放課後インスタントセックス 2
第二話 性欲高い系
南川が僕の肉棒を咥えていた。
「んちゅぅ……はちゅ、んっ」
明日からゴールデンウィークで、南川は僕の部屋に泊まりにきている。以前から計画していたことだった。
南川はときおり、色素の薄い髪を耳にかけ、僕の顔を覗き見るが、あとは肉棒をしゃぶっている。
安物のソファにすわって肉棒を露出した僕の前に、南川は膝をついてしゃがんでいた。舌を器用にうごかし、肉棒を刺激してくる。口の中で亀頭を舐め、カリを舐める。僕は口を半開きにして、気持ちよさに浸った。
「ちゅ、んあっ……んっ、ちゅぷっ、はちゅぅ」
夕方をすぎ、夜に切り替わる時間帯。
「あ、南川、気持ちいぃ……」
僕が反応すると、すこしだけ微笑んで南川が舌の動きを速めた。頬を窄めて、ちゅうちゅう、と吸う。
「南川、僕……」
そろそろ限界だった。かなりの量が放出されることが予想できた。びりびり、と頭の中心が痺れて冷静さを失わせていく。
「じゅぷぅぅ……ちゅっぷ、はぷぅ……んく」
「あッ……」
一気に射精していた。どびゅっどびゅ。濃い液体が肉棒の先端から南川の口内へと遠慮なく発射される。
「ちゅぷぅ……」
射精と同時に、肉棒をさらに深く咥えこむと、精液を吸う南川。どびゅどびゅ、と濃厚な精液が何度も何度も南川の口内に放たれる。
「んくっ……」
射精が終わると、南川が肉棒を口から出した。眉をよせて、こくん、と喉を鳴らす。
「濃いなぁ……喉にからみつく……んっ」
「ご、ごめん」
「いや、別にいいし……」
と、南川がティッシュの箱に手を伸ばした。無造作に二、三枚のティッシュを引き抜くと、それで口元を拭った。
「お腹減らない?」
立ちあがりながら南川がきいてきた。
今日、南川は一度、学校から家に帰っていた。その後、私服に着替えて、僕の部屋へと泊まりにきている。紺色のワンピースで、体の凹凸がよくわかる服装だ。決して豊満なわけではないが、男の性欲をくすぐる体躯をしている。なによりも、露出した白い太ももがエロい。
「出前でもとる?」
きくと、逡巡してから南川が首をふった。
「出前でもいいけど……ちょっと散歩したいかも……」
「なら、なにか食べ行こう」
僕の返事をきくと、南川が台所へむかった。口をゆすぐのだろう。
「うち、あそこがいいかも、ほら……ガパオライスとか食べられる」
「タイ料理な……えっと……」
と、僕はスマホで検索した。学園のちかくに商店街があり、そこにタイ料理屋があった。
「『コップン』って店で合ってる?」
「そうそう、そこ!」
僕の部屋は学園からちかい。つまり商店街からもちかく、歩いても一〇分もしないでつく。夜の散歩にはちょうどいいかもしれない。
簡単に準備を終えると、僕と南川は一緒に外へと出た。日は完全に暮れ、街は夜の装いをしている。道幅はひろいのに、車の通りがすくない道を学園のほうへと歩いた。人目を気にしなくていいので、自然、距離もちかくなる。
「……石野は、明日予定とかあんの?」
南川が唐突に尋ねてきた。
「ん? ああ、あるにはある……」
「そうだよね、ゴールデンウィークだもんねぇ」
「まあ、予定といっても、親に会うだけだけど……」
明日は風香さんと会う約束をしていた。風香さんは、保護者ではあるが、親ではない。しかし、説明するのもいちいち面倒なため、親ということにした。風香さんが、なにか話したいことがあるということで、明日の夜、一緒にご飯を食べることになっている。
南川は、友達と遊ぶと言っていた。ゴールデンウィークは連日遊びの予定が詰まっていて、僕と会えるのも、今日だけのようだ。
「そうそう、勉強会だけどゴールデンウィーク明けからいい?」
「……二見のことよく知らないんだけど」
南川と、その友達である二見が、僕の部屋で勉強をすることになっていた。
「てか、南川も二見と仲がいいように見えないけどな……」
「小夜とは親友だよ」
二見小夜は、教室の中で目立つ存在ではない。黒髪のおさげで、眼鏡をかけていて、いつも教室の隅で、一人、本を読んでいる。どちらかというと、南川よりも、僕にちかい人間だ。
僕も教室では一人でいることが多い。積極的に会話をするような仲の人はいなかった。ずっと参考書をひらいているのは暇だから。本を読む趣味もなく、やることで思いつくのは勉強くらいだった。そんな僕についたあだ名は「イシ勉」。石野の「イシ」に、ガリ勉の「勉」で、イシ勉なのだろう。そう考えると、二見も勉強ができそうなものだが、数学が苦手だと南川は言っていた。
「中学生のときは、よく遊んだんだけどねぇ……」
なにかを思い出すように南川が空を見た。
商店街のタイ料理屋『コップン』へと入った。
「イラッシャイ、好きな席スワッテ」
と、店員に案内され、僕と南川は窓際の席にすわった。店は空いていた。僕たちの他にスーツを着た男性客がカウンター席にいるだけだ。
南川がガパオライスとパッタイで迷っていたので、僕がガパオライスを頼むことにした。
「じゃ、わたしはパッタイ! シェアしようね!」
「そうしよう」
シェアとは言ったものの、料理が運ばれてくると、南川のほうがよく食べた。
食べ終わったあと、南川がすこし苦しそうに頬を膨らませた。
「絶対、石野ももっと食べられたでしょ?」
「……このあと走るから、あんまりお腹をいっぱいにするとつらい」
「ええ? このあとも走るの? 石野って意識高い系?」
すこしバカにしたように南川が口角をあげた。
僕は首をふると答えた。
「そんな大層なものじゃないよ……時間余り系だ」
「つまり暇ってことね。やっぱり部活に入ればよかったのに」
「人との関係が怖い系でもあるから……」
「これだから、ネクラの勉強オタクは」
ネアカ代表のような南川が、やれやれと頭をふった。そして声を潜めると、いたずらっ子のような目を僕にむけた。
「でも、一番しっくりくるのは……性欲高い系だね……」
「それは南川も一緒だろ」
南川の前を走っていた僕は、その場で足踏みをしながらふりむいた。
「まだ、二周しかしてないけど?」
「無理無理、ストップ! 石野! 一回、休憩! 二周も、だよ! はぁ……」
完全に足を止めると、南川は膝に手をついて大きく呼吸を繰り返す。南川は僕のTシャツを着て、僕の短パンを穿いていた。
「うちも、一緒に走る!」
タイ料理屋から部屋に帰ると、そう南川が宣言したのだ。南川は最低限の着替えしか持ってきていないため、僕の服を着ることになった。そしてやってきたのは東方公園。猫のサクラを南川が拾った場所。一周、約五〇〇メートルのランニングコースがあり、僕はいつもすくなくとも五周はしていた。調子がいいときは、一〇周するときもあった。
「いいよ、ごめん、石野は行って……うちは休憩するから……はぁ……しんどい」
言いながら、南川はちかくにあったベンチにすわってしまった。
他にもランニングやジョギングをしている人はいるし、通りからもちかい。危険はないだろうが、時間が時間だ。
「なら、今日はもういいや……」
僕は足踏みをやめて、ベンチにすわる南川へとちかづいた。
申し訳なさそうな表情で僕を見ると南川が言った。
「気、使わなくていいよ、いつも通り走ってきなよ」
「……べつにノルマがあるわけじゃない。習慣なだけだから」
南川の隣にすわると、僕は体を伸ばした。ランニングしているときによくいる中年のオジサンが前を通りすぎていった。
「変なの……」
急に南川が言った。息はかなり整ってきたらしい。
「なにが?」
「だって、いつもならこの時間、うちスマホか、テレビだもん……」
スマホは邪魔になるからと二人とも家に置いてきていた。小銭と、ちいさなタオルだけを持って、公園に来た。
「けっこう気持ちがいいもんだね……」
「ならよかった」
僕は立ちあがった。
「汗が冷えるといけないから、帰ろうか」
「汗かいてるの、うちだけじゃん……ああ、情けない」
そう言って、南川も立ちあがった。
ちかくにある電灯に照らされ、南川の首元が光った。本人が言うように汗をかいている。僕のTシャツは南川には大きすぎて、襟はゆるく、すこし前かがみになっただけで際どいところが見えた。白い太ももは、日中は健康的な印象を受けるが、夜になると妖艶な光を放つ。
「ちょっと、寄り道して帰るか……」
「ん?」
僕の言葉に小首をかしげる南川。
「どこ行くの?」
「……この公園の事務所」
「え?」
南川の戸惑いはもっともだが、僕は無視して、歩きはじめた。
通りからはどんどん離れ、人もすくなくなっていく。電灯はあるにはあるが、頼りなく、なんとなく心細くさせる。地方のちょっと大きな公園だ。すこし奥へと入ってしまえば、人の気配は皆無だった。
東方公園には、野球場やテニスコートといった設備もある。それらを管理する事務所もあるが、もちろんこの時間に運営しているわけもなく、扉はしめられ、電気は消されていた。
「あ、うち、これ飲みたいかも!」
事務所の脇にあった自動販売機の前で南川が立ち止まる。
僕はポケットから小銭入れを出し、渡した。
「話が早いね」
南川が歯を見せて笑った。自動販売機の明かりに照らされたその歯は真っ白だった。
「石野も、なにか飲む?」
「いらない……」
「あ、そ」
南川が買ったペットボトルをとり出しながら、僕へと尋ねた。
「で、ここになにがあるのさ? 閉まってるけど……」
「こっち」
僕が歩き出すと、南川は素直についてきた。事務所はしまっているが、外階段はのぼることができた。いちおう黄色いプラスチックの鎖が張られているが、意味をなしていない。防犯カメラの類もない。
「ああ……そういうこと……」
僕の目的に気づいた南川は呆れたような声で言った。
一階から二階にあがる途中にある踊り場で足を止めた。ちかくに電灯があるために、それなりに明るい。
「家でよくない? うち、汗かいてるし」
「……走れなかった分、運動していかないと」
「バカじゃないの?」
そう笑いながらも南川が唇を舐めた。
僕はわずかに傾けた顔を、南川のちいさな顔にちかづける。無言で南川がそれを受け入れる。
「ん……」
短いキスをしたあと、近距離で見つめ合う時間が数秒あった。吸いこまれそうなほど南川の瞳は澄んでいた。呼吸は深く、まったく興奮した様子はないが、頬は赤らんでいる。
次のキスは長かった。舌を絡め、唾液を交換する。ゆるく抱きしめ合いながらも、決して激情しない。
深いキスをしばらくすると、南川のほうから唇を離した。
「ふぅ……」
無言でTシャツを脱ぎはじめる南川。あっという間に、ブラジャー姿になる。
ブラジャーもはずそうとしたので、僕は言った。
「いいよ、そのままで……」
「そう?」
南川はうなずくと、どうぞ、と言うように、すこしだけ胸を突き出した。
遠慮なく僕は南川の胸へと手を伸ばす。
「んッ……」
ブラジャーの上から触っても、その柔らかさには驚く。
「うち……もう濡れてるっぽいから、挿れる?」
「いや、もうちょっと」
僕は南川の胸をブラジャーの上から両手で揉んだ。刺激を与えすぎないように、優しく包みこむように揉む。南川はそっぽをむいていた。
「……南川、なに考えてるの?」
「え? あ、いや……ちょっと、うち太ったかなって」
「そんなことないと思うぞ」
言いながら、僕は右手を南川の胸からお腹へと移動させる。
「ちょ、そこは禁止だし」
頬を膨らませて、南川が僕を睨む。
僕は素直にお腹から手を離し、その手を南川の穿く短パンの中へと滑りこませた。
「こっちは?」
きくと、すこし考えるふりをしてから南川が答えた。
「……いいけど」
「けど?」
「めっちゃ濡れてるから、覚悟してね」
その通りだった。ショーツのクロッチ部分に触れると、濡れに濡れていた。
「汗、ではないな……」
「ないですな」
照れたように南川が笑った。
夜中の東方公園。
公園の奥にある事務所の一階と二階の踊り場で、南川はTシャツを脱いだ姿で、僕の腕にしがみついていた。露出した肌はひんやりと汗で冷えているが、体の芯の部分は熱くなっているようだ。
「んッ……ん、あッ……」
僕が南川の短パンの中へと手を差し入れ、ショーツの上から秘部を触りはじめてから三分ほど経っていた。しっとりと愛液で濡れた秘部からは、くちゅくちゅ、と音がしている。心なしか足をひろげ、南川は僕が触りやすいように工夫してくれた。
「はッ……んッ、あッ」
激しくは触らない。僕は指の腹を使って南川の大事な部分を優しく撫でた。愛液はとめどなく、指がさらさらとした液体におおわれていく。事務所のちかくにある電灯に照らされた南川はキレイだった。色素の薄いショートボブの髪が、きらきらと輝いている。瞼を閉じ、薄い唇から甘い喘ぎ声が漏れ出る。
「んッ、は、んあッ……あ、んッ、はんッ……んあッ」
僕は南川が穿いている短パンの中から手を抜いた。中指と人差し指はびしょびしょだった。
「ちょっと、寒いかも……」
「ごめん、シャツ着てもいいよ」
「うん」
南川が手に持っていた僕のTシャツを着直した。大きく肩で息を吐くと、ちらりと僕の顔を覗く。
「……やっぱり性欲高い系だよね、石野」
「みんなこんなもんだと思うけどな……」
もちろん、相手がいればの話だ。
幸いにも僕には持て余した性欲を一人で慰めなくても済む。
勃起している肉棒を外気へとさらすと、僕は南川の腰に手をやり、背中をむけさせた。
抵抗することなく、僕へと背中をむけると、南川は踊り場の壁に左手をついた。右手で髪を耳にかけてから、すこし腰を突き出す。
僕は南川の穿いている短パンとショーツを一緒に下へとずらした。くちゃ、とショーツと秘部が離れる瞬間に音がした。電灯に照らされ、南川の秘部が濡れているのがわかる。
硬くなった肉棒を掴むと、先端を南川の穴へと押しこんだ。ぐぐぐ。わずかな抵抗のあと、亀頭部分がずぷりと入りこむ。
「んあッ……」
背中をのけ反らせ、南川が声をあげた。両手を壁へとしっかりつくと、足をうごかして自ら挿入を促してくる。あたたかい南川の膣壁に肉棒が包まれていく。肉棒が南川の一番奥まで潜ると、その小柄な体が一瞬だけ震えた。軽くイッたらしいが声は出さない。南川は、快感に耐えるように、壁についた手でちいさな拳を握っている。
「んッ……あッ、あッ、んッ、あッ」
僕は腰をふった。南川の腰を両手で掴み、ゆっくりと前後に腰をうごかす。当然、肉棒が南川の中を出たり入ったりした。くちくち、と結合部から音がして、それに合わせるように、南川がくぐもった喘ぎ声を出す。
「んぅッ……んぐッ、んッ、あッ……ん、あ。あんッ……」
唇を噛んで、呼吸は鼻でしているのか、荒い。膣壁が蠕動している。肉棒で南川の最奥部を叩くたび、そのちいさな体が震える。
僕は南川の着るTシャツの中へと手を入れ、ブラジャーの上から、胸を揉んだ。
「くはッ……あん。んんくッ、あふッ、んぅ、んッ……」
腰の動きを速くしていく。お漏らしをしたように、愛液が流れ出て、南川の太ももを伝っていった。
「石野、んッ、うち、そろそろ……」
「わかった」
僕も射精の準備に入った。すでに腰の周りにはどろどろとした快感が集まりつつある。
「んッ、あッ……大きいの……くるから、ああんッ、そのまま。んッ、突いて……ああッ、あッ、あッ、あッ。気持ちいぃ、んッ、ああッ、イクッ、あッッ」
同時だった。僕が濃い液体を放出するのと同時に、南川の体が、びくんっ、と震える。
南川が顔を上にむけ、どびゅ、どびゅ、と最後の一滴まで注がれる精液を子宮で受けとる。子種が注がれるあいだ、南川は小刻みに痙攣を繰り返した。
「ふはぁ……んッ……」
肉棒を抜くと、ぱっくりと口をあけた膣から白い精液が流れ出てきた。
「やばっ……ティッシュとか持ってないし……」
「ショーツの替えは?」
「部屋にもどれば、あるけど。はぁ……まあ、いいか」
言いながら、南川はショーツと短パンを穿き直した。やはりすこし寒いのか、自分で自分の体を抱いた。
「風邪ひいたら、石野のせいだからね……」
「そんときは、看病する……僕の家に泊まればいい」
「ゆっくり寝られそうにないから、パス……」
冷えて赤くなった頬をあげて、南川が笑った。
急ぎ足で、僕と南川は帰って、風呂に入った。南川はかなりゆっくり風呂に入っていて、交代して僕が入ったときにはすでに夜中だった。
風呂から出てくると、南川はパジャマに着替えベッドで眠っていた。僕は寝る準備を済ませると、部屋の電気を消して、ソファに横になった。すぐにベッドのほうから声がする。
「石野……こっちで寝ないの?」
「……狭いからいいよ」
「悪いね、家主を追い出してしまって」
「寒くないか?」
「平気。あんがと……やっぱり、石野は優しいね……」
そう言うとすぐに、南川のほうから寝息がきこえてきた。
僕もあっという間に眠りについてしまった。深い眠りで、夢も見なかった。
翌日、簡単な朝食のあと、南川と軽いセックスをした。
南川はシャワーを浴び、簡単に化粧を済ませるとカバンを持った。
「じゃ、また学園でね」
手をふって、部屋を出ていく南川を見送ると、僕は皿洗いと洗濯をした。昨日、びしょびしょになった南川のショーツも僕が洗濯する。他にも南川の私物が、僕の部屋にぽつぽつと置かれていた。化粧道具や鏡、パジャマや歯ブラシなどもある。南川が持ってきた文庫本やゲーム機もあった。
「うちらって、どんな関係なのかな?」
初めてのセックスを終えたとき、南川がそんなことをきいてきた。
ベッドの上で僕はしばらく考えるふりをしてから言った。
「恋人?」
「やっぱり、そうなるか……でも、うち、そういうのいまはいらないんだよね」
「じゃあ、セフレ?」
はぁ? と、僕の隣で横になっている南川が睨んできた。しかしすぐにうなずくと、言った。
「ま、それが一番ちかいのか……てか、石野は一度きりの関係だとは思ってないわけ?」
「いや、まあ……南川さえよければ」
「ふぅん」
白い歯を見せて笑う南川。
「でも、フレンドっていうわけでもないよね……石野のこと、うち、よく知らないんだよね」
「僕も、南川のことよく知らない」
「うちらの関係の呼び方はなんでもいいけどさ」
そこで言葉を切ると、意外と真剣な面持ちで南川が言った。
「面倒なことにだけはなりたくないわけ……うちは」
「そうだな……」
「だから、これからもエッチはするかもだけど……わたしのことは好きにならないでくれる?」
「……努力するよ」
僕の返事に、顔を真っ赤にした南川が喚いた。
「努力しないと、好きになっちゃうのかよ!」
なるに決まってる。それくらい南川は魅力的な女の子だった。
(次回更新 12月29日(日))