやちゃんと結婚する気なの?」
「私は結婚はいいよ。ただ子供が欲しいってだけで。三条君にもそう言っているから、養育費とかもいらないって」
「じゃあ正妻じゃないじゃん。避妊に失敗したセフレだよね、それ」
 そうかもしれないけど、言い方ってものがあるだろ。
「でも三条君には妹と結婚して欲しいかな」
「妹って、あの胡散臭い漫画家のこと?」
 みやちゃんの妹、ヤモリヤバ実先生と会ったことのある千波が言った。そういえば、この中で会ったことがあるのは千波だけか。
「漫画家って?」
 委員長が俺に聞いたが、話していいものかわからずに、とりあえず困った顔を作ってやり過ごすことにした。
「あとね、妹も三条君と中出し子作りセックスしてるから」
 また余計なことを。
「だから、場所を変えようって。本屋で話すことじゃないですよね」
 しかし、みやちゃんの煽りは止まらない。
「妹は三条君のこと、運命の男《ひと》だって思ってるから。三条君には妹を幸せにして欲しいんだよね」
「三条は先生の妹さんともしてるの?」
 声から察するに、涼風は引いている。
「はい」
「競走馬みたいで凄いんだね、三条って」
 驚きながらも目を輝かせる涼風の表情からすると、その言葉は嫌味じゃないらしい。
「ねえ麗央君、他には?」
 引いているのか驚いているのか涼風はよくわからないが、委員長は確実に引いているのがわかる。ヤモリヤバ実先生のことは委員長も知らなかったしな。
「これで全員です」
 今のところは。
「その顔、王子様も驚いたでしょ。あたしの彼のクズっぷりに」
 一方的に挑発されていた千波が今度は意趣返しに涼風を挑発している。千波は子作りセックス以外はだいたい知っているからな。
「私が好きになるくらいだからね、モテる方が嬉しいよ。あと三人くらいいてもいいんじゃない」
 千波の挑発を予想していたのか、涼風は鼻で笑って言った。
 でも、あと三人……、既にいるんだよな。
 柳さんはともかくとして、美蘭《みらん》と妹。さすがに妹は驚くだろうな。驚くっていうか、間違いなくドン引きされるよな。
「麗央君、その顔はまだ他にいるんじゃない?」
 付き合いが長い委員長はさすがによくわかっている。
 ただ、ここで妹のモモと、その友達のメスガキ・美蘭とのことを話すわけにはいかない。妹だけは絶対に言えない。そもそも、まだ妹とはセックスまではしていないしな。
「セフレっていうか、セックスした女の子はもういない。本当に」
 余計な嘘はつかない方がいいからな。正確ではないけど、嘘ではない。
「君さ、あのメスブタ奴隷がいるでしょ」
「あ、はい、柳さんともしています。やったのは本当にこれで全員です」
 柳さんのことは委員長も知っているし、柳さんには悪いが美蘭と妹のことを隠すにはいいデコイになったな。
「『やったのは』その言い方って麗央君はこれからするつもりでいるってことだよね。私たちの知らない女の子と」
 ああ、本当に委員長は俺のことをよくわかっていらっしゃる。
「ねえ、メスブタ奴隷ってどういうこと?」
 その言葉は気に入らないのか、今まで驚くこともなく余裕を見せるかのように千波を煽って涼風が不機嫌そうに言った。
「柳さんはランジェリーショップの店員をやっていて、それで知り合って。ただ、俺は柳さんのことを一度もメスブタ奴隷なんて呼んでないからな」
「メスブタ奴隷までいるなんて、三条君ってテストは少し苦手だけど、本番には強いんだね」
 担任にそんな評価をされてもうれしくないぞ。
「柳さんは一度だけで、セフレではないんですって。メスブタ奴隷って言うのも止めてくれって言ってるし」
「じゃあメスブタ奴隷は自称ってこと? 自称彼女の誰かさんみたいだね」
 涼風は千波を見てニヤリと笑う。だからなんで挑発するようなことをするんだ。いいじゃないか、一人に決めなくたって。
 俺はそっちの方がいいのに。……ってだからなんだろうな。
「だから、ちゃんと正妻を決めようよ。あたしが自称彼女かどうか確かめてよ」
 このままじゃどんどん雰囲気が悪くなる。優柔不断で曖昧で、俺が決められないからこんなことになってしまったんだよな。身から出た錆とはいえ、そんなことで張り合うなんて考えてもいなかった。
 待て。逆に言えば、決めてしまえば済むんだよな。今ここで正妻を決めてしまえば。
「あのさ、正妻って俺が決めればいいんだよね」
「「「「ダメ!!!」」」」
 ダメなの!?
 俺の正妻なのに俺が決められないってどういうことだよ。
「麗央君は優柔不断だからダメ」
「私たちで決めた方がいいよね。その方が納得できて」
 俺が決めたら納得できないって、俺の信頼感ゼロかよ。
「俺が優柔不断なのは認めるとして、じゃあどんなやり方で決めるつもりなんだ」
「そんなの、君を一日に何回射精させられるかでしょ」
 まさか、千波は天下一フェラチオ武道会を再びやる気か。
「ダメだ。毎日五回も六回も射精したら死ぬぞ、俺は」
「さすが若いね、三条君は。そんなに出せるんだ」
「いやいや、出ませんよ。初日は出たとしても次の日は、……たぶん」
 出ないよな、さすがに。
「じゃあ、麗央君をどれだけ早く射精させるか?」
 委員長は千波と天下一フェラチオ武道会を争ったからな。競うのが好きだし、そういう発想になってしまうのか。
「そんなことよりも」
 いつも学園でやっている王子様のような声で言った涼風に、みんなの視線が集まる。
「セックスじゃなくてデートはどうかな。三条に射精させるのはセフレだってできるんだから」
 確かに。
「デートか。うん、そうだね。じゃあ、デートを観察した他のセフレ候補が点数をつけるってのでどうかな?」
 正妻候補ではなくセフレ候補と呼ぶところに委員長の隠れた気の強さがうかがえる。
「デートなら君も採点に加えてあげてもいいよ」
 千波は俺の採点が本人にとってプラスに働く自信があるらしい。
「いいの、デートで? 大人の方が有利だよ」
 みやちゃんはデートに自信ありか。だが、他の三人の顔もそう言っている。デートに自信があると。誰一人譲る気はないらしい。
 こうしてF市の本屋でセフレの祈りを叶える願望機、正妻を巡る戦争が始まった。

続きを読む

電子版の購入

定価:880円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

電子版の購入

定価:880円(税込)

以下の書店でもお買い求めいただけます

本の購入

以下の書店でもお買い求めいただけます