フランス書院編集部発

【2016年10月14日】

「第17回フランス書院官能大賞」結果発表

「第17回フランス書院官能大賞」(5月末日締切分)に、たくさんのご応募をいただき誠にありがとうございました。

最終選考が行われ、編集部で厳正な審査をおこなった結果、下記の通り決定しました。

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大賞
該当作品なし

新人賞(賞金30万円)
「【分家の未亡人】押しかけ」(O.Tさん)

特別賞(賞金30万円)
該当作品なし

■ノンフィクション部門
該当作品なし

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■受賞作講評

■官能大賞・新人賞受賞作

「【分家の未亡人】押しかけ」(O.Tさん)

浪人生が手を怪我して、田舎から分家の未亡人が世話をしにやってくるお話。新人賞というのは、多少荒削りでも新人の将来性を買う側面もあるが、この作品に関しては、「荒削り」どころか、研磨されたダイヤモンドである。応募作の中でもずば抜けて官能小説としての完成度が高かった。なんといってもヒロインの千登世さんが可愛い! 裸エプロンを自ら進んでやってくれているのに、なぜか淫乱に見えない。慎ましやかなのにベッドではエロいという、男にとっての理想のような女性である。この作品を読んだら、みんな千登世さんを好きになるだろう。
女性視点を軸に、セリフと心情でテンポよく物語を引っ張っていく。それでいて地の文の情景描写も優れている。これが自分の好きな誘惑小説だ! という作者の気持ちが伝わってきた。わかりやすさと力強さに満ちた、近年まれにみる完成度の高い応募作を新人賞として世に送り出せることに、編集部として喜びを感じている。

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以下、惜しくも受賞を逃した作品の講評です。

「母子と魔少女とその母」(K.Nさん)

母親と禁断の関係を持ってしまった主人公が、近所に住む母娘とも……というお話。濡れ場での男と女の心理描写が巧みで、激しさはないのだけれども、寝室に押し殺した吐息や水音がもれるような淫靡な空気がある。少女と熟女という年齢の異なるキャラをしっかりと書き分け、どちらも魅力的に描けている。若い女性だけ上手い、熟女だけ上手い、という書き手が多いなか、幅広いキャラを書き分けられる力は特に評価した。作風は、セリフと心情を中心に、熟女が肉欲に溺れていく様子を、女性視点でテンポよく描けている。
最終候補に残った作品で、もっとも受賞に近かったのが本作である。惜しくも受賞を逃したのは、この作品が誘惑小説なのか、それ以外のジャンル(たとえば凌辱小説)なのか、はっきりとカテゴライズできなかったことだ。恐らく作者の意識では「誘惑小説」なのだと思うが、編集部から見ると、そう言い切るには曖昧(弱いと言い換えても良い)な部分もあった。昨今そういった作品はなかなか売りにくくなっている。たとえが良いかわからないが、甘い食べ物か、辛い食べ物かはっきりしないと、「パッケージ」が成立しにくいのだ。もしまたチャレンジいただけるなら、ぜひこの作者に「凌辱」を意識した作品を書いてみてほしい。

 
「美獣たちの舞踏会」(S.Tさん)

本格派の凌辱小説。この著者は凌辱小説に長年、親しんでいるのだろう、と感じさせる作品。作者のS.Tさんは以前も最終選考に進んだことのある実力者だ。地の文での物語運びは本当に上手い。書き込みすぎず、過不足なく的確な表現を選び取っていくことは簡単なようでいて、誰にでもできることではない。凌辱者も含め、作品に一貫した美学を感じる。この作品は女性の読者にも好まれるのではないだろうか。
ただ、惜しむらくは、セリフと心情が弱かった。一度、原稿から地の文を消し、セリフと心情だけで作品を読んでみてほしい。それだけで興奮できるか、エロいと思えるか。官能小説の醍醐味の一つは女性心理を描けることにある。たとえばフェラチオのシーン、女性視点をとれば、「むぐぐ」「うむむっ」とうめくだけでなく、フェラをしてる女性の心理を描くことも可能になる。

「人妻家庭教師・かおり」(S.Iさん)

人妻家庭教師という王道テーマに挑んだ作品。かおりさんのキャラが素晴らしい。家庭教師になった事情も含めて、「教えてあげる」という構図一辺倒のキャラではなく、人妻らしい奥ゆかしさや恥じらいを持った上で、少年を教え導いていく。誘惑的なシーンはすばらしかった。濡れ場での男女の会話には、特に才能を感じた。
ただ、ずっとセリフのやり取りが続いたり、地の文が固まって出てきたり、「小説」としての完成度が少し荒かった。それと、このテーマであれば、竿(男性キャラ)の数を絞っても良かったのではないか。人妻女教師と教え子というシンプルなお話にした方が、力強さが出てくる。新人の作品では「わかりやすさ」という点も大事だ。キャラが多く、複雑なストーリーを描くためには、ページ数も、作者の腕も必要になる。難易度の高い目標にチャレンジするよりも、まずは、自分はコレがやりたい! という一点に絞って挑戦してみてほしい。

「女教師と熟ママのびしょ濡れ対決」(T.Iさん)

「童貞食い」のために女教師になったヒロイン・蘭子の淫猥さが目を引いた。ただ、なぜそのような淫乱教師になったかという理由が明らかに不足していたため、作品に深みを感じることができなかった。女教師の心の声を繊細に描くことで初めて、「虐待」になるのではなく、肉体的にも精神的にも少年を成長させてくれる「指導」という行為に昇華するのだ。
登場人物の背景も薄いため、結果、濡れ場が物足りなく感じた。セリフの強さで、濡れ場を濃くすることももちろん大事だが、それだけではなく登場人物の「背景」が見えてくるような濡れ場を描くことを意識してほしかった。
また、セリフだけで展開しているシーンや、登場人物の視点ではない、ぼやきのような「神の視点」が入ることで興が削がれたところがあった。

「女美教祖、散り堕つべし~淫魔たちのシン・シティ~」(M.Nさん)

新興宗教団体に入信した中年男性が知った「教団の裏の顔」。やがて、狂った欲望の矛先は美人教祖に……。
官能小説では、作者の創造する世界に読者を否応なく没入させることが、もっとも重要である。物語の設定は非常に魅力的だったが、設定の説明に終始するばかりで、読者を置いてきぼりにしている箇所が散見された。「会話だけ」、あるいは「地の文」だけで、物語を強引に進めようとしている部分があり、やや独りよがりという印象を抱いた。
濡れ場の質は高いのに、設定の説明に多くのページを費やしているため、非常に消化不良だった。もしもう一度創作する機会があるのなら、「女教師」や「義母」という王道の属性で「これでもかというほど濡れ場の多い作品」に挑戦してほしいと思わせた。

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つづいて、ノンフィクション部門の講評です。

「性技指南」(T.Iさん)

弊社、編集部のツイッターの大ファンだというT.Iさん。ご自身の経験やこれまで文献で読んだ知識を、自分なりにアレンジしてまとめたのが本作である。愛撫するときは身体の骨が出っ張っている部分を攻めろ、など描写は非常に具体的で、タメになる情報にあふれていた。特に本人が「ライフワーク」としている、ポルチオ性感開発の項目については、多くのページ数が割かれ(その結果、他の項目とのバランスを欠くことにはなっているが)、勉強になることが多かった。全体の分量についても申し分なかった。
残念だったのは、項目のバランスが偏っていた点だ。先にあげたポルチオ性感や前戯については、十分な書き込みがあるのだが、肝心の「挿入」に関する説明が少なく、HOW TO SEXの指南書としては、もっとも大事な部分が抜け落ちている気がした。著者にはこの点を埋めた上で、ぜひ再チャレンジしてほしい。

「戦争と性」(N.Uさん)

第二次大戦末期、ベルリンに押し寄せたソ連軍兵がドイツの若い女性をレイプした史実をもとに描かれたノンフィクション。町の病院に、肛門が裂けた女性や、淋病や梅毒を感染させられた女性が診察に来たり、二十人以上の兵士にレイプされ、病院で縫合手術を受けることになった女性の話など、その内容は生々しかった。戦地における性犯罪を扇情的に描くのではなく、データをもとに検証し、戦争の悲惨さを訴えかける点にも好感を持った。
ただ、この作品はノンフィクションなのか、フィクションなのか、曖昧な部分がいくつか見受けられた。また分量的にも、四百字詰めで五十枚程度の分量であり、本一冊とするにはボリューム不足の感は否めない。作者がもっとも興味があるという「戦争における性犯罪」を、さらに掘り下げてほしかった。

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次回の〆切は、11月末日です。
皆様のご応募、お待ちしております。

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