本販売日:2005/02/23
電子版配信日:2007/08/01
本定価:734円(税込)
電子版定価:770円(税込)
ISBN:978-4-8296-1334-4
黒髪を輝かせ、テニスコートを駆ける藤平智実。
美少女の華麗なプレイを前に誰が信じただろう?
伸びやかな肢体の最奥を責め具に犯されていたことを。
――わたしたちは、まだ負けたわけじゃないはず――
母・潤子が悪辣極まる肉調教を受けながら見守るなか、
智実は試合に挑む――美少女の聖性を蝕む淫獄の行方。
ともみ 女子学生
じゅんこ(34歳)人妻
ちさと 女子学生
本編の一部を立読み
思っていたよりもはるかにハンディは大きかった。自分は本多優子から厳しい罰を受けるべきだと、あたかも殉教者のような気分になっていた智実だが、背負わされた十字架はあまりに重くのしかかった。
試しにコートをダッシュしてみる。と、秘肉に咥えこまされたディルドオがずきんずきん粘膜をえぐってくる。肛門にぶちこまれたプラグのせいで足に力が入らず、ふらふらしてしまう。
智実は何度も「ああっ」という声を放ち、唇を噛んだ。
しかも責め具をつけさせられたのは下半身だけではなかった。ノーブラの胸にはボンデージ用のニップルリングをぶらさげている。敏感な乳首にはたっぷり催淫クリームを塗られたうえに、リングの留め金が鋭く食いこむから、ちょっとした身動きのたびにそこがじんじんうずくのである。
智実の動きがどこか変だと気づいて、観客がざわざわしはじめた。
隣りのコートでは愛十字の唐嶋安奈が力感あふれるフォームから強烈なサーブを繰りだしている。両者の仕上がり具合に差があることはあまりにも歴然としていた。
智実の目にはそんな手強いライバルの姿さえも映っていない。数日来、肉体への責め苦を受けつづけて現実感が希薄になっていた。意識をテニスに集中できぬまま、押し寄せてくる淫らなイメージに呑みこまれてしまいそうなのだ。
かつてローマ帝国のコロシアムでは見世物として猛獣と剣士が命がけで闘ったという。二千という観衆の前で、智実はこれからおぞましい淫獣に立ち向かい、そして無残に敗北を喫する。さらしものにされ、穴という穴を犯され、観衆の嘲罵を浴びる。あげくに首を切り落とされながら、究極のオルガスムスに達してしまう……。
(いけない! もっと集中しなくては)
しかし遠のいた現実感はなかなか取り戻せない。
前後の穴に襲いかかる悩ましいうずきに意識を朦朧とさせたまま、智実はいよいよゲーム開始を迎えた。
ゲームは三セットマッチで行なわれる。
愛十字のエース、唐嶋安奈がサーブの構えに入った。ポーカーフェイスで、少しも緊張した様子がない。
欧米人のプロテニスプレイヤーを連想させる鍛えぬかれた長身で、全体的に智実よりひとまわりも大きい印象だ。その長身を躍動させ、最初のサーブを繰りだす。
センターラインぎりぎりの深いところへ、強烈なフラットサーブが打ちこまれた。
智実はすぐに反応し、バックハンドでかえそうとする。けれども足がついていかないうえに、ボールの威力に押されてしまい、甘いリターンになった。
安奈からトップスピンの速いボールが、右のサイドラインぎりぎりにかえってきた。
とても追いつけない。足を踏みだすと股間のディルドオが膣肉に食いこんだ。甘美な苦痛が全身を貫く。
(あ――)
がくんと膝が折れ、智実はぶざまに転倒した。
観客席から苦笑や冷笑がもれた。
〈やれやれ。見た目はすごくかっこいいけど、肝心のテニスはさっぱりだね。あんなへっぴり腰じゃ話にならないよ〉
〈愛十字の四連覇はこれでもう決まったようなもんだ。神聖の切り札があの程度だとは情けない〉
応援スタンドではそんな父兄の会話がかわされた。
わずか一分あまりで第一ゲームは終わった。もちろんフォーティ・ラブで安奈が難なく取った。
次は智実のサーブだ。女生徒たちは息をひそめて見守っている。今度はきっとエースの片鱗を見せてくれるはずだという期待を抱きながら。
ボールをコートに二度、三度とはずませ、智実はサーブに入ろうとする。
少しも闘争心が湧きあがってこなかった。見世物にされているという淫らなイメージを脳裏から払拭しようとしても、カッカ火照る蜜部とアヌスにずぶりと食いこんだ責め具が彼女を離してくれない。
ニップルリングをつけた乳首が熱い。肥大して敏感になっているからポロシャツでこすれるたびに吐息があふれそうになる。
ボールを頭上へトスした。
サーブの感覚を取り戻せない。ただでさえ智実の肉体は数日来の奴隷セックスで消耗しきっている。手足がだるくて重く、他人の身体を借りているようだ。
最初のサーブはフォルトだった。セカンドサーブ。本来なら智実の得意とするスピンサーブだが、思うような強い回転がつけられず、楽々リターンを打ちかえされた。
ラリーの応酬があり、安奈が逆クロスを強打してきた。
すぐに智実は追うのを諦めた。さっきのように転倒するのを恐れたのだ。コロシアムに、楽勝を予感する愛十字側の拍手と、神聖側の深い溜め息が交叉した。
(アア、とても、勝てないわ……。強すぎる)
結局ただの一ゲームも取れないまま試合が終わるのではないか。そんな黒い不安が智実の乱れた胸のなかへひろがっていく。